歌舞伎座の怪紳士 の商品レビュー

近藤史恵(著者)

2021/10/03

最初から最後まで面白かった。
歌舞伎やオペラの臨場感ある舞台描写、謎解きの面白さも味わえて、久澄の再生も見守ることができる一石三鳥な内容でした。
堀口さんもとても素敵で、こんなお芝居仲間がいたら人生に張りが出そう。
久澄がこれが自分の人生だときっぱり言えるようになったのは、堀口さんのおかげでもあると思う。
歌舞伎はまだまだ演目がたくさんあるし、文楽も久澄に見て欲しいし、続編があったら嬉しいです。

2021/09/01

初めて歌舞伎を観てのめり込んでゆく主人公とともに、私も歌舞伎について一緒に知っていく感覚でした♪
新しい世界を知って、見える世界がどんどん変わっていくことへの喜びやワクワクが伝わってきます。

どこに行っても出会う親切な老紳士のナゾ。
ミステリー要素もあって楽しめ、意外な展開にラストはしんみり優しい気分♪
主人公の戸惑いながら少しずつ成長する様子も良かった。
そして、心に残る言葉や考えさせられる言葉があちこちにありました。

『歩けなくなったら、もう一度歩きだす勇気が出るまで立ち止まればいい。二度目だから、今度はもっと早く立ち止まるか、逃げるか、どちらかを選べると思う。自分を壊してしまうよりずっといい』

『生活の形は少しずつ変わっていく。でも、その中には元の場所に戻る選択肢だってある』

2021/08/25

　劇場で毎回出会う素敵な紳士…
なぜ毎回、出会うのか　その素敵な理由に流石だなぁ　おしゃれだなぁと脱帽です。

2021/08/14

質実剛健な日常ミステリーもお見事だし、閉じこもり気味の自分にとって、主人公と一緒にリハビリしている気分になる優しい作品だった。また読みたい。

2021/06/28

この目で歌舞伎を観たいと思った。
臨場感溢れる筆致のため、一緒に演目を観ている気分だった。
27歳・無職・実家暮らしの久澄の気持ちに共感できる部分は多い。
そんな彼女の世界が歌舞伎を通して開けていく様は読んでいて清々しい。
劇場で遭遇する謎の紳士・堀口さんの人柄も素敵。

2021/05/30

生きることにちょっとだけ疲れている時に、このままで良いんだ、一歩一歩歩いているだけで良い。
と思わせてくれる優しい本。

そして、好きなものがあるだけで、それだけで一日をなんとか生きていける、と思わせてくれて、勇気が出る。それで良いんだ。と。
（ドラマ「すいか」の温かいセリフも思い出した。）

観劇したい。オペラ観に行きたい。歌舞伎観に行きたい。観劇を、気兼ねなくできる世界へ。早く行きたい。

ラストの種明かし？は、素晴らしいストーリー。予想してなかった素敵なストーリーで、なるほど作家はすごい。こう言う驚きの展開が感動を生む。

#歌舞伎座の怪紳士 #近藤史恵 #読書記録

2021/04/07

この作家さんは相変わらず読みやすい。
話の中にするすると入っていけて、ちょっとした謎もあり、とても楽しく読めました。

無職、彼なし、心に傷あり、の久澄はある日、祖母のしのぶさんから、バイトを頼まれる。
しのぶさんの代わりに、頂き物のチケットでお芝居を見に行き席を埋め、感想をメールで送るというものだ。
このバイトで、久しぶりに外出するようになった久澄が、小さなミステリーに関わりながら、少しずつ今までの生活から前に進み始める。

私自身は観劇などの経験がほぼないのだが、こんなバイトを親族に頼まれたら是非行ってみたいなぁと思う。

2021/04/01

友達のおすすめで読みました。
心の病いで仕事に行けなかった久澄が祖母から貰った歌舞伎のチケットをきっかけに前に進む力を持てるようになる。
最後も良かった。堀口さん素敵な紳士でした。

2021/02/27

私が演劇や舞台が好きな理由の全てが詰まっていた。共感しかない。
人生に悩む久澄が祖母のしのぶさんに歌舞伎観劇の代行を依頼されてから、歌舞伎やオペラといったエンタテインメント、また、たまたまよく劇場で出会う紳士から人生のヒントをもらう話。
調子を崩した友人に、演劇を見ることが貴方の人生にとって何になるのかという趣旨の心無いことを言われた久澄に「ここにいることが人生ですよ」と紳士が声をかけてくれたところが実に痺れた。よく言った！
久澄の場合はしのぶさんの目利きもあるだろうけど、私も当てずっぽうで見た演劇が何故かその時の悩みの答えになることがある。驚いたのは、今日この本を読みながら向かっていた舞台の台詞が出てきたこと。そういう不思議な縁がある。活力を貰っている。エンタテイメントはやっぱり私の人生に欠かせないなと改めて思いました。

2021/02/21

職場で心に傷を負ってしまい自宅で引きこもり状態の久澄。母や姉の日常の雑務の手伝いはしているが自分の立場に不甲斐なさを感じている所に祖母から代理で観劇に行き、感想を伝えるというバイトを頼まれ、行く先々で起こる謎を何故か何時も出会う老紳士の手を借りつつ解いていく。始めは紳士頼りなのが少しずつ自分の力で謎を解くようになり、それに伴い周りに目が向き人生を見つめ直して立ち直っていく過程が優しく丁寧でしみじみ。歌舞伎や演劇の内容が判りやすく魅力的に描かれていて、幕見席の存在等の情報もあり気軽に行ってみたくなった。