貘の耳たぶ の商品レビュー
⭐️2.6 冒頭から繭子の子供への否定的な言葉の数々。 なぜ子供を産もうとしたの? お腹の中に10ヶ月も居て 少しも母性が芽生えなかったの? 全然理解できなかった…。 でも、こんな母親も居るのかもしれないと読み進めた。繭子はいつか取り替えが発覚するかもしれないと怯えながら他人の...
⭐️2.6 冒頭から繭子の子供への否定的な言葉の数々。 なぜ子供を産もうとしたの? お腹の中に10ヶ月も居て 少しも母性が芽生えなかったの? 全然理解できなかった…。 でも、こんな母親も居るのかもしれないと読み進めた。繭子はいつか取り替えが発覚するかもしれないと怯えながら他人の子供を育てる。そして4歳の時に発覚し…。 終始イライラしながら読みました。笑 私も母ですが人生を壊された子供たちが 気の毒でしょうがなかった。
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普通分娩か帝王切開か。有痛か、無痛(和痛)分娩か。 そんなもので子供に対する愛情が変わるわけがない。 けれどもそれに対して良いとか悪いとか周りが言うことで産後の母親は自信をなくしてしまうのだ。 小さく産んだこと、病気を持ったこと、早く産んだこと。 悪いことなんかしていないのに、母...
普通分娩か帝王切開か。有痛か、無痛(和痛)分娩か。 そんなもので子供に対する愛情が変わるわけがない。 けれどもそれに対して良いとか悪いとか周りが言うことで産後の母親は自信をなくしてしまうのだ。 小さく産んだこと、病気を持ったこと、早く産んだこと。 悪いことなんかしていないのに、母親は自分を責める。 周りは赤ちゃんのことで頭がいっぱいで、心も体もボロボロになった母親のことは二の次三の次。 それでも母親はこの弱い生き物を育てなければならない。 でも、私に、そんなことできるんだろうか? 自ら子供を取り替えた繭子には同情する。 自分の子供が幸せになって欲しくて、そして少しだけ郁絵への暗い気持ちがあったのだろう。 それが取り返しのつかないことになると分かっていたのに。 子供の心に消えない傷をつけたことは間違いない。 糾弾されても仕方がない。 そもそもどうして誰も繭子に寄り添わなかったんだろう? 本当は繭子の夫の母は気にしてくれていたのだけれど、繭子にはそれを受け入れられないくらい弱っていた。 愛とは、どうしてこんなに難しいのだろう。 いつだって育児は手探りだ。 愛情と思っていたことが違うのではないか、あの時どうしてしてしまったのか、できなかったのか。 本書はそんな悩む親の心の中をさらに掻き乱す。 しかし、そのことで自分の心が整理されるような気もするのだ。 あなたと共に。 小さな手足をばたつかせる我が子を抱きながら自分の心を見つめた。
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繭子に自然分娩以外を否定的に伝えてしまった助産院は非常に罪な事を言ってしまったと思う。その一方で郁絵の義母が言った、帝王切開での出産は赤ん坊へのリスクを母親が引き受けてあげるのだといった肯定的な言葉を繭子が聞いていたらどうだったのか。 繭子と郁絵はそれぞれに悩みを抱えながら子育てに邁進しており、頭が下がる思いで読んだ。ハッピーエンドになることはないと分かっていてもどこかに皆が幸せと感じる落とし所はないかと読み終わった今でも思わずにはいられない。 繭子も郁絵も素敵な母親であったと思う。
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出産後の、最初に我が子を見た時に「もう逃れられない、この子の人生に全責任を持たなければならない」とその責任の重さに押しつぶされそうになったことを思い出す。 2人の母親の気持ちを丁寧に描写してあり、唸らされる。 後半、物語のうねり始めると、読んでいる私もそのうねりに飲み込まれてし...
