秋 の商品レビュー
こんなにおもしろいだなんて、早く教えて欲しかった。 CREST BOOKS の素敵な装丁にずっとずぅっと気になっていたのだけど、 EU離脱… の文字が何となく堅くめんどくさく見え、2年も経ってしまったが… とんでもない! 最初から、これは何?死後の世界?誰?この知的で紳士な...
こんなにおもしろいだなんて、早く教えて欲しかった。 CREST BOOKS の素敵な装丁にずっとずぅっと気になっていたのだけど、 EU離脱… の文字が何となく堅くめんどくさく見え、2年も経ってしまったが… とんでもない! 最初から、これは何?死後の世界?誰?この知的で紳士な老人は?韻?ラップ? と、驚いていると、リアルなエリサベスの世界に入っていく。。 子どもの頃、アートなアートを家中に飾る隣人、ダニエル・グルック氏と出会う。 彼は老人などではなかった。 ダニエルがエリサベスに与えた美しい思想と言葉たちに震えます。 「何を読んでいるのかな?」 「いつも何かを読んでいなくちゃ駄目だ。文字通りに本を読んでいない時でも。」 ダニエルとのお話しごっこや、何気ない会話でさえも、真実と正義とユーモアを持ち合わせて、本当に素晴らしい。 EU離脱が現在のエリサベスの背景としてある。母との関係の中にとくに。 母の家の近くに住む、スペイン人の夫婦が嫌がらせにあう。ヨーロッパに帰れと。 そしていま、 老人施設で眠りから冷めない101歳の老人、それがかつての友人ダニエルなのだ。 彼との回想録のように、時代があちこちに展開しながら物語が進んでいく所もとても面白い。 文体もユニークでかっこよくて木原善彦さんの訳が最高なのだと思う。 ダニエルが話してくれたアート、ある日それに出会ってしまう。ポーリーン・ボティという、実在したイギリスのポップアーティスト。 彼女の出現で、単なる老人との思い出話しではなくなっていく。 フェミニズム? 母娘の関係も見逃せない。 こんな読書体験は初めてかも。 YA文学のように心打たれるところと、リアリズムと風刺と… ああそうだ、『テンペスト』が出てくるところも好き。 『冬』はいったいどんなだろう? 楽しみだー
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療養施設で眠り続ける101歳のダニエルのもとへ見舞いに行くエリサベス。枕もとで本を読んで聞かせる。 その描写とエリサベスの生活、エリサベスが幼い頃のダニエルとの記憶などが、オムニバスのように描かれていく。EU離脱に揺れるイギリス、時代を駆け抜けた女性アーティスト、呆れるほどのお役...
療養施設で眠り続ける101歳のダニエルのもとへ見舞いに行くエリサベス。枕もとで本を読んで聞かせる。 その描写とエリサベスの生活、エリサベスが幼い頃のダニエルとの記憶などが、オムニバスのように描かれていく。EU離脱に揺れるイギリス、時代を駆け抜けた女性アーティスト、呆れるほどのお役所仕事、大きなドラマはないけれど共感できる。
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ユーモアとメッセージがたっぷりつまった作品だと思った。 冬を先に読んだんですが、冬よりもこっち、秋の方が読みやすかったです。物語の構成は同じような感じだけれど。101歳の介護施設にいる老人・ダニエルが四部作通して登場していると聞いて、冬に出てきてたっけ!?どこ??どこで出てきてた...
ユーモアとメッセージがたっぷりつまった作品だと思った。 冬を先に読んだんですが、冬よりもこっち、秋の方が読みやすかったです。物語の構成は同じような感じだけれど。101歳の介護施設にいる老人・ダニエルが四部作通して登場していると聞いて、冬に出てきてたっけ!?どこ??どこで出てきてたの??ってすっかり忘れてしまったので(多分世界観についていくのに必死だったのかもしれない笑)また冬読んでから春を読みたい…いや先に春を読んでしまいたい…あれ、これは感想になっているのかな…? そういえばエリサベスの母がダニエルのことをゲイと呼んでいた理由が最後までわからなかったんだけど、読み落としがあったのかな? かつての隣人同士だったダニエルとエリザベスのやりとりがとてもあたたかくて好きだ。 とにかく冬もそうだったが、秋でも登場人物みな、独特で、しっかりとした自己主張があって、思想が波のように押し寄せて、そしてEU離脱をめぐる論議が渦巻く中のお話だから、登場していない人たちにも自己主張があって、だからこそ激しい分断が起きていると主人公のエリサベス(notエリザベス)は感じていて、そう描写されていて、そう、いろいろと考えた。というより入ってきた。主張が。 なんとなく、世界が揺らいでいる今、読むのにちょうどいいと感じた。
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散文詩的な文体が良い。きっと原文で読むとリズムもいいんだろうな。 同時代と前時代とのギャップを感じさせられる。
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過去と現在、夢の情景など短いシーンがワープしながら進んでゆく。リズムがよくて、原文ならもっと韻を味わえるのかなあと想像しながら読んだ。 主人公エリサベスと隣人ダニエル、母と恋人、ダニエルと妹のあいだで交わされる文学やアート、哲学、フェミニズムなどの会話はとても興味深いし、かつユー...
