不穏な眠り の商品レビュー
女性探偵・葉村晶シリーズを読み始めると、頭の中では宍戸カフカさんが動きし、より魅力的な物語になっていく。今回のシリーズは2021年版『このミス』で10位を獲得した短編集だ。 スピード感のあるストーリー展開で、ミステリーの要素も十分。主人公の判断力と行動の速さは、気持ちいいくら...
女性探偵・葉村晶シリーズを読み始めると、頭の中では宍戸カフカさんが動きし、より魅力的な物語になっていく。今回のシリーズは2021年版『このミス』で10位を獲得した短編集だ。 スピード感のあるストーリー展開で、ミステリーの要素も十分。主人公の判断力と行動の速さは、気持ちいいくらい期待に応えてくれる。ただ、短編ではあるものの、ストーリーにもう一回転の展開が欲しかった。各短編が終わった瞬間に『で、どうなったの?』と突っ込みに似た余韻が残る。
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※このレビューにはネタバレを含みます
シシドカフカさん主演のドラマ、録画したものも少しずつ見ている。イメージはとても合っている。本の葉村晶の方が、もう少しベージュで薄汚れてて、疲れて郊外を歩いていそう。この本だと、糞が混ざっているであろう池の泥水を飲んでしまい肺にまで入っていくようなイガイガした苦しさや、年越しの冷え切ったビル、災害級の雨、のような悪臭や不快感、寒さ冷たさ、大きな音まで自分も感じてしまう気がする。老眼疑いも、すぐに思いつかなかったこともあったけどそれでも、打つ手も打ってる、有能な探偵ぶりも健在だった。カズレーザーさんのお勧めで知り、シリーズ始めから読み始めて最新刊まで追いついた。同年代。これからも読みたい。
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女性探偵シリーズのミステリ短編集。 とっかかりは地味な事件ではあるが、謎を追いかけていくと、そこいら辺の人たちが割と過激なことをしている。 今回はそれほどのめりこめなかった。
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正月に、ドラマに触発されて葉村晶シリーズを読み始めて1年になる。遂にこれで最新作まで追いついてしまった。読んだ端から寂しい。何度も言うけど、探偵・葉村晶は私の推しメンになった。私は、一生懸命頑張る女の子が好きなのだ。もはやアラフォーをかなり過ぎたと思える彼女だけど(1年で随分歳を...
正月に、ドラマに触発されて葉村晶シリーズを読み始めて1年になる。遂にこれで最新作まで追いついてしまった。読んだ端から寂しい。何度も言うけど、探偵・葉村晶は私の推しメンになった。私は、一生懸命頑張る女の子が好きなのだ。もはやアラフォーをかなり過ぎたと思える彼女だけど(1年で随分歳をとったものだ^_^;)、私よりも歳下ならば女の子である。以下、ネタバレなど無いのでご安心ください。 冒頭、慣れない高速を運転すると行く手に「天使の梯子」がかかっている。普通の物語ならば吉兆ではあるが、葉村晶に限っては不吉な前兆以外の何ものでもない。その証拠にラストは飛び切りのバッドエンドを迎える。(「水沫隠れの日々」) 探していた男は某所でインフルエンザにかかって寝ていた。葉村晶は自販機でお茶とスポーツドリンクを買って、マスクをし、変装用の素通しメガネをかけ、息を止めて縁側から家に入る。もちろん、この2年後に日本がパンデミックに襲われるとは葉村晶は予測しているわけではないが、あまりにも完璧なウイルス対策だし知識だと思う。葉村晶はつくづく優秀な探偵なのである。(「新春のラビリンス」) 本作はミステリと映画の情報満載だ。葉村晶が住込で働いている古本屋の店長が思い付いた〈鉄道ミステリ・フェア〉のうち、富山店長推薦のDVD『大陸横断超特急』『大列車強盗』『バルカン超特急』『カサンドラ・クロス』『見知らぬ乗客』もちろん高倉健の『新幹線大爆破』などの蘊蓄に刺激されて、私は正月鑑賞にとTSUTAYAを探し回るが、一作も置いて無かった。おいおい、TSUTAYAよ‥‥(泣)。(「逃げ出した時刻表」) 葉村晶は久しぶりの探偵依頼に、ほんの少しだけ「贅沢」をする。新宿のメトロ食堂街の更科そばの店の立ち食いスペースで、春菊の天ぷらそば(800円)を自分に奢ったのである。この自己肯定感の少なさが、私が彼女を応援したいと思う大きな理由である。ひとつ賭けるけれど、この店は実在するだろう。いつかコロナ禍が終わって機会が有れば、殺されかけて喉を潰され飲み込めずにむせた白いそばを食べてみたい。(「不穏な眠り」) 本書は「オール讀物」昨年12月号に掲載された短編含めて、超速で昨年暮に出版された。テレビシリーズに合わせた事情はあるにせよ、次回では、必ずこのもやもやとした三密の世相を歩き回って犯人を追いつめているはずだ。文庫は来年ぐらいには出てくるだろう(と、思って葉村晶ばりに直ぐスマホで検索したら一件もヒットしなかった。今年はもう書いてないのか?)。
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本シリーズを初めて読んでから約20年。ほぼ自分と同じように歳を重ねて40代になった葉村さんに親近感を禁じ得ない。思えば若竹七海さんの作品も90年代に創元推理文庫版『ぼくのミステリな日常』を手にしてずっとだから相当に長い。好きな作家の新作を定期的に読めるのは幸せだと思う。 本シリ...
