きみの言い訳は最高の芸術 の商品レビュー
タヒさんのエッセイを読んでいると、言葉が滝のように流れてきて、その勢いにごうごうとのまれていくような感じがします。 その言葉の中に「あっ」と思うものがたくさんあって、読み返したいところにドッグイヤーを付けながら読みました。 手元に置いておきたい一冊となりました。
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無意識に、世間で言う「いい子」だとか、「好まれる」人の行動を自分に課していて、それに苦しくなってしまうことがある私にとって、 どうでもいいことをずっと喋っていたり、剥き出しの嫌悪感で人や物事を罵ったりすること、そんな一般には「いいこと」とされていないことも、むしろそんな姿こそが「...
無意識に、世間で言う「いい子」だとか、「好まれる」人の行動を自分に課していて、それに苦しくなってしまうことがある私にとって、 どうでもいいことをずっと喋っていたり、剥き出しの嫌悪感で人や物事を罵ったりすること、そんな一般には「いいこと」とされていないことも、むしろそんな姿こそが「美しい」と肯定してくれる最果タヒさんの言葉は、とても刺さった。 そして思い返してみれば私の友達や恋人は、内容やオチや面白みもない話を、真剣にかつ楽しく聞いてくれる、最高の人たちだと改めて気づくことができた。幸せ者だ。 いつの日からか、私たちコミュニケーションはとても難しくなってしまっていた。そして多くの人がそれに苦しんでいる。もっとシンプルに、そして純粋に他者と関わることができると思う。自分も、いろいろ期待したり求めたりするのはやめよう、やめたい。 言葉にすると自分の感情や思考が画一化されてしまうというのは、私もよく感じていた。言葉にすることでこぼれ落ちってしまった、言葉にできなかった私の気持ちたちは、間違いなくこの本を読んで掬われた気がする。
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詩人の最果タヒさんのエッセイ。 共感できるところ、できないところ。よくわからないところがあった。 わかってもらおうとして書いていないところが素敵でおもしろいと思った。 「わかってもらえないことや、わかってあげられないことが、ちゃんと心地よいままでいたい。わからない部分があるから...
詩人の最果タヒさんのエッセイ。 共感できるところ、できないところ。よくわからないところがあった。 わかってもらおうとして書いていないところが素敵でおもしろいと思った。 「わかってもらえないことや、わかってあげられないことが、ちゃんと心地よいままでいたい。わからない部分があるからあなたと私は他人なんです。そういう態度でいたかった。」
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最初の話から引き込まれていった~ 独り言のようで深いし面白い不思議、人に向けて書かれているし人によって見られ感じられて消費されている。本人が言う通り人に見られるために文を書くことが好きだということがよく分かる。すごいなぁ。 思ったことのある感情とか思想がタヒさんの文で論破という...
最初の話から引き込まれていった~ 独り言のようで深いし面白い不思議、人に向けて書かれているし人によって見られ感じられて消費されている。本人が言う通り人に見られるために文を書くことが好きだということがよく分かる。すごいなぁ。 思ったことのある感情とか思想がタヒさんの文で論破というか流されるというかそういう感じが最高でした~鼻でふふふっとにんまりしながら読める感じも好きです。
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20/07/04 エッセイ集を読むことがひさしぶり。そして、歳下の方のそれを読んだのはおそらく初めて。 よかったもの。 宇多田ヒカルのこと。 「わたしは彼女の歌をとても好きになったけれど、彼女に詳しくなりたいとは思わなかった。(略) 彼女の歌は、私の子供時代とどこまでもくっつ...
20/07/04 エッセイ集を読むことがひさしぶり。そして、歳下の方のそれを読んだのはおそらく初めて。 よかったもの。 宇多田ヒカルのこと。 「わたしは彼女の歌をとても好きになったけれど、彼女に詳しくなりたいとは思わなかった。(略) 彼女の歌は、私の子供時代とどこまでもくっついていて、私にとってはどこまでも、私の人生の一部でしかなかった。」 そう、私にとっては社会に出るまでの学生時代にくっついていた。ミスチルでもスピッツでもあゆでもなく、わたしには宇多田だった。 POPとは出し抜くことと見つけたり。 ポップ、ポピュラーの定義として適切すぎる。 アイスクリーム・イン・冬 好きな食べ物、という問いかけは私も苦手です。卵焼き、を見出して、友人に言われて気づいたのだけど、楽になりました。神戸住みたい。
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2020.6 いい。えぐられる感じとなでられる感じ。心の奥にもやもやと潜んでた本音にそう!と光を当ててくれた。浅さ、偏り、あいまいさ。30代になったってそんなん。繕わなくてもういいし。
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率直でリズム感のある文章で単純に読みやすい。Twitterで分かる!と感じる文章を見つけた時のような軽い感動ではあるけれど、それがずっと続くような感じ。全篇にいいねを押したい。
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自分を伝えること、他人を理解することの困難さ。 わかる人だよと伝える、わかる人だと理解するためにも、たくさんの事柄をお互いに共有しなくちゃいけない。まったく異なる他者と。いちから。ほんと気が遠くなる。 自分や他人をわかるためには、目の前から出てくる言動だけでなく、出てこないそ...
