義貞の旗 の商品レビュー
歴史上の人物として比較的メジャーであるものの、これを主人公とした作品はおそらく少なく、現に私も吉川英治の太平記で読んだ時に登場したことぐらいと思う。著者の作品は合戦描写があまり入ってこない印象があったが、本作品は結構な合戦場面の厚みがあり私的な良点であったが、義貞没する6ヶ月前の...
歴史上の人物として比較的メジャーであるものの、これを主人公とした作品はおそらく少なく、現に私も吉川英治の太平記で読んだ時に登場したことぐらいと思う。著者の作品は合戦描写があまり入ってこない印象があったが、本作品は結構な合戦場面の厚みがあり私的な良点であったが、義貞没する6ヶ月前のところで物語りが終わっているのが残念で、せっかくだから、戦死を遂げるところまで、描き切って欲しいと思った。勝敗が二転三転する終盤の合戦シーンが上手く描かれているだけに惜しまれるが、史伝ではあまり格好のつく死に方でなかったやに記憶していたので、本作品で描く義貞像に合わなかったのから手前で終わらせたか?とも思った。
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新田義貞を義を貫く英雄として描いているが、弱い部分やずるい部分も含めた人間らしさを出してくれた方が、物語に引き込まれたと思う。ストーリーがやや平板で、最終的に負けに向かうターニングポイントがわかりづらかった。印象に残る部分が少ないのが残念だった。
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南北朝時代の新田義貞を主人公とした歴史小説。本書の義貞は爽快感があり、物語の主人公らしさがる。義貞は六波羅探題によって冤罪で投獄される。冤罪が明らかになると「探題さま、検断さま、それに俺を連行した石見彦三郎という方にわびを入れてもらいましょう」「人の言い分を何ひとつ聞かずにこんな...
南北朝時代の新田義貞を主人公とした歴史小説。本書の義貞は爽快感があり、物語の主人公らしさがる。義貞は六波羅探題によって冤罪で投獄される。冤罪が明らかになると「探題さま、検断さま、それに俺を連行した石見彦三郎という方にわびを入れてもらいましょう」「人の言い分を何ひとつ聞かずにこんな仕打ちをされて、黙って引き下がれるか」と主張する(94頁)。冤罪を有耶無耶にしがちな日本社会で義貞の台詞は輝いている。 私は義貞にはパッとしないイメージを持っていた。皇国史観では忠臣・ヒーローと持て囃されたが、逆に皇国史観が否定されて久しい。吉川英治『私本太平記』のイメージが強い。同じ源氏一門の足利氏に対抗意識を抱いているが、足利氏は歯牙にもかけていないほど差がある。同じ南朝の忠臣とされる楠木正成は後醍醐天皇の政治に批判的視点も持つように描かれることが多い。これに対して義貞がそのように描かれることは乏しい。
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新しい新田義貞像の提案だった。鎌倉幕府倒幕の立役者なのに、楠木正成に比べいつも扱いが悪い。 自分の義に忠実な義貞だ。
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群馬県太田市に縁があったので、その出身者である新田義貞について読んでみた。 太平記物では、主要な登場人物だが、楠木正成や足利尊氏とは違って主人公にはならない人物。それを主人公に据えた作品とあってどのような内容かと読み進めていったが、やはり新田義貞を主人公にストーリーを進めるのは、...
群馬県太田市に縁があったので、その出身者である新田義貞について読んでみた。 太平記物では、主要な登場人物だが、楠木正成や足利尊氏とは違って主人公にはならない人物。それを主人公に据えた作品とあってどのような内容かと読み進めていったが、やはり新田義貞を主人公にストーリーを進めるのは、やや展開に物足りなさを感じてしまう。 解説にあるような快男児として描くより、悲劇のヒーローとして描く方が小説的には面白くなるのかもしれない。
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同じ作者による『太平記』の時代を背景とした物語『婆娑羅太平記 道誉と正成』を読了して日が浅かったので、視掛けた本書に思わず手が伸びた。出逢って善かった!愉しく読了したところである。 例えば『婆娑羅太平記 道誉と正成』の佐々木道誉は、商業、流通のような分野に関与して蓄えた資金力を背...
同じ作者による『太平記』の時代を背景とした物語『婆娑羅太平記 道誉と正成』を読了して日が浅かったので、視掛けた本書に思わず手が伸びた。出逢って善かった!愉しく読了したところである。 例えば『婆娑羅太平記 道誉と正成』の佐々木道誉は、商業、流通のような分野に関与して蓄えた資金力を背景に、様々な情報を持って謀略も厭わなかった人物として描かれていたと思うが、本作の新田義貞は少し違う。時代の変化に苦慮しながらも「ありたい」を貫こうとした、「古き善き武士団の棟梁」という感で、「愛されるべき快男児」というように描かれる。実に気持ちの好い男なのだ… 複雑怪奇な展開の“政治”の下、荒廃も見受けられるような状況にも拘らず「ありたい」を貫く快男児…そんな男と出会える物語が非常に愉しかった!!或いは…「かくありたい」と、何となく思う一面も否定し悪い。
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