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ヒトの目、驚異の進化 の商品レビュー

3.7

25件のお客様レビュー

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2024/10/28
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※このレビューにはネタバレを含みます

筆致が強くて若干引き気味になる部分もあったけど、今までなかった視点がふんだんにあってそれぞれに個性的なデータが示されていて面白かった。 人の色覚は人の体調や感情を肌の色から読み取れるよう進化した。平熱と微熱の一度の差を感じられるのと同様に、普段の肌の色を基準に僅かな差を読み取れる。黄/青(ヘモグロビン濃度高/低)・赤/緑(血中酸素飽和度高/低)が、人の色覚の四原色で、S/M/L錐状体はこれを感知できる設定の配置になっている。人の眼がこのような設定だから、人は今のように世界が見えている。決して正確な描写ではなく、自然淘汰でたまたま生き残った設定で脚色された世界を捉えている。 また、眼は左右の二つがありそれぞれが異なる角度から世界を見ている。二つの像は脳で編集され一つの像として表示される。両眼が前向きについている動物は、自分の眼の間隔よりも細い障害物を透明化してその向こう側を見ることができる。草木の茂る森での生活に適応した結果だろう。 ヒトの眼は自然界での事象を適切に捉えるよう進化した。一瞬先の未来を予測し、知覚した現在が予測と異なっていた場合は修正してから意識される。空間的な配置は二次元の像を脳が分析し解釈して推測される。物体の運動量は網膜に残る光のぼやけから予測される。自己運動に伴う像の変化は予測が容易い。放射様の幾何学的錯視は、前進運動の予測によって起こると考えられる。放射状の線は脳に前進運動を予測させ、脳は前進したとして予想される未来の像を掲示する。同様に、幾何学的錯視の多様かつ数多の例を、現在を知覚するために脳が描く予測の像だと捉えることで体系的に分類することができる。 ここまでは人の眼の進化の話だったが、文字は、自然に合うように進化した人の眼が捉えやすいように、文化的進化を遂げた。人が自然を捉えるときに輪郭を抽出するように、文字は輪郭を成す線画でできている。また、文字に含まれる線画同士の結節点数の割合は、自然の輪郭に表れるそれと符合する。この傾向は、ものの形を模した表語文字だけでなく、発話表記にも見られ、世界中のあらゆる文字が同様の生成原理に依っていると考えられる。自然物を捉えるのと同じプロセスで認識できるよう進化したからこそ、文字は我々の意思疎通に普遍的にストレスなく用いられ、人間社会の発展に寄与してきた。

Posted byブクログ

2024/09/17

 本書は、4つの超人的な「視覚」の能力、すなわち、①色覚、②両眼視、③動体視力、④物体認識、の正体を突き止めようとする試みである。  第1章では、なぜ人間は色覚を進化させたのかが論じられる。従来は、人間が食べ物を探しているときに葉の背景から果実を区別するため、あるいは食べられる...

 本書は、4つの超人的な「視覚」の能力、すなわち、①色覚、②両眼視、③動体視力、④物体認識、の正体を突き止めようとする試みである。  第1章では、なぜ人間は色覚を進化させたのかが論じられる。従来は、人間が食べ物を探しているときに葉の背景から果実を区別するため、あるいは食べられる若葉が見えるように進化してきたとの仮説が唱えられていた。それに対し著者は、肌の色の変化を見るために進化したのだと主張する。  第2章は、なぜ人間の両眼は前向きについているのか?が検討される。従来は立体視、奥行きを捉える能力に利点があると考えられてきた。著者は、障害物にさえぎられながらも、その向こうの知覚対象をみることができること、つまり大きな視覚認知領域を得ることができることに着目する。  (最新の研究成果に基づき、かなり詳しく説明がされているので、ここまではそれなりに理解ができたが)    第3章は、これまで研究されてきた様々な「錯視」の問題についての、統一的な説明原理が探求され、そして第4章は、解説の言葉を借りれば、「人間は自然界の事物を見るための視覚特徴をもとに文字をつくってきたのであり、それらの視覚特徴という観点から言えば、人間はみな同じ文字を読み書きしている」という。これを文字シンボルの「普遍分布」説というらしい。  何かすごいことが言われているということは分かるが、一読したくらいでは理解が追い付かない。最先端の研究というのはスゴイ、実に面白い! 

