どこにでもあるどこかになる前に。 の商品レビュー
夢破れて地元富山に戻る事になった著者。そこで繋がったアク強めな街の人々とのご縁。著者の丹念な取材は、”侘しくて、素っ頓狂で、珍奇で、毒々しくて、美しいまでにグチャグチャ”な富山の魅力を直球で伝えてくれる。郷土愛が爆発している。「大部分を」面白おかしく読んでしまった。
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富山から東京での6年を経て、富山へ"都落ち"した著者による、富山と、そこで出会った人や場所にまつわるエッセイ。"何者にもなれなかった"としてもその人にはその人固有の物語があるのと同じように、"どこにでもある"ように見える...
富山から東京での6年を経て、富山へ"都落ち"した著者による、富山と、そこで出会った人や場所にまつわるエッセイ。"何者にもなれなかった"としてもその人にはその人固有の物語があるのと同じように、"どこにでもある"ように見える風景の中にもそこにしかない物語がひそんでいるものだ。それを書き出そうとする著者の正直かつ真摯な視線が心地良くもある一冊。
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富山に行くバスの中で読む。とてもよかった。自身の中の葛藤と、手放しで喜べないまちの「開発」がぐつぐつに煮込まれて渾然一体となっていた。まちづくりって何だろう?それは誰のため?と立ち止まって考えさせられる。 新しくてぴかぴかな図書館・美術館が目当てだったけど、作中に出てきた古本ブッ...
富山に行くバスの中で読む。とてもよかった。自身の中の葛藤と、手放しで喜べないまちの「開発」がぐつぐつに煮込まれて渾然一体となっていた。まちづくりって何だろう?それは誰のため?と立ち止まって考えさせられる。 新しくてぴかぴかな図書館・美術館が目当てだったけど、作中に出てきた古本ブックエンドにも行って、藤井さんのミニコミを買った。
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「ライターさんならなおさら響くものがあると思います」と行きつけの本屋さんですすめられた本。 まずはどうして写真入りにしなかったの!!とまず同業者として怒りを覚える。 予算?予算なの????装丁にかける金はあったんでしょう???だったらもうちょっと中に写真を入れてよ! ……と富...
「ライターさんならなおさら響くものがあると思います」と行きつけの本屋さんですすめられた本。 まずはどうして写真入りにしなかったの!!とまず同業者として怒りを覚える。 予算?予算なの????装丁にかける金はあったんでしょう???だったらもうちょっと中に写真を入れてよ! ……と富山を知らない私は思った。 「東京でひと花咲かせられなかった自分」への後悔が最後の最後までにじみまくっている往生際の悪さに人間味を感じざるを得なかった。 やや独りよがりの文章はクセがあるけれど、この人が語る富山には田舎ならではのムラ感があることと、そこに生きる葛藤を抱えつつ生きる人間ドラマがさりげなくさしこまれ(しんみりしない程度に、それもわざとだと同業者だとわかっている)よかったと思う。 星2つにしたのは、 ・まず富山の魅力を語るフォトエッセーを出しやがれこの野郎 という思いと、 ・もうちょっとサブカル臭を押さえて読者を置いてきぼりにするな というアドバイスである。 何様?社畜ライター様でした(次号では、写真はマジで入れてください。ほんとに。)
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福井で生まれ、金沢で育ち、大学、大学院で6年間京都にいて就職で富山に来た自分にはすごく刺さった。なんでまた北陸なんかに戻らなきゃいけないんやと未だに思ってしまってる自分。自分も同様にミニシアターや文化的な事に興味があるのに普通に過ごしていると富山では感じられない歯痒さ。その悶々と...
福井で生まれ、金沢で育ち、大学、大学院で6年間京都にいて就職で富山に来た自分にはすごく刺さった。なんでまた北陸なんかに戻らなきゃいけないんやと未だに思ってしまってる自分。自分も同様にミニシアターや文化的な事に興味があるのに普通に過ごしていると富山では感じられない歯痒さ。その悶々とした気持ちが代弁されている。読んだところで解決にはならなかったけど同じような気持ちの人もいると思えて嬉しかった、日本海食堂行ってみたかったなあ
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コンパクトシティ再開発に北陸新幹線の開通。一見、開かれた町となった富山市だけど失われつつある郷愁と相変わらずはびこる閉塞感のなかで第二の青春を謳歌するUターン者(自称:都落ち・独身・アラサー女)のド・ローカルな日常を綴った本。 登場人物が濃ゆい濃ゆい。 筆者の語気荒めな語り口...
