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向田邦子ベスト・エッセイ の商品レビュー

4.3

65件のお客様レビュー

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2024/09/04

どうすればこんな繊細で美しい文章が書けるのか。一気に読むのが勿体無く、丁寧な文章に負けないよう、もともと丁寧に読み進めるつもりではあったが、買ってから何年も経っているのだから丁寧すぎるくらいである。これだけ繊細で美しい文章を書くくらいだから、実際の日常はどんなに色鮮やかに見えてい...

どうすればこんな繊細で美しい文章が書けるのか。一気に読むのが勿体無く、丁寧な文章に負けないよう、もともと丁寧に読み進めるつもりではあったが、買ってから何年も経っているのだから丁寧すぎるくらいである。これだけ繊細で美しい文章を書くくらいだから、実際の日常はどんなに色鮮やかに見えていただろう。編者あとがきも解説も良かった。真似はできないだろうけど、自分ももう少し日常に美しさを見出したい。全人類は向田邦子の本を読め!

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2024/01/30

素晴らし!これが本物のエッセイというのですね。流れるような文章、思わずにんまりしてしまう内容に参りました。 最高です。少し他の作品も読んでみます。

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2023/12/31

面白かった。なんて読みやすいエッセイなんだ。向田さんは飛行機事故で亡くなったらしい。エッセイの中に予言するかのように飛行機が怖いという話があって後々震えた。お料理の描写がとにかく好き。読んでいてお腹が空くし、人の為につくる料理っていいよな、和食って最高だよなって思った。当時も今も...

面白かった。なんて読みやすいエッセイなんだ。向田さんは飛行機事故で亡くなったらしい。エッセイの中に予言するかのように飛行機が怖いという話があって後々震えた。お料理の描写がとにかく好き。読んでいてお腹が空くし、人の為につくる料理っていいよな、和食って最高だよなって思った。当時も今も色褪せない、向田さんの芯の強さ、生き生きした生き方そのものに憧れる。

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2023/11/06

戦時中など、その時代を生きている訳ではないのに鮮烈に浮かび上がる風景。 態度には出さないが想いが漏れ出ているお父さん。 よだれが出そうなほど、おいしそうな料理。 一つひとつが丁寧に綴ってあって生き生きと鮮やか。 エッセイのお手本と言われるのもわかる。 どうしても事故のイメージが...

戦時中など、その時代を生きている訳ではないのに鮮烈に浮かび上がる風景。 態度には出さないが想いが漏れ出ているお父さん。 よだれが出そうなほど、おいしそうな料理。 一つひとつが丁寧に綴ってあって生き生きと鮮やか。 エッセイのお手本と言われるのもわかる。 どうしても事故のイメージが強くて手に取れなかった向田邦子作品。 人に勧められて読んでみました。 この時代に、この生き方ができるってすごいよな〜。

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2023/10/01

向田邦子の明治生まれの父親は、今の人が読むと憤慨物であるのだろう。僕は男だからわかるのか、家族のために必死で働き、面と向かって褒める事のできない父親が、どこかしら哀切があり、愛すべき人に見えてくる。 この昔気質の父に育てられたら向田邦子氏が、男社会の中で、最前線で活躍したバリバリ...

向田邦子の明治生まれの父親は、今の人が読むと憤慨物であるのだろう。僕は男だからわかるのか、家族のために必死で働き、面と向かって褒める事のできない父親が、どこかしら哀切があり、愛すべき人に見えてくる。 この昔気質の父に育てられたら向田邦子氏が、男社会の中で、最前線で活躍したバリバリの第一級の女性なんだから、何か面白い。 気に入ったのが見つからなったから、寒いのに、ずっと手袋なしで過ごした向田邦子さん。おざなりの反省はやめ、自分を通していく生き方が心地よく、すごく愛らしい。 いつ読んでも向田邦子は良い。すごく良い。

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2024/04/23

“でも、この頃、私は、この年で、まだ、合う手袋がなく、キョロキョロして、上を見たりまわりを見たりしながら、運命の神さまになるべくゴマをすらず、少しばかりけんか腰で、もう少し、欲しいものをさがして歩く、人生のバタ屋のような生き方を、少し誇りにも思っているのです。 (p.364、「手...

