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わかれ縁 の商品レビュー

3.6

27件のお客様レビュー

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2021/03/18
  • ネタバレ

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女たらしで金にだらしなくどうしようもない亭主に愛想をつかしていた絵乃は亭主のせいで勤め先に高利貸しの取り立てが押しかけもう3度目のヒマをもらってしまい自暴自棄になって家に帰る途中雨の中うっかり男とぶつかり泥濘に倒れこんでしまう。ぶつかった男は公事宿で働いている手代の椋郎という男だった。 椋郎の勤める旅籠は主に離縁を得意とする公事宿で狸穴屋という。絵乃の話を聞いた椋郎は絵乃にそんな亭主とは別れた方がいいと説得し絵乃を連れて旅籠に帰り主人の桐に引き合わせる。絵乃の話を聞いた桐は絵乃を見込み、家を出てここに勤める覚悟があるなら、とりあえず主人と別れると話をしてなら雇うと話をする。 決心をして家に帰り亭主の富次郎にその話をするが受け入れてもらえなく身体を引き寄せられまたものとの木阿弥にさせられそうになった時、絵乃が気になりやってきていた椋郎が中に入り、公事宿の手代だと離縁に向けて進めると言い渡し絵乃を連れて帰る。 それから、絵乃の手代見習いとして修業が始まる。その中で様々な離縁の形やその公事宿としての手代の仕事を桐や先輩の椋郎などに教えてもらいだんだんと力を付けていく。 さてどうしようもない亭主の富次郎は頑として離縁は認めないと立ちはだかるのだが、それに対して立ち向かう絵乃の結末は!? という事であとは小説をお読みください。 江戸時代の公事宿という離縁専門の仕事とか風情や江戸の雰囲気が感じられ、手代としての離縁の持って行き方など駆け引きが面白くあっという間に引き込まれる上質の小説だと思います。

Posted byブクログ

2021/02/07

夫の浮気と借金の繰り返しで働き口を三度も首になった絵乃。良からぬ思いを抱えながら歩いていた時に出会った椋郎に連れていかれたのは、様々な訴訟事を引き受ける公事宿〈狸穴屋〉。離縁を得意とする〈狸穴屋〉で働くことになった絵乃は自らの離縁を成し遂げたいと考えるのだが…。 金遣いの荒い母...

夫の浮気と借金の繰り返しで働き口を三度も首になった絵乃。良からぬ思いを抱えながら歩いていた時に出会った椋郎に連れていかれたのは、様々な訴訟事を引き受ける公事宿〈狸穴屋〉。離縁を得意とする〈狸穴屋〉で働くことになった絵乃は自らの離縁を成し遂げたいと考えるのだが…。 金遣いの荒い母親と倹約家の父親を別れさせたい子供たち、嫁と姑のいさかいに辟易する夫、子供ながら並外れた絵の才を持った息子をそれぞれ自分の家の跡継ぎにしたい元夫婦。 公事宿のお仕事物かと思っていたが、いわゆる訴訟事が描かれるのではなくその前の段階で解決させている。現代で言えば弁護士または司法書士による無料相談の段階で解決という感じだろうか。 夫婦双方、さらには子供側までの話も聞いてどのような解決法が良いのかを提示。 その解決法はいわば喧嘩両成敗のようなもので、どちらも譲らなければならないけれど、どちらにも有利も不利もあるのだから平等といえる。 実際の公事に発展すれば現代同様、時には何年も掛かるような大事なので出来ればその前の話し合いで済ませたいというのは分かる。しかし実際の公事の様子や手続きの様子も見たかったなと思う。 公事という珍しいお仕事物ではなく、公事宿〈狸穴屋〉を舞台にした様々な人間ドラマだった。 七度も離縁したという女将の桐の腹の据わり方、手代の椋郎の人の好さが良い。 ささくれだち、諦めの境地にまで至っていた絵乃を前向きにしてくれる。 絵乃の夫の狡猾さにはゾッとする。終盤は絵乃の母親が登場するが、悪い女かと思われた母親にも別の物語があった。 絵乃の離縁の顛末については痛快とは言い難い。しかしこの時代ならではの、女性の置かれた苦しい状況を逆手に取った離れ業とも言える。 ただやはりもう少し爽快な方が良かったかとは思う。 女性側からの離縁と言えば駆け込み寺くらいしかないと思っていたので公事でも解決出来るとは知らず興味深かった。それでも公事にするならかなりの時間とお金が必要で、それだけの覚悟も必要。そこは現代と変わらない。

Posted byブクログ

2021/01/24

爽やかな人情ものです 江戸時代の離婚事情がよくわかります 調停宿の仕事人、今なら離婚弁護士と言う感じでしょうか? 天海祐希とか女将役が似合いそうです

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2021/01/20

わかれ緑 著作者:西條奈加 発行者:文藝春秋 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 果たして絵乃は一筋縄でいかない依頼を解決しながら念願の離縁を果たすことができるのか?

Posted byブクログ

2020/11/29

お金にも女にもだらしのない夫と離縁をしようと家を出た絵乃。ふとした事がきっかけで公事宿で働くことに。女主や手代など、周りの人たちにも恵まれ、仕事にも懸命に打ち込むうちに、夫に振り回されそれでもどこか想いを残していた自分から成長していく。

Posted byブクログ

2020/11/29

女を食い物にするだけの夫から逃れた主人公が、離婚専門の公事宿の(なんと7回の離婚歴を誇る)女主人に才能を認められ、手代見習い(=パラリーガル)として働きながら成長して行く物語。 連作短編の時代小説です。分類からいえば捕物的ですが、事件が離婚=民事であり、それも出来ればお白洲(裁判...

女を食い物にするだけの夫から逃れた主人公が、離婚専門の公事宿の(なんと7回の離婚歴を誇る)女主人に才能を認められ、手代見習い(=パラリーガル)として働きながら成長して行く物語。 連作短編の時代小説です。分類からいえば捕物的ですが、事件が離婚=民事であり、それも出来ればお白洲(裁判)まで行ず調停で済ませようとする話なので柔らかく。 飛び抜けたところはないが人情味に溢れた良い話。安定の西條さんでした

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2020/10/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

親にも反対されながら、結婚した相手はろくでなしだった。 甘く色気のある風貌だが、その裏で次々と女に手を出し金を巻き上げ、借金まみれになっていた。仕事が続かずいつしか借金取りは夫の富次郎ではなく妻の絵乃のところへ集まり、仕事を何度もやめずにはいられなかった。 今回も途方にくれた絵乃が人にぶつかり転ぶと、相手が悩みを聞いてくれた。 公事屋それも離縁を得意とする狸穴屋(まみあなや)の手代。 そこに滞在するうちに仕事を手伝い手代となる。 次々と事件を扱ううちに様々な人々の人生に触れる。 実に素敵なお話で、この作家さんならでは! 毎回どれを読んでも失敗なしである。

Posted byブクログ

2020/09/11

職にもつかずに浮気と借金を繰り返す亭主に絶望した絵乃は家を飛び出し、公事宿「狸穴屋」に流れ着く。 公事宿って初めて聞いた・・・! つまりシェルターみたいなものか。よく出来ている。

Posted byブクログ

2020/07/19

西條さんお手のものの江戸の人情物。良い人はトコトン情に厚く正義の味方。悪い奴は女を食い物にするお決まりのはみ出し者。後味が少々悪い終わり方で、これってあり?かと思った。

Posted byブクログ

2020/07/18

時代を江戸にすればほっこりそこそこの話になると編集者は思ってるのではないだろうか。 最後の解決法はダメでしょ。

Posted byブクログ