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劇場 の商品レビュー

3.7

207件のお客様レビュー

  1. 5つ

    41

  2. 4つ

    71

  3. 3つ

    59

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    9

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2019/11/07

友人と劇団を旗揚げしたものの世間に認められない劇作家が、唯一自分の才能を信じ支えてくれる女性にすがりながら、もがく姿を描く。 主人公は繊細で不器用で創作の苦しみを抱えて、といえば聞こえはいいけれど、自活することもできず、自意識過剰で他人の才能に嫉妬しながら、閉じた世界の中で自分...

友人と劇団を旗揚げしたものの世間に認められない劇作家が、唯一自分の才能を信じ支えてくれる女性にすがりながら、もがく姿を描く。 主人公は繊細で不器用で創作の苦しみを抱えて、といえば聞こえはいいけれど、自活することもできず、自意識過剰で他人の才能に嫉妬しながら、閉じた世界の中で自分を守り続けている。 一方、そんな男に踏み台にされる女性はたまったものではないと思うのだが、自分が壊れてでも支えることに生きがいを感じる人もいるわけで、まあどっちもどっちなのかな。 と、小劇場は大好きだけど、青い二人の純粋に悩むを姿を優しく見守れず、作品を味わう以前に意地悪い観察が勝ってしまった。

Posted byブクログ

2019/11/03

中学時代の同級生と2人で立ち上げた劇団で脚本を書いている永田と、その彼女である沙希の恋愛青春小説であり、人間の内面を描く普遍的な小説でもある。 主人公の永田が自意識過剰で自己中心的で自尊心の塊で卑屈で、一人で部屋で読んでいると鬱屈としてくる。周りの人間は世間と折り合いをつけなが...

中学時代の同級生と2人で立ち上げた劇団で脚本を書いている永田と、その彼女である沙希の恋愛青春小説であり、人間の内面を描く普遍的な小説でもある。 主人公の永田が自意識過剰で自己中心的で自尊心の塊で卑屈で、一人で部屋で読んでいると鬱屈としてくる。周りの人間は世間と折り合いをつけながらいい塩梅で生きているのに、永田と沙希だけが純粋で必死で。読んでいて苦しくて息が詰まるような作品だった。 自分が二十歳ぐらいのときに世の中に対して感じていたことが描かれていて、永田ほどではないにしても若い頃は窮屈な生き方をしていたなとしみじみと共感。妬みや嫉妬、根拠のない自信、誰かのちょっとした言動に一喜一憂。こうしたことは大なり小なり若い頃に誰しもが経験していることだろう。自分は他の人とは違う何者かだと勘違いをしていて、そうした心の奥底が見事に言語化されていて思わず共感してしまうのだ。

Posted byブクログ

2019/10/13

ダメ男の感情がものすごくわかるように描かれている。読みながら、コイツはクズだなー、めちゃくちゃ嫌な奴だなーと思いながらも、自分にも当てはまるような言動や感情を持っていると気づく。

Posted byブクログ

2019/10/12

劇作家と彼女の話。彼女が純粋で優しすぎて傷つきやすくて。劇作家の主人公は自分勝手ででも心の深い部分は共感。とてもみじかに感じる表現が多くて息づかいまで聞こえてきそうな書き方。切なくて悲しいストーリー

Posted byブクログ

2019/10/12

やっぱり又吉さんの文章はとっても好きだと思った! 情景描写や会話、心情の書き方や捉え方がとても好きです! 自分と重なる部分が多過ぎてイライラしながら主人公の永田に感情輸入してしまう。終盤の沙希との会話には泣けました。 夢を追いかけている人に読んでほしい作品です。

Posted byブクログ

2019/10/11

劇場読み終わった。永田クズすぎるなって思ったけど、僕に永田素質ありまくりで笑えない。もし僕の人生に沙希が現れたら僕は高確率で優しさに甘えに甘えて永田状態になる気がするから、沙希みたいな人は僕なんかと出会わないよう気をつけてください。でも正直あなたと出会って思いっきり甘えたいです。

Posted byブクログ

2019/10/07

・ ピースの又吉くんが紡ぐ恋愛小説。 ・ 「一番会いたい人に会いに行く。 こんな当たり前のことが、 なんでできへんかったんやろな。」 ↑ この帯に惹かれて、読む。 ・ 火花もそうだったけど、主人公が又吉くんにしか見えなくて。で、すんごいダメ男なこともあって、この想像はちょっと申し...