自分を伝えること、他人を理解することの困難さ。 わかる人だよと伝える、わかる人だと理解するためにも、たくさんの事柄をお互いに共有しなくちゃいけない。まったく異なる他者と。いちから。ほんと気が遠くなる。 自分や他人をわかるためには、目の前から出てくる言動だけでなく、出てこないそれらも意識しなきゃいけない。なんでそんなコトバしか出てこないのだろう?行動しかできないのだろう?ってな具合に。だけど所詮、言葉はさんかく心は四角。そのときのコトバや行動にその人の全てが宿っているわけではない。 けど、知る手がかりにはなる。わからない言動であればあるほど、その人はその人の人生を生きてきたんだと、はっきりと知ることができる。だからこそ、いろんな人と何言ってるのかわかんないよって笑っていたい。人が自分とはまったく違う人生を過ごしてきたんだということを大切にしたい。全てを理解などしたくもない。わからないぐらいがちょうど良い。 ただ、どうしてもわかってほしい、伝えたい自分という存在に疑問は出てくる。そんなにたいそうなものか、自分はと。それに、いつも笑っている人ほど過去に辛い経験をしていたりするし、普段愛情を口にしない人ほど一途だったりするし、あまり喋らない人ほどいろいろな事を考えていたりするし、見た目が派手な人ほど孤独を感じていたりするし、良い人ぶっている人ほど自己中だったりするから、目にうつるもの耳に届くものだけが全てじゃないっていう。 書かれていた内容にプラスαで自分が考えたこと
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チェリーボムボムみたいな、きらきらひかる個装のお菓子を、これはどんな味がするんだろうって一つずつ手にとって、開いて、ゆっくり味わう、みたいに楽しい本。 最果タヒの思想をだーっと羅列したような文章の書き方、抵抗があったけど、途中からはそんなに気にならなくなった。 悪意とネガテイブ・...
チェリーボムボムみたいな、きらきらひかる個装のお菓子を、これはどんな味がするんだろうって一つずつ手にとって、開いて、ゆっくり味わう、みたいに楽しい本。 最果タヒの思想をだーっと羅列したような文章の書き方、抵抗があったけど、途中からはそんなに気にならなくなった。 悪意とネガテイブ・ポジティブについての話が好き。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人のスタンスとか思考の向きに興味があるので、こういうスタンスつらつらのエッセイやブログけっこう好きです。 年齢も近いし、あんまり人と行動しないタイプなので共感できるところも多かった。「優しさの天才ではないわたし」で「途方もない優しさの天才を人間の基準と信じて生きてしまうと、自己嫌悪と他者への軽蔑が止まらなくなり、結果的に誰より優しくなくなってしまう」っていう話に確かにそうだなと思う。 宇多田ヒカルのことを「聴く人それぞれの個人的な体験として」聴かれると書いているけど、確かに彼女の歌って、近づきたいよきみの理想に、って歌い出したら即彼女と二人の世界に落とされるみたいな引力があって納得かも。 たぶん皆の子供時代に、最果さんにとっての宇多田ヒカルがいるはず。 私自身は子供の頃から何事も好き嫌いがはっきりして孤立気味だったので、流行についていかないと、とか、「どこまでも誰かとの関係性っていう揺れ動く水面みたいなところにしか立つことができなくて、『私』が日に日に曖昧になった」っていう話が面白かった。私がたまに水底からまぶしく眺めたりした水面ってそういうところでもあったのかしら。 でも一人でいることは私も怖くないし大体そうだけど、めんどくさいとか、浅い関係でいたいというのは、私とはちょっと違うな。でも、自分のこれをなんて言っていいのか分からない。これから考える……。
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