コンパクトシティ再開発に北陸新幹線の開通。一見、開かれた町となった富山市だけど失われつつある郷愁と相変わらずはびこる閉塞感のなかで第二の青春を謳歌するUターン者(自称:都落ち・独身・アラサー女)のド・ローカルな日常を綴った本。 登場人物が濃ゆい濃ゆい。 筆者の語気荒めな語り口に何度も笑ってしまった。 なんでもかんでも“活性化”させればいいわけじゃないよと訴えかけるものがあった。 行ったことないのに哀愁漂う富山のド・ローカルな日常に愛しさと儚さを感じてしまう。 故郷を持つことに憧れがある私にとっては逆サイドからの目線を知れておもしろかった。 研究や実践として地域づくりに関わる上で忘れないでおきたい。
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地域にどんな機能を求めるか、というのはその人の属性によって大きく違うのかもしれない。 どこにでもあるどこかになることを求める層もいれば、そうじゃない人たちもいるだろう。 地域や地元というのは誰か一人のものや、一部の層のためのものじゃないんだな、と本書が伝えたいことと全然違うこと...
地域にどんな機能を求めるか、というのはその人の属性によって大きく違うのかもしれない。 どこにでもあるどこかになることを求める層もいれば、そうじゃない人たちもいるだろう。 地域や地元というのは誰か一人のものや、一部の層のためのものじゃないんだな、と本書が伝えたいことと全然違うことを受け取ってしまった。 地元の面白い人たちが紹介されてて、それ自体はよくあることだと思うけど、あまりにもこの人あっての富山、という主張が強く感じられて、じゃあこの人たちがいなくなったらどこにでもあるどこかになるの?それって誰にとっての「どこにでもあるどこかになるまえ」の場所なの?あなた個人の?って読み進むうちに本との距離がどんどん開いてしまった。 個人的な出来事に対して、富山、という主語が大きすぎるのか。 タイトルはすてきなんだけど、そこから想像されるものと内容の隔たりが大きかった。
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おもしろかった。著者の藤井さん、人生に一生懸命で真摯だなと思った。。 ちなみに、共通するものがあるかなと思って『あの子は貴族』の後に読んだ。東京と地方(あるいは貧乏と金持ち)っていう別世界、それぞれの良さ、辛さ、失われてくものなど。いろいろ考えた。 しかし、神奈川出身だと、ピン...
おもしろかった。著者の藤井さん、人生に一生懸命で真摯だなと思った。。 ちなみに、共通するものがあるかなと思って『あの子は貴族』の後に読んだ。東京と地方(あるいは貧乏と金持ち)っていう別世界、それぞれの良さ、辛さ、失われてくものなど。いろいろ考えた。 しかし、神奈川出身だと、ピンとこないこともあるなということにも気づいた。神奈川って都会生まれでも、田舎生まれでもないというか。このテーマに強い感情を抱きにくいかも?
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一度地方を離れて東京で生活をして地元に戻ってもがいている人たちは必読本です。 私は著者の方と同い年で、隣県のものなので、とにかく書かれていることが手に取るように分かるし、実際に自分が同じようにもがいているので、共感出来ることが沢山でした。 機会があれば著者本人に会って話を聞いてみ...
一度地方を離れて東京で生活をして地元に戻ってもがいている人たちは必読本です。 私は著者の方と同い年で、隣県のものなので、とにかく書かれていることが手に取るように分かるし、実際に自分が同じようにもがいているので、共感出来ることが沢山でした。 機会があれば著者本人に会って話を聞いてみたいと思わせる、本を読む限りはとても魅力的な方です。 その後がどうなったのか、続編に期待したいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
30歳目前で夢を追い続けた東京から地元富山へUターン。 友人たちはとっくに落ち着いていて焦りを感じながらも 開発が進む富山中心部に違和感を感じ、地元富山を 著者なりの愛し方で愛して情報を発信していくようになる。 著者もかなりユニークな女性だけど 著者の家族も富山で出会う人たちも ユニークでパワフル。 まず著者が東京で得た仕事もユニークで ピンク映画製作会社の電話番(これはさっさと 辞める。)次の、DVD情報誌の編集では上司から 「白いソックスとくるぶしの隙間に、 宇宙を感じないのか?」と小言を言われ、 くるぶしにアンドロメダ星雲を見出せるまでに 成長し、さらに小さな音楽出版社に転職する ものの自身を「ニート体質のミーハー人間」と 見切りをつけモチベーションが下がり、都落ちする。 実家の薬局の仕事に就くものの次は「富山の 魅力を発信する!」と次の目標を見つけ、 実母ともめつつも邁進する。この実母さんも なかなかすごい。夫がまじめなのに仕事が うまく行かず借金ばかり作ってしまうので、 自分が世帯主となりバリバリ働き、娘にも 「人に何かを伝えたいって思っとる時点で、 おこがましいが!そのことをそろそろ受け入れ られ。そして恥をかけ!」と激を飛ばす。 もがく中で、富山のディープな人たちと出会い その人たちを著者が作る本で紹介して、 その製作が軌道に乗っていく。 (富山の人々はディープすぎて纏められない...。) 著者の言葉選びが独特でとても面白い一冊に なっている。
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