僕のなかの壊れていない部分 の商品レビュー
ずっともやもやしながら読んだ、彼の「壊れていない部分」って何だろうと。 窪真澄さんの解説文に書いてあるように、自分からはほど遠い人間の話だと思ったけど共感してしまえる部分もあって、衝撃を受けた本だった。
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りかに買ってもらった本。 主人公の高慢さと自己中心的な態度に辟易とするが、それが彼における自己なのであり、こちらからの見方は一義的なものでしかないということを気付かされる。死生観や他人との関わり方など、興味深い内容が多く再読したい作品である。
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一貫して癪に障る主人公だったが自分の壊れている部分を肯定してくれている存在のようで、無性に安心した。壊れている部分は誰しもが持っている。持っていていい。 彼には安心して帰れる場所が必要な気がする。幸せになっていいんだよと言ってあげたい。そして幸せになってほしい。主人公の人生を反...
一貫して癪に障る主人公だったが自分の壊れている部分を肯定してくれている存在のようで、無性に安心した。壊れている部分は誰しもが持っている。持っていていい。 彼には安心して帰れる場所が必要な気がする。幸せになっていいんだよと言ってあげたい。そして幸せになってほしい。主人公の人生を反面教師に、私は壊れている部分を持ちながらも楽しい人生を送りたいと思った。
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作者は本当に頭のいい、博識な方なんだと素直に尊敬しました。 それを踏まえての個人的感想ですが、 自分が女だからなのか、女性たちの立場で読んでいることもあり、 自分が主人公と付き合っている立場だったら平手うちじゃすまないなぁというレベルの苛立ちを感じました。笑 自分の話していることを理屈でねじ伏せられる感じ、すごく覚えがあります笑 オチもなんとも言えない感じでしたが、主人公が幸せになれるのは、 他人の言っていること、ひいては他人の存在を受け入れられるようになった時なんだろうなと思いました。 自我が芽生えて、多少の知識がついてきた子供のような主人公で、子供のまま大人になってしまった感じがすごく伝わってきて、ここまで極端な人間はいないにしろ、これに近い人はいるなぁと。笑
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主人公の僕のような人は多分この世にいる。彼の一部なら私の中にもあるし、枝里子のような部分も確かに私の中にある。 彼は救われることを望んでいないのかもしれないけど、多分そう言うんだろうけど、それなら、こういう類の人間は、人に近付かない方が良いんじゃないかと常々思う。 交際を続けていたら、相手の両親に挨拶に行くタイミングが訪れることもある。 自分勝手に連絡を途絶えさせたり、相手のことを考えない振る舞いをしたり…相手が枝里子でなかったら続かない。 僕の気持ちは分かる。何を怖れているかも分かるけど…人間をうまくやれないことと、自分の行動で起こした現実の責任を取らないこととは違う。 枝里子以外にも女性と関係を持っておいて、結局社会的な立場が何も脅かされないのは、僕にとっても良くなかったんじゃないかな。 けれど、かあちゃんのことを思って素直に泣くこともできないこの人のことは、やはり哀れに思ったし、彼が生きていく上で、彼が存在を強く求められていると感じるような場面があればいいと思いました。 けれどそんなものは彼でなくても、誰でも欲しているものではないかと思います。 だからこれは特殊な癖や、驚異的な記憶力なんてものを持つ人の特別な物語ではないのだと思います。
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「生きる」こととは「死」とはについて考えさせられる一冊だった。 人間、誰しもが言えない過去を抱えておりどうにかしてそれに対峙し、向き合いながら生きている。 そんな事を気づかせてくれる。 そして何より「一つぐらい壊れててもいいじゃないか」とそれこそが人間であり個性だと教えてくれてい...
