エンド・オブ・ライフ の商品レビュー
どこかの書評で知り、自分も訪問の仕事の一端にいる身として、何気なく図書館から借りて読んだもの。 日頃ノンフィクションとはあまり縁がないため、佐々涼子という書き手も知らなかった。 それが、数頁読んで、これはえらいものと出逢ってしまったとおののいた。 言葉が、どれも自分の視界を広げ、...
どこかの書評で知り、自分も訪問の仕事の一端にいる身として、何気なく図書館から借りて読んだもの。 日頃ノンフィクションとはあまり縁がないため、佐々涼子という書き手も知らなかった。 それが、数頁読んで、これはえらいものと出逢ってしまったとおののいた。 言葉が、どれも自分の視界を広げ、足元を照らしてくれるようで、拾っても拾っても追いつかない感覚だった。 「先に逝く人は、遺される人に贈り物を用意する」p302 一足先に「卒業」していった人生の先輩方に、限りない敬意を表したい。そして、彼らが示してくれた道標を、いつか自分も苦しみながら迷いながら辿る時、佐々さんのくれた言葉を思い出したい。 佐々さん、ここまで死と生の在りように近づいたあなたが、今病に侵されていると知って、胸が締めつけられます。と同時に、あなたの物語が聞きたい。もっともっと聞いていたい、と願ってやみません。
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終末期の患者さんを看取っている京都の在宅医療を長期間取材され、その中で働いていた40代の男性看護師さんも癌にかかってしまい最期を迎える。また、著者のお母さんも難病にかかりご主人の献身的な介護に見守られながら生を全うされた。それらの詳細な記録。40代の男性看護師さんは多くの患者さん...
終末期の患者さんを看取っている京都の在宅医療を長期間取材され、その中で働いていた40代の男性看護師さんも癌にかかってしまい最期を迎える。また、著者のお母さんも難病にかかりご主人の献身的な介護に見守られながら生を全うされた。それらの詳細な記録。40代の男性看護師さんは多くの患者さんを看取っており終末期医療に関しては多くの人に良い影響を与え指導する立場だったが、ご自身の癌については受容までの道のりは険しいようだった。死を間近で見続けていても実際に自分の身に起こりそれと向き合うことがどんなに難しいことか改めて知った。ただ、それでいいんだとも思う。それぞれの考え方や過ごし方があってそれが思っていたのと違ってもいいんだ、と。また著者のお父さんが素晴らしかった。奥さんへの介護も凄いが、亡くなった後も世界一周旅行に行ったと書いてあった。このバイタリティーは見習いたい。
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大好きな本屋さん閉店の際、著者の別の本が置いてあったので気になって読んでみた。 終末期医療、訪問看護や往診、どのように動いているのか。 そこで働く人たちの想い。 大切な、印象的なエピソード。さいごを見せてくれた偉大な人たち。 こどもを残して逝くお母さん。 命懸けの潮干狩り。 ...
大好きな本屋さん閉店の際、著者の別の本が置いてあったので気になって読んでみた。 終末期医療、訪問看護や往診、どのように動いているのか。 そこで働く人たちの想い。 大切な、印象的なエピソード。さいごを見せてくれた偉大な人たち。 こどもを残して逝くお母さん。 命懸けの潮干狩り。 ディズニーランドってやっぱりすごいのだな…と。 自宅で過ごす覚悟。 不安、それに寄り添ってくれる医療機関。医師との出会い。 それを選んだ人の貴重な感想。 著者のお母さんの介護、看護。 大脳皮質基底核変性症、パーキンソン症候群。 夫が妻の身体を大切に保っていくこと。 そのさいご。 そして、プロフェッショナル看護師森山さんの、命の閉じ方。 看護とスピリチュアル、生き方。 森山さんは臓器移植の分野でもお仕事されていたそうで、そのときの思い、貴重な記録、現在への繋がり。 一体どうなっていくのか、あっというまに読み終えた作品。 たくさんのエピソードが大きく繋がって、教えてくれる。
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「より良く生きるために死を考える」事はいいことだと思い、終末期・死に興味がある。今後周りでも老い、終末期の問題が濃くなってくるのでと思い読み進む。 終末期医療に携わる人達のノンフィクション。事前に考えておいたほうが良い課題が多く記されているが、まだ私の中で消化できない。また必要と...
「より良く生きるために死を考える」事はいいことだと思い、終末期・死に興味がある。今後周りでも老い、終末期の問題が濃くなってくるのでと思い読み進む。 終末期医療に携わる人達のノンフィクション。事前に考えておいたほうが良い課題が多く記されているが、まだ私の中で消化できない。また必要となったら再読しようと思う。 ■心に残る 患者が過ごす場所は、その人の居心地のよい場所ならどこでもいいが、主治医は大切。主治医がどれだけ人間的かで患者の運命を変えてしまう。 ■学 緩和医療:欧米に比べるとモルヒネの使用が難しい キューブラー・ロスの悲しみの5段階モデル スピリチュアルペイン
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いっぱい泣かされた。果たして自分はきちんと命を仕舞うことが出来るんやろうかと思った。この作品は、京都の渡辺西賀茂診療所の訪問診療についてのドキュメンタリーが中心で、並行してそこで勤務する看護師が癌に冒される話と、著者の母の在宅医療について語られている。それぞれの命の仕舞い方のエピ...
