サロメ の商品レビュー
今までの原田マハさんの作品とは全く表情が違って驚いた。 描写や比喩などはやっぱり原田さんなのだけど、流れる空気が全く違う。 世紀末イギリスにぴったりの重苦しい空気、パリの華やかさとは対照的。 愛憎劇なのだけど、よくある軽薄なものでなく甘美な官能。愛憎劇が苦手だったはずの私でさえ、...
今までの原田マハさんの作品とは全く表情が違って驚いた。 描写や比喩などはやっぱり原田さんなのだけど、流れる空気が全く違う。 世紀末イギリスにぴったりの重苦しい空気、パリの華やかさとは対照的。 愛憎劇なのだけど、よくある軽薄なものでなく甘美な官能。愛憎劇が苦手だったはずの私でさえ、読み終わるのが勿体ない、読了後まだ物語の中にいるような感覚、2度目を読みたくなる、ゾクゾクする本だった。(退廃耽美は好きだからかもしれない) 世紀末美術が大好きなので原田さんがビアズリー!?と思って即手にとったけど大正解だった。
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時代は19世紀末、退廃的な背景の中で女優のメイベルビアズリーの視点から、当時一世を風靡した作家オスカーワイルドと天才的な絵を描くメイベルの弟オーブリービアズリーの関係を描くミステリー?小説。戯曲「サロメ」を主軸に展開して物語は終始進行していく。サロメや絵画についてほとんど知識がな...
時代は19世紀末、退廃的な背景の中で女優のメイベルビアズリーの視点から、当時一世を風靡した作家オスカーワイルドと天才的な絵を描くメイベルの弟オーブリービアズリーの関係を描くミステリー?小説。戯曲「サロメ」を主軸に展開して物語は終始進行していく。サロメや絵画についてほとんど知識がない私にも楽しむことができた。というか熱中した。えぐいてぇ。恐ろしいのだ、彼の絵は。恐ろしいほどに、蠱惑的なのだ。(本文より抜粋)
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文章が好き ◯ 作品全体の雰囲気が好き ◯ 内容結末に納得がいった ◯ また読みたい その他 むかしむかし、たまたまつけたテレビでオペラ『サロメ』を観た。 サロメがヨカナンの首を持って『ヨーカナーン』とその名を何度もうたう場面で、たぶんクライマックス。 そのシーンしかみ...
文章が好き ◯ 作品全体の雰囲気が好き ◯ 内容結末に納得がいった ◯ また読みたい その他 むかしむかし、たまたまつけたテレビでオペラ『サロメ』を観た。 サロメがヨカナンの首を持って『ヨーカナーン』とその名を何度もうたう場面で、たぶんクライマックス。 そのシーンしかみていないけれど、オペラでこんな狂気じみた演出もあるもんだ、と感じたことを今でも覚えている。 本作品は音が溢れるオペラの話ではなく、無音の絵画の話だが、オペラをみた時に受けた強烈な印象そのまま。メイベルの愛と狂気の物語に興奮。
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※このレビューにはネタバレを含みます
どこまでが史実なのか。 元のサロメを知っていたらもっと楽しめたのかもしれない。 オスカーワイルドも、オーブリービアズリーも、19世紀末の時代背景も。 夜中にWikipediaで調べながら寝落ちしてしまい、怖い夢を見てしまった。 メイベルが変わっていく様が怖かった。 サロメになってしまった。 皿に乗った首はあの人?? ということなのか?? 世界観に引き込まれて、読後感がエグい。 芸術のガッと掴まれる衝撃とか、深いとこに響いて余韻の残る感じ。 美術館や博物館に行きたいなあ、音楽も聴きたいなあ。 作品のひとつひとつにはみんなドラマがあって、それを知りたい。 今そんな気持ちです。
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「サロメ」を巡る史実を模したファンタジー。映像的で舞台を見るようなワクワクがあった。全体に漂う退廃的な愛憎劇は確かにサロメ、この本のタイトルも確かにこれしかないなという一冊。
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皿の上に虫が3匹… “蠱毒"というのは古代中国で横行した呪術。狭い空間に毒虫を閉じ込めて共食いさせ、生き残った"蠱毒"を標的となる人の食べ物に混ぜると命を奪えると信じられていたそう…。 まさに四つ巴の愛憎…でも真の蠱毒は読み手によって変わるのかも…
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新しい世界の扉を開けたような気持ち。オスカーワイルド、オーブリービアズリーのことを初めて認識した作品。もっと知りたい❗️と思った。 オスカーワイルドのサロメが出来上がるまでの実話と別世界でパラレルで繰り広げられている想像上の話だと思うんだけど、ストーリーが映像化されて読み進めるこ...
