ほどよい量をつくる の商品レビュー
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商品力が高く口コミで広がるゆえ、つくることと接客のみに専念できる。(佰食屋、p.27) 50食限定、1食1000円で1日の売上が5万円。月商125万円のうち経費を差し引いて残るのが50万円。これが人件費分になる。夫婦2人でオペレーションするとしたら、一家の年収が600万円。それが9時半から15時半(1日6時間)の労働で実現する。 (中略)これまでのビジネスは、1分1秒単位で生産効率を上げ、売上を最大化する方向にばかり知恵を絞ってきた。逆に、小さいオペレーションで働く時間を減らす方向に知恵を集結させていけば、生産効率の高い、小さくて強い商いが実現するのではないか。これからの時代、人の頭はその方向へ向けて使うべきなのかもしれない。(p.31) これから価値が高まるのは、その国、地域にしかない特有の文化なのではないか。日本には日本の、その地域にはその地域の、多彩なものづくりが共存する世界。その技術を守ることは、モノができるまでにかけられた時間や手間にお金を払うことでもある。(p.73) 世界中見ても先進国でありながら、脈々と受け継がれてきた伝統や文化が今も残っている国はとても珍しいんです。なかでも刃物は独特な進化を遂げていて、芸術品に匹敵するレベルを職員さんが手で量産しているような、とんでもなくすごい世界。廃れるにはあまりにもったいない。(pp.87-88) 農家を「自分たちの代わりに食べ物をつくってくれる人」と捉えて、コミュニティで支えようとするCSA(Community Supported Agriculture)と言う制度が西欧では浸透している。年ごとに会費を前払いし、毎週や隔週など定期的に収穫物を受け取る。天候リスクを農家でなく消費者が負うのも制度の特徴だ。無農薬茶の会は、前払いでこそなかったけれど、考え方としてはCSAに近い。(p.104) 『誰がアパレルを殺すのか』では、アパレル業界が不振となった理由を、分業体制が進みすぎた結果、川上で仕事をしている企業は川下の小売店で何が起こっているのかを把握していない「分断」にあるとしている。 最初から最後まであなたの責任ですよと言われれば、いいものを無駄なくつくろうと工夫する。ところが、あなたはここからここまでやればいいんですよと範囲を区切られると、その前後は考えなくなってしまう。(p.120) クルミドコーヒー(西国分寺)は、顔の見えない不特定多数でも、知り合いばかりの特定少数でもない、価値観を共有できる「特定多数」のお客さんを相手に商いをしている。店が提案する価値に共感してくれるお客さんに来てほしいという意味合いだ。 商いの目的は「売上ではない」と公言してはばからない。お客さんを喜ばせることが仕事の目的で、売上はその効果をはかる体温計のようなものにすぎないという。事業計画を立てると、お客さんが計画を達成するためのコマに見えてしまうからと、事業計画も立てない。(p.142) 「店は売る場ではなくメディアだと思っているからですね。そもそもうちのチョコレートづくりはオンラインの情報だけでは伝わらないんです。いろんな味を食べ比べてもらってあぁって納得してもらえる。なので店でどれくらい売れたかよりも、いくつ試食してもらえたかをKPIに置いています」(p.156)
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佰食屋 一日100食ランチのみ、メニュー2~3種類 食材持ち越しなし冷蔵庫なし 広告宣伝営業なし、家賃低い場所 客20人にスタッフ1人 佰食屋1/2 50食限定、1食1000円、一日5万、月商125万 経費除き利益50万、夫婦二人で年収600万、6時間労働 シタテル(株) 閑散期に50枚以下のオリジナル服 作りたい人と工場650社をマッチング 手仕事の日本 労働の中に美、手仕事を伝統工芸の文化に昇華 プロセスをオープンに ものの成り立ち知らないとは、価値を分からないこと 価格と機能だけではない魅力 安さよりフェアさ ものづくり=価値づくり クルミドコーヒー 価値観共有の特定多数をお客さんを相手に 目的はお客さんを喜ばせること 大手メーカーでも20~30%のコアファンが 8~9割の売り上げを支えている 1個買ってくれる1万人より、 100回買ってくれる100人 ブックマンション 無人の本屋 3850円の賃貸料でだれも本を販売できる集合体 売れたら1冊100円が管理費 BOOK ROAD 三鷹 がキッカケ 商店街の中の2坪の店舗 ガチャガチャで価格相当の袋を買い、自分で入れる。 毎月200冊ほど売れる。 本はお客さんからの寄付も多い。
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期待していなかったが、とても良かった。 読み始める際に、タイトルで内容の予想がついたために敬遠していたが、一個人や一企業の事例ではなく、世界の中での日本社会のあるべき姿ではないかと思い直した。 結果的には、参考になるヒントがいくつもあり、読んでよかったと思う。
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この方の好きな企業や人を並べました、 という風にしかなっていないのが残念。 個人的にはものすごく共感するが、 社会を揺るがす説得力はない。 マイノリティである自覚が薄いように思う。
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