なかなか暮れない夏の夕暮れ の商品レビュー
何が言いたいとかはよくわからなかったけれど、稔の本の読み方がリアルで、日々の隙間時間に読書する自分と間重なる姿があった。 山崎ナオコーラさんの後書きにも同じようなことが書かれていて、日常で読書するって、読んでる途中に急に現実に戻らないといけないんやけど、急には戻れなくてなんとな...
何が言いたいとかはよくわからなかったけれど、稔の本の読み方がリアルで、日々の隙間時間に読書する自分と間重なる姿があった。 山崎ナオコーラさんの後書きにも同じようなことが書かれていて、日常で読書するって、読んでる途中に急に現実に戻らないといけないんやけど、急には戻れなくてなんとなくフワフワした感じ...わかるーと思った笑 「読書とは、自分の生活にプラスするものではなくて、溶かすものなのだと思う。向上心はいらない。溺れよう」まさに。 夏の終わりを感じる、ダラーっと読める小説でした。
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江國香織さんの本は初めて読んだ。 登場人物が多くて、なかなか理解できなかったが、なんとなく理解して読み進めた、 江國さんは歳が近いので感覚は理解できたが、お金持ちの感覚はなかなか理解出来ない。 まぁ、もう少し他の作品も読んでみようと思う。 まだ私にはわからない。
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自分が本に指をはさんだままであることに気づき、左手の人差し指だけが、まだあの場所にいるのだと考えてみる あとがき↓ 生活と読書は別世界のものだが、地続きだ。家で読書に耽っているところにインターホンが鳴り、立ち上がる
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作中作と、この小説の二つを楽しめた。 資産家の稔は読書ばかりの日々。高等遊民という言葉がぴったりの生活。姉の雀は、写真家で外国暮らし。ときたま帰国。彼らは税務関係などはひとまかせ。 彼らの周りの人達の日々が次々と語られ、あいだに作中作がありと、頭を次から次に切り替えつつの読書...
作中作と、この小説の二つを楽しめた。 資産家の稔は読書ばかりの日々。高等遊民という言葉がぴったりの生活。姉の雀は、写真家で外国暮らし。ときたま帰国。彼らは税務関係などはひとまかせ。 彼らの周りの人達の日々が次々と語られ、あいだに作中作がありと、頭を次から次に切り替えつつの読書。人間関係が把握できてからは、なんだか浮世離れした感じの人と、現実を生きている人とのギャップのようなものを感じた。作中作は北欧ミステリーで、刺激的だった。お金の心配がなく、なんでも受け入れてしまう稔のことは、理解しがたい面もあった。 多くの登場人物の生活や考え方を、するすると読めるように書ける江國さんは、すごいなと思う。まだまだずっと続いていくような終わりかたも、好きだ。ただ、作中作の結末を知りたかったな、と思った。
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子供の頃の夏の夕暮れの気怠さがそのまま小説に閉じ込められたような作品(今の夏の夕暮れだと暑すぎる)。 この季節にドンピシャの一冊でした。 主人公の稔は資産家、50歳、独身で読書ばかりして過ごしていて姉の雀はさらに自由に海外と日本を行き来している。契約など細々した仕事はすべて友人兼秘書的役割の大竹に丸投げ。 この大竹がいないと稔の生活どころかこのお話がなりたたなかったような気がします(でもこんな夫は嫌だ)。周囲の人々と稔の関わりと作中作(稔が読んでいる本)が交互に展開していく、稔の頭の中は人間関係より本の内容で頭がいっぱい…。(資産家ではないけど)ちょっと自分に重ねてしまいました(汗 稔は大竹曰く「存在していることが仕事」(P33)と言われているけど本当に日々の生活が高等遊民すぎて江國ワールドの住民だなぁと感じました。地元の地主さんはわりと忙しくされてそうなので…。 去年の夏に読めなくてやっと手をつけました。タイトルに季節や何月か、というのがあると読む時期にこだわりが出てしまいます(笑
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サラリとしたストーリーに軽すぎなくて読みやすい文章 登場人物が多いがそれぞれの人物や関係が明確で混乱はしなかった 稔が読んでいた本の結末が気になる......
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登場人物があまりにも多すぎて、生活の合間に本を読み進めていく私には、誰が誰なのか忘れてしまい、読みづらくもあった。 でも 怜悧で実務家の大竹さんが、矯正器具のせいで "作ってる"が"ちゅくってる"になったり、"それ"が"しょれ"になっている描写が面白かったりと読んでいる時にはつい口元が緩んだ笑 読書家のみなさんはきっと「あ〜わかる!」ってなるシーンも多いと思う。
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主人公の稔と、稔と関係のある登場人物達の日常を描いた物語。 ストーリーは面白いわけではありませんが(失礼ですが)、細かいエピソードや江國さんの言葉のセンスがとても良く、自然と読まされる作品でした。主人公の稔が作中で読んでいる海外ミステリーが面白く、現実と物語の世界を行き来する浮遊...
