海の地政学 の商品レビュー
大航海時代のスペイン・ポルトガルから、オランダ・イギリス~イギリス~アメリカと移り変わる覇権争いを分かりやすく説明してくれる一冊。 途中の章で捕鯨が出てきて捕鯨?と思ったが、石炭から石油にエネルギーの主役が交替する間に鯨油の時代があったのだな。 扱っているテーマの幅が広く、公海や...
大航海時代のスペイン・ポルトガルから、オランダ・イギリス~イギリス~アメリカと移り変わる覇権争いを分かりやすく説明してくれる一冊。 途中の章で捕鯨が出てきて捕鯨?と思ったが、石炭から石油にエネルギーの主役が交替する間に鯨油の時代があったのだな。 扱っているテーマの幅が広く、公海や領海の定義の移り変わりや国連海洋法条約の位置付けなどが分かりやすく説明されている。
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・思った以上に扱うテーマが幅広い。イギリス→アメリカ→中国→日本。 ・それでいて、歴史の流れに沿って話が展開されていくから文脈が掴みやすくて読みやすい。 ・領海や排他的経済水域の広さを国際的に定めるくだり、利害関係の調整っぷりがおもしろかった。意外と最近できたルールなのね。
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読み易い。 戦時中の日本商船の被害は知らなかった。あと中国の南沙諸島進出が米国のフィリピン撤退が契機だったことも。
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著者は本書の狙いを「大国がデザインした海洋秩序や海洋政策を時系列で整理し把握すること」としており、海洋覇権国家の変遷がよくわかる秀逸な新書だと思う。特に第2章、第3章の米国が海洋覇権を掌握していく過程が興味深かった。また英国が海洋覇権制覇のために築き上げたものが英連邦の原点である...
著者は本書の狙いを「大国がデザインした海洋秩序や海洋政策を時系列で整理し把握すること」としており、海洋覇権国家の変遷がよくわかる秀逸な新書だと思う。特に第2章、第3章の米国が海洋覇権を掌握していく過程が興味深かった。また英国が海洋覇権制覇のために築き上げたものが英連邦の原点であることもわかった。そして日露戦争の背後に英国の戦略があったことを知り、現在ウクライナの背後で米英がロシアの弱体化を狙って画策していることと同じ図式にも思える。そして中国による傍若無人な海洋進出が既成事実化していくことに強い懸念を感じ、日本としてはシーパワー国家として、米国、英国、豪州などと協力して、自由で開かれた太平洋、インド洋の維持に向けての貢献を果たすべきであり、貿易国家としての責務があると考える。
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大航海時代の状況から海洋における地政学をベースに歴史を学ぶことができる。 各要衝における各国の覇権争い、イギリス、アメリカと海洋覇権国家の変遷などが分かる。 また、国際ルール制定までの経緯、背景を学べる。 近年の中国の動向も一通り学ぶことができる。 新書故内容が圧縮されており、膨...
大航海時代の状況から海洋における地政学をベースに歴史を学ぶことができる。 各要衝における各国の覇権争い、イギリス、アメリカと海洋覇権国家の変遷などが分かる。 また、国際ルール制定までの経緯、背景を学べる。 近年の中国の動向も一通り学ぶことができる。 新書故内容が圧縮されており、膨大な資料分析がなされていると思われもう少し詳細を知りたいと思った。
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スエズ運河で船が座礁した時にラジオに著者がゲスト主演して、その話が面白かったので読んでみた。 大英帝国がどうやって世界の海を支配していったか、クジラを求めて黒船は日本に開国を迫ったかとか、セオドア・ルーズベルト大統領の戦略、領海や公海というアイデア等海を中心とした覇権の歴史。 ...
スエズ運河で船が座礁した時にラジオに著者がゲスト主演して、その話が面白かったので読んでみた。 大英帝国がどうやって世界の海を支配していったか、クジラを求めて黒船は日本に開国を迫ったかとか、セオドア・ルーズベルト大統領の戦略、領海や公海というアイデア等海を中心とした覇権の歴史。 とても面白かった。19世紀に英国は世界中に海底ケーブルを張り巡らせていたのには驚いた。
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海洋地政学なんて全く興味がなかったけども、ラジオでいさみさんのお話を耳にして(スエズ運河に関してのコメント)、わかりやすい上に大変面白い内容だったため、そこで紹介されていた本書を購入。 結果大当たりで、内容に引き込まれてあっという間に読了してしまった。 海洋の歴史を振り返る序盤...
