世界史の針が巻き戻るとき の商品レビュー
Memo: インターネットはジャンクというガブリエルさんのお話なのだが、手軽に超すぐ読めて面白く、インターネットのコンテンツのようだった。 (P69) 深い文化的異質があるとするストーリーは、戦争をあおり、他者を攻撃する口実になる。こうやって「他者」の存在を作り上げる。 (P...
Memo: インターネットはジャンクというガブリエルさんのお話なのだが、手軽に超すぐ読めて面白く、インターネットのコンテンツのようだった。 (P69) 深い文化的異質があるとするストーリーは、戦争をあおり、他者を攻撃する口実になる。こうやって「他者」の存在を作り上げる。 (P72) 人間性というのはきわめて普遍的。文化相対主義の機能は非民主的なインターネットを正当化するためのもの。 (P82) 人から人間性を奪うには。1:相手を悪だと思うこと 2:相手を善だと思うこと 本来、善悪などないただの人間。 (P104) 民主主義の本質:戦うことは合理的じゃない。もっと前向きなことに集中しよう。 裁判で完全勝利は無いし、複雑で緩慢なプロセスがあって、とにかく面倒。完全勝利があるのは独裁。 どんな戯言でも口にできることは、民主主義でなくFacebook。 (P120) 「人間はこうあるべきだ」というモデルを、社会システムにいるすべての人間に押し付けるべきではない。 (P123) 他人の尊厳を減らす人は、自分自身の尊厳も減らしている (P129) 法律上の制限がないグローバル経済は明らかに問題 (P152) 資本主義そのものは必ずしも悪ではないが、資本主義には「悪」の潜在性がある (P135) 倫理資本主義 社会のゴールは、企業のゴールを含めて「人間性の向上」になるべき 利益の増加ではなく、モラルの進歩を目指す ---ある意味中国的では。P120での主張に沿う押しつけにならないか。数値による統計処理でスコアリングとかしない、モラル進歩なあ…。点数付けのほうが公平で善良、とならないか。 (P153) グランドセオリーの構築が必要だ。すべての学問分野は同じ一つの目標を持つべき。人間、幸福(well being)の条件を理解すること。 ---中国やカルトとの違いも書いといて。 (P164) ビッグデータ解析でアルゴリズムやAIで生活向上は夢物語。カリフォルニア西海岸文化、起業家たちの精神はLSD三昧、正気じゃない。散漫な思考(バカ)はクリエイティビティには大切だが、実知識においては、厳しい集中力と散漫な思考の組み合わせが重要。インターネットが我々にもたらすのは、散漫な思考、ドラッグ中毒の子供たちの精神だけ。それが人工知能。 (P375) インターネットではバカがバカに物を薦めあっている。それを群知能SIなどともっともらしい名前で呼んでいる。実際は群れの知能でなく、群れの凡庸性。 (P175)自動化でできた時間はさらなるネット消費に振り分けられるだけ。 creative people が余暇で何をするかというとNetflix鑑賞。 あまった時間はシステムにデータをfeedbackするためにつかわれ、そうしてさらなるrecommendationの悪循環。毎日仕事を終えて人が何をするか、今日もネットに助けてもらった、さてネットするか、が現実。 →ネットが人類をよりcreativeにするとは思えない。 ー--ネットが現れるまえ、TVに対して言われてたことだね。 (P182) 行きつくところは… 残るのは今まで労働を機械任せにしていたせいで、働き方を忘れてしまった愚かな人間たち(末人) 彼らはやがて争いをはじめ、世界は崩壊。 (P186)各国政府は国民がGAFAに雇われているという事実を認識したほうがいい。GAFAはすべて変えるか、我々にお金を払うかどっちか。ネット検索するだけでお金持ちに。(これが末人のためのベーシックインカム。ただただ世界崩壊させないためだけの。) (P188)我々は一年のうち四か月もネットをして過ごしている。びた一文くれない人のために働いて過ごしている。無料とされるサービスで得られるより多くの代償を支払っている。でなければ、企業は存続できないから。 (P190) テクノロジーとは壊滅の力。 (P191) 完璧になめらかな機能性には、ダークサイドがある。 (P219) 我々が自らを正す唯一の方法は、自分とは別の視点を持つこと。それが人間社会。構成員同士のやりとりが増え、社会が複雑になるほど、より多くのロジックが生まれる。複数の信念が広がる網全体が社会になる。 ---ビッグデータのフィードバックやリコメンドと似てるじゃないか。
