希望の図書館 の商品レビュー
図書館に入る時の、ちょっとした緊張感と心弾む気持ちに今でもあります。 建物の雰囲気、空気、匂い・・・大好きな場所。 ラングストンが初めて図書館に足を踏み入れた時の気持ちが丁寧に描かれている。 ラングストンの置かれている状況を考えると、胸が熱くなる。 母を亡くし、故郷のアラバマを...
図書館に入る時の、ちょっとした緊張感と心弾む気持ちに今でもあります。 建物の雰囲気、空気、匂い・・・大好きな場所。 ラングストンが初めて図書館に足を踏み入れた時の気持ちが丁寧に描かれている。 ラングストンの置かれている状況を考えると、胸が熱くなる。 母を亡くし、故郷のアラバマを離れ父親とシカゴに来たが、馴染めない。 同級生からのいじめを受け、大好きなおばあちゃんにも会えず、余裕のない父親との二人暮らしに、ラングストンの悲しみと喪失感がヒシヒシと伝わってくる。 と同時に、アメリカの黒人差別の歴史も伝わってくる。 ラングストンが出会ったのが、詩人ラングストン・ヒューズ 「ハーレム・ルネサンス」の代表的存在によって書かれた詩集だという点も象徴的だ。 図書館で本と出会ったラングストンは、本を通して隣人の良さを見つけ、友達も見つけ、希望を見つけた。 図書館から未来に開かれていく、まさに「希望の図書館」。
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アラバマからシカゴへ、お母さんが亡くなった後にお父さんと引っ越したラングストン少年を主人公に物語は展開します。 戦後のアメリカ北部、南部から大量の貧しい黒人が希望を胸に移り住みました。 都会の暮らしになかなか馴染めないラングストンは、黒人でも利用できる図書館を見つけて衝撃を受けま...
アラバマからシカゴへ、お母さんが亡くなった後にお父さんと引っ越したラングストン少年を主人公に物語は展開します。 戦後のアメリカ北部、南部から大量の貧しい黒人が希望を胸に移り住みました。 都会の暮らしになかなか馴染めないラングストンは、黒人でも利用できる図書館を見つけて衝撃を受けます。 彼は図書館と本を糧に上手く暮らしていけるでしょうか…。 黒人の厳しい生き様と共に、心温まる内容も詰まっている一冊。
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ラングストンは、父さんと二人、シカゴにやってきた。亡くなった母さんとの思い出の土地を離れて。いじめっこから逃れて知らない道に出たラングストンは、図書館をみつける。しかもこの図書館は、黒人にも本を貸してくれるという。本を読むことを嫌う父さんに見つからないようにしながら、読書にのめり...
ラングストンは、父さんと二人、シカゴにやってきた。亡くなった母さんとの思い出の土地を離れて。いじめっこから逃れて知らない道に出たラングストンは、図書館をみつける。しかもこの図書館は、黒人にも本を貸してくれるという。本を読むことを嫌う父さんに見つからないようにしながら、読書にのめりこむラングストンだったが、ある日いじめっこに本を破られて…。 図書館と本が人にとってどれほどの力になるのか、心に響く物語。
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誰もが使える図書館。 それが驚きの対象となってしまう時代。 でも今これを読む人にとって、そんな時代があったことが常識外れの驚くべきことだと認識されているのならば、今の図書館は役割を果たしているのだろう。 でも実際、「図書館なんて私には縁の無いもの」と考えている人は、今もたくさんい...
誰もが使える図書館。 それが驚きの対象となってしまう時代。 でも今これを読む人にとって、そんな時代があったことが常識外れの驚くべきことだと認識されているのならば、今の図書館は役割を果たしているのだろう。 でも実際、「図書館なんて私には縁の無いもの」と考えている人は、今もたくさんいるように思う。 この物語で登場する本の多くは、詩の本だ。 言葉を直接記し、語り掛ける詩は、そのまま読み手の言葉となる。 表現する言葉を持たなかった読み手に、言葉を与える。 そして言葉は、そのまま考えに繋がる。 自分の言葉、自分の考えを持つきっかけに繋がる。
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訳者あとがきにもある通り、五感を刺激するような描写が魅力的だった。特に、冒頭部でアラバマの赤土について思い起こす場面と、図書館に足を踏み入れた場面の描写が印象に残っている。心をつかまれ、ぐっと引き込まれるかんじ。 家族の死、学校での孤立、というつらい現実のなかで生きる少年が、図書...
訳者あとがきにもある通り、五感を刺激するような描写が魅力的だった。特に、冒頭部でアラバマの赤土について思い起こす場面と、図書館に足を踏み入れた場面の描写が印象に残っている。心をつかまれ、ぐっと引き込まれるかんじ。 家族の死、学校での孤立、というつらい現実のなかで生きる少年が、図書館という支えになる場所を見つけ、少しずつ少しずつ前へ進んでいくようすにじんとくる。誰にも話したくない自分だけの世界だったものが、次第に誰かと共有していくものに変化していく過程も興味深い。
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タイトル、酒井駒子のカバー&本文挿画、辻村深月の帯文だけでも「買い」な一冊。 オリジナルタイトルは「FINDING LANGSTON」、ラングストンというのは主人公の黒人の少年の名前。
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