秋 の商品レビュー
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舞台はイギリス。作家さんはスコットランドの方のようです。 カバーの絵のように、 いろいろなことが、いろいろな記憶、思いが、 出てくる本。 郵便局は大変そうだった。 最近の区役所を思い出す。 そして32歳という点と、 美術関係のお話であったことと、 認知症のことと、 最近読んでいる本の内容とかと重なる部分があって、 記憶について、 芸術について、 この本ははっきり書いているわけではないから 作者の意図まで理解できる読解力もなかったけれど、 無意識の記憶の中でコミュニケーションをとっているみたいで、 不思議なお話でした。 記憶を通してつながれるような人っている者なのかな。 認知症になって、 記憶障害になって、 それでも何か分かり合えるものとか、 お互いの世界でそれぞれある世界が、 重なるようなことってあるのかな。 もしそんなつながりを持つ人と出会えたのなら、 それはすごいことだろうなーと思いながら。 だからこそ、 基本は、 誰も誰のこともわからない。 もし少しでも伝わったり、重なった部分があったら、それは本当に喜ばしいことでありがたいことで、 そのありがたさを大事に、伝えること、聞き取ることを大事に、 人とかかわっていきたいな―と思ったり。 そんなつながりの記憶は、意識の中では記憶が消えても、無意識の中ではちゃんと残るものなのかもしれないなーとか。 もし私も認知症になったら、それでもつながりを感じられる何かがあればいいなーと思う。 そしてそれが人間であったら、 向こうからもつながりを引き続き感じてくれる、つないでくれる、広げてくれる、そんな存在がいることなんだろうな―というようなことを考えたり。 分からないけれども。 とにかく、完全な印象で読み進めてしまいました。 本書では、 言葉が文字の意味を伝える情報以上の使い方を多くされているようなので、英訳するのはとても難しい本なのだろうとも思いました。 固有名詞とか、たくさん出てきて、だからイギリスの国語とかもだし、社会や文化もだし、そういった背景的な情報量の差によって、読みの深さも変わってくる本なのだろうと見受けられました。 秋から始まった四部作のようですので、 また次も読んでみたいなーと思います。
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エリサベスは、少女時代に引越し先で隣人のダニエルに出会い、さまざまな影響を受ける。アートやら文学やら人生論めいたものやら。 時に大きな時代の流れを経験しながら、心温まる交流は続いていく。 どうしてこんなに面白いのか。よくわからなかったけど。
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老人ホームで眠り続けるダニエルと美術史の非常勤講師のエリサベス。現在、過去、夢の中と場面が移り変わっていろいろなエピソードが綴られていくのは、本作の中でも重要なものとして出てくるコラージュみたい。「時代の空気を見事に切り取っている」と高く評価されているだけあって、ニュースだけでは...
老人ホームで眠り続けるダニエルと美術史の非常勤講師のエリサベス。現在、過去、夢の中と場面が移り変わっていろいろなエピソードが綴られていくのは、本作の中でも重要なものとして出てくるコラージュみたい。「時代の空気を見事に切り取っている」と高く評価されているだけあって、ニュースだけではよくわからなかった分断された社会が描かれている。そんな緊張感がありつつも、生涯の友である2人の心温まる物語だった。
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過去の未来や、現実の中に空想の表現のようなものが多くあるので、いったりきたり、慣れるまですこしかかった。 最後のあとがきから読むことで全体を掴めた。
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言葉遊びと情景が浮かぶ文章で芸術を感じたものの、読みにくかったので星3。原書で読めたらより面白いんだろうと思う。
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四季 1作目 過去と現在が混在するので、ゆったりと読まないとわからなくなる。 穏やかな文章。
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好きな作家さんがおすすめしてたので読んでみたんだけど、自分には刺さらない感じだった。最後の方のポーリーン・ボティの章で全然わからなくなって、そのあと難民施設の予算カットに切れた主人公の母親が、謎のフェンスに気圧計ぶん投げて壊して逮捕され、今後もそういうことを続けていくつもりらしい、というので完全に???となってしまった。 お役所仕事に切れた主人公が何の権限もない窓口の人にぐちぐち言いまくるとか、人を騙して不正に施設に入るとか、政策に不満があるからその辺で器物損壊するとか、なんかそういうの何の関係もない人に迷惑かかるだけだろと感じてしまって疲れるんだよな。よくわからんけどそれが「分断」に抗うすべになるのかな。主人公とダニエルが物語を作るごっこをするところだけはちょっと面白かった。
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読みはじめは、読むのいつやめよう…と思ってしまった… でも、グレッグさんの謎が知りたくて最後まで読んでしまった…結局ところどころ分かってきたけど…次は「冬」なんだね、借りに行こう…
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この本はきっと、人によって合う・合わないがはっきりするとは思うが、私は好き。 主となる物語りに劇的な展開はないが、様々な場面のスケッチのような詩的な文章と、ダニエルが幼いエリサベスに語りかけた言葉の数々がとてもいい。原書で理解できれば、きっともっと面白いんだろうけど…味わうように...
この本はきっと、人によって合う・合わないがはっきりするとは思うが、私は好き。 主となる物語りに劇的な展開はないが、様々な場面のスケッチのような詩的な文章と、ダニエルが幼いエリサベスに語りかけた言葉の数々がとてもいい。原書で理解できれば、きっともっと面白いんだろうけど…味わうようにゆっくりと読みすすめたい本。
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『両方になる』で作者の雰囲気の虜になり、ずっと読みたいと思っていたが、せっかくなので"秋"までとっておいた。アリ・スミスのフラットで中性的な、無味無臭のようで類を見ない、そんな作風がこの作品にもしっかり漂っている。 作者はおそらく、主人公エリサベスと同じよう...
『両方になる』で作者の雰囲気の虜になり、ずっと読みたいと思っていたが、せっかくなので"秋"までとっておいた。アリ・スミスのフラットで中性的な、無味無臭のようで類を見ない、そんな作風がこの作品にもしっかり漂っている。 作者はおそらく、主人公エリサベスと同じように美術に造詣のある人だろう。深い教養を持つ人というのはどういうものなのか、はっきりわからないけれど、彼女の作品を読んでいると"その世界の一番細かい粒を掬える人"だと思った。どんな細かい粒も、才能も、美しさも、目の前にありさえすれば、それに気づける。これが教養なのだろう。 四季シリーズの最初ということで、正直よく分かっていない。ただただ、アリ・スミスの精巧なスケッチをたどっていたら読み終わったというかんじ。テーマは分断だということはなんとなく感じる。彼女のことだから4巻を通してわかるような仕掛けも隠されているのだろう。楽しみにしながら、次作『冬』に進む。
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