「生きる」こととは「死」とはについて考えさせられる一冊だった。 人間、誰しもが言えない過去を抱えておりどうにかしてそれに対峙し、向き合いながら生きている。 そんな事を気づかせてくれる。 そして何より「一つぐらい壊れててもいいじゃないか」とそれこそが人間であり個性だと教えてくれている気がする
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久々に「白石一文の世界」にどっぷり浸る。のっけから主人公が繰り出す思索開陳のビッグウェーブ。良い意味で相も変わらず濃厚な展開で、ページを繰る途中に何度も本を閉じ、深呼吸するほど。まぁ、これが白石一文ワールドというか真骨頂。ファンとしては、しばしその世界に浸れる安堵と喜びを抱きつつ...
久々に「白石一文の世界」にどっぷり浸る。のっけから主人公が繰り出す思索開陳のビッグウェーブ。良い意味で相も変わらず濃厚な展開で、ページを繰る途中に何度も本を閉じ、深呼吸するほど。まぁ、これが白石一文ワールドというか真骨頂。ファンとしては、しばしその世界に浸れる安堵と喜びを抱きつつも、脳髄は痺れるというアンビバレンツな読書タイムを味わえる稀有な作家。まぁ、とにかく圧倒的な情報量を包含した骨太の小説を編まれます。 さて、本書。主人公は東大法学部出身、大手出版社勤務、高収入の30代独身男性。境遇のまったく異なる三人の女性と関わりを持ちながら、いずれも一定の距離を置いた関係を続けている。彼女らに向ける言葉は終始理屈っぽく他虐的で粘着性が強い。また、このエリートが語る仕事感・恋愛感・死生観は高慢で鼻持ちならず、正直言って感情移入しずらく、到底好きにはなれないタイプ。 にもかかわらず、徐々に当初より抱いていた嫌悪感は薄らぎ、主人公の思考・思索・振る舞いに同調とまでにはいかないが関心を寄せるようになっていくから不思議。この“やな奴”の「僕の中の壊れていない部分」が、はたしてどこなのかを見つけたくて一途にページを繰ってしまう。もう、その段階で著者の術中にまんまとはまってしまってるわけですな。 本書の後半に、その核心となる「なぜ自分がこんな人間になったのか」を坦懐するシーンがある。人は大なり小なり何かしらの「マグマ」を抱えている。コンプレックスや出自に根差すやり場のない燻り続けている感情、憤怒や復讐といった高熱を放っているものまで、それは様々。 そのマグマが、時に人を攻撃的に、冷徹に、シニカルに、またその一方で路傍の名も無い花を愛でる繊細な優しさや死をも厭わない犠牲心や包容力を有していたりする。 「落語は人間の業の肯定である」と喝破したのは談志。いうまでもなく文学も然り。太宰なんてその権化。 業をカルマと呼ぶが、「カルマ」と「マグマ」。 いずれも沈潜し、脈動し、得体の知れない不気味さを保有しつつ、存在の在り処をちらつかせる。理性は万能ではない。理性が制御する範囲は一部分である。人間は不条理で不合理な生き物であるってことをあらためて思わされ、またそれを自覚すべきであることを思いしらされた一冊。
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なんてつまらない人生なのだろう、と思う。 自ら楽しもうともせず、 理屈ばかり捏ねて、 差し伸べられる手を拒絶してばかりで。 けれど、何故か彼の生き方を完全に否定することはできないし、 他人事には思えないでもいる。 ただ一つの自分の居場所、 たった一人の運命の人、 ただ一度きりの...
なんてつまらない人生なのだろう、と思う。 自ら楽しもうともせず、 理屈ばかり捏ねて、 差し伸べられる手を拒絶してばかりで。 けれど、何故か彼の生き方を完全に否定することはできないし、 他人事には思えないでもいる。 ただ一つの自分の居場所、 たった一人の運命の人、 ただ一度きりの自分の人生。 それらを探し続ける白石一文の冒険は、 きっとここから始まったのだろう。
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【三人の女性と関係を持つ「僕」の絶望――名著再刊!】東大卒の秀才・出版社勤務の「僕」はどんな女性とも深い繋がりを結ばない。驚異的な記憶力に秘められた理由とは。ロングセラー長編。
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