今夜、世界からこの恋が消えても の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
泣いた泣いた… こんな切ない話があろうか。 一気に読んでしまいました。 大好きな漫画家さんの実写ドラマに出演されていた福本莉子さん出演で映画化ということで気になって読みました。 あのときもなにわの方とご共演でしたね。メガネがとっても似合ってかわいらしくて大好きになりました。 このお話も、真織ちゃんは福本莉子さんで脳内再生しながら読みました。美しいです。もう間違いないです。 前半のパートは絶対にかわいいしキュンキュンです。 ただ、読んでいくと、擬似恋人っていうワードに踊らされてた自分を殴りたくなります。 辛い症状はあるものの、微笑ましく読ませてもらってた前半から、花火大会の終わり頃からこの表現はどういうこと?っていう不穏な空気がたちこめだして、239ページ、一気に血の気が引く。 なんで。なんで。 今日1日を、楽しかったことでいっぱいにしたいって、相手のために思って行動する。 これは、たとえ相手が真織みたいな症状のある人でなくても大事なことだなって、気づかされました。 次の日、覚えているからこそ、大事にしなくちゃいけないのかも。 あれから毎日ハンカチにアイロンをかけてると言った綿矢さん。 そういう方法でも、生きつづけるんだよね。そこに彼はいる。 作者のあとがきにも、そうだよなって思うことが書いてあって… ありがとう、って、ちゃんと伝えなくちゃいけないなと思いました。 ところで一条岬さんは男性でしょうか女性でしょうか?性別は関係ないとも思いつつ、勝手に女性かな?と考えながら拝読いたしました。あとがき含め、言葉の選び方が好きです。
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今年の夏、道枝駿佑&福本莉子(2人とも超超激推し)で映画化すると知り拝読。少ない解禁された情報から想像していたよくある純愛映画とは良い意味で全く違い、とても深い、生というものの儚さと美しさ、残酷さについて考えさせられた。"失う"ことの怖さを痛感するよう...
今年の夏、道枝駿佑&福本莉子(2人とも超超激推し)で映画化すると知り拝読。少ない解禁された情報から想像していたよくある純愛映画とは良い意味で全く違い、とても深い、生というものの儚さと美しさ、残酷さについて考えさせられた。"失う"ことの怖さを痛感するようだった。救いがあり、一歩一歩着実に向かっていった先に唐突な絶望があり。そこにはっきりとした救いはなくとも、その先にはまた少しの希望が見える。あとがきにもあったように、これは悲しい物語だけれど、悲劇ではないのだ。 周りが忘れていってしまうなら、私は思い出していきたい。この真織の言葉が印象に残っている。 ・桜も散り、四月の忙しない時期を過ぎると人が落ち着ける季節になり、少しばかり皆がのんびり屋さんになる。…透のお姉さんの五月病の解釈の仕方。とっても素敵だと思った。 ・p.32 驚いた。僕にそんなことができるなんて。自分で自分を驚かせることができるなんて。 …自分がこんなことを!と思うことはごくたまにあるけれど、この透の心情を見たとき、私は頑張りたいこと、努力したいことに関して、並ならぬ努力をして自分を驚かせることができるぐらいになりたいと自分と重ねて思った。 ・眩しい光に当てられると、その分だけくっきりと影が浮かび、その影に囚われてしまうことが人間にはある。…すごく共感できる。そしてその言葉選びが好き。 ・泉ちゃんが真織にかけていた言葉。「やれることしかやってないし、やりたいことしかやらないから気にしないで」こんな言葉を、大切な友人に大切なとき、かけてあげられる人でありたいと思う。 ・彼女は毎日、困難と向き合っている。それに比べて自分はどうだ?…考えさせられる、自分の姿と透を重ねた。 人生はいつだって一度きりだ。どんな瞬間だって取り返しはつかない。だから人はそれを大切にしようとする。宝物にしようとする。…その通り。好き。 ・好きは、感覚に根ざした言葉だ。意志で支えたり理論付けたりするものじゃない。 読み終えて、私は今日どんな1日を過ごした?明日私はどのように生きる?と少し不安も感じながらも考えた。
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映画化されると聞いて読んでみたら、最後の最後で大号泣…まさかこんなに泣くとは思いませんでした…。神谷透くんはとにかく優しさに溢れた人で人を想い人を救える素晴らしい人柄でした。登場人物全員好きになった…。 人から受けた優しさや愛情は記憶から失われても心が覚えてるのかもな〜と思えまし...
