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デッドライン の商品レビュー

3.4

41件のお客様レビュー

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2023/10/14

アブノーマルな異質さで強調されがちな世界を下卑たいやらしさがなく表現。哲学的考察も随所に散りばめることで作品全体が締まった感じ。

Posted byブクログ

2023/01/24

物語とは哲学なのだ。回遊、円を描きながらぐるぐると周る、その描く線そのものがデッドラインということか。生々しい描写と繊細な心情が折り重なって紡がれる。

Posted byブクログ

2022/11/03

モンタージュされたシーンの レイアウト感覚がやさしく、かっこいい。 多面的な感想が湧き上がり、 関係性に対して捉え方が柔軟になった。 読後もシーンと文章が 様々に脳内で繋がり、 本書のミームが身体に染み込んできて、 なんだか心地よい。

Posted byブクログ

2022/10/18

哲学者が小説?とちょっと結びつかなかったが、「タナトスのラーメンーきじょっぱいということ」の短文を読み、おぉ、とうなってしまった。いよいよ読んでみようか、となり読んでみた。 僕は哲学専攻で修士課程に進んだ。当然論文を書かねばならないのだが、その容易には進まない執筆過程と、自身の...

哲学者が小説?とちょっと結びつかなかったが、「タナトスのラーメンーきじょっぱいということ」の短文を読み、おぉ、とうなってしまった。いよいよ読んでみようか、となり読んでみた。 僕は哲学専攻で修士課程に進んだ。当然論文を書かねばならないのだが、その容易には進まない執筆過程と、自身の性的生活が交互に語られ、回想で故郷のことなどがはさまれる。 語られる言葉、文体、点、丸のつけかた、段落、行間、これらが独特の空間を醸し出す。その中で泳ぐ僕。その回りの友人たち。指導教官の徳永先生がいい。打ち上げで、先生はどんな音楽を聴くんですか? と聞くと、「大滝詠一ですかねえ。ナイアガラですね」という。設定は2001年だ。 僕の性的指向について、率直に語るところがいい。院の生活もその指向も知りえない世界だが、そこにいる僕になにか朴訥さを感じてしまう。「僕は男として男を欲望し」「僕は、自分には欠けている”普通の男性性”に憧れていた。」それが哲学的思考にからませて記される。 僕はどこまで著者自身なのか、出身地を知っているだけに、具体的な地名は記されないが、父母との会話や帰省する場面などで、妙なリアル感を感じてしまった。 初出「新潮」2019年9月号 2019.11.25発行

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2022/08/21

オーバーヒートで芥川賞候補にもなった著者のデビュー作。野間文芸新人賞受賞作。修論を書くという自分自身の苦痛の日々を思い出しながら読んだ。 ゲイである自分の境遇と、ドゥルーズの女性になること=生成変化の哲学を重ね合わせて展開される。自伝的小説。ほとんど事実なのではと思ってしまうほど...

オーバーヒートで芥川賞候補にもなった著者のデビュー作。野間文芸新人賞受賞作。修論を書くという自分自身の苦痛の日々を思い出しながら読んだ。 ゲイである自分の境遇と、ドゥルーズの女性になること=生成変化の哲学を重ね合わせて展開される。自伝的小説。ほとんど事実なのではと思ってしまうほど。 著者は修士時代に中島さんのもとにいただけあって、荘子の哲学とドゥルーズが重ね合わせられることが面白い。そこには積極的な主体はなく胡蝶の夢のように自分がみている夢なのか胡蝶がみている夢なのかはわからない。 一方で円環のテーマもあり、同じような生活を繰り返しているなかでも直線的な時間は流れていて、それがデッドライン=締切として機能する。最後の10ページぐらいは円環が破綻して新たな円環につながるので、一気にトーンが変わるのが興味深かった。 次回作は自伝的ではなくなるだろうから、どのような展開になるのか楽しみだ。

Posted byブクログ

2022/05/26

互いに距離を持ちながら、同一の存在に「なる」ということ。それが相手を真に理解する唯一の方法である。あっさりした文章なので流れで読めてしまう。ただ、哲学的なので結構難解。 教授の話が面白かったので、哲学が勉強してみたくなった。

Posted byブクログ

2022/01/21

修論のデッドラインに追われるゲイの院生が語り手。論文のテーマを決めかね、欲望する相手を探して回遊する。 意外だったのは友人関係や家族関係、地元とのつながりを健全に維持していること。本人の性格としては破滅的でないのに修論はまとまらず破綻していく、それがヒリヒリした。 円環からほどけ...

修論のデッドラインに追われるゲイの院生が語り手。論文のテーマを決めかね、欲望する相手を探して回遊する。 意外だったのは友人関係や家族関係、地元とのつながりを健全に維持していること。本人の性格としては破滅的でないのに修論はまとまらず破綻していく、それがヒリヒリした。 円環からほどけるためには、自身こそが線になりデッドラインとなる。欲望のまなざしが自分に返ってくる、というのは、なんだか相対性理論のようでもあるなと思った。

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2022/02/08

主人公の日常を描く文体はどこかぎこちなく、風景描写も含めはまりづらかった。一方自身の研究や担当教授についての描写はとても滑らかで読みが心地よい。 その差異が意図されたものなのかどうかはわからないけど。 年の終わりによい小説に出会えた。

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2021/08/21

芥川賞候補作オーバーヒートはまったくいただけず、デッドラインのが面白いと言う人が多かったから読んでみた。 確かに面白かった。素直に書いている感じが良い。哲学の課題の話、味のある徳永先生、主人公と周りの関係。リアリティがあってさり気なくて良い。あと、ハッテン場で回遊する場面でクルー...

芥川賞候補作オーバーヒートはまったくいただけず、デッドラインのが面白いと言う人が多かったから読んでみた。 確かに面白かった。素直に書いている感じが良い。哲学の課題の話、味のある徳永先生、主人公と周りの関係。リアリティがあってさり気なくて良い。あと、ハッテン場で回遊する場面でクルージング(映画)ってこういうことかと知った。 頭の良いアホな子である。ちょっと大人になったのかなと読後感もまずまずだった。

Posted byブクログ

2021/07/11

やや唐突にモラトリアムな デッドラインがやってきた。 でも、大丈夫でしょ。 本当のデッドラインを まだ知らない。 学生の哲学 主婦の哲学 労働者の哲学 哲学が 子育てとか生活に根付くとどうなるのかな。 院での学びは 水槽の中のあれこれのやう。

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