・ ピースの又吉くんが紡ぐ恋愛小説。 ・ 「一番会いたい人に会いに行く。 こんな当たり前のことが、 なんでできへんかったんやろな。」 ↑ この帯に惹かれて、読む。 ・ 火花もそうだったけど、主人公が又吉くんにしか見えなくて。で、すんごいダメ男なこともあって、この想像はちょっと申し訳ない気持ちに。 ・ ダメ男と許すオンナという構図は、 わりとどこにでもあり、 それが面白く受け取れるのは、 又吉くんの純文学的な筆力のおかげかな。 ・ ひとりの若者の青さ、才能のなさをあがき、 へったくそな恋愛が描かれています。 ラスト、けっこうけっこう切ないよ。 ・

Posted byブクログ

2019/10/03

火花より先に書き始められたという意味では、本当の処女作とも言える作品。 読んでみると、確かにこっちの方が処女作らしいなぁ、と思う。つまり、多分に荒削りかもしれないけれど、その分、書き出したい何かに対して貪欲で、衝動的で、荒々しく読み手の心を抉ってくるという意味で。 特に、最後の1...

火花より先に書き始められたという意味では、本当の処女作とも言える作品。 読んでみると、確かにこっちの方が処女作らしいなぁ、と思う。つまり、多分に荒削りかもしれないけれど、その分、書き出したい何かに対して貪欲で、衝動的で、荒々しく読み手の心を抉ってくるという意味で。 特に、最後の10ページにも満たないふたりのやり取りは、深く、後に残る。

Posted byブクログ

2019/10/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 恋愛小説が読みたくなり本屋に飛び込んだら平積みされていたので購入した。  上京した夢追いダメ男「永田」が、上京した夢追い女子大生「沙希」と出会い、ぼろっぼろのボロ雑巾になるまでの話。  ひとつには、叶わないであろう夢を追い続ける男の話。ひとつには、夢追い男に入れ込んでどんどん溺れてしまう女の話(だめんずうぉーかーなんて言葉も昔あった)。ひとつには、若さゆえの超絶不器用な恋愛の話。ひとつには、自分を救ってくれている大切な人を幸せにすることができない人の話。いろんな側面があり、かなり中身の詰まった物語だったように思う。  主人公はまぁ彼氏としてはとんでもない屑野郎で、独占欲あるわ誕生日に8,000円の自転車プレゼントするわ家賃は払わんわ自己中過ぎるわ自分が傷付かないようひたすら取り繕っちゃうわで、客観的に見ればよう女の子も付き合い続けるなって思う。  「わたしもうすぐ二十七歳になるんだよ」(p.173)という沙希の台詞には、少なくとも夢という意味では全然前に進めないまま、5年もの年月が流れていたのかと驚いた。  時の流れに焦りを感じ変ってゆく沙希と、いつまでも変わらないでいる永田。この物語は未熟な人間の未熟な恋なのだろうけれど、相手のことが好きなのにどうにもならず崩壊してゆく過程は読んでいて色々と自分の過去を思い出してしまい心に刺さった。  ここまで顕在化していないにせよ、こうした恋愛は珍しいものでもなんでもなく、世間に溢れているのだと思う。

Posted byブクログ

2019/10/02

理想と現実の狭間でもがきながら、かけがえのない誰かを思う、不器用な恋の物語。芥川賞『火花』より先に着手した著者の小説的原点。 若さゆえ苦しみ若さゆえ悩みという歌があった。理想を抱くからこそ、自分自身に置かれた現実に納得できないというジレンマが、青春を輝かせる源でもある。その感情を...

理想と現実の狭間でもがきながら、かけがえのない誰かを思う、不器用な恋の物語。芥川賞『火花』より先に着手した著者の小説的原点。 若さゆえ苦しみ若さゆえ悩みという歌があった。理想を抱くからこそ、自分自身に置かれた現実に納得できないというジレンマが、青春を輝かせる源でもある。その感情をストレートに表現する著者は、やっぱりただ者ではない。

Posted byブクログ