映画化されると聞いて読んでみたら、最後の最後で大号泣…まさかこんなに泣くとは思いませんでした…。神谷透くんはとにかく優しさに溢れた人で人を想い人を救える素晴らしい人柄でした。登場人物全員好きになった…。 人から受けた優しさや愛情は記憶から失われても心が覚えてるのかもな〜と思えました。映画化楽しみです!
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記憶が保たない彼女と、彼女を支える彼氏のよくある恋愛ものかと思いきや、まさかの展開だった。 途中からページを捲る手が止まらず、一気に読んだ。 布団の中で読み切り、読み終わった後には枕が濡れていた ネタバレは↓ https://patent-stock.com/sekakoi-...
記憶が保たない彼女と、彼女を支える彼氏のよくある恋愛ものかと思いきや、まさかの展開だった。 途中からページを捲る手が止まらず、一気に読んだ。 布団の中で読み切り、読み終わった後には枕が濡れていた ネタバレは↓ https://patent-stock.com/sekakoi-netabare/
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記憶障害の真織ちゃんと、友達をクラスメートのイジメから護る為に真織ちゃんに告って何故か付き合う事になった神谷くんとのラブラブで切ないお話。 いやー泣かされました! 続きが気になってほぼ一気読み。いーヤツだなぁ神谷くん。 あたしはとても好きなお話でした(о´∀`о)
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とてもせつない。。 神谷くんの人柄がとても素敵で、一途に真織ちゃんを大事にする姿が儚くも美しい。 これからの人生を真織ちゃんが真っ直ぐに生きていけるといいな。
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2021/11/27 主人公の神谷透は、クラスでいじめられている下川くんを庇ったことがきっかけとなって、日野真織という女の子と付き合うことになるのだが、彼女から提示された条件が「お互いを好きにならないこと」というとても奇妙なものだった。 高校生が送る青春的なものが多く詰まっていて...
2021/11/27 主人公の神谷透は、クラスでいじめられている下川くんを庇ったことがきっかけとなって、日野真織という女の子と付き合うことになるのだが、彼女から提示された条件が「お互いを好きにならないこと」というとても奇妙なものだった。 高校生が送る青春的なものが多く詰まっていて読んでて眩しぞ…!と思いきや…って感じで先が気になり一気に読み進めてしまいました。 この本に出てくる人々それぞれが葛藤する場面に直面していて、それをどう乗り越えていくのか、どう向き合っていくのかというところに自然と自分は焦点が向かっていってしまいました。 とても読みやすい話だと思います。
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日野真織さんは、前向性健忘、事故に遭って、記憶障害に。 お姉さんが芥川賞をとったのはすごい。 神谷透の家族も色々ドラマがあった。その辺りを詳しく描いてほしかった。 お父さんも、良い方向に向かってくれてホントに良かった。 そして結末は、とても意外なものだった。 日野真緒さんの病気が...
