エンド・オブ・ライフ の商品レビュー
在宅医療に携わった一人の看護師が、自らも病に伏し、命の閉じるまでの記録。彼自身が看取った家族のエピソードと、彼の想いが交差し、過去と今が対話しながら、未来にむけて何を残すかを考える。 わたしの祖父祖母は、一時期在宅介護をしたのち、終末期を緩和ケアの受けられる病院、施設で過ごした...
在宅医療に携わった一人の看護師が、自らも病に伏し、命の閉じるまでの記録。彼自身が看取った家族のエピソードと、彼の想いが交差し、過去と今が対話しながら、未来にむけて何を残すかを考える。 わたしの祖父祖母は、一時期在宅介護をしたのち、終末期を緩和ケアの受けられる病院、施設で過ごした。母はたった二人の親を2年以内に立て続けに看取ったが、最期の、娘としてできることについて相当悩んだはずだ。親たちが憔悴しきって行くのを見て、私は何もできなかったが、この本に出てくる人たちのことば、姿勢を知っていれば、在宅かどうか関わらず、第三者として何ができるかすこしは考えられたのではないだろうか。 いつかわたしも両親を看取り、そして最愛の夫を看取るか、看取られる。 その時向けて必要なのは、看取られる側がどんな思いなのかを引き出す壁打ちのような存在なのではないか。あるときは森下さんが、あるときは佐々さんが、その役を担ってきたのだろう。そういった存在に出会えるかどうかはやはり「縁」でしかないが…そんな縁に巡り会えるよう、普段からできることはなんだろうか。 いま、日本の医療と介護の余裕は日に日になくなっていく。コロナの影響もあるし、少子高齢化の結果、看護師や医者が一人ひとりに向き合える確率は少しずつ減っていく。でも人間の生きてきた時間の価値や、閉じ方の大切さが変わるわけじゃない。 全員がこの医師、看護師のように向き合えということはとても無理だけど、ひとりひとりがせめて自分の中の生死観や、最後のあり方について考えるゆとりがあればいいのにな、と思う。 「生きたようにしか最期は迎えられない」 森下さんのことばを胸に。
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「人間はな、生まれた時にひとりでは何もできへんように、最後もまた誰かの手を借りる時がくる」 この言葉に何とも言えない重みを感じます。 素晴らしいノンフィクション作品です。
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「エンジェルフライト」を読んで良かったので、手にとってみた本。今回は、さらに涙が止まらずだった。 人が生きる(死ぬ)ってどういうことなのか考えながら読んだ。そして、日々の些末なトラブルは気にする時間がもったいないと思うようになってきた。
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「命の閉じ方のレッスン」終末期の在宅医療のノンフィクション。細かな描写で辛くなるほど泣けてきました。 家族の看取り方は?自分の最期はどうしたい?正解はわからないけど、自分らしく、思い残す事なく今を生きたいと思いました。
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医療者として考えさせれる本だった。 心不全患者を在宅に、と迷うことあるけど…。高齢で、未来予測がしにくく、悪くなっても治療で回復する(少なくとも症状は)可能性がある心不全患者の場合、がん患者の在宅医療とは大きく違った難しさがあるんだろうと思う。
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すごい本を読んだ ノンフィクションだ。 興味ある「在宅医療」 厳しい現実に胸がえぐられる。 伴走する人たちに感動する。 でも、ここに描かれている人はなんて幸せなんだろう? そのように生きてきたからこその「死」 果たして自分は? どんな死を迎えるのか? 家族を看取れるのか? ...
すごい本を読んだ ノンフィクションだ。 興味ある「在宅医療」 厳しい現実に胸がえぐられる。 伴走する人たちに感動する。 でも、ここに描かれている人はなんて幸せなんだろう? そのように生きてきたからこその「死」 果たして自分は? どんな死を迎えるのか? 家族を看取れるのか? ただ現状を考えると 経済的な基盤が描かれていない。 病院や施設でまるで捨てられたように「死」を待っている老人 彼らはきちんと生きてこなかったのだろうか? 果たして自分は? ≪ 理想の死 迎えるために 今生きる ≫
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もし、余命を宣告されたら、この世での命の終わりに向かって、どのように生き、そして逝きたいか。 こういう生き方、逝き方があるよ、というヒントをこの本は示しています。 この本の帯に書かれている「理想の死」。それがあるとしたら、何を以てそう言えるのだろう。 この本のリモート...