海洋地政学なんて全く興味がなかったけども、ラジオでいさみさんのお話を耳にして(スエズ運河に関してのコメント)、わかりやすい上に大変面白い内容だったため、そこで紹介されていた本書を購入。 結果大当たりで、内容に引き込まれてあっという間に読了してしまった。 海洋の歴史を振り返る序盤は楽しく拝読していたけれど、海洋覇権を目指して中国が台頭してくると、不安な気持ちになってしまった。 国際ルール対中国ルールの鍔迫り合いが起こらないように、国際法の必要性と正当性を広く世界と共有し確認し続けなければならないことがよく理解できた。 国防費や基地についても別な視点が持てるようになり、日々目にするニュースも理解度が深まったように思う。 他にもいさみさんの著書や参考にされていた文献など読んでみたい。
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シーパワーバランスが崩れようとしている。中国の台頭だ。 イギリスやアメリカが都合のいいようにきまりを作り、海を制してきた。今度はそれを中国がやろうとしている。 アメリカが名指しで中国を敵視した。これからどうなっていくのか。 アメリカ単独では中国には勝てまい。同盟国らを巻き込む必要...
シーパワーバランスが崩れようとしている。中国の台頭だ。 イギリスやアメリカが都合のいいようにきまりを作り、海を制してきた。今度はそれを中国がやろうとしている。 アメリカが名指しで中国を敵視した。これからどうなっていくのか。 アメリカ単独では中国には勝てまい。同盟国らを巻き込む必要がある。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルどおり、海上覇権を英・米が握ってきた歴史を時系列でおさらい。米が捕鯨から世界に乗り出すようになった事情、英から米へ覇権が移っていく過程などが、時系列でよく整理され、一般読者向きで、とてもわかりやすかった。 後半は、海洋ルール形成の顛末、国際ルールに挑戦する中国がやっていること、日本の海保の事情などと現在へつながってくる。 本書を読んで、 過去の流れからポイントをつかみ、現状ニュースで良く見る中国発の海上でのせめぎあいの背景を理解できる基礎知識を得られてよかった。 印象的だった点: 海洋ルールとは、歴史的に強国が決めたことが国際ルールになってきたことを改めて実感した。 結構、強国が自国に有利なことを手前勝手に決めてきたわけで、それを神聖なものと有難がるのは、あくまで国際的に支持されている状況と、その違反を防止する力がある、という条件を備えていなくてはいけない。 驚いたのは、国連の海洋条約をアメリカが批准していないこと! 理由は強国が途上国の深海資源を開発して何が悪い という、手前勝手なもの。 すると、中国が手前勝手な法律を制定し、国際社会に通告してきても、中国側に立ってみれば妥当ということになるではないか。だってアメリカだって勝手なこと言ってんじゃん……強国がルールを作れるんだよねえ、となる。 中国のやってることを、日本人は国際ルールに照らせば明らかにおかしい、と嘲笑う論調を良く見かけるけど、正しい主張がまっすぐ通るわけではない。 中国のやり方は力押しだけでなく、イメージ戦略やそのうち国際社会に黙認させてしまう既成事実つくりなど高度になっている。 最後の章は、海上ルールの順守は海軍によって担保されてきたが、現在は日本の海保が強化されているように、軍と別の組織が担うのが主流になっているとのこと。海保の手に負えない場合は海自に出動要請という流れらしい。 このあたり、微妙だと思った。海保はあくまでも軍隊ではないので、海自がどの時点で出動してくるのかなど難しいものがある。
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地球表面積の7割を占める海洋の国際的利用はここ4百年の歴史です。大航海時代に始まり、捕鯨業の発達、アメリカの海洋覇権の確立と歴史を辿り、海洋秩序のルールづくりが模索されるのは20世紀も後半になってからのことです。そして、それはアメリカを秩序に組み入れる交渉史そのものでした。今、中...
地球表面積の7割を占める海洋の国際的利用はここ4百年の歴史です。大航海時代に始まり、捕鯨業の発達、アメリカの海洋覇権の確立と歴史を辿り、海洋秩序のルールづくりが模索されるのは20世紀も後半になってからのことです。そして、それはアメリカを秩序に組み入れる交渉史そのものでした。今、中国は南シナ海・東シナ海で覇権を確立しようとしており、海洋秩序に挑戦している状況です。戦争をしないで領土を収奪する手法を開発した中国は、尖閣を含む南西諸島をサラミスライス&キャベツ戦略で手中に納めようとしており、一切ためらいはありません。中国サイドを論じる第5章の緊迫感に続く、日本サイドを論じた第6章が心許ない。
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