“でも、この頃、私は、この年で、まだ、合う手袋がなく、キョロキョロして、上を見たりまわりを見たりしながら、運命の神さまになるべくゴマをすらず、少しばかりけんか腰で、もう少し、欲しいものをさがして歩く、人生のバタ屋のような生き方を、少し誇りにも思っているのです。 (p.364、「手袋をさがす」より)”  向田邦子の妹の和子さんが選んだ、ベストエッセイ集。  向田邦子の書くエッセイは、まさに「名人芸」である。大袈裟に言えば、人生って悲喜交々あるけれど、それでもやっぱり良いもんだなぁ、と沁み沁み思わせるような魅力が、彼女の文章にはあると思う。自分も、歳をとってからこんな風に人生を語れるようになりたいものだ。  好きが高じて最後には自ら料亭を開くことになったという食いしん坊の話や、一目惚れして譲ってもらった愛猫の話、そして脚本家の仕事の話など、僕からしてみればよくもまぁこんなに沢山エピソードがあるものだと思ってしまうが、読み終えて一番心に残ったのは、彼女の家族の話だった。  ときに手が出る厳格な父親と、慎み深く家を支える母親。そして、喧嘩しながらも仲の良い四人の兄弟姉妹。たしかに、今の価値観からすると言いたいことがあるし、いわゆる「昭和の父親」に象徴されるような考え方を美化するのは危険かもしれない。だが、これで昔は上手くいっていたのだとしたら、今の眼からあれこれ口を出すのは余計なお世話というものだろう。不器用ながらも父親から贈られた愛を、家族が確かに受け取り(あるいは、受け取ったと思い)、今度はそれを父親に返していた、ということが何より大事なのだと思う。そう、向田邦子のエッセイを読んで僕たちが覚える心地良さは、彼女が他者に向ける眼差しの暖かさそのものなのだ。  実は向田邦子のエッセイ集は既に2冊読んでいて、記憶にあった作品も多かった。初読の作品の中から一つ挙げるとすれば、「手袋をさがす」が印象に残った。他の作品とはかなり毛色が異なり、彼女が大人になって働き始めてからの日々を内省的に振り返った内容となっている。人生哲学のようなものはあまり語らない向田邦子だが、この作品では彼女の、芯が強く、自立した女性としての一面が見られる。アンソロジーを締めくくるに相応しい好作と思う。

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2023/08/30

もう表現のしようがない。素晴らしい文章。豊かな感性と表現力に裏打ちされた作品。向田さんのエッセイを読むのは何回目なのだろう?ただ、久し振りなのは事実だ。前回読んだのは数十年前だったはず。しかし、読み始めるとその時にも浮かんできたであろう情景が再度(再再度?)頭の中に鮮明に広がって...