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2024/06/02

マーク・チャンギージー「ヒトの目、驚異の進化」読了。ヒトの脳の半分は視知覚に必要な計算を行う為に特化している。そのため普段気づきにくい目の驚異的な特性がある。それはテレパシー、透視、未来予測、霊読だ。なんとも超人めいた内容に戸惑ったが、魅力的な図解を元に、それらが色覚、両眼視、動...

マーク・チャンギージー「ヒトの目、驚異の進化」読了。ヒトの脳の半分は視知覚に必要な計算を行う為に特化している。そのため普段気づきにくい目の驚異的な特性がある。それはテレパシー、透視、未来予測、霊読だ。なんとも超人めいた内容に戸惑ったが、魅力的な図解を元に、それらが色覚、両眼視、動体視力、物体認識から発現するとの言説に大変感銘を受けた。

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2024/05/26

人の目が凄いところが4点描かれている。どれも他の動物にない人間らしい進化によって特化されて来ていることが分かった。特に人の顔色を判別するために目が進化しているというところは、関係性を特に重んじる人間ならではなところだと思った。

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2023/10/28

ヒトの色覚はヒトの肌の色の変化をしっかりと見分けることを基準に定まった。であるから、それ以外の色の見え方は偶然の産物。りんごが赤く見えるのも、その色覚の進化の結果であるらしい(場合によれば黄や緑に見えるようになったかもしれない)。肌の色は血流量や酸素飽和度の変化により変わる。それ...

ヒトの色覚はヒトの肌の色の変化をしっかりと見分けることを基準に定まった。であるから、それ以外の色の見え方は偶然の産物。りんごが赤く見えるのも、その色覚の進化の結果であるらしい(場合によれば黄や緑に見えるようになったかもしれない)。肌の色は血流量や酸素飽和度の変化により変わる。それが健康保持や生命保持に関わる人類生存のキーになるものであるので、色覚もそれが最優先され、それに連係して、他の物の色の見え方も決まっていった。肌の色の変化は人間が意識的に変えられる物ではなく(例えば怒りの感情が高まると血流量が増え、顔が赤くなるが、これは自分の意思ではコントロール出来ない。よく、感情が顔に現れるのは平然とした表情を保っても紅潮してしまう。)人間社会を維持発展させるためには利他的行動を促すことが大切であるが、他人の本心や感情を察知することで、利己的行動を自己規制できるようにしたのであろう。もう一つは他者の体調の変化をいち早く察知して、処置救命することに肌の色の変化を見分ける能力は生存維持に重要(医者が色覚異常の場合、患者の変化を素早く察知することが出来ず大変まずい事態に。また女性は男性に比べ色覚異常が少ないのは子育てに関係し、子供の様子の急変に素早く対処できるようになれるためである)。人間が他の動物と違い、進化の過程でどんどんと体毛が少なくなり、肌の露出度が増して行ったのはこれに合致する。 顔の真横に目が付いている動物が多い中、ヒトの目はなぜ、前向きについているのだろうか。横についている動物の視野がパノラマ的に後方まで見えるという利点を失ってまで、なぜヒトの目は二つ前向きについているのか。前方にものがあっても見透せる透視力が後方の視界を失っても有り余るほどのメリットがあったからである。しかしそれは目と目の間隔よりも小さい葉で覆われ、その隙間から前方が見透せるような環境で生活する事で得られるメリットである。現在の人間の生活環境は必ずしもそのようなものではない。後ろの視野がないことのデメリットの方が多い環境である。しかし、人間は後ろの視野が無いことの不便さを経験したことがないので、そのことが実感できない。 心理学者は同じ長さの平行線に手を加えて、長さが違ったり、平行でな異様な錯覚を起こさせる実験図を作る。なぜ、このような錯覚が起こるのか。それは人間の視覚が0.1秒前の現実を捉えるからである。そうでないと視覚が認識した映像が実際に認識されたように感じた時に、すでに過去の映像になってしまうからだ。 なぜ、人間の資格は0.1秒前の映像を先取りするのか。人間にとって最も馴染み深い前進行動をして移動する時に自分と周りのものとの刻々と変化する位置関係を正確に捉えるためである(人間にとって自分と周りの物理的な環境との位置関係を正確に把握することは生存上最も重要なことである)。 前進中は網膜上で発生する光学的なぼやけのパターン(これにより周りの景色が自分の前身とともに後ろへ流れていくような認識を持てる)が錯覚を起こさせる心理学者作成の図に加えられる放射状の線と類似していることが錯覚を起こさせる要因である(流れるぼやけは中心部が上下に比べて膨らむように認識される)。 人間の資格は三次元の現実の環境が自分の移動でどのように変化して見えるかを正確に把握する。だから2次元の絵画で奥行きのあるように見えるものは、実際には同じ長さの直線が手前か奥かで長さが違って見えてしまうのだ。3次元の世界ではそれが現実であるのだから。 最終章は、文字の話。世界には様々な文字があるが、みな自然界の事物を見るための視覚的特徴をもとに作られている。人間はみな同じ特徴の文字を読み書きしているという驚くべき仮説。漢字もアルファベットもその他の文字も現実の世界の中で物を見分ける視覚的特徴のパターンと一致しているらしい。この文字をであるから文字は書き手サイドではなく読み手(それを容易く読み取れるように)に都合よく形取られている。この文字を書き記すことにより、すでに死した人々の声を霊読できるがごとく聴くことができるのだ。さらに、文字を書き記しそれを読み解く視覚を持つことで、短期記憶を際限なく保持し、それをもとにコンピューターのごとくアルゴリズムを実行していける能力を持てるようになった。世にいわゆる「ハウツー」本が手広くでまわり、それを利用して様々なことを手順を踏んで実行していける存在、まさにコンピューターのチューリングマシンのごとき存在となった。