出産後の、最初に我が子を見た時に「もう逃れられない、この子の人生に全責任を持たなければならない」とその責任の重さに押しつぶされそうになったことを思い出す。 2人の母親の気持ちを丁寧に描写してあり、唸らされる。 後半、物語のうねり始めると、読んでいる私もそのうねりに飲み込まれてしまった。 読み応えがある一冊だった。
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きっと繭子の気持ちをわからないと切り捨てられる人は、強い人。精神の不安定の末の行動は理屈じゃない。嫉妬や自尊心の揺らぎ、生々しい慟哭のような心理描写。2人の主人公それぞれの、弱さと強さ両面を捉えながら描かれていく。
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2017年 第6回 新井賞受賞 自ら産んだ子を 同日に生まれた他の子と取り替えた母親 ちょっとしたトラブルによる衝動的な行動だった 妊娠中の不安、出産時の苦痛、育児への憂慮 その一瞬の出来心に背景はある 告白する機会を失ったまま、子供達は4歳となる 自分の子ではないと知っている母...
2017年 第6回 新井賞受賞 自ら産んだ子を 同日に生まれた他の子と取り替えた母親 ちょっとしたトラブルによる衝動的な行動だった 妊娠中の不安、出産時の苦痛、育児への憂慮 その一瞬の出来心に背景はある 告白する機会を失ったまま、子供達は4歳となる 自分の子ではないと知っている母親と 自分の子供と信じている母親 二人の母親の育児と生活の違いは、考えさせられる 母親に期限があるとすれば子供を預けて仕事をする事ができるのか?日常生活をもっと大切に過ごすのか? この小説の読みどころは、DNA鑑定により本当の両親が確定した後、二人の子供達と育ての親との分断の場となるのだけれど 取り替えの犯人となる母親は、育てる間の苦悩も大きかったとは思うが 告白だけでは、罪のない子供達の痛々しい辛抱への償いは、終わらない
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出産後、子どもを育てていくことに不安を感じた繭子が犯してしまう出来事。 出産や育児に関する神話が母親を苦しめる。 子どもたちが幸せに育っていくよう祈るような気持ちで読了しました。
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繭子は自分で産んだ子どもを、同じ日に産まれた郁絵の子どもと取り替えてしまう。 繭子は事実を隠したまま、郁絵は我が子を取り替えるられたとは知らず4年がすぎた。 あるきっかけにより取り違えが発覚。 郁絵の「残念だったね」一言がきっかけだった。 繭子は分娩に時間がかかり自然分娩から帝王切開になったのだった。 一方郁絵は45時間以上の陣痛に耐え、出血多量になりながらも自然分娩で出産。 繭子は我が子をこんな自分が育てたら不幸、我が子には幸せになってほしいと取り替えてしまう。 第一章は繭子、第二章は郁絵の目線 どちらの母の気持ちもわかるだけに辛い。 できればこのままバレずに…バレても繭子の仕業とバレないように…そして子どもたちが傷つかないように… この2人の子どもたちはどのように育つのか気になる。その後の繭子も気になる。みんな幸せになっていてほしい。 自然分娩と帝王切開、子どもを産むことに違いはないのに、面倒くさいこと言う人たちがいるおかげで 翻弄されてしまう母たちがいるんだよね。
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めちゃめちゃしんどくさせるという意味ではすごいと思う。が、とにかく読んでいてしんどい。あとは疑いもなく自分は子育てできる、保育園にも入れない、と考えていたが、そんなことが果たして絶対にできるのだろうかと、考えさせられた。
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産院で衝動的に自分の産んだ子と他人の子を取り替えてしまった母親が、精神的に追い詰められていく様を描いた前半。後半は、その4年後に取り替えられていたことを知った母親側の苦悩を描く。 読み手が男性か女性か、出産の経験の有無、普通分娩か帝王切開か、子育て時に専業主婦か仕事を持っていた...
産院で衝動的に自分の産んだ子と他人の子を取り替えてしまった母親が、精神的に追い詰められていく様を描いた前半。後半は、その4年後に取り替えられていたことを知った母親側の苦悩を描く。 読み手が男性か女性か、出産の経験の有無、普通分娩か帝王切開か、子育て時に専業主婦か仕事を持っていたかなど、その立ち位置によって受け止め方や衝撃度が大きく異なる作品だと思う。 私は子育てを終えて久しいが、二人の母親の苦しみが途切れることなく伝わってきて、胃が痛くなるような読書だった。 読後も、将来二人の子ども、特に取り替えた親の子どもが事実を知ったときどうなるのかを想像してしまい、憂鬱な気分がしばらくは抜けなかった。 余談だが、そう言えば我が家では断乳後の息子が耳たぶを触るのが好きで、私のはもちろん近くにいる人の耳によく触れていたなと、懐かしく思い出した。
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