新しい世界の扉を開けたような気持ち。オスカーワイルド、オーブリービアズリーのことを初めて認識した作品。もっと知りたい❗️と思った。 オスカーワイルドのサロメが出来上がるまでの実話と別世界でパラレルで繰り広げられている想像上の話だと思うんだけど、ストーリーが映像化されて読み進めることができたので鮮烈なイメージを持てた。オーブリーの姉のメイベルが貪欲で肉欲的で実際のサロメのように感じた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
原田さんの芸術家を主人公にしたこのシリーズが好きで思わず買ってしまったけれど、表紙のちょっと怖めの絵。 「サロメ」聞いたことあるような、事前に調べてみて興味が沸く。新約聖書を元にしたオスカー・ワイルドの戯曲。この 戯曲のストーリーと、オスカー・ワイルドとオーブリーの背徳的な関係と姉メイベルを加えた三角関係があいまって、昼ドラ感がすごい。 以前からミュシャが好きだったのだけど、ミュシャ作品で有名なポスターのモデル、サラ・ベルナールが出てきたので一気に親近感が。モデルとなった写真を見るくらいだったので、ヨーロッパでのスターぶりがよくわかる。 現代パートとどんな感じで繋がるのか、最後一気にミステリー要素満点でちょっとゾクッとくる。 ほんと、原田さんは世界観に引っ張り込むのが上手い。
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300ページもあるのに誰の本意も汲み取ることができなかった。敢えてそうしているのは承知だが、それゆえ書き連ねられた比喩や直情の全てが偽物か、矛盾しながらも本心として成立している刹那的な思いつきのどちらかでしかない、というそれ以上でもそれ以下でもない感想を持つことになった。メイベル...
300ページもあるのに誰の本意も汲み取ることができなかった。敢えてそうしているのは承知だが、それゆえ書き連ねられた比喩や直情の全てが偽物か、矛盾しながらも本心として成立している刹那的な思いつきのどちらかでしかない、というそれ以上でもそれ以下でもない感想を持つことになった。メイベルを悪魔と呼ぶ描写があったが、それよか「卑しい」という言葉で置き換えた方が相応しい。こうあって欲しいという思いやりのベールで包んだ思い上がりで愚策を連発する所作に煮えきらない思いが止まらなかった。オーブリーも同様、サロメに、オスカーワイルドに引き付けられる所以が分からないのでただ自室で厨二を披露する青年にしか見えない。両者とも、人物像はあれども何だか目の届くところにおらず、そこに浮かんだ虚像を見ているような感触があるのである。 とは言え読んでいてそういえば何でもオチをつけたがる現代文学とは裏腹に古典文学ってこんなんだったよなと妙に腑におちるところがあった。『たゆたえども沈まず』と『楽園のカンヴァス』は既読だが、それより先に読んでたら星4だったかもしれない。
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2020年8月 この有名なサロメの絵にまつわる物語は、現代の研究者の会話から始まる。が、序盤で場面は暗転、絵の作者オーブリー・ピアズリーが生きていた時代、19世紀末になる。 弟オーブリーの才能を信じ熱く称える姉のメイベル・ピアズリー視点からのアプローチなのだが、メイベルはけっして...
2020年8月 この有名なサロメの絵にまつわる物語は、現代の研究者の会話から始まる。が、序盤で場面は暗転、絵の作者オーブリー・ピアズリーが生きていた時代、19世紀末になる。 弟オーブリーの才能を信じ熱く称える姉のメイベル・ピアズリー視点からのアプローチなのだが、メイベルはけっしてただの第三者ではない。女優として成功するという自らの野心のために、劇場主と寝、怪物オスカー・ワイルドと真っ向からやり合う、物語のまさに中心である。 わたしはメイベルの魅力にすっかり引き込まれてしまった。
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