いっぱい泣かされた。果たして自分はきちんと命を仕舞うことが出来るんやろうかと思った。この作品は、京都の渡辺西賀茂診療所の訪問診療についてのドキュメンタリーが中心で、並行してそこで勤務する看護師が癌に冒される話と、著者の母の在宅医療について語られている。それぞれの命の仕舞い方のエピソードに心が揺さぶられた。在宅医療の困難さと素晴らしさが描かれていたが、実際、果たして我が家ではそのようなことが可能なのかとも考えさせられた。我が家だけでなく、死ぬまで共働きをしないと生活できない家庭は多いと思う。もう年金だけでは生きていけない。そんな時に家族のものが寝たきりになった時、在宅医療など果たして可能なのだろうか?経済的に恵まれたものしかそんな恩恵に授かれないのではないだろうか。
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在宅医療、そして、生と死について、深く考えさせられました。 持病を抱えながらずっと一人暮らしだった義父が、何度病院に運ばれても退院を望んだ、今ならその気持ちをもっと理解してあげることができたと思います。 筆者のお母様へのお父様の介護の様子、「共依存」という言葉など、自分や周り...
在宅医療、そして、生と死について、深く考えさせられました。 持病を抱えながらずっと一人暮らしだった義父が、何度病院に運ばれても退院を望んだ、今ならその気持ちをもっと理解してあげることができたと思います。 筆者のお母様へのお父様の介護の様子、「共依存」という言葉など、自分や周りの家族のことと重ねながら読みました。 「いい医者に出会うか出会わないかが、患者の幸福を左右しますね」 「主治医がどれだけ人間的であるかが、患者の運命を変えてしまうんですよ」 今まで出会った何人かの医者を思い浮かべた。 「死は、遺された者へ幸福に生きるためのヒントを与える。亡くなりゆく人がこの世に置いていくのは悲嘆だけではない。幸福もまた置いていくのだ。」
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久々のノンフィクション。やはりその強さに圧倒された。 看取り看護のプロが癌に。 数々の旅立ちを送って来たその人はどのような命の閉じ方を選ぶのか。 さまざまな別れ。涙なしには読めない。 でも目を逸らさずに受け止めなければ。 文字通り命をかけて遺してくれたメッセージをしっかりと受け取...
久々のノンフィクション。やはりその強さに圧倒された。 看取り看護のプロが癌に。 数々の旅立ちを送って来たその人はどのような命の閉じ方を選ぶのか。 さまざまな別れ。涙なしには読めない。 でも目を逸らさずに受け止めなければ。 文字通り命をかけて遺してくれたメッセージをしっかりと受け取るために。
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前作もすごくよかったし、今作も期待通り素晴らしい作品でした!筆者の佐々涼子さんが、7年にわたり訪問看護師の森山文彦さんを追うことで「在宅医療」の現場に迫る…。森山さんとは友人関係になっていてもいたが、ある日森山さん自身が末期がんに侵されていることが判明する…。佐々涼子さんも自身の...
前作もすごくよかったし、今作も期待通り素晴らしい作品でした!筆者の佐々涼子さんが、7年にわたり訪問看護師の森山文彦さんを追うことで「在宅医療」の現場に迫る…。森山さんとは友人関係になっていてもいたが、ある日森山さん自身が末期がんに侵されていることが判明する…。佐々涼子さんも自身の体調に不安もあり、また母親の介護問題も抱えている状況でもあった…。 命の長さ…たとえ短くとも精一杯家族を愛し自分のやりたいことをやり尽くし、充実した時間を過ごせたかどうかでその価値は決まってくるのかもしれないと感じました。森山さんの奥さん、あゆみさんとても素敵な女性だと思いました。 人が生きそして亡くなるということ…大切な人が亡くなるのはつらいけれど、『死は遺されるものへ幸福に生きるためのヒントを与える。亡くなりゆく人がこの世においていくのは悲嘆だけではない。幸福もまた置いていくのだ。』作中のこの言葉にあったかいものを感じました。
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人の最期。 生き物は、誰でもあっても、どんな種でも、どんな国にいても、最後のゴールは決まっている その最期をどう生きるか。 それは、その人の一生を反映した最後の期間。 読みながら、ガンで亡くなった叔母を思い出していた。 彼女は、家で逝きたい。が病気になる前の口癖だった。 しか...
人の最期。 生き物は、誰でもあっても、どんな種でも、どんな国にいても、最後のゴールは決まっている その最期をどう生きるか。 それは、その人の一生を反映した最後の期間。 読みながら、ガンで亡くなった叔母を思い出していた。 彼女は、家で逝きたい。が病気になる前の口癖だった。 しかし、実際にその期間になった時、「1人の部屋に帰るのは怖いから、ここ(ホスピス)でよい」と、ホスピスで逝くことを望んだ。 本人が望んだ通りに生き終えた。 でも、やっぱり、身内としては色々と後悔が残るもので。 やはり、在宅にしてあげれば。。とかね。 在宅は、一筋縄では行かない。 でも、在宅こそ、その人らしい最期を迎えられるのかもしれない。 ただ、それが許される人は、今のところ少ないように思える。
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奥様の介護を在宅でされていた著者さんのお父様には頭が下がる なかなかできることではない 在宅訪問の介護士をされていた森山が介護される側になる 「あの世で、この世に生きてきた意味が実現されると思えるのであれば、とても豊かじゃないですか。」
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