ほんのちょっと当事者 の商品レビュー
人は生きてればお金を稼がなきゃならないけど職を得るのは簡単ではないし、常に健康ではいられないし、親は年をとり、いずれ亡くなるし、そんな当たり前のことにあらためて気づく。 誰だって何かある! それでも何とかやってるし、一人じゃなくて、こうやって本に助けられたり、同じ境遇を話す友がい...
人は生きてればお金を稼がなきゃならないけど職を得るのは簡単ではないし、常に健康ではいられないし、親は年をとり、いずれ亡くなるし、そんな当たり前のことにあらためて気づく。 誰だって何かある! それでも何とかやってるし、一人じゃなくて、こうやって本に助けられたり、同じ境遇を話す友がいたり、みんな何かの当事者だから大丈夫と思えた。
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最初の自己破産のエピソードがブッ刺さって、ほぼ一気読み。看取ること、家族でいること、いろんなことを考えさせられた。当事者だからこそ知りゆること、考えたこと、人生の先輩に教えてもらっている感覚を覚えました。 p.143 当時の母の孤軍奮闘ぶりを思い返す。父も父だが、母もなぜもっ...
最初の自己破産のエピソードがブッ刺さって、ほぼ一気読み。看取ること、家族でいること、いろんなことを考えさせられた。当事者だからこそ知りゆること、考えたこと、人生の先輩に教えてもらっている感覚を覚えました。 p.143 当時の母の孤軍奮闘ぶりを思い返す。父も父だが、母もなぜもっと適当に交わせなかったのだろうか。夫の愛情というより、それが自分に与えられた義務であるかのように、常にフルスロットルで夫の要求に応えようとしていた。 頑張りすぎる人は反動も大きい。彼女は、感情のコントロールも適当にはできず、我慢するだけ我慢して、限界まで来ると、張り詰めた糸がプツンと切れたように怒りを爆発させるということを繰り返した。 母に負のスイッチが入ると、彼女はほとんどパニック状態になる。泣きそうになりなが 5、自分の思い通りにならない苦しさを、子どもたちにぶつける。怒鳴り、叫び、手を上げる。普段の優しい母が豹変したように怒り狂う。本当によく叩かれた。 後年そのことを母に告げると、ほとんど覚えていないと断言し、なぜそんな嘘をつくのかと問われたが、わたしの思い込みではない証拠がある。 p.149 また、わたしにとって初潮とは「女」であることを決定づける忌むべきものでもあった。 そのまま誰にも告げず自分なりに処理をしていたが、三カ月ほど経った頃に母が生理用品を渡してきて、あれこれと教えてくれた。 p.152 西研『ルソー エミール 自分のために生き、みんなのために生きる』
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私たちが生きるということは「なにかの当事者」となること-。ローン地獄、児童虐待、性暴力、看取りなど、新聞の見出しとなるような「大文字の困りごと」を「自分事」として考える。『みんなのミシマガジン』連載を加筆修正。 まさか本当に自分が当事者としての著書とは思いもしませんでした。 著...
私たちが生きるということは「なにかの当事者」となること-。ローン地獄、児童虐待、性暴力、看取りなど、新聞の見出しとなるような「大文字の困りごと」を「自分事」として考える。『みんなのミシマガジン』連載を加筆修正。 まさか本当に自分が当事者としての著書とは思いもしませんでした。 著者繋がりで読んだもの。
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社会問題ものと思いきや、どちらかというとご両親との関係性を中心とした人生振り返りエッセイ的な内容でした。期待していた方向性とは違いましたが、さすがミシマ社さん、さすが著者さん、とても厚みのある内容でした。自分も、幼少期のことや亡くなった親とのあれこれなど思い出してしまいました。
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ご両親のこと、介護、看取り、お金のこと、ジェンダー、障がい、性暴力、肩書き、いろんな事象について自分事として考えて書かれたこの一冊は、何故か読めば読むほど、読んでいるはずのに、こちらの話を聞いてもらっているような気持ちになる。 読書中、行間から立ち上るのは、見て見ないフリをして...