もし、余命を宣告されたら、この世での命の終わりに向かって、どのように生き、そして逝きたいか。 こういう生き方、逝き方があるよ、というヒントをこの本は示しています。 この本の帯に書かれている「理想の死」。それがあるとしたら、何を以てそう言えるのだろう。 この本のリモートトークイベントに参加して、著者の佐々凉子さんが「納得感」と仰っていました。 その言葉に、なるほどそうだと私も思いました。そして、この本に出てくる、余命を宣告された人たちは、確かに「納得感」を以て、最期の時を迎えている。 ただ、それは一人では迎えられないと思う。支えてくれる家族、友人。そして、この渡辺西賀茂診療所のような医師、スタッフがいればこそ。 この渡辺西賀茂診療所の看護師森山文規さんが、末期の膵臓癌で余命を宣告されます。その森山さんがどのように自らの死と向き合っていくかを軸としながら、西賀茂診療所で終末期医療を受け、この世での命を終えていった人たちのことが書かれています。 その人々の生き方、逝き方は、自らのこれからの生き方に見つめ直すきっかけの一つになるのではないかと思います。
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紙つなげ!の著者ということで読んだが、著者は死をメインにしているという話があり、個人的には初めて知る話だった。インタビューの羅列のような印象もあるが、リアルとも言える。 緩和や介護、今後重要なことなので、気になる方は読んだ方角いいと思う。 医療者としての客観的な内容がいいなら『な...
紙つなげ!の著者ということで読んだが、著者は死をメインにしているという話があり、個人的には初めて知る話だった。インタビューの羅列のような印象もあるが、リアルとも言える。 緩和や介護、今後重要なことなので、気になる方は読んだ方角いいと思う。 医療者としての客観的な内容がいいなら『なぜ人と人とは支え合うのか』のほうがおすすめ。
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「2020年ノンフィクション本大賞」ノミネート作品。タイトル通り、人の死を扱った作品だが、さほど重苦しい感じは受けなかった。死を目前にした人々が想像以上に生き生きとしていたからだろうか。主人公は渡辺西加茂診療所に訪問看護師として勤務する森山文則さん。これまで200人以上を看取って...
「2020年ノンフィクション本大賞」ノミネート作品。タイトル通り、人の死を扱った作品だが、さほど重苦しい感じは受けなかった。死を目前にした人々が想像以上に生き生きとしていたからだろうか。主人公は渡辺西加茂診療所に訪問看護師として勤務する森山文則さん。これまで200人以上を看取ってきた彼が、ステージⅣのすい臓がんであると知るところから幕を開ける。2013年から2019年まで、章ごとに時代を行き来しながら、様々な人々の様々な死を見つめる。その中には著者自身の母もいた。がん、認知症、延命治療、安楽死など、自分や家族に置き換えて読むとつらいが、避けては通れない。多くの人に読んでほしい作品だった。
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QOL(クオリティーオブライフ)の重要性は自分や配偶者が少しづつ死に近づいていると思うごとに、重要性を増し続けています。 人はいつか亡くなるし、体が動かなくなることもあります。その時に文字通りの生命体としての機能維持のみに力を費やすか、自分との重要なつながりとの思い出を大事にする...
QOL(クオリティーオブライフ)の重要性は自分や配偶者が少しづつ死に近づいていると思うごとに、重要性を増し続けています。 人はいつか亡くなるし、体が動かなくなることもあります。その時に文字通りの生命体としての機能維持のみに力を費やすか、自分との重要なつながりとの思い出を大事にするか考えることはとても重要です。 本書では、命を縮めることは分かっていても、家族との思い出作りを優先する人々が出てきます。病院に縛り付けられず自宅で死を迎えることを選択する人。 自分に余命が告げられた時、どういう選択をするんでしょう。出来れば家族と楽しい想いでを作って、悔いなく最後を迎えたいものです。
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