バンクシー の商品レビュー
光文社新書のアート本には、本書のように期せずして傑作に出会う場合が多い。 バンクシーについて、自分はなんと無知だったのか。 それがそのまま、現代のアートシーンの裏返しでもある。 価値観を転覆、反省させる書き込み。必然的に政治と経済抜きには、表せない。 欧米と日本の公共空間を...
光文社新書のアート本には、本書のように期せずして傑作に出会う場合が多い。 バンクシーについて、自分はなんと無知だったのか。 それがそのまま、現代のアートシーンの裏返しでもある。 価値観を転覆、反省させる書き込み。必然的に政治と経済抜きには、表せない。 欧米と日本の公共空間をめぐる違いの指摘も興味深い。
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日本でもネズミの絵で話題になった、正体不明のストリートアーティスト「バンクシー」の本。 ビジネスと化した現代芸術につばを吐き、アートの力で毒を撒き散らしていく反骨精神には、とても好感が持てた。 ほとんどの人が求めてやまない「金」や「名誉」に目もくれず、いたずら小僧のように純粋に...
日本でもネズミの絵で話題になった、正体不明のストリートアーティスト「バンクシー」の本。 ビジネスと化した現代芸術につばを吐き、アートの力で毒を撒き散らしていく反骨精神には、とても好感が持てた。 ほとんどの人が求めてやまない「金」や「名誉」に目もくれず、いたずら小僧のように純粋に生きていく。 こんな生き方が出来たら、さぞ痛快だろうな、と思う。 反面、実は全てが自分を売り込むための「計算」なのではないか、とも思う。 この二面性もまた、正体不明の魅力を際立てていて、とても良い。 元々アートには全然興味がなかったけど、最後まで楽しく読めた。 こんな「変わった」人間が現代にいるということが、なんとなしにワクワクさせてくれる。 また、グラフティ(落書き)という分野について考えるきっかけにもなった。 ただの迷惑行為という認識しかなかったけど、資本主義に押し込められた人たちの叫びだと思うと、見え方も変わってくるだろう。 ところで余談だが、「ペルソナ5」というゲームがある。 この中でプレイヤーは「心の怪盗団」のリーダーとなり、正体不明の怪盗として日本中の話題になっていく。 プレイしていて「いやいや、こんな堂々と活動してるのに、正体不明とかあるわけないでしょ?」って思っていたけど、この本を読んでさもありなんと思った。 多くのファン達から「公然の秘密」として、存在を守られてるのかもしれない。 バンクシーのように。
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バンクシーという切り口から ストリートアートと政治 の話を適度に掘り下げていたので面白かった。 「イグジットスルーザギフトショップ」を観てから読むとまた新たな発見があるかもしれない
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いろんな意味でお騒がせ「バンクシー」 でも、彼のお陰で幅広い人たちが「ストーリーアート」につ知るきっかけになったはず。(それが正しい理解なのか?本当にいいのか?は横に置いておいて。)
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小池都知事が取り上げて、少し話題になったな、というのがこの本を読む前の「バンクシー」に関する知識でした。 もちろん、今美術に関心が向いていたからかも知れませんが、きっとこの本を通り過ぎてしまったら、おそらくバンクシーのことは、今後の人生で出会うことはないだろう、となぜかそう思っ...
小池都知事が取り上げて、少し話題になったな、というのがこの本を読む前の「バンクシー」に関する知識でした。 もちろん、今美術に関心が向いていたからかも知れませんが、きっとこの本を通り過ぎてしまったら、おそらくバンクシーのことは、今後の人生で出会うことはないだろう、となぜかそう思ってしまい、つい手に取ってしまいました。 アートとは何でしょうか? 定義づけというものは難しく、たとえば、マルセル・デュシャンの「泉」なんかもそうですが、必ずしも、こういうものであると形作ることはできないように思えます。 この本は、バンクシーに関わるガイドブックとしてはものすごくわかりやすいです。 が、それだけでなく、アートと否応なく結びつく資本主義など、考えさせられることが縦横無尽に広がっていきました。 極めつけは、現在残っている作品群は、美術史という、歴史の中の勝者である、と説かれており、ハッとさせられました。 あくまでこれは、バンクシーに関する本ではありますが、この言葉に、ものすごく引力を感じます。 「ウォールアート」と言われれると、つい全てを一緒くたにして、単なる犯罪行為だと思ってしまいます。もちろんそれは変わることはないのですが、そこに描く理由を考えたことはありませんでした。 共感するかしないかは、人それぞれであると思います。ちなみに自分はバンクシーが気になって、画集Wall and Pieceも買ってしまいました笑
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