主人公の稔と、稔と関係のある登場人物達の日常を描いた物語。 ストーリーは面白いわけではありませんが(失礼ですが)、細かいエピソードや江國さんの言葉のセンスがとても良く、自然と読まされる作品でした。主人公の稔が作中で読んでいる海外ミステリーが面白く、現実と物語の世界を行き来する浮遊感が良かったです。 山崎ナオコーラさんの解説がとても良く、『読書とは自分の生活にプラスするものではなく、溶かすものだと思う』という一文が、まさに江國作品を物語っていると感じました。
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不思議で独特な世界のある本。 説明が難しいのだけど、物語の中の登場人物(稔)が読んでいる海外ミステリーの小説の中身まで書かれている本。 稔が読むミステリーの結末までもが気になっちゃう。こんな書き方ができる江國さん、本当に、なんという能力を持ち合わせていらっしゃるのだろう。 小説にのめり込んだことがある人なら誰でも経験しているであろう感覚を、稔が体現してくれていて、それがおもしろい。(のめり込みすぎると一瞬自分がどこにいるかわからなくなるかんじ) ”世界のどこかで実際に起きたことと、小説のなかで起きたことと、どう違うと言うのだろう”って稔が言ってたけど、これは私もいつも感じていたことで、そう感じている人が他にもいるんだと思うと(物語の中の人だけど)嬉しかった。 山崎ナオコーラさんの後書きもよかった。 ”隙間時間に読書をして、ページを閉じた時のふわりとしたあの感覚。 読書とは自分の生活にプラスするものではなくて、溶かすものだと思う。向上心はいらない。溺れよう。” 夏が暮れるまでに読めて、よかった。
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江國香織さんの小説を読みたいときは、決まって優雅で贅沢な気分に浸り、文字の羅列をゆっくり楽しみたいとき。 だからこそ、本作はあまりにも多いキャラクターとその各登場人物の視点からアトランダムに生活が綴られ、じっくり人物像やその人の生活を味わえずなんだか不完全燃焼な読後感。 人によ...
江國香織さんの小説を読みたいときは、決まって優雅で贅沢な気分に浸り、文字の羅列をゆっくり楽しみたいとき。 だからこそ、本作はあまりにも多いキャラクターとその各登場人物の視点からアトランダムに生活が綴られ、じっくり人物像やその人の生活を味わえずなんだか不完全燃焼な読後感。 人によって、人の印象の感じ方が異なるのは面白いし、登場人物をいろんな視点から見えるのも楽しいけれど、やっぱりそうするとダサい部分や解せない部分もたくさん出てくる。 わがままながら江國さんの小説には、他の登場人物にとって完璧で、欠点があったとしてもその欠点すら愛おしく感じてしまうような彼、もしくは彼女の登場を期待してしまう。(読者の私たちまでうっとりしてしまう、ような魅力あふれる優雅で浮世離れしたキャラクター) この作品での一番のお気に入りポイントは、主人公のひとりである稔が小説に没頭するシーン。このシーンは度々登場する。 小説の文章そのものによって、読書に没頭しているときに他の誰かに話しかけられてぼんやりしてしまう感じとかを、稔と一緒に体感できる。時間の経過も一緒に体感できる感じがする。 分かりづらいと思うので以下抜粋。 P.95 「身体を温めなくちゃ」 声にだして言い、そのとろりとした赤い液体をリキュールグラスに注ぐ。しかし、ソニアがその酒をのむことはなかった。音もなく近づいた大きくてたくましいイサークが、左腕で背後から彼女を抱え込み(彼の左手が、ソニアの右腕にくい込んだ。やわらかく、肉のたるんだ二の腕に)、一気に喉を掻き切ったからだ。おもしろいほど勢いよく血が噴きだし、床やラグやそこらじゅうを汚すのを、イサークは無言でじっと見ていた。ソニアには抵抗する術も、状況を把握する暇もなかった。 「エリッ」 最後に口にしかけた夫の名前すら、最後まで発音できなかったし、どっちみち、自分がなぜこの期におよんでその名を呼ぼうとしたのかも、理解できないままだったろう。 「愚かな女だ」 事切れたソニアを床に転がし、イサークは 携帯電話が鳴り、稔はうしろ髪をひかれながら本を伏せた。吹きだす血が目の前にちらついている。ソニアが日々磨いたという床や窓に囲まれたその部屋の様子も。液晶画面に"じゅんじゅん"表示されているのを目にしてもなお、その光景が頭から去らなかった。 「元気?」 淳子は名乗りもせずに言った。 「どうしてるかなと思って」 と。 「元気だよ」 稔はこたえる。目の前が血だらけだけど。そして、まだ北欧にいるけど。 すごいテクニックだ。個人的には、『なかなか暮れない夏の夕暮れ』そのものよりも、この作品に登場する創作の小説の内容(特に二つでてくる物語のうち、北欧の暗い物語のほう)が気になって仕方なかった。
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