もう表現のしようがない。素晴らしい文章。豊かな感性と表現力に裏打ちされた作品。向田さんのエッセイを読むのは何回目なのだろう?ただ、久し振りなのは事実だ。前回読んだのは数十年前だったはず。しかし、読み始めるとその時にも浮かんできたであろう情景が再度(再再度?)頭の中に鮮明に広がっていく。 本書は向田さんが書かれたエッセイを、主に妹の和子さんが選ばれた作品集。向田さんが残された多くのエッセイのエッセンスが凝縮されている。向田さんの経験された様々な時代や場所、社会、仕事、人間関係が向田さんの目線でとても良いリズムで描かれており、読者の心情をあちらこちらへと持っていく。時代を超えて頷くしかない。 やはり優れた文章というものは時代を超えて感動を与えてくれるものだと唸るしかない。ただ、どのように感じるのかは読み手である自分自身のその時の在り方によって異なっているのだろう。残念なことに前回読んだ時にどのように感じたのか?何も残していない。前回読んだときは、私はまだ青年?であったと思う。向田さんは素敵な大人の女性であった。 今回はまず、「父の詫び状」をはじめとしたご自身の幼少期の思い出の描写に胸を打たれた。戦前・戦中・戦後の中流家庭(上流に近いと思われるが?)の様子が鮮やかに蘇る。社会の状況や家族の生き方。現在の日本の家庭では考えられないような当時の家族の在り方、親の在り方、人情の機微。確かに存在していたのだ。やはりご自身の経験をもとにしているのでリアリティーがある。 今回読んでいる中で、私は戦前の一般家庭で育った子どものオヤツの豊富さに少し驚いてしまった。今とほとんど変わらない。向田さんの手にかかると、オヤツだけではなく当時の食文化全体が芳醇に思えてきて羨ましくなる。 しかしそれなりに豊かだった暮らしぶりが、戦争によりあっという間に生死の境を彷徨うような生活に陥ってしまう。今を生きている我々も身を引き締めなければならない。老人国家となっている我が国は極めて危うい状況だろう。 本書はベストエッセイ集といいうことで、向田さんが様々な時代や社会に思いを馳せて書いてこられた作品集。久しぶりに再読できて本当に良かった。ほとんど全て「確かに昔読んだことがある」と様々な思いを振り返りながら読んだのんだけれど、最後の「手袋をさがす」という小編は記憶になかった。ご自身のことを自己分析しておられる内容。この作品を本書の最後に持って来られている。これが本書の締めくくりとしてとても良かった。また、角田光代さんの解説もとても良かった。 今や写真でしか見ることができない向田さん。彼女は51歳から歳をとらない。しかし写真で見るお姿も文章も色褪せない。いまだに私にとっては素敵な大人なのだ。 何だかずるいな、と思ってしまうのでありました。

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2023/08/27

373ページ、向田邦子さんだけのエッセイ集。テレビドラマを書く人だからなのか。さくさくと軽快で、それでいて所々でほろっろきて、一編は短いのに話の運びが実にうまい。お家に遊びに行って、お手製の料理とお酒をいただきながら、こんなにおもしろいお話をたくさんされたら、さぞかし楽しいだろう...

373ページ、向田邦子さんだけのエッセイ集。テレビドラマを書く人だからなのか。さくさくと軽快で、それでいて所々でほろっろきて、一編は短いのに話の運びが実にうまい。お家に遊びに行って、お手製の料理とお酒をいただきながら、こんなにおもしろいお話をたくさんされたら、さぞかし楽しいだろう。古びないのは、考え方や生き方が、今みてもかっこよくてかわいらしいからだと思う。

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2024/01/29

もともと黒柳徹子さんのドラマで向田邦子さんを知ったけど、飛行機事故で51歳で亡くなられた事以外生き方などをあまり知らなかった。 飛行機の話が出てくると事故と重なり悲しい気持ちになったけど、ライオンを飼っている人に出会ったり理不尽な父親の話がおもしろくて少し自分に重なる部分もあった...

もともと黒柳徹子さんのドラマで向田邦子さんを知ったけど、飛行機事故で51歳で亡くなられた事以外生き方などをあまり知らなかった。 飛行機の話が出てくると事故と重なり悲しい気持ちになったけど、ライオンを飼っている人に出会ったり理不尽な父親の話がおもしろくて少し自分に重なる部分もあったりしてとても楽しかった。40代で自分の生き方を振り返り悪い所を悪いと思えるのが素敵だなと思った。素敵な言葉はたくさんあったけど、「記憶や思い出というのは一人称である。単眼である」という言葉が1番印象に残った。 中野のライオンと手袋をさがす が好きだった。 ずっと大切に何回も読みたい本だった。

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2023/05/29

これが男、これが女、という昭和の価値観が強いが、著者の文章からはその価値観に魅力を感じてしまう。向田邦子は、人間味とは何かを体現しているような気がする。 曝け出しているからか、常に後ろめたさと内省があるからか?

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