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※このレビューにはネタバレを含みます
なかなか手ごわい。それに、いっぺんでどうにかする相手じゃなさそう。 意味を測定のルールとする、という定義。対話している相手を特定のアイデンティティの代表者としない。社会のゴールは、企業のルールも含めて人間性の向上とすべき。下層にいる人の数がこれほど多くなったことはかってなかった。平均的人生がどのようなものになるかが研究されて人生のどの移行期も利用することがエコにつながる贅沢な消費という満足を与える定期サービスのオファーを受ける。資本主義。環境問題への抜本的な解決になる>ほんとかな。自然科学は価値判断しない。ので原始的な宗教みたいに。労働を機会に任せて末人になる。情報検索をすることが検索とネット起業を太らせる。テクノロジーは壊滅のチカラ。政治はリアリティ、政党は実現不可能なものを約束するが。政治家は現実と向き合っていることに敬意を払うべきだ。人生を謳歌することではなく人生のイメージを謳歌するネット社会。複数の現実は偽にもなりうる。明白な事実の政治>それが成立する社会ってどんな社会だろう。
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注目の「Neo existentialism」またはNew Realism をひっさげる哲学者マルクス・ガブリエルとの独占インタビューを元に構成した一冊。インパクトが大きい一冊。 中身を咀嚼するために、ガブリエルの他の主要著作をみる必要があると思っているのですが、なかなか、進んで...
注目の「Neo existentialism」またはNew Realism をひっさげる哲学者マルクス・ガブリエルとの独占インタビューを元に構成した一冊。インパクトが大きい一冊。 中身を咀嚼するために、ガブリエルの他の主要著作をみる必要があると思っているのですが、なかなか、進んでないです。 そういうことをしなくとも、この一冊をしっかり読むことが大切かもしれません。
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●最近本屋でよく顔を見るこのひとの本、初めて読んだ。 難しいとこも多いけど面白かった。内田樹の本読んでる感覚に似てた。 第4章:民主主義 民主主義では何でも自由に言えると誤解されている。文化的多様性は事実で、minorityを排除しようとする人を民主主義は排除すべき。でも他人の...
●最近本屋でよく顔を見るこのひとの本、初めて読んだ。 難しいとこも多いけど面白かった。内田樹の本読んでる感覚に似てた。 第4章:民主主義 民主主義では何でも自由に言えると誤解されている。文化的多様性は事実で、minorityを排除しようとする人を民主主義は排除すべき。でも他人の尊厳を減らす人は自分自身の尊厳も減らしていると考えよ。つまり尊厳がゼロになれば人間でなくなるのだから死刑はダメ 第5章:資本主義 グローバル経済が、グローバル国民国家の存在なしで機能することはない。インターネット上の危機と似ている。法律上の制限がないグローバル経済は明らかに問題。ここにトランプは気づいた。世界国家のないグローバル経済に入れば世界の民主主義が崩壊すると知って、トランプは実はパラドックス的に世界の民主主義を守っている。
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世界は擬態化している。 目に見えるステークホルダーの裏で、各国が全く異なったゲームをしている。 【新しい実在論 とはなにか】 ・あらゆる物事を包摂するような単一の現実は存在しない ・現実は一つではなく、数多く存在する →複数の現実が還元されたたった一つの真実は存在しない ・私達...