本シリーズを初めて読んでから約20年。ほぼ自分と同じように歳を重ねて40代になった葉村さんに親近感を禁じ得ない。思えば若竹七海さんの作品も90年代に創元推理文庫版『ぼくのミステリな日常』を手にしてずっとだから相当に長い。好きな作家の新作を定期的に読めるのは幸せだと思う。 本シリーズはトリック重視の本格ものではなく、ソフトなハードボイルドという感じ。何せ最近の葉村さんは推理を働かせる前に調べ物はネット検索。これがスパスパとヒットして、葉村さんの検索能力が意外に高いことがよくわかる。一匹狼の葉村さんは逞しく時代に順応しているのだ。 基本的には常識的な一般女性である葉村さんが、ドンパチ騒ぎや殴り合いの格闘をすることは(あまり)ないが、本書でも首を絞められ、スタンガンを当てられ、果てには土砂崩れに遭うなど、順当に相当な不運に巻き込まれていく。若竹さんはエスっけがあるに違いない。 しかし、不運に巻き込まれながらも、きっちり仕事の結果を出すのが葉村晶である。何ともカッコいいではないですか!軽妙なトーンに紛れているが、このシリーズの事件はシビアで、痛ましいものが多い。それらをすべて呑み込んで、葉村晶は一人、探偵であり続ける。
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他人事とは思えない不運の連続で笑うに笑えない災難や厄災。 頑張れ!なくな!葉村晶! ファンはまだまだ貴女の活躍を待っています。
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不運な女探偵シリーズの短編集。 簡単な依頼だと思って引き受けると裏があり、毎回殺されかけたり酷い目にあってしまうのは相変わらず。各話に登場する人々はけっこうひどいが、短編だとイヤミスっぷりはそれほど強烈ではない気がする。葉村が幽霊ビルの警備をした時のことが最終話で都市伝説になって...
不運な女探偵シリーズの短編集。 簡単な依頼だと思って引き受けると裏があり、毎回殺されかけたり酷い目にあってしまうのは相変わらず。各話に登場する人々はけっこうひどいが、短編だとイヤミスっぷりはそれほど強烈ではない気がする。葉村が幽霊ビルの警備をした時のことが最終話で都市伝説になっていたのは笑った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
葉村晶の7作目。 前の依頼での自分が、都市伝説にされたこと知る場面が出てきたりもするが、 一応、短編集。 どんどん酷い目に遭う運命にある葉村晶としては、 短編集の方がいいのかもしれない。 それに、坂道を転がりだしたボールが止まることがないように、 事件がどんどん展開していくのが楽しい。 そういう点では、 刑務所から出所してくる友人の娘を連れてきてほしいという依頼、 「水沫隠れの日々」が一番面白かったかな。 ちょっと謎で、ちょっと面白くて、ほんのり怖い。 「逃げだした時刻表」では、 鉄道にまつわる連続事件を親子三代の警察官が追うとあるミステリー、 が出てきたが、是非読んで見たかった。 あとは、オレンジ色のトラ猫に肉球でパシパシと叩かれてみたい。
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前回の『依頼人は死んだ』に続き、「うーん…」と言いながら母が貸してくれました 葉村晶シリーズの最新刊になるのかな? 母は適当に目に付いたものから買うので時系列もバラバラです 『依頼人は死んだ』の葉村さんは20代だったけど、本作ではいきなり40代後半になって...
前回の『依頼人は死んだ』に続き、「うーん…」と言いながら母が貸してくれました 葉村晶シリーズの最新刊になるのかな? 母は適当に目に付いたものから買うので時系列もバラバラです 『依頼人は死んだ』の葉村さんは20代だったけど、本作ではいきなり40代後半になってました 40代後半の葉村さんは四十肩になってたり、ちょっと疲れてたりするけどやっぱりパワフルです ・ 本作も短編集ですが、『依頼人は死んだ』が尻切れとんぼのように感じたのとは違い、しっかり結末が描かれていてストレスなく読めました ・ とはいえ、私も母と同意見で「うーん…」と言いながら読みましたが それにしても、母も「うーん…」と言いながら何故コンプリートする勢いでこのシリーズを買うんだろうか なんだかんだ言ってハマってんのかな
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映像化されているとは知らなかった。生活感溢れる探偵、葉村晶。どこか天才じみて読書を置いて行く様な探偵では無く、リアクションもツイて無さも、まさに実物大で。お疲れ様です…と労いたくなるくらい怪我が絶えないですよね。
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