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世界史の針が巻き戻るとき の商品レビュー

3.8

42件のお客様レビュー

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2020/03/11

結局、何が「新しい実在論」なのかわからなかったなあ。まあ、「古い実在論」が何かわかっていないのだから仕方ないなあ。いろいろ危機がありそうだけれど、それも結局何が危機かわからなかった。まあ確かにいろんなことが便利になったからって、空いた時間で瞑想したり読書をしたりできているわけでは...

結局、何が「新しい実在論」なのかわからなかったなあ。まあ、「古い実在論」が何かわかっていないのだから仕方ないなあ。いろいろ危機がありそうだけれど、それも結局何が危機かわからなかった。まあ確かにいろんなことが便利になったからって、空いた時間で瞑想したり読書をしたりできているわけではない。というか、ツイッターとそこから入っていくユーチューブなどのために、読書時間は圧倒的に減ってしまっている。とは言え、それで、いろんな情報は得ているわけだし、まあいいと言えばいい。会社に法律専門ではなく、倫理が専門の人を入れて、意見を聞いて、最終決定を下すというのはいいかも。もっとも、それは専門家でなくとも、皆が倫理的であればいいのか。そのために、大学もあるのかもしれない。そういう意味では、大学には大いに意味がある。著者が出ているテレビも見たりしているけれど、自信過剰で断定的な物言いがどうも受け入れにくい。また、本書の始めの方に、ヨーロッパが一番で、アメリカとか日本は後追いのような記述があった。もう、ちょっとその辺から引いてしまって、なかなか著者の言いたいことに寄り添うことができなかった。でも、どうして日本でこうももてはやされるのか。日本にもいい思想家はいくらでもいるのになあ。

Posted byブクログ

2020/03/09

日本の読者向けに行われたマルクス・ガブリエルのインタビュー。 たいして期待せずに読んでみたが、これは結構面白かった。 なにが「真実」なのかわからないポスト・トゥルースの社会において、マルクス・ガブリエルの「新しい実在論」は、たしかな実在を認めて、なんらかの共通性に基づいて混乱...

日本の読者向けに行われたマルクス・ガブリエルのインタビュー。 たいして期待せずに読んでみたが、これは結構面白かった。 なにが「真実」なのかわからないポスト・トゥルースの社会において、マルクス・ガブリエルの「新しい実在論」は、たしかな実在を認めて、なんらかの共通性に基づいて混乱した世界を理解していこうということで、多くの人が求めているものだと思う。 というわけで、「新しい実在論」が求められる理由はよくわかるのだが、では、具体的にそのどこが「新しい」のかということについては、正直、よくわからない。(本人は、ポストモダーン思想以降、初めて現れた新しい思想と主張しているのだが) ガブリエルはたしかに「現実」や「真実」の「実在」をみとめる。しかしながら、一つの「現実」、「世界」の存在は認めないので、結果として、複数の「現実」が林立して、彼が批判するポスト・モダーン思想、構成主義とある意味、似たような話になってしまう感じがしている。 この本では、ガブリエルの哲学それ自体というより、そこから見えてくる現代社会についての議論が紹介されていて、ある意味とてもわかりやすい。 なるほど、新しい実在論では、こういうふうに「現実」を捉えて、「問題」にたいしてこういう処方箋を提案するわけね、ということが、よくわかる。 で、最後にもう一度、ガブリエルの哲学の主要点について、確認していく構成もわかりやすい。社会への適用から、彼の哲学が逆に浮かび上がる構成になっている。 とはいえ、ガブリエルの現実の見方については、面白いところもたくさんあるが(トランプ大統領の評価とか)、全体としては、あまり賛成できないかな? なんだか、いろいろ言いながらも、やっぱ西欧中心的な議論かな〜と思う。 一番印象的だったのは、ガブリエルが最大の論的としているのはポストモダーン思想ではなく、自然主義、科学主義、唯物論なんだな〜というとこ。(「私は脳ではない」での議論と基本同じ) あ〜、やっぱそうか〜。 ガブリエルは、「実在論」という名前ではあるが、形を変えたポストモダーン思想ではないかと思っているのだが、反自然主義ということでも、この2つは実は共鳴しあっているな〜と思った。

Posted byブクログ