日野真織さんは、前向性健忘、事故に遭って、記憶障害に。 お姉さんが芥川賞をとったのはすごい。 神谷透の家族も色々ドラマがあった。その辺りを詳しく描いてほしかった。 お父さんも、良い方向に向かってくれてホントに良かった。 そして結末は、とても意外なものだった。 日野真緒さんの病気が、、、という流れではなく、 ネタバレなので言わないようにするが、全く違う角度でいきなり、突然、終わってしまう恋。 忘れてしまうのは悲しいが、 忘れない恋だったんだね。 学校図書館に置いても大丈夫な、恋愛小説本。
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衝撃の展開と裏に書いてあって、どれほどのものだろう?と思っていたのですがこの展開は本当に衝撃を受けました。記憶を忘れていく中での恋が切ないけど本当に美しかったです。とてもいい本に出逢えたと思いました。いつか映像化してくれたら嬉しいな・・・
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カドカワのライト文芸レーベル、メディアワークス文庫の1冊。2019年メディアワークス文庫賞を受賞した「心は君を描くから」に加筆・修正。 主人公の高校生・神谷透は、いじめられていた級友をかばおうとして、主犯格のクラスメートに「それならお前が1つ言うことを聞いたらやめてやる」と言わ...
カドカワのライト文芸レーベル、メディアワークス文庫の1冊。2019年メディアワークス文庫賞を受賞した「心は君を描くから」に加筆・修正。 主人公の高校生・神谷透は、いじめられていた級友をかばおうとして、主犯格のクラスメートに「それならお前が1つ言うことを聞いたらやめてやる」と言われる。何かと思えば、別のクラスの美少女・日野真織に告白をしろという。行きがかり上、仕方なく受けた。彼女には断られるだろう、後で正直に言って謝ろうと思っていた。だが意外なことに、彼女はOKする。とはいえ、条件があった。 一つ目、放課後になるまではお互い話しかけないこと。 二つ目、連絡のやり取りは出来るだけ簡潔にすること。 最後に三つ目、私のことを本気で好きにならないこと。 なりゆき、かつ一風変わった条件つきでつき合い始めた2人。周囲は、いやおそらく本人たちも、長くは続かないだろうと思っていた。けれども。 難病ものか。女の子が不治の病なのかな、と読み進めると難病は難病だが、死ぬ病気ではない。ふと気づくと裏表紙にも書いてあった。 前向性健忘。 記憶が持たない病気である。障害が生じる前の記憶は残っているが、その後に起きたことは一定期間経つと(多くは一晩寝ると)記憶から消されてしまう。毎朝、まっさらの状態で目覚め、積み重ねるということがない。 結構、ベタな設定である。だが。 意外とこれがいいのである。 真織の友人、綿矢泉に見守られつつ、2人の交際は続く。 真織は毎朝、障害のことを忘れて目覚める。目覚めるとそのことをメモで知り、こまめにつけている日記を確認して、昨日までの出来事をアップデートする。障害のことを知るのは、家族と先生、そして泉だけ。クラスメートに怪しまれることのないよう、主な出来事はメモして日記に残しておく。それを毎日続けている。 真織は当初、障害のことを透にも隠している。透が交際を申し込んだ理由も理由だが、真織が受けたのも純粋な気持ちというわけでもなかった。絶望の日々の中、新しいことが始められるのかという興味があった。 だが、日々を重ねるうちに、2人の間には真にキラキラしたものが生じていく。 真織は日々の日記に必死にそのことを書き留める。翌朝には失われてしまう記憶を補完するように。 昨日の私たちと今日の私。その間の断絶を埋めることができるのか。 彼女の障害を知った透は、必死に彼女を支えようとする。 透の勧めで、真織は小さい頃に習っていた絵を再開する。絵を描く作業は「手続き記憶」と呼ばれるもので、事実を記憶する「陳述記憶」とは異なり、一度身に着くと前向性健忘でも忘れることはない。真織の絵は徐々に上達していく。 2人の交際も順調に続くようにも思われた。が。 もちろん、ハッピーエンドでは終わらない。 いろいろと手垢のついた感がある設定なのだが、しかし、この作品にはどこか清潔感(作中の透の言葉でいうならば「衛生感」か)がある。 悲しい話だが、清冽で、先に続く希望を感じさせる。 障害があろうとなかろうと、私たちは日々、いろんなものを失っていく。すべてのものを留めておくことなどできないのだ。けれど、さまざまなものが失われていく世界の中で、残るものも確かにある。 佳品である。
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