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落花狼藉 の商品レビュー

3.8

27件のお客様レビュー

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2020/07/16
  • ネタバレ

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江戸初期の吉原黎明期の歴史時代小説。 西田屋の庄司甚右衛門の妻の花仍を創出し主人公と設定することで、江戸初期の吉原の黎明期を生き生きと描いています。 歴史上の人物として猿若勘三郎(初代 中村勘三郎)が重要な存在として描かれていて、ラストの章では菱川師宣や松尾芭蕉もちらっと登場するという歴史好きへのサービスもあります。

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2020/06/28
  • ネタバレ

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図書館で借りたもの。 江戸時代初期。葦の生う辺地に徳川幕府公認の傾城町、吉原が誕生した。遊女屋の女将・花仍(かよ)は傾城商いの酷と華に惑い、翻弄されながらも、やがて町の大事業に乗り出す――。 吉原の女将として生きた女の一生。 すごい世界を見せられた…! 幕府公認って幕府が主導してたのかと思ってたけど違ってた! なんなら幕府は、さらに辺鄙な場所に移れと突然言ってきたりする。 それでも不屈の精神で立ち向かっていく吉原の人々。すごすぎる。

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2020/06/16

“売色御免”幕府公認の傾城町「吉原」ができあがる頃、舞台は江戸初期。 庄司甚右衛門は実在だろうし、聞いたことがあるけれど、その嫁、西田屋女将の記録はあるのかなあ。主人公は、吉原創成者であり惣名主である西田屋の甚右衛門の妻、花仍(かよ)を中心に描かれる。 すごく切り取られた狭い異世...

“売色御免”幕府公認の傾城町「吉原」ができあがる頃、舞台は江戸初期。 庄司甚右衛門は実在だろうし、聞いたことがあるけれど、その嫁、西田屋女将の記録はあるのかなあ。主人公は、吉原創成者であり惣名主である西田屋の甚右衛門の妻、花仍(かよ)を中心に描かれる。 すごく切り取られた狭い異世界、異質だよなあ、吉原の歴史って。出自もわからず拾われて、色里のなかで育てられた花仍だからこその、ときどき見せる視点の偏りみたいな言動が、吉原という場所の特殊な枠を逆に彩る感じがした。 犠牲になりつづけだった若菜はとても哀しい半生だったけれど(親はほんとに胸糞悪い(0皿0#))それでも、苦界に沈んだ多くの女たちのなかでは、まだましなんだよなあ。物語の表面にすら登場できない行間の網目の奥の奥の、なんのために生まれてきたのかわからないまま辛い思いだけで朽ちた命がたくさんあっただろうことに、改めて思い馳せる。 甚右衛門の心中はあまり描かれないんだけれど、どういう思いだったんだろうな。必要悪の使命に生き貫いた男、彼を描いた作品はいろいろあるだろうからまた探してみようかな。ひとの親なら女なら、心削られる世界ではあるけれど、季節や衣装の描写などは素晴らしく、むかしむかしの江戸の異世界に心を飛ばせる一冊。この方の作品は間違いないなぁ、読んでよかったです。

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2020/03/06

太平の世を開いた江戸初期のエネルギーを吉原の誕生を舞台にその立役者である甚右衛門・花仍夫婦の視点で描いています。本作の評価が高いようですが、ドラマとしては推進力が弱いと感じました。吉原の成り立ちを紹介するためのドラマ仕立てに見えます。朝井まかての傑作群に比べると随分見劣ります。一...

太平の世を開いた江戸初期のエネルギーを吉原の誕生を舞台にその立役者である甚右衛門・花仍夫婦の視点で描いています。本作の評価が高いようですが、ドラマとしては推進力が弱いと感じました。吉原の成り立ちを紹介するためのドラマ仕立てに見えます。朝井まかての傑作群に比べると随分見劣ります。一方、本書の表裏表紙の美人画は華やかで素晴らしい。画家の黒川雅子さんは他書にも多くの挿画をされておりいずれも魅力に富んでいます。

Posted byブクログ

2020/02/26

眩を読んでから注目。 今回は吉原そのものの話。 女将の半生を通して吉原の歴史が読める。 外部との競争や火災と戦いながら吉原が生き延びた絶頂期に生きた主人公。 絢爛豪華とは違う側面を垣間見る。

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2020/01/22

さすが朝井さん。飽きずに読ませてくれる。 文字しかないのに、吉原の華やかな衣装や登場人物の心意気が手に取るようにわかる。 節目節目で数年後に話を飛ばし、振り替える形で時間を繋げる書き方は、じれったくなくて、私には心地よい。

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2020/01/14

遊郭吉原の生い立ちと共に描かれる吉原の女将・花仍の生涯の物語。 今は使われない言葉が多く出てくるが、文章自体は読みやすい。 朝井まかてさんの本は4冊目ですが、どれも面白くて読み応えがある。 願くは江戸時代ではなく、明治以降の時代小説を書いてもらいたい。 印象に残った文章 ⒈ 花仍...

遊郭吉原の生い立ちと共に描かれる吉原の女将・花仍の生涯の物語。 今は使われない言葉が多く出てくるが、文章自体は読みやすい。 朝井まかてさんの本は4冊目ですが、どれも面白くて読み応えがある。 願くは江戸時代ではなく、明治以降の時代小説を書いてもらいたい。 印象に残った文章 ⒈ 花仍は空を仰いだ。 ⒉ あの人が誰の言葉にも耳を貸さなかったのは、掟破りの主らを磔刑に処すと決めた時だけだ。 ⒊ 景気の良し悪しはこの町を覗けばすぐに知れる

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2019/12/18

4.5 いつの世も 天下を映す鏡は、最下層と見下されてきた売色の郷か・・ 真(まこと)は嘘の皮 嘘は真(まこと)の骨 迷うもよしわら 悟るもよしわら 吉原の遊郭・西田屋の女将・花仍は、四・五歳の頃に西田屋の亭主・甚右衛門に拾われ、遊女ではなく娘分として育てられる。 やが...