世界は擬態化している。 目に見えるステークホルダーの裏で、各国が全く異なったゲームをしている。 【新しい実在論 とはなにか】 ・あらゆる物事を包摂するような単一の現実は存在しない ・現実は一つではなく、数多く存在する →複数の現実が還元されたたった一つの真実は存在しない ・私達は現実をそのまま知ることができる 新しい実在論は、デジタル化が進み、リアルとフェイクの境界線が曖昧になるこの世の中に、境界線を再度明確な形で引く。 「意味の場」→対象を測定するルール。特定の解釈をするとき、対象をいかなる側面や性質から観察するか?によって物の意味が変わってくる。 筋の通った論理的な問からは、明確な答えが一つだけ見つかるものの、複雑化した現実においては、コンセプトも対象も絶えず変化する。 人間は、何がフェイクで何が真実かを見極めるために対話を重ねるのではなく、何が真実かなんて重要ではないのだから、基本的に全てがフェイクと思え、という考えで話をしている。→しかし、明確な真実は必要。 自然主義(自然科学を経済学や技術生産へ応用すること、近代化)が人類の自滅を引き起こす。 ガブリエルの道徳的価値観→「我々には、普遍的な道徳的価値観があり、違う文化がそれを覆っているだけである。」 殺人は悪いこと、人助けは良いこと、のように、普遍的な価値観がある。道徳には、「善い」「悪い」「中立」のカテゴリがある。公共の場でのヒジャブ着用問題などは、本来であればいいとも悪いとも言えない中立なものであるが、あるグループが、特定のグループから人間性を奪い、そのグループを「悪い」ものとして非人間化する行為が多発している。 人から人間性を奪うには、2つの方法がある。一つは悪だと思い、もう一つは相手を善だと思う=盲目的に相手を善悪の二元論で判断してはいけない。 民主的な制度の機能は、意見の相違に直面したときに暴力沙汰が起きる確率を減らすこと。スローペースな話し合いにより合点に至ることで、利害関係者の衝突と争いを防ぐ役割がある。 一つのレイヤーしかない明白な事実も存在するし、我々はそれを見出し、それをコモンセンスとして共有する必要がある。 ヘイトスピーチ禁止法を反対する人にはどうするべき? →ラッセルのパラドックスを適用。層を2階層に分ける。 ①排除されそうな人(在日朝鮮人) ②排除されそうな人を排除する人(ヘイトスピーチ話者) このうち、②の人々を抑圧してよし。 【資本主義の危機】 グローバル経済の危険性は、法律上の制限なく、いかなるグローバル国家の制約も受けていないこと。 資本主義は収奪であり悪だというが、それは企業の中に倫理学者を置き、倫理学からの生産性へのアプローチをして来なかったから。倫理と資本主義は共存しうる。逆にこれからは倫理を意識しなければ、人類の問題は解決できない。今後の社会を生き残る企業は、善行からお金儲けをする、「モラリティの資本主義」に他ならない。 すべての学問分野は、「人間、そして人間の幸福の条件を理解すること」を目標とし、経済システムも幸福を向上させることを目標とするべきだ。 【自然主義の脅威】 自然科学の対象にならないもの(社会、空想、想像上のもの)は、この世に存在しないとする自然主義は、「自然科学とテクノロジーの発展こそが全て」と考え、地球を破壊してきた。自然主義は倫理観や行動規範に関知しないからだ。 【テクノロジーの危機】 インターネットの本質は「月並み」。むしろ一般的で最大公約数でなければならない。 【表象の危機】 表象とは、正確か不正確かの属性を持つ現実のモデル、それが正確かどうかは事実によるべきであるが、現代社会では、そのイメージを見て「これは正確だ」と思ってしまう。現実を見ずにスクリーンだけ見ている。 思考は自分の思考それ自体を偽だと考えることはできない。「自分の思考は偽である」と思っていても、「偽であることを信じている」ことになるから。 そのため、自分の行う思考は、必ずそれ自体を真として考えるため、自分の間違いを正す唯一の方法は、自分とは別の視点を持つことである。
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わかりそうでわかっていなんだ、マルクス・ガブリエル。「なぜ世界は存在しないのか」では少しわかった気がしたが・・。またわからなくなっている。「新しい実在論」ってなんだ、そもそも古い実在論とはなんだ?カント的なものだと思ったがちがう? https://book.asahi.com/j...
わかりそうでわかっていなんだ、マルクス・ガブリエル。「なぜ世界は存在しないのか」では少しわかった気がしたが・・。またわからなくなっている。「新しい実在論」ってなんだ、そもそも古い実在論とはなんだ?カント的なものだと思ったがちがう? https://book.asahi.com/jinbun/article/13368047
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インタビュー形式で読みやすく訳された文章なので、煩わしくなくマルクス・ガブリエルの言葉を咀嚼できる。私が見る現実、あなたが見る現実、見えない現実、その事実、仏教にも通じる観点が提唱される。見る角度を変えると見えなかったものが見えてくる、思い込みを捨てると違う景色へと変貌する。万華...
