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失われた時を求めて(14) の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2024/08/10

立教大学のイベント『新訳でプルーストを読破する』を機に、井上究一郎訳の第5巻から横滑りして読みはじめた本書だが、何とか読み終えることができてほっとしている。 これでやっと種々のプルースト関連本を手に取ることが出来るようになったし、最近気になっているプルーストとヌーヴォー・ロマンと...

立教大学のイベント『新訳でプルーストを読破する』を機に、井上究一郎訳の第5巻から横滑りして読みはじめた本書だが、何とか読み終えることができてほっとしている。 これでやっと種々のプルースト関連本を手に取ることが出来るようになったし、最近気になっているプルーストとヌーヴォー・ロマンとの関係性についても、追いかける足掛かりができた。 立教大学のイベントが終わってはじめて読書のスイッチが入ったところなど、夏休みが終わってはじめて宿題に取り組んでいた小学校の頃のようだ。 まったく愚図は死んでも治らない! 「私」は、時が人々の上に老いを刻印していくのを観察する。 時は残酷だ。下手くそな絵描きのように時間をかけて、匂うがごとき乙女を白髪の老婆に変えてしまう。 あのオデットさえも、その悪意ある絵筆から逃れられない。 『聞こえてくるのはこんな発言ばかりだった、「フォルシュヴィル夫人に私がだれだかわかるのか怪しいものだ。あらためて紹介してもらわなくてはならないかもしれん。」『なあに、そんなこと、する必要もない」と相手は大声で答え、それがジルベルトの母親に筒抜けであることなど、考えもしない(考えもしないか、聞こえようとお構いなしなのだ。)「それは無用。紹介してもらってもちっとも楽しくないですから!あれは隅に置いておけばいいんです、少々ぼけてますからね。」(第七編 「見出された時」Ⅱ) かつては日傘のかげで、眩しいほどに輝いていた藤色のオーブも、時の悪意の前では手も足も出ない。 これもまた、「見出された時」だ。 もし、スワンが生きていたなら、今のオデットの姿を見て何を思っただろうか? 人は、見たいものしか見ず、聞きたいことしか聞かない。 常に自分自身の幻想の中で生きている。 だとすれば、目の前の老いさらばえたオデットの中に、彼女が「花咲く乙女たち」の一人だった頃の幻影を見出すことも、スワンになら出来たのではないだろうか?

Posted byブクログ

2020/04/24

ほんの”一世代”で社会はすっかり変わってしまうことを、社交界を舞台に暴露する。 ”永続化”なんて詭弁だ、ということが身震いするように迫ってきた。 「私の書物は、コンブレーのメガネ屋が客に差し出すレンズと同じく一種の拡大鏡にすぎず、私はその人たちに私の書物という自分自身を読むため...

ほんの”一世代”で社会はすっかり変わってしまうことを、社交界を舞台に暴露する。 ”永続化”なんて詭弁だ、ということが身震いするように迫ってきた。 「私の書物は、コンブレーのメガネ屋が客に差し出すレンズと同じく一種の拡大鏡にすぎず、私はその人たちに私の書物という自分自身を読むための手立てを提供しているにすぎないからだ。」ーーまさしくこの一文そのものの経験を私はした。 時を描く。この途方もない作品を読み終え、なんとすごいものに触れていたのか、私はおののく。とともに、生まれてきて、生き抜いてきて良かったと思う。自分の人生をかみしめられる、生きていてきた時をかみしめられる。そんな瞬間がこれまであっただろうか。この作品は、読む者が読む度に「生」の本質に触れられる、枯れることのない泉だ。 この作品をすぐれた日本語で読めるものとしてくださった吉川一義先生に感謝しかない。

Posted byブクログ

2020/04/18
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※このレビューにはネタバレを含みます

岩波文庫吉川一義先生訳読了。大団円。 どこからでも、何回でも読める稀有な小説。 好きすぎる。 光文社古典新訳文庫高遠弘美先生訳と並行して読んでた日々もありましたが、こちらが先にゴール。

Posted byブクログ

2020/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

岩波文庫版の最終巻。 とうとう完結した……長かった……(古典新訳文庫版は止まっているようだが)。全部追いかけた読者のひとりとしては、妙な達成感があるw それにしても、これだけ長い小説を、ワープロも無い時代に書いたプルーストって、考えてみれば凄いよなぁ。

Posted byブクログ