ご両親のこと、介護、看取り、お金のこと、ジェンダー、障がい、性暴力、肩書き、いろんな事象について自分事として考えて書かれたこの一冊は、何故か読めば読むほど、読んでいるはずのに、こちらの話を聞いてもらっているような気持ちになる。 読書中、行間から立ち上るのは、見て見ないフリをしてきた感情、目を背けていた疑問、わざと蓋をしていた希望など、「あのね……」と誰にも話すことのなかった想い。それが何故だか湧き上がってくるのだ。 相手が大きく心を開いてくれると、こちらも安心して心を開くことができる。(逆もまた然り) 実生活でそういう経験をしたことがあるけれど、まさにこの本は、私にとって、そういう作用をしてくれている気がする。
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当事者にならないと分からない気持ちや事情があるな、と改めて考えた。おねしょや介護の話が特に印象に残る。青山さんの視点がとても優しくフェアで信頼できるなと感じた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おもしろかったです。雑誌?に連載されたエッセイをまとめたもののようです。 私は常日頃から、ニュースで見聞きする世の中の出来事を、「当事者意識をもって考えよう」と心がけてはいるが、かと言って世の中のために何かできるわけでもなく…なんとなくジレンマを抱えているので、タイトルに惹かれました。 それにしても、第1章の、自己破産しかけた話はけっこう衝撃。軽い気持ちでカードローンを組んで、借金が返せなくなり、「自己破産」の手続きをしようとしていたという著者の実話。え?ばかなの?って思った。それもちゃんと社会人(正社員)として働いていた26歳くらいのときの話。 で、その後フリーのライターとして、様々な社会問題について調べたり、多くの人の話を聞いたりして世の中のことを考えていく。26歳で安易に自己破産しようとしていた人でも(失礼)、大人になってからでもいくらでも成長できるのね、と思いながら読みました(←上から目線ですみません笑)。 扱っているテーマは、難聴、夜尿症、性暴力、介護、ワーキングプア、うつ、などなど。 どれも興味深かったけど、親の介護や看取りについての章と、不登校を出さない大阪の小学校の取り組みの章が特に興味深かったです。 この本で紹介されていた他の本も読んでみようと思います。
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「終末期鎮静」について初めて知りました。 そして知れて良かったとも思いました。 全体を通して、かなりご自分のことをさらけ出したエッセイです。他の著書も読んでみたいです。
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タイトルと表紙だけ見て、ゆるゆるなエッセイかなぁと何気なく読み始めたら、思いのほか切実な内容だったように感じた。 ぼんやり生きてる私でさえ、日常の中に転がってる困りごとや問題をどう捉えるのか少なからず考えさせられた。
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見てそれとわかる障がいをもつ方、大きな事件や社会問題の関係者ーそういった新聞の見出しになるような大文字の「当事者」ではなくて、誰もが何らかの“当事者”を生きているのではないか?生きること=何らかの当事者となることなのではないか?そんな問題提起をしてくれた本。 著者の青山ゆみこさ...
見てそれとわかる障がいをもつ方、大きな事件や社会問題の関係者ーそういった新聞の見出しになるような大文字の「当事者」ではなくて、誰もが何らかの“当事者”を生きているのではないか?生きること=何らかの当事者となることなのではないか?そんな問題提起をしてくれた本。 著者の青山ゆみこさんが、ご自身の赤裸々すぎる体験談から、エッセイ調で書かれた文章が読みやすく、身近な例から「自分事」として向き合うヒントに溢れた内容だった。特に、両親の介護や死については、今は遠い出来事に感じられても、いつか必ず直面する事として考えさせられた。 「こんなこと、みんな我慢していることだから…」と自分の小さな生きづらさに蓋をしない。そして、様々な立場の人の言葉に耳を傾け、“ケーススタディ”を蓄積していく。そんな自分の中の小さな“当事者の種”を守り育てていくことが、豊かな人生、ひいては誰にとっても優しい社会の実現への一歩になるのではないか。大袈裟かもしれないけれど、そんな風に思った。 たやすいことではないけれど、いつも想像力をはたらかせられる人でいたい。そんなことを考えさせられた一冊。読んで良かった。
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