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デッドライン の商品レビュー

3.4

41件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/01/15

めちゃくちゃ好きになった。 このワケわかんないこととわかることの同居してる感じが押し寄せてきて、あれもこれも中途半端なワタシがこのままではいかんと思えたかも。 叫びたくなる。 たとえば人を好きになる気持ちもちゃんと考えないと。ぼんやりと好きでもいいけど、なんでぼんやりとでもその人...

めちゃくちゃ好きになった。 このワケわかんないこととわかることの同居してる感じが押し寄せてきて、あれもこれも中途半端なワタシがこのままではいかんと思えたかも。 叫びたくなる。 たとえば人を好きになる気持ちもちゃんと考えないと。ぼんやりと好きでもいいけど、なんでぼんやりとでもその人を好きなのかとか、そういうこと。 千葉雅也氏の小説じゃないものも読んでみたい。

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2021/08/18

[出典] 2019年の<びっくら本>28冊 #mybooks2019 R-style https://rashita.net/blog/?p=29816 [備考] 圧巻というか、驚嘆というか、文体と内容の呼応という点において、そして文学性と哲学性の両立(というよりもそれは量子...

[出典] 2019年の<びっくら本>28冊 #mybooks2019 R-style https://rashita.net/blog/?p=29816 [備考] 圧巻というか、驚嘆というか、文体と内容の呼応という点において、そして文学性と哲学性の両立(というよりもそれは量子的ゆらぎ)において、すさまじい作品です。「よくまあ、こんなすげぇもの書けるな」というのが書き手としての率直な感想でした。

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2020/01/06

修論の締め切りが文字通りのデッドラインで、そこに至るまで、語り手は永久に(または、「普通の男性」よりはかなり遅い速度でしか)逃走線の引かれることのない人生を送っていた、そのことに気がついた、ということなのだろうと思う。 ドゥルーズや荘子の思想と、語り手自らのゲイであるという在り方...

修論の締め切りが文字通りのデッドラインで、そこに至るまで、語り手は永久に(または、「普通の男性」よりはかなり遅い速度でしか)逃走線の引かれることのない人生を送っていた、そのことに気がついた、ということなのだろうと思う。 ドゥルーズや荘子の思想と、語り手自らのゲイであるという在り方を重ねて、論文を執筆する過程と自分自身への問いとを同じ時系列で表現しているのは面白い。また、著者は初の小説ということだが、構成も単線的ではなく、語り手の生活を多層的に描いていると感じた。 ただ、極めて個人的な感想になるけれど、大学院生を何の経済的不安もなくやれていてそのことに自覚的でなく(最終局面でとうとう父親の会社の倒産という現実に直面するけれど)、それで自分が男性なのか女性なのかというのも何だか非常に贅沢な悩みだなと思ってしまう。それはつまり、自分自身のあり方を問うている時に、その切実さに共感することが難しかったのかもしれない(ただもちろん同性愛者の人にとってはそうでないかもしれない)。

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2019/12/31

哲学についてはほとんど知らない状態で読みました。 不安定さについて1人の若者が感じること、の描写がされているのはよかったです。 自分の中にある文章の一単位からすると、文中の主人公の言葉が短くすぎるように感じ、「彼」が刹那的に考えているように感じてしまったのが残念でした。不安の中で...

哲学についてはほとんど知らない状態で読みました。 不安定さについて1人の若者が感じること、の描写がされているのはよかったです。 自分の中にある文章の一単位からすると、文中の主人公の言葉が短くすぎるように感じ、「彼」が刹那的に考えているように感じてしまったのが残念でした。不安の中で人がまとまった思考ができていないという文章の効果はよく出ているとも取れました。

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2019/12/28

第162回芥川賞候補。 哲学を勉強した事がない、 ドゥルーズも知らない。 「千のプラトー」という文字はもしかしたら生涯で一瞬目に入った事があるかも知れんくらい。 知らなくても物語としては楽しめる・・・楽しめるんだけど、ぐやじい。 良い作品だけにそれらを勉強していたならどんなに...

第162回芥川賞候補。 哲学を勉強した事がない、 ドゥルーズも知らない。 「千のプラトー」という文字はもしかしたら生涯で一瞬目に入った事があるかも知れんくらい。 知らなくても物語としては楽しめる・・・楽しめるんだけど、ぐやじい。 良い作品だけにそれらを勉強していたならどんなに深みに嵌まれるのかと思うと。 そらから、ゲイが主人公のお話は初めて。 「千のプラトー」に対する主人公の気付きに惹かれた。 全体的に不安な感じが好み。わからない感じが嫌ではない。 一人称が一瞬三人称になったり、鉤括弧がなくなったり、不安感に拍車がかかる感じがたまらなく良い。 矛盾するけれど、哲学に明るくないからこその余計に不安を楽しめる感はあったと思う負け惜しみかなー。 なんか、錯覚かもしれないけれど、色々吸収した気になってる。 それが今後の思考に影響するといいなと思う。 読書の醍醐味のひとつだ。

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2020/01/17

環八、新宿の喧騒、二子玉川、深夜のファミレス、どれもこれも情景が手に取るように浮かび上がってきてなんて映像的な小説なんだと驚いた。 「ぼく」とは全然違う人生を歩んだはずなのに、東京で大学生(「ぼく」は院生だけど)として過ごすという事は、多かれ少なかれこんな過ごし方を経験するという...

