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落花狼藉 の商品レビュー

3.8

27件のお客様レビュー

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2024/06/05

吉原ここに始まる。 家康亡き後の幕府から勝ち得た、売色の公許。町を率いる遊女屋の女将は、さらなる闘いに挑む。 戦国の気風が残る、江戸初期。 芦に生える僻地に、一つの町が誕生した。徳川幕府公認の傾城町、吉原だ。 公許は得ても、陰で客を奪う踊り子や湯女らに悩まされる。後ろ盾である奉行...

吉原ここに始まる。 家康亡き後の幕府から勝ち得た、売色の公許。町を率いる遊女屋の女将は、さらなる闘いに挑む。 戦国の気風が残る、江戸初期。 芦に生える僻地に、一つの町が誕生した。徳川幕府公認の傾城町、吉原だ。 公許は得ても、陰で客を奪う踊り子や湯女らに悩まされる。後ろ盾である奉行所には次々と難題を突きつけられる。遊女屋の女将・花奈は傾城扱いの酷と華に翻弄されながら、やがて町の大事業に乗り出す。

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2022/10/08

吉原、ここに始まる。 江戸時代初期、幕府公認の傾城町が誕生した。 幕府からの次々の難題に立ち向かいわたし達のよく知る吉原を作り上げた庄司甚右衛門。 物語は甚右衛門の妻である「かよ」の女将の一生を 描いたものです。 面白かった! 朝井まかてらしく読みやすい! 吉原に興味がある方は...

吉原、ここに始まる。 江戸時代初期、幕府公認の傾城町が誕生した。 幕府からの次々の難題に立ち向かいわたし達のよく知る吉原を作り上げた庄司甚右衛門。 物語は甚右衛門の妻である「かよ」の女将の一生を 描いたものです。 面白かった! 朝井まかてらしく読みやすい! 吉原に興味がある方はぜひ読んで欲しい! 装調も色っぽくて素敵です(〃ω〃)

Posted byブクログ

2022/10/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

吉原にはなぜか興味をひかれている。 他の時代小説を読んでいても、いろいろな意味で存在感大きいし。 しかし、女郎、女郎上がりの遣り手以外、女将と言う立場の女性がいることは考えてもみなかった。 江戸の初期、傾城町の必要性をお上に訴え出る様子を見たり、売られてくる女子の世間的な必要性を説く様に、ついつい 「なんとかうまくいきますように」 と思ってしまう。 が、まてよ。これって結局風俗でしょ。 江戸の世から平成の今に至るまで、「風俗」って不可欠なのかなあ。 「性」を売り物として扱う必然性が、人間には(っていうか男には)どうしてもあるってことなんだろうか・・・ 本筋とは外れてしまうが、その辺のところが妙に気になってしまった。

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2021/10/17

江戸随一の遊郭吉原、まあ同性としてあまり純粋に楽しめる題材ではないのですが、書いている人も同性だし。 特に落語では良く出てくる題材ですし、まぁこちらは笑い飛ばしていますが。 それで本書は、その吉原の歴史、成り立ちというようなお話しです。 一つの遊女屋の主人が先頭になって、その時そ...

江戸随一の遊郭吉原、まあ同性としてあまり純粋に楽しめる題材ではないのですが、書いている人も同性だし。 特に落語では良く出てくる題材ですし、まぁこちらは笑い飛ばしていますが。 それで本書は、その吉原の歴史、成り立ちというようなお話しです。 一つの遊女屋の主人が先頭になって、その時その時の問題を御上に陳情したり、また逆に御上のお達しを飲み込んだりと、奮闘してその当時の一大遊郭を作り上げたという話。 これは経営者側からみた遊郭のありようなので、遊女側から見たらまた違うかもしれません。 いや違ってくるでしょう、きれいごとばかりではないでしょうし、涙なしでは語れないことも多々あるでしょう。 でもこういう視点の読み物もあってもいいでしょうという一冊です。

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2021/06/29

江戸時代初期、吉原町を作ったとされる、実在の庄司甚右衛門の妻、加仍が、女将として活躍し始める、23歳から、大祖母様と呼ばれる立場で、息を引き取る瞬間までの人生が書かれた本。 単に、苦界に身を落とした、遊女達の悲哀を描くのではなく、度重なる、公儀の無理難題に、知恵を絞り、吉原の地位...

江戸時代初期、吉原町を作ったとされる、実在の庄司甚右衛門の妻、加仍が、女将として活躍し始める、23歳から、大祖母様と呼ばれる立場で、息を引き取る瞬間までの人生が書かれた本。 単に、苦界に身を落とした、遊女達の悲哀を描くのではなく、度重なる、公儀の無理難題に、知恵を絞り、吉原の地位を確立していく内容が、読んでいて、気持ち良い。 元吉原を作る際に、見世の格に合わせて、格子の籬が張られている情景は、応為の「吉原格子先之図」が思い起こされた。

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2021/03/03

江戸時代の初期に吉原を創設した庄司甚右衛門の妻が主人公。遊郭を描くのは難しいと思う。なりたくて遊女になるものはないけれど、その状況でどう生きるか。遊女を抱える女将の立場になるとさらに複雑な心境を描かなくてはならない。公儀が認めた傾城町。江戸に吉原があることには、その時代として意味...

