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ナウシカ考 の商品レビュー

3.6

30件のお客様レビュー

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2024/08/18

文字が権力を分泌する ー赤坂憲雄,本書,p224 ・ナウシカを文化人類学する   文化人類学者たちが南西諸島や密林の奥地に分け入り調査したように、民俗学者・赤坂憲雄氏がナウシカ世界へとダイブしてゆく、学術とエッセイの間を揺れるような批評。 その分引用も盛んで冗長な部分もあるの...

文字が権力を分泌する ー赤坂憲雄,本書,p224 ・ナウシカを文化人類学する   文化人類学者たちが南西諸島や密林の奥地に分け入り調査したように、民俗学者・赤坂憲雄氏がナウシカ世界へとダイブしてゆく、学術とエッセイの間を揺れるような批評。 その分引用も盛んで冗長な部分もあるので、ぜひ読み飛ばしつつ興味のある部分だけ読んで欲しい。頭から読まなくても、各所に思索の旅路が無数にあり、どこから読んでも十分に楽しめる一冊。 内容としては、やっぱり文化人類学といえばレヴィ=ストロースで、その足跡を頼りにナウシカ世界を進む赤坂氏のイメージが浮かぶ。 特に聖都シュワの墓地の秘密に言及する箇所。そこでレヴィ=ストロースが『悲しき熱帯2』で看破したように、都市と帝国が搾取と支配を確立するために文字を必要としていることを引き合いに出し、墓所の主人の体に現れる文字が「権力を分泌している」ことを鮮やかに取り出して見せているのには舌を巻いた。 さらに話は二元論の超克としてのナウシカへと進む。トルメキアやドルクという国家に抗する、風の谷という共同体の黙示録。それを示した『風の谷のナウシカ』は、善と悪、敵と味方の二元論を解体しているということ。それはまるで腐海のような解毒の作用を持っているのかもしれないと思いを馳せる。 終章「宮崎駿の詩学へ」は、ミハイル・バフチンの『ドストエフスキーの詩学』へのオマージュ。ドストエフスキーの作品に見られたポリフォニーという表現形式が、ナウシカという漫画、ひいては宮崎駿の思想にも見て取れるというのである。 これはまさに、主客の二元論を超克した多視点的・多元的な漫画表現へと宮崎駿が到達していたという赤坂氏からの最大限の賛辞であり、その表現形式はナウシカの核心が二元論の超克であり、ポリフォニーへと結実することの必然的な帰結なのだろう。

Posted byブクログ

2024/01/10

この本を読むのに約2か月もかかってしまった。感想は引用の繰り返しが多すぎて、もっと簡潔にまとめられなかったかということと、著者の個人的な考察本というならともかく、万人にも解り易く綴って欲しかったと言う事。民俗学者としてすごい経歴の方だからこそ。書いていること自体が難しすぎて、頭が...

この本を読むのに約2か月もかかってしまった。感想は引用の繰り返しが多すぎて、もっと簡潔にまとめられなかったかということと、著者の個人的な考察本というならともかく、万人にも解り易く綴って欲しかったと言う事。民俗学者としてすごい経歴の方だからこそ。書いていること自体が難しすぎて、頭がパンクしそうになりながら何回も同じところを読み直し、そこに引用の繰り返しがはいりと。そして宮崎さんがここまで考えてナウシカを書いたのだろうかという疑問。ただもう一度、漫画版「風のナウシカ」を読み直そうと思ったのは確かです。頭が悪いので、宗教的な話や、哲学的な話についていけなかったのが本音で、特にこの本の批判をしているわけではありません。実際にこの本を読み終わって、「シュナの旅」を読んで見ようと思ったのと、漫画版「風のナウシカ」をじっくり読み直そうと。そういう意味では凄い本なのかなぁと思っています。

Posted byブクログ

2023/04/08

恵文社で一章を読む。 『砂漠のタミ』『シュナの旅』からの『風の谷のナウシカ』にどう繋がるかを説いてた。 ナウシカに対する斜めからの考察を初っ端から期待したが、立ち読みも疲れて、本棚に戻した。

Posted byブクログ

2022/10/21

「宮崎駿監督=ドストエフスキー」 27年前、夏休みの読書感想文をマンガ版『風の谷のナウシカ』で書いた自分は、あながち間違ってなかった。 筆者の赤坂氏は、マンガ版ナウシカは反-黙示録の試みであったと読む。そして、登場人物の声の多様さに触れ、冒頭に記したような結論に至っている。 ...

「宮崎駿監督=ドストエフスキー」 27年前、夏休みの読書感想文をマンガ版『風の谷のナウシカ』で書いた自分は、あながち間違ってなかった。 筆者の赤坂氏は、マンガ版ナウシカは反-黙示録の試みであったと読む。そして、登場人物の声の多様さに触れ、冒頭に記したような結論に至っている。 一神教的ファンタジーの世界に惹かれる自分と、それに欺瞞を感じる自分。 飛行機械をはじめとするテクノロジーを偏愛する自分と、大樹をはじめとする原初的な自然を愛おしむ自分。 少女や母の中に聖性を認めたい自分と、それらに幻滅しつつも幻想を抱かざるを得ない自分の心性自体に嫌悪を催す自分。 宮崎監督の中にある多様な亀裂が、このマンガに多様な声と割り切れないエンディングをもたらし、多様な読みを呼び込んでいることに、改めて感嘆する。

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2022/07/31

風の谷のナウシカは大好きな作品だったけど、私はナウシカのことを何も分かっていなかった。とおもほどの深い思考がここにあった。 ナウシカは自己を投げ打ってみんなを助ける聖女のイメージだったけど、そうではなかった。限りなく、他者(それは人間以外の生命を含む)への配慮を持ちつつも、自分の...