4.5 いつの世も 天下を映す鏡は、最下層と見下されてきた売色の郷か・・ 真(まこと)は嘘の皮 嘘は真(まこと)の骨 迷うもよしわら 悟るもよしわら 吉原の遊郭・西田屋の女将・花仍は、四・五歳の頃に西田屋の亭主・甚右衛門に拾われ、遊女ではなく娘分として育てられる。 やがて、鬼花仍と綽名がつくほどヤンチャだった子供時代が禍いし嫁の貰い手がいないのを甚右衛門が女房にしたのだった。 十二年前、各所に点在していた江戸の主だった傾城屋を纏め上げ、御公儀と掛け合い、様々な艱難辛苦を乗り越え今の吉原を築いた甚右衛門は、 長年の念願が叶い、ついに吉原が「売色御免」の町となった事を花仍に告げるが、それから一月足らずの奉行所からのお達しで、吉原以外での売色の禁止に付随して、華美な衣装の禁止等五つの決まり事を申し付けられる。 町普請も一新し、営業再開を遊女達の絢爛豪華な練り歩きや、猿若勘三郎による若衆歌舞伎によって華々しく終え順調な滑り出しを見せる中、先だっての普請の際の同居で、三浦屋の女将・お久の遊女教育に感銘を受けた花仍は、若菜を吉原一の太夫に…との念願を持つ。 気乗りがしなかった若菜に漸く自覚が芽生え精進し出した頃、自分を売った両親が金の無心に西田屋を訪れる。年期明けを来年に控えた若菜だったが、なんとこれを容れた上で親子の縁を切るのだった。 だが数日後、花仍はこの時若菜と勘三郎の間に年期明けの結婚の約束が交わされでいた事を知り愕然とすると共に、両親を取り次いだ自分を責めるのだった。 年季の伸びた若菜は、花仍の強引ともいえる後押しでついに太夫となるが、身請け話が持ち上がる中妊娠してしまう。 花仍の強い援護もあり産む事を決意した若菜だったがそのお産が元で命を落としてしまい花仍はさらに深い負い目を背負う。 時は経ち若菜の遺児・鈴が十四歳となる頃、奉行所からの突然の指図で何と傾城屋の屋台骨である夜見世の禁止を言い渡される。 当然、凄まじい打撃を被る中、十一軒の見世が御法度である吉原外での売色を行っていた事が発覚する。 事態を重くみた甚右衛門はその全ての見世の取り潰しと主人・十一人の磔刑を断行するが、この一件で甚右衛門の別の顔を垣間見た花仍との関係に深く大きな亀裂が生まれるのだった。 さらに、磔刑により親友の父を殺された鈴は、以来花仍に心を開く事はなくなる。 甚右衛門の死… 度重なる大火… そして公儀の余りに理不尽な移転命令… さらには、共に辛苦をくぐり抜けてきた戦友達の死… これでもかと、襲いくる困難を乗り越え辿り着いた風景とは 若き日の松尾芭蕉、菱川師宣が物語に花を添える   ◯若菜(後の梓太夫)・・格子女郎から太夫へ。鈴を産んだお産が元で亡くなる。 ◯猿若勘三郎・・若菜の生涯の想い人。若衆歌舞伎の座長。 ◯清五郎・・西田屋の番頭。西田屋を取り回す。 花仍の幼い頃からの兄貴分。 ◯多可・・吉原名うての揚屋・松葉屋の女将。吉原の重鎮。息子・由蔵は花仍が虐めていた幼馴染み。 ◯三浦屋四郎左衛門・・二件の大見世を繁盛させている遣手。甚右衛門の一回り歳下だが大いに助力。 ◯お久・・三浦屋の女将。遊女の育成に長け次々に立派な太夫を輩出する。 ◯鈴・・若菜が命と引き換えに産んだ子。花仍が母となり育てるが反目。 ◯菜緒・・鈴の子。

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2019/11/29

西田屋に拾われて女将となった花よの成長と吉原の吉原になった事情様子が生き生きと描かれ,グイグイと最後まで読まされた.非常に面白いだけでなく,江戸の発展や歌舞伎,湯屋なども詳しく述べられ勉強にもなった.また大夫の若菜の生き方の潔さにも心惹かれた.

Posted byブクログ

2019/11/03
  • ネタバレ

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いつも思うことだけれど、朝井まかてさんが描く"肚を括った"女達は気高く美しい。 もちろん失敗をすることも時にある。 けれどそこがまた彼女達の魅力に繋がるから不思議だ。 江戸時代初期に誕生した、幕府公認の遊郭・吉原の女達の物語。 吉原を舞台にした物語は今までに何度も読んできたけれど、吉原が"町"として誕生し、後に江戸を代表する遊郭に成るまでを追った物語は初めて読んだ。 世間からの冷たい目や火事、幕府が下す突然の勝手な命令…度重なる苦行を強いられても吉原の意地と誇りを胸に町ぐるみで闘い抜く。 親に売られた娘達は親から貰った名前を捨て、一人身体をはって男達と対等に渡り合う。 そんな娘達のお陰で娘の家族は助かり、吉原の町も栄えていく。 客の前では決して涙を見せず、代わりに泡沫の夢を見せる女達。 そんな女達の覚悟に胸が熱くなる。 嘘と真の間で繰り広げられる夢のような一時は、男達にとってもまた厳しい現実を忘れさせてくれる儚い幻。 媚びず屈せず、爛漫と咲いて見事に散る女達の闘いは、今なお続く。

Posted byブクログ