環八、新宿の喧騒、二子玉川、深夜のファミレス、どれもこれも情景が手に取るように浮かび上がってきてなんて映像的な小説なんだと驚いた。 「ぼく」とは全然違う人生を歩んだはずなのに、東京で大学生(「ぼく」は院生だけど)として過ごすという事は、多かれ少なかれこんな過ごし方を経験するという事だと思う。 没入して強烈に共感して仕方なかった。彼の私小説のはずが、わたしの私小説なのかと勘違いするくらい。 どんな経験を積もうが体験をしようが「ぼく」が永遠にピュアでまっさらで在り続けていることが救いで、それですごく心配なところでもある。なんと頭がよく、なんと純粋で、なんと何も知らないのだろう、このボクは。なんでも知っているのに、こんなにも頭がいいのに、という感じ。 スレずに、このまま哲学と、かっこいい男の間を、魚のように泳いで行って欲しい。東京の片隅で。 ドブの中を気付かず泳ぐ熱帯魚みたいだった。

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2019/12/21

主人公の表(大学生として)の日常のストーリーの中にに裏(ゲイとして)の日常のストーリーが程よく差し込まれてる。はじめは、読んだ時に急にストーリーが変わるような感覚がして、少し読みづらいように感じたが、だんだん慣れてきた。 主人公のゲイとしてのストーリーでは、結構生々しい直球的な...

主人公の表(大学生として)の日常のストーリーの中にに裏(ゲイとして)の日常のストーリーが程よく差し込まれてる。はじめは、読んだ時に急にストーリーが変わるような感覚がして、少し読みづらいように感じたが、だんだん慣れてきた。 主人公のゲイとしてのストーリーでは、結構生々しい直球的な描写がある。 大学生の修論のテーマと、自分のあり方を重ねていった主人公が、最終的にどのように進んでいったのかはっきりとしない。 その部分は、読者に想像の余地が残されているのかなと思った。 哲学を通して、性別、自己を見つめていく主人公の姿が印象的な作品だった。

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2019/12/22

デッドライン 著作者:千葉雅也 千葉雅也を読んだ人はきっとこの小説を読んで欲しいお勧めの一冊。 タイムライン https://booklog.jp/item/1/4103529717

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2019/12/13

ところどころ、難解な小説だった。と感じるのは、自分に哲学の素養がないからかもしれない。 この小説は哲学を専攻するゲイの大学院生を主人公とする。 院生としての生活と、ゲイとしてのプライベートの生活。両者が交互に描かれる。 ゲイとしてのパートの描写はかなり直球だった。冒頭からい...

ところどころ、難解な小説だった。と感じるのは、自分に哲学の素養がないからかもしれない。 この小説は哲学を専攻するゲイの大学院生を主人公とする。 院生としての生活と、ゲイとしてのプライベートの生活。両者が交互に描かれる。 ゲイとしてのパートの描写はかなり直球だった。冒頭からいきなりハッテン場が登場。男に欲情するシーンはオブラートなんて一切なく描かれる。 主人公の存在はどこか希薄。実名が明かされることはなく、○○くんと表記される。また、主人公のセリフは独白のように「」なしで書かれることが多々あった。 その「非実在」が儚さを感じさせた。 しかし主人公はマイノリティの在り方について、哲学者ドゥルーズの研究を通じて、道を見出そうとする。 それはきっとこの言葉の通り。 「ゲイであること、思考すること、生きること――。」(帯コメントより) 少数派としての人生の意味を見出そうとする、その姿勢には強い共感を持った。 けれど、あの結末はどういう意味を持つのだろう。 彼は負けたのだろうか。 再び、帯コメントを引用。 「もったいない。バカじゃないのか。抱かれればいいのに、いい男に。」 先述のコメントとは対極のような言葉だ。果たして、どちらが正しいのだろう。どちらが幸福なのだろう。 主人公は「ゲイとして思考する」道を外れ「いい男に抱かれる」道を歩み始めたのだろうか。そう考えると「動物になる」というのが伏線だったような気もしてくる。 あの結末に関して考えを巡らせてみたものの、うまく答えが出ない。なるほど、千葉雅也。なるほど、野間文芸新人賞。 悪く言えば、理解できずにもやもやが残る。よく言えば熟考する余地がある。 哲学に通じた読者は、この小説をどう読むのかが気になる。そして、ゲイではない読者の感想も読んでみたい。 (総評は以上。各論やメモ書きについては、以下の書評ブログに書きました。よかったらどうぞ) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%80%9D%E8%80%83%E3%81%A8%E5%BF%AB%E6%A5%BD_%E3%83%87%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3_%E5%8D%83%E8%91%89%E9%9B%85%E4%B9%9F

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2019/11/30

ゲイの大学生が悩みながら卒論向かう姿を自叙伝のような形で描いている作品。この作者の本を読むのは初めてで、やけに断片的な切り取り方をしているのが1人の若い人間の姿としてリアルでもあり、主人公にかっちりした設定を設けて語らせるという、小説ならではの不自然さから逃れようとしてるように感...

ゲイの大学生が悩みながら卒論向かう姿を自叙伝のような形で描いている作品。この作者の本を読むのは初めてで、やけに断片的な切り取り方をしているのが1人の若い人間の姿としてリアルでもあり、主人公にかっちりした設定を設けて語らせるという、小説ならではの不自然さから逃れようとしてるように感じた。 また、自分自身少し同性愛の気持ちがわかることもあり、以下の部分は長年感じていた感覚を代弁してくれたように思った。 僕は、僕自身を見ている。 そしてこれは僕だけのことではないと思う。男を愛する男は多かれ少なかれそういうものじゃないかと思う。男を愛する男の眼差しはカーブし、その起動で他の男を捕らえ、自分自身に戻ってくるのだ。 (以上抜粋)

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