インタビュー形式で読みやすく訳された文章なので、煩わしくなくマルクス・ガブリエルの言葉を咀嚼できる。私が見る現実、あなたが見る現実、見えない現実、その事実、仏教にも通じる観点が提唱される。見る角度を変えると見えなかったものが見えてくる、思い込みを捨てると違う景色へと変貌する。万華鏡のように世界は変わる。それでは世界は存在しないものなのか、そこに真実がある。数多の現実が交錯する中に潜んでいる。「新しい実在論」の第一歩として良書。
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非常にエキサイティングな内容の一冊だった。しかし自分には難解なところも多々あり、すべてを理解できたわけではなかった。日本がテクノロジーに関するイデオロギーを生み出すのが抜群にうまいというのは国際社会で今後生き残っていくために重要な示唆のように思う。 優しい独裁国家とは言い得て妙だ...
非常にエキサイティングな内容の一冊だった。しかし自分には難解なところも多々あり、すべてを理解できたわけではなかった。日本がテクノロジーに関するイデオロギーを生み出すのが抜群にうまいというのは国際社会で今後生き残っていくために重要な示唆のように思う。 優しい独裁国家とは言い得て妙だなと思った。特に海外の人から見たらおかしいなって思うようなことに暗黙の了解の上に服従しているように思う。
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とても良かった。特に、多くの人が民主主義を間違って理解している、言いたいことを言うのはフェイスブックであって民主主義ではない、とか。普遍的な道徳的価値観とか。 新しい実在論の最後のところ読んで驚いた。明白なことなのに論理立てられてないことを普通の手段で説明している。すごい。 社会...
とても良かった。特に、多くの人が民主主義を間違って理解している、言いたいことを言うのはフェイスブックであって民主主義ではない、とか。普遍的な道徳的価値観とか。 新しい実在論の最後のところ読んで驚いた。明白なことなのに論理立てられてないことを普通の手段で説明している。すごい。 社会を新しい視点で捉えられる。
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「新しい実在論」についての解説書。正直に言うと内容についての理解度は4割もいっていない気がする。 世界は「価値の危機」「資本主義の危機」「民主主義の危機」「テクノロジーの危機」に直面しており、その4つは「表象の危機」に結びついている、というのが筆者の主張。薄い理解ではあるが、「現...
「新しい実在論」についての解説書。正直に言うと内容についての理解度は4割もいっていない気がする。 世界は「価値の危機」「資本主義の危機」「民主主義の危機」「テクノロジーの危機」に直面しており、その4つは「表象の危機」に結びついている、というのが筆者の主張。薄い理解ではあるが、「現物」を手に取らずとも様々なものを見聞きしたり、実際に会わずともコミュニケーションが取れたりする現代において、人々は「幻想」を「現実」だと捉えてしまい、その裏側にある「真実」を見ることができていないということかと思う。 「テクノロジーの危機」の章では、「人工知能など存在しない」「AIは知能をモデル化したものである時点で、知能そのものにはなり得ない」という主張はなるほど納得がいくし、シンギュラリティ云々というのは起き得ないという思いは強まった。しかし同時に、AIによって人間の単純労働を代替することへの警鐘は、自分の会社で目指している方向性への真正面からの批判であり、且つ有効な反論も思い浮かばない。 結局、企業にしろ政府にしろ、倫理感を持たないものたちが勝ち続けている限り、世界は着実に破滅へと向かっていくのではなかろうか。 この辺りの考え方は『ファクトフルネス』とは真反対な気がしたので、もう一度読み直したくなった。 しかし、曲がりなりにも大学で「資本主義が〜」などと詭弁を振りかざしていた割に、そこで得た周辺知識との紐付けが全然できなかったのは悔しいし、己の無力さと無知さになんとも言えない惨めな気持ちになった。 一度学んだことを忘れない頭脳が欲しいなあ。
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