遠い唇 の商品レビュー
バラエティに富んだ謎解き短篇集。 短いながらも印象に残る話が多い。 表題作は苦いような切ないような気分になった。 無性にコーヒーが飲みたくなる。 特に気に入った作品は、しりとり。 すごく良い。この17文字は刺さった。 何度でも読みたくなる。 宇宙人が名著を読む「解釈」は発想が面白...
バラエティに富んだ謎解き短篇集。 短いながらも印象に残る話が多い。 表題作は苦いような切ないような気分になった。 無性にコーヒーが飲みたくなる。 特に気に入った作品は、しりとり。 すごく良い。この17文字は刺さった。 何度でも読みたくなる。 宇宙人が名著を読む「解釈」は発想が面白い。 そう読んじゃいますか、と笑いたくなる。 なかなか楽しい短篇集だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ファン、と自称して良い程度には北村作品を読んできたはずなのですが、表題作と「太宰治の辞書」の繋がりに気が付くことが出来せんでした。お恥ずかしい。 が、さすがにこれは即座に気が付きました。「冬のオペラ」の名探偵コンビ、久方ぶりの登場です。「鼻先がつんとする。それほど胸に迫って懐かしい」いやいや、それはこちらのセリフです。永く読者をやっていて本当に良かったです。 読者と等しく作品世界にも時間が流れている、という枠組みは「太宰治の辞書」と同一ですが、18年という歳月は巫名探偵にとって全く残酷で、その活躍の余地はますます狭まってしまいました。IT化がトレンディドラマを絶滅させた、とはよく言われますが、嗚呼、推理小説もまた同じ道を辿るのでしょうか。 インターネット怖い、と身震いするばかりですが、同時所収の「解釈」でネット書評を「叩かれない蚊が調子に乗って刺しまくる」断じているのもなんだか象徴的です。
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姫宮さんの経た月日に自分も重なる事を知る冒頭に、北村さんの本に出逢った高校時代を思い起こし、巫さんに再びお会い出来たことが胸に迫る。 そして『続・二銭銅貨』、すごい…。 華奢ながらも切れ味鋭い刃物で、スッと抵抗値低く刃を通して行く味わい。しかしそこが無機質にならず充分情緒なんだな...
姫宮さんの経た月日に自分も重なる事を知る冒頭に、北村さんの本に出逢った高校時代を思い起こし、巫さんに再びお会い出来たことが胸に迫る。 そして『続・二銭銅貨』、すごい…。 華奢ながらも切れ味鋭い刃物で、スッと抵抗値低く刃を通して行く味わい。しかしそこが無機質にならず充分情緒なんだな。
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北村薫のミステリ短編集 日常の謎を中心に今回も切れのある短編が並びますが・・・ 最後の作品で十数年振り(数十年振り?)に名探偵:巫弓彦に逢えるとは!しかも語り部として、ちゃんと姫宮あゆみまで・・・ さすがは北村薫!恐るべし(^_^;)大満足の一冊でした。
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目次 ・遠い唇 ・しりとり ・パトラッシュ ・解釈 ・続・二銭銅貨 ・ゴースト ・ビスケット 7篇の短篇それぞれが違う味わいのものだったので、がっつりミステリを期待して読んだら少し思惑から外れてしまった。 ミステリ色が強いのは「続・二銭銅貨」と「ビスケット」 特に「ビスケット」は、この中では長めの作品で、読みごたえがあった。 作者が好んで描く《名探偵》とは、論理というより、常人の持たないひらめきによって真相に到達するもの。 いわゆる天才型の名探偵ですね。 今はネットで検索すれば、名探偵の持つ知識は後付けで補完できるのかもしれないけれど、やはり無関係に見えるものを瞬時につなぐセンスがなければ、ただのこじつけになってしまう。 説得力のあるセンスが、名探偵の魅力なのではと思ったり。 「続・二銭銅貨」は、作者の江戸川乱歩への愛情とリスペクトあふれる作品。 なるほどこれが真相か、と納得してしまう。 面白かったのは「解釈」。 宇宙人の夏目漱石と太宰治と川上弘美作品を解釈する、頓珍漢ぶり。 これはグーグル翻訳の頓珍漢に通じるものがある。 言葉の意味だけを翻訳しても、文章としての意味が伝わるとは限らない。 その背景にある文化を理解しないと伝わらない。 そして表題作が、いいんだなあ。 あの時の思いを今さら知ったところでどうにもならない。 それでも…と思ってしまう切なさの余韻。
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相変わらず知性が薫る小品たちでした。 これだけ作者の書き分ける個性を 一冊に詰め合わせると どの作品群が自分に合うのか 北村薫作品を読み始める方々への よい指標になりそうですね。
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北村薫の遠い唇を読みました。 謎解きをテーマにした短編集でした。 感想としては、いまひとつ心に残る短編がなかったのが残念でした。
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珈琲欲る夜は、短編集が似合うと思いませんか?(誰) というわけで、珈琲を飲みながら、雨の音をBGMに、本作を読了。 一編一編の文章量。 各話の謎に漂う文系インテリジェンス。 登場人物のバックボーンと心の機微を想像させる小粋なセンテンス。 うーん。 最&高。 相変わらず血ほと...
珈琲欲る夜は、短編集が似合うと思いませんか?(誰) というわけで、珈琲を飲みながら、雨の音をBGMに、本作を読了。 一編一編の文章量。 各話の謎に漂う文系インテリジェンス。 登場人物のバックボーンと心の機微を想像させる小粋なセンテンス。 うーん。 最&高。 相変わらず血ほとばしり肉××××××(伏せ字)な本格物が大好きな私ですが、こういうのが読みたい日もあるんですよね〜(レア)。 自分でまとめた内容(頑張った) 学生時代、ほのかに憧れていたショートカットの美しい先輩から届いた葉書。そこに書かれていた、アルファベットの羅列の意味とは(遠い唇)。 俳句を嗜む女性に、彼女の夫が死の直前に送った余白のある俳句。空いたスペースに和菓子を置いて、「この意味がわかるか?」といたずらっぽく笑って逝った彼のメッセージ(しりとり)。 とある平凡な家族が、書店で何気なく手に取った3冊の本。それらはある空間へと「転送」され、奇妙な「解釈」をされることになり、、(解釈)。 #実は一番面白かったのは、収録作品の中では変化球だった本作でした笑 江戸川乱歩のデビュー作、二銭銅貨。創作のヒントとなる体験を話してくれた知人に、乱歩は時を経て改めて問い質す。「君のあの話は、友達との知的闘争などではなく、君は実際に大金を手にしたのではないか?」(続・二銭銅貨) 高名な学者でありミステリ作家でもある学者が、トークショー直前に何者かに撲殺された。彼の右手は、人さし指・中指・薬指が三本ぴったり付いて、親指と小指は左右に開かれるという奇妙な格好になっていた(ビスケット)。
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