風の谷のナウシカは大好きな作品だったけど、私はナウシカのことを何も分かっていなかった。とおもほどの深い思考がここにあった。 ナウシカは自己を投げ打ってみんなを助ける聖女のイメージだったけど、そうではなかった。限りなく、他者(それは人間以外の生命を含む)への配慮を持ちつつも、自分の考えを絶対に曲げない、強く賢い賢者だった。導かれし者であり、導く者。しかし、最後には、破壊と慈悲の混沌とまで呼ばれるに至る。そう、一歩間違えれば、とんでもない破壊者であり死神にもなり得る。 いや、当たり前なのだ。ナウシカも人間であり、人間は、みんなみだらな闇を抱えている。そのことにやけに安心するとともに、王蟲や菌類の友愛の美しさと儚さよ。喰うもの、喰われるものは、表裏一体でここには敵も味方もない。闇や穢れや虚無は人間が持つものであり、生存の避け難い条件。だからこそ、墓場の主が1000年前から構想されていたプログラムを受け入れない選択をキッパリとした。性とは不確実性を孕むもの。世界は美しく残酷だ。もう唸るポイントが多すぎてまとまらない! 記憶に残るのは 名付けをめぐる論争の中で、いかに名前が重要かと言うこと。他者への名付けは贈与であり、その人を支配し所有する方法。名前を簡単にあかしてはいけない。これは別の物語、ゲド戦記でも強く描かれたことだった。 生命を操る技術を持った人々が腐海という攻撃的にして目的を持った生態系を産み落とした。それ自体が異形だ。生命を操る技術は、使ってはいけない。 すべては闇から生まれ、闇に帰る。 いのちは闇の中のまたたく光。 最後はドストエフスキーとの比較まで出てくる展開。それだけこの物語は懐が深い。深すぎる。この物語の壮大さと先見性と、宮崎駿さんも戸惑うような、物語が勝手にうまれて生まれていく過程を、どう理解したらいいのか、まだ分からずにいる。 2022.02.03

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2021/10/03

そうであって普通、当然なんですけど、宮崎駿さんや「風の谷のナウシカ」を超えることはありませんでした。

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2021/09/22

マンガ版「風の谷のナウシカ」を様々な観点、切り口から読み解いた本。 二元論的な思想に抗し、自らの中にことがらの両面を引き受けて生きるということでしょうか。 最後に示される「ポリフォニックなマンガである」という点が、それぞれの登場人物がいきいきと語り、作者がそれについていっている風...

マンガ版「風の谷のナウシカ」を様々な観点、切り口から読み解いた本。 二元論的な思想に抗し、自らの中にことがらの両面を引き受けて生きるということでしょうか。 最後に示される「ポリフォニックなマンガである」という点が、それぞれの登場人物がいきいきと語り、作者がそれについていっている風ですらある、このマンガのありようを端的に伝えているように思います。

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2021/06/19

本書を読み進め、今更ながら、コミック版ナウシカの物語の強度と深度におののいた。 著者は、ほとんどの場所で批評的な言説、謎解き的な言明を避けている。まるでナウシカの世界を民俗誌として、忠実に「記録」することに徹しているようだ。 しかし、様相は『黙示録』への参照から一転する。『黙...

本書を読み進め、今更ながら、コミック版ナウシカの物語の強度と深度におののいた。 著者は、ほとんどの場所で批評的な言説、謎解き的な言明を避けている。まるでナウシカの世界を民俗誌として、忠実に「記録」することに徹しているようだ。 しかし、様相は『黙示録』への参照から一転する。『黙示録』の排除、欺瞞を嗅ぎ取り、ナウシカは反黙示録的性格と言い切る。西欧的二元論を超える広がりを持っていた。 思想史的なインパクトをはかるには、まだ早い。まだまだ私たち人類はそこまでいたっていない。 追記:最期のバフチンのポリフォニー論は蛇足ではないか。締めの言葉が必要だったのかもしれないが、最期までナウシカとナウシカ考を読んだ読者には自明の事実だ。

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2021/05/05

宮崎駿作品の相互参照で駿作品に通底するテーマを推測すると言った色が強い。多様なモチーフへの言及があるのは考える材料になる(例えば森の人と役行者)が、考察されないまま文脈のない共通点が指摘されるのみ、という印象が強く、通読出来ずに本を置いた。序盤と、森の人、年代記あたりの章のみ読ん...

宮崎駿作品の相互参照で駿作品に通底するテーマを推測すると言った色が強い。多様なモチーフへの言及があるのは考える材料になる(例えば森の人と役行者)が、考察されないまま文脈のない共通点が指摘されるのみ、という印象が強く、通読出来ずに本を置いた。序盤と、森の人、年代記あたりの章のみ読んだ。

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2021/08/25

かなり厳しいなぁ。 酒飲みながら友達と語り合うようなレベル、と感じられることが難しい言葉を並べて語られているように思われた。 別にそういうのが嫌いな訳じゃない。 エヴァの第一期ブーム?の頃に出された考察本みたいなのを読んだ時の感じに似ている。あぁ、この人はこういうの好きなんだなぁ...

かなり厳しいなぁ。 酒飲みながら友達と語り合うようなレベル、と感じられることが難しい言葉を並べて語られているように思われた。 別にそういうのが嫌いな訳じゃない。 エヴァの第一期ブーム?の頃に出された考察本みたいなのを読んだ時の感じに似ている。あぁ、この人はこういうの好きなんだなぁ、って言うような。 でも、なんか自論に自信があるんだか無いんだか分からない言葉が気になった。 関西人のように「まっ、知らんけど」と、言い切るくらいの覚悟が欲しいなぁ。 1年半かけてようやく読み終わった。何とか読み終わった。何年か経ったら、こういう評論の評価もされていくんだろう。

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