江戸時代の初期に吉原を創設した庄司甚右衛門の妻が主人公。遊郭を描くのは難しいと思う。なりたくて遊女になるものはないけれど、その状況でどう生きるか。遊女を抱える女将の立場になるとさらに複雑な心境を描かなくてはならない。公儀が認めた傾城町。江戸に吉原があることには、その時代として意味があったのだろうとは思うし、売られてきて、そこでしか生きられない女たちもいただろう。それを今の私たちが簡単に非難するわけにはいかないのだろう。物語の中では、遊女たちも女将たちも逞しく生きていて、吉原という夢の世界を華やかにしている。

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2021/02/09

遊女屋の女将、花仍の生涯。花仍を狂言回しとして吉原を描くのはありかもしれないけど、彼女をもっときちんと描いて欲しかった。冒頭の棒を振り回す姿からこの先はどうなるのだろうと期待したけど少し肩透かしを受けた気分。花仍の成長物語としてもう一度書いてもらえないかな。若菜さんも含めもっと。

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2020/11/29

吉原遊廓創設者とされる庄司甚右衛門とその妻の話。 やはり遊郭の物語は切なさを伴う。 遊女を題材にした作品は何作も読んだ事があるが、 吉原成り立ちについて書かれたものを読むのは初めて。 吉原と幕府の戦い、知らなかったなぁ。 かなり興味深く読んだ。 花仍はジメジメとした感じがなく...

吉原遊廓創設者とされる庄司甚右衛門とその妻の話。 やはり遊郭の物語は切なさを伴う。 遊女を題材にした作品は何作も読んだ事があるが、 吉原成り立ちについて書かれたものを読むのは初めて。 吉原と幕府の戦い、知らなかったなぁ。 かなり興味深く読んだ。 花仍はジメジメとした感じがなく、一本筋の通った潔い性格で読んでいて気持ちが良かった。

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2020/09/21

江戸初期、幕府公認の遊郭・吉原という町を造り上げた、西田屋甚右衛門の妻・花仍の生涯を描いた作品です。 公儀と根気強く交渉を重ね、町造りに励む甚右衛門がいつも淡々としているのに比べて、花仍はすぐカッとなったり逆にクヨクヨしたりと、人間味はあるもののそこが女将として若干未熟な部分か...

江戸初期、幕府公認の遊郭・吉原という町を造り上げた、西田屋甚右衛門の妻・花仍の生涯を描いた作品です。 公儀と根気強く交渉を重ね、町造りに励む甚右衛門がいつも淡々としているのに比べて、花仍はすぐカッとなったり逆にクヨクヨしたりと、人間味はあるもののそこが女将として若干未熟な部分かなという感があります。ただ、その辺をトラ婆や同業の女将たちがフォローしていて、花仍の周りの女性キャラ達が魅力的なのがさすが朝井さんです。 公儀からの無理難題や、大火によって町ごと焼失してしまうなど、度重なる困難を乗り越えながら吉原という異世界を作り上げた人々の姿に逞しさを感じました。

Posted byブクログ

2020/09/09

吉原を一から作り上げた西田屋・甚右衛門。その妻・花仍(かよ)の視点で初期の吉原から移転した後の新吉原の姿まで五十年に渡る歴史を描く。 御公儀公認の『売色御免』を得るまで十年以上、葦原と呼ばれる湿地を埋め立て建物を建てるために莫大な費用と時間を掛けて、その間にも御公儀からはあれや...

吉原を一から作り上げた西田屋・甚右衛門。その妻・花仍(かよ)の視点で初期の吉原から移転した後の新吉原の姿まで五十年に渡る歴史を描く。 御公儀公認の『売色御免』を得るまで十年以上、葦原と呼ばれる湿地を埋め立て建物を建てるために莫大な費用と時間を掛けて、その間にも御公儀からはあれやこれやと注文が入り…と実に大変な事業だったことが分かる。 なのに御公儀からは吉原の外に遊女の派遣は禁止、夜の営業禁止、さらには新しい場所に移れと次々難題を突き付けられる。その度に名主である甚右衛門は吉原の店主たちから何故そんな難題を突き返さないのかと批判される。 こんな大変な事業をお上の一言で簡単に引っくり返されるのなら商売替えすれば…とも思うが、吉原の面々は諦めない。 吉原ならではのシステム、環境、磨き上げた女たち。 一方で吉原外の、御法度の筈の売色商売もまた強かに生き延びている。 花仍の西田屋は良心的な店だと思う。遊女たちに無体なことはしないし、年季明け後は嫁入りの世話をしたり、それで出戻って来たり年季明け後にも行くところがなければ遣り手婆として雇ったりしている。それどころか花仍は店の者に甘いと言われるほど遊女たちを思いやっている。 親に売られた惨めな娘たちが吉原で磨き上げられ、ついに大店の主人や旗本やさらには大名とも渡り合える、外も内も見事な女になる。 それでも西田屋は女性たちの一番輝く時を奪う外道な商売をしている。その自覚を持って吉原を盛り上げるために花仍は走り続ける。 吉原の歴史を描くという点では興味深いが、話がサクサクと進むのが勿体ない。もっと掘り下げて欲しかった。 特に親子ほど年の違う甚右衛門と花仍夫婦の関係は希薄で、甚右衛門が花仍のことをどう思っていたのか分からなかったのが残念。甚右衛門の言葉の端々からそれなりに花仍のことを思っていたことは分かるものの、夫婦としての心の絆はどうだったのか。花仍は知りたがるのは粋じゃないみたいなことを言っていたが、私は知りたかった。 むしろ番頭の清五郎や幼なじみの由蔵との関係の方がしっかりしていて違和感があった。 また血の繋がらない娘・鈴も、友達の親が吉原での法度を犯したとは言え甚右衛門により磔刑にされるという恐ろしい出来事がありながら、西田屋の商売を引き継ぐのだが、そこに行き着く心の変遷を描いて欲しかった。 甚右衛門の時に鬼にすらなる覚悟と忍耐を引き継ぎ、その願いを叶えた花仍だが、嘘と真が巧妙に絡み合う不夜城の進化を更に見守っていく。出来れば若いときに花仍が夢見た一面の桜で彩られる不夜城を花仍に見せて上げたかった。

Posted byブクログ