過去と現在、夢の情景など短いシーンがワープしながら進んでゆく。リズムがよくて、原文ならもっと韻を味わえるのかなあと想像しながら読んだ。 主人公エリサベスと隣人ダニエル、母と恋人、ダニエルと妹のあいだで交わされる文学やアート、哲学、フェミニズムなどの会話はとても興味深いし、かつユーモアのある文章で、読んでいる時間がとても幸せだった!四部作の一作目とのことで、残りの3冊も翻訳されることを切望します。
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丁度2016年イギリスがEU離脱した年に描かれた作品、その辺はよくわからんかった。主人公は40歳位?母子家庭であったか家族に縁がなかった女子が隣に住む老人になつく。現在は意識不明。老人ホーム入所時は所員に色々話したらしく、なにくそ、あたいの知らないことがあるのは許せん、と老人の過...
丁度2016年イギリスがEU離脱した年に描かれた作品、その辺はよくわからんかった。主人公は40歳位?母子家庭であったか家族に縁がなかった女子が隣に住む老人になつく。現在は意識不明。老人ホーム入所時は所員に色々話したらしく、なにくそ、あたいの知らないことがあるのは許せん、と老人の過去を探る。老人は101歳だからほぼ国の生きた歴史であり、我々に文化的な遺産を作者は提示している。子供の頃、「しがらみなく無責任に」相手してくれる知識人は本当に貴重である。核家族ではまず無理って感じ。だからつまらない人間が多い。
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2016年に国民投票が行われ、EU離脱へ向けて本格的に動き出したイギリスが舞台。 病室に眠る老人ダニエルの回想、32歳のエリサベス(エリザベスではない。)に起こる日常の出来事、そして、ダニエルとエリサベスの過去の交流について描かれる。 エリサベスの怒りや抵抗がさまざな場面に見...
2016年に国民投票が行われ、EU離脱へ向けて本格的に動き出したイギリスが舞台。 病室に眠る老人ダニエルの回想、32歳のエリサベス(エリザベスではない。)に起こる日常の出来事、そして、ダニエルとエリサベスの過去の交流について描かれる。 エリサベスの怒りや抵抗がさまざな場面に見え隠れする。そして、エリサベスが感じる空気感は、同じ時代に生きる私たちにも共通する空気感だと思う。 文体は、詩的。韻を踏んだ言葉の羅列があり、原書で読むともっと味わい深く読めそう。 前衛的な作品。読了後の余韻が心地よい。
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70歳違いのダニエルとエリサベスとの友情、ちょっと皮肉っぽいエリサベスの母親、ポーリーン・ボティのコラージュ作品のイメージが混然とした、秋。 イギリスのEU離脱を決める国民投票を受けて、作者が完成させたというこの作品。 EU離脱をめぐる世論の対立。ポップ・アー...
70歳違いのダニエルとエリサベスとの友情、ちょっと皮肉っぽいエリサベスの母親、ポーリーン・ボティのコラージュ作品のイメージが混然とした、秋。 イギリスのEU離脱を決める国民投票を受けて、作者が完成させたというこの作品。 EU離脱をめぐる世論の対立。ポップ・アートシーンを牽引しながら、まともに扱ってもらえなかった芸術家。時間も場所も超えてあらわれるイメージのつぎはぎ。
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アリスミス「秋」https://shinchosha.co.jp/book/590164/ 読んだ。この人の本すきだな。起承転結も波もなく散文が続いていって最後のちょっとしたプレゼントに心温まる。他人とのコミュニケーション不全や母親との描写はなんかデジャヴと思ったら向田邦子っぽい...
アリスミス「秋」https://shinchosha.co.jp/book/590164/ 読んだ。この人の本すきだな。起承転結も波もなく散文が続いていって最後のちょっとしたプレゼントに心温まる。他人とのコミュニケーション不全や母親との描写はなんかデジャヴと思ったら向田邦子っぽいんだ。4部作らしいので他のも早く読みたいなあ(おわり
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
施設で眠り続ける老人を見舞う非常勤で働く 30代女性、彼女は子どもの頃、この老人の 隣に住んでいた。この2人の過去と現在が 入れ替わり立ち代わり書かれて話が進んでいきます。 「EU離脱後」小説、という内容に惹かれて 手に取ったのですが…。EU離脱という出来事自体は (精神的なショックを与えた、ということはあっても) 物語の主軸ではなく、文章もなかなかとらえどころがなく 難しかったなーという印象です。 4部作(春夏秋冬)の1作目だそうで(翻訳済みは 本書「秋」のみ)、最後の「春」は2020年4月発行だ そうです。 現実のEU離脱という内容を盛り込んでいるので コロナはどうするんだろう…、といういらぬ心配を してしまいました。
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