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2023/03/08

人間の目が顔の前部に二つある理由は一般に立体視のためだと言われているが、著者は意を唱える。「透明視のため」。 理論と証拠を出して立証されていく数々の事実。 読了90分

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2023/01/21

なかなかおもしろい視点で描かれており、読後に子供に話してみた。目にはテレパシー、透視、未来予見、霊読の4つのがあるそうだ。 透視がいちばんへぇと思えたし、子供も同じ感想だった。次に未来予見。脳科学の世界とつながる。ホモサピエンスは生き延びるために透視し予見するのだ。 見る、観...

なかなかおもしろい視点で描かれており、読後に子供に話してみた。目にはテレパシー、透視、未来予見、霊読の4つのがあるそうだ。 透視がいちばんへぇと思えたし、子供も同じ感想だった。次に未来予見。脳科学の世界とつながる。ホモサピエンスは生き延びるために透視し予見するのだ。 見る、観る、視る、診る、覧る みるはいろいろあるなあ。

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2022/11/17

パルスオキシメーター。 なんで挟むだけで酸素量が測定できるのかと長年モヤモヤしてたのでスッキリ。他の主張は納得までいかないが、そんな考え方もあるんか、覚えとこうレベル。

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2022/08/07

・人の眼は、人の肌の色の変化を捉えるように進化してきたか、なるほど。さすが社会的生物。 ・顔の前に二つの目があるこの形態、立体視のためではなく、(目と目の間隔も小さい)障害物の向こうを透かしてみるために有利か、一理あるな。 ・錯視は見て処理している間に過去になる現在(未来)を見...

・人の眼は、人の肌の色の変化を捉えるように進化してきたか、なるほど。さすが社会的生物。 ・顔の前に二つの目があるこの形態、立体視のためではなく、(目と目の間隔も小さい)障害物の向こうを透かしてみるために有利か、一理あるな。 ・錯視は見て処理している間に過去になる現在(未来)を見るための情報処理(未来予見)の副作用。まあ、表現はともかく、ね。 ・ただ、4勝の「霊読」とおどろおどろしい表現をしているが、文字を読む事については、「自然を視覚的に理解できるように進化した脳で文章(文字)をたやすく読めるのは、文字が数千年かけて自然に類似するように進化させられたからだ」 「眼のための文字」と「手のための文字」(速記) ウマが人間が乗るためにデザインされているように見えるというのは、社会が文化的にウマを受け入れてきたから。 第四章はちょいとうさんくさかったけれど、解説で、きちんとした論文が本書のベースだよと言われたので、受け入れるものとするw

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2021/09/20

人の目は、より良く生きるために進化しており、才能にあふれている。そして、その特長故に、ありのままの景色を見ることができない。とても興味深い見解。 人の目の働き・機能を一つ一つ挙げ、何のためにそうなっているのかを一つ一つ考察する、目について、とても丁寧に調べ、書かれた本。 しかし、...

人の目は、より良く生きるために進化しており、才能にあふれている。そして、その特長故に、ありのままの景色を見ることができない。とても興味深い見解。 人の目の働き・機能を一つ一つ挙げ、何のためにそうなっているのかを一つ一つ考察する、目について、とても丁寧に調べ、書かれた本。 しかし、もし、ありのままの景色を見る事ができたら、一体世界はどんななのだろう。

Posted byブクログ