サロメ の商品レビュー
まず、表紙に惹かれた。この時点で私は既にオーブリーの蠱惑的な筆致にとりつかれていたんだろうなと思った。 メイベルの側から見ると弟を支える献身的な姉に見えるが、彼女自身も気付かぬ内に女豹の様な女性になっていく描写が良かった。
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20200815 オスカーワイルドの時代の芸術家の生き方、才能と才能の交わりが愛憎が絡むと大惨事になる。結果がどうなるか、史実なのだが読んでいてハラハラした。
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原田マハさんの作品がとても好きでよく読むが、今回は題材からしてまた一つ違う顔が見えたと思う。 際どい情景が続くが、きちんと読者の心を離さないよう構成が練られていたので、特に最後の方は加速気味に本を読み終えた。 読後感は珍しくあまり良いものではなかったが、これはこれで面白かった...
原田マハさんの作品がとても好きでよく読むが、今回は題材からしてまた一つ違う顔が見えたと思う。 際どい情景が続くが、きちんと読者の心を離さないよう構成が練られていたので、特に最後の方は加速気味に本を読み終えた。 読後感は珍しくあまり良いものではなかったが、これはこれで面白かった。
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妖美な画を描く病弱のオーブリー・ビアズリーと彼を献身的に支える姉メイベル。 そこへ男色作家のオスカー・ワイルドと戯曲「サロメ」が姉弟の運命を狂わす。 さらにこの破滅の物語には実は誰も知らないもう一つの「事件」があった❗ …サロメとは、誰だったのか? 暗転の黒頁が心憎し
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語り手のメイベルが弟のオーブリーに依存している様子が終始鼻についた。弟がワイルドと共に道を踏み外すことを止めようとしていたが、それはきっと建前だろう。クライマックスでは、稀代の妖女サロメと同化した彼女の艶やかな笑みが感じられる。読了後に改めて帯の宣伝文句を見ると、これはメイベルの...
語り手のメイベルが弟のオーブリーに依存している様子が終始鼻についた。弟がワイルドと共に道を踏み外すことを止めようとしていたが、それはきっと建前だろう。クライマックスでは、稀代の妖女サロメと同化した彼女の艶やかな笑みが感じられる。読了後に改めて帯の宣伝文句を見ると、これはメイベルの言葉なのかとも思えてくる。私と一緒に地獄に堕ちよう。
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面白かったです。才能、愛、仕事、絡みまくって、最後まで緊張感の有る展開で、読後がものすごく疲れました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
史実に基づいたフィクションではあるが、生々しくて面白いと思った。 この作家の得意分野であるアートを軸にしたミステリー・タッチの作品は好きだ。 グーグルでチェックした事により興味も深まった。
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ゲルニカのような、政治的な思惑が絡むリアリティとは全く別の路線で楽しめる。現実はプロローグとエピローグ代わりに申し訳程度に添えられているだけで、本文はほぼ全て19世紀。世紀末の退廃的で毒気のある美術世界、センセーショナルな作家と夭逝した異端の画家、人のいかがわしい好奇心をそそる素...
ゲルニカのような、政治的な思惑が絡むリアリティとは全く別の路線で楽しめる。現実はプロローグとエピローグ代わりに申し訳程度に添えられているだけで、本文はほぼ全て19世紀。世紀末の退廃的で毒気のある美術世界、センセーショナルな作家と夭逝した異端の画家、人のいかがわしい好奇心をそそる素材を生き生きと、怒涛の勢いで読ませる。虚構と現実が入り混じるのは、執着や恋や情念に狂う人物の複雑で単純な情動があまりにリアルだから。その辺の心理について人は子ども時代から基本的に成長しないのかもしれない……気のある人には自分を特別に思ってほしくて、みっともないと分かっていてもやらかしてしまう、そして振り向いてもらえないと分かれば可愛さ余って憎さ百倍。 それから、ヘロデ王とサロメとヨカナーンの関係が登場人物らにそっくり重なる描写に、ただでさえ濃い聖書の物語を何度も反芻させられているようで目眩がする。ただその目眩は結構心地よい。 ワイルドがビアズリーの挿絵を却下し書き直させた話は聞いたことがあるが、最終的に採用されたものにもいかがわしいメタファーは結局差し込まれている。そんな風に依頼主にこっそり噛み付いてほくそ笑んでいたかもしれないビアズリーの心情が、読後、今までとはまた違った印象で迫ってきた。
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オーブリー・ピアズリーとオスカー・ワイルドを取り上げるとことから、原田マハの独断場となっている。話の進め方にも作者らしい二重3重の工夫がみられて楽しい仕掛けになっている。
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以前モロー展で観た『出現』。あの絵で初めてサロメのモチーフを知りその禍々しさに、なんとも言えないドロっとした恐ろしさを感じた。 同じモチーフで書かれたオスカー・ワイルドの『サロメ』とビアズリーによる挿絵。そして更にその人間模様全体さえもをサロメというモチーフで語るのが本作原田マ...
以前モロー展で観た『出現』。あの絵で初めてサロメのモチーフを知りその禍々しさに、なんとも言えないドロっとした恐ろしさを感じた。 同じモチーフで書かれたオスカー・ワイルドの『サロメ』とビアズリーによる挿絵。そして更にその人間模様全体さえもをサロメというモチーフで語るのが本作原田マハの『サロメ』。禁断のテーマに魅せられた人々がサロメさながらにその情念を露わにしていく様は、サロメというテーマにぴったりなドロドロした感情が渦巻いていて、非常に緊迫した空気感漂う作品となっていると思う。軽い方の原田マハさんが好きな人は、この展開には少し驚くのではないかな。 オーブリーとオスカー、ダグラスとオスカー、そしてメイベルの思い。サロメのモチーフが幾重にも重なったかのような展開はビアズリーの絵のように緻密で迫力がある。特に自身に内在するサロメ性に目覚めたメイベルは正にファムファタール。人生をかけてサロメを演じきったのだろう。メイベルのオスカーに対する感情は直接的な思いと屈折した思いが混ざったサロメそのものだったのかも知れない。やはり本当に怖いのは女の情念… 敢えて難を言うならオスカーの人物描写かな。それまでの怪しい雰囲気がパリ行きキャンセルから一転、一気に存在感がなくなるのは何かの意図があるのか。もう少しその魅力を厚く表現されていればラストシーンがもっと映えたかも。まぁ作者も編集者も考えた末でしょうからやっぱりこのバランスが良かったのかな。 あと皆さんの言うとおり現代パートは不要ではないかな…楽園のカンヴァスの二番煎じ感だけが残る。本編が良くできてるんだからこの仕掛けは蛇足と感じた。 そういった細かいところを除けば十分に楽しめる作品でした!
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