稲生物怪録 の商品レビュー
『もののけdiary』に引き続き、宿題本だったこちらを読了。いやあ、面白い。十八世紀半ば近世の世においても、こんな怪異が次々と起こるとは! そして平太郎の飄々とした豪胆さが楽しい。妖怪好き、幻想小説好き必読の書。しかし、京極夏彦氏が小説風に訳したものが面白いのは当たり前、東雅夫氏...
『もののけdiary』に引き続き、宿題本だったこちらを読了。いやあ、面白い。十八世紀半ば近世の世においても、こんな怪異が次々と起こるとは! そして平太郎の飄々とした豪胆さが楽しい。妖怪好き、幻想小説好き必読の書。しかし、京極夏彦氏が小説風に訳したものが面白いのは当たり前、東雅夫氏の訳文の達意で格調の高いことよ。原文見てはいないけれど、古文をここまで見事にこなれた逐語訳にするなんて、なかなかできんこっちゃで(オレには分かる)。お見事!
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女の生首が逆さまになり、髪の毛で歩く。舌でなめまわす。 男の頭が膨れ上がり、頭に丸い穴があいて、その中から赤子がぞろぞろ這い出てくる。 冷たい人の体を踏みつけたような感触があったため、下を見ると大きな青入道がいた。足の裏にねばりがついた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
江戸時代に実在した人物が、実際に体験した怪異譚(ということになっている創作なんだろうが)。 16歳の平太郎青年が、7/1から1ヶ月もの間、毎日怪異に襲われる様子が、まるで日記のように日付とともに記録されている。 ・物語とともに妖怪絵も付された『稲生物怪録絵巻』 ・平太郎本人が書き残したと言われる『三次実録物語』 ・平太郎の同僚が、平太郎から聞いた話をまとめたものとされる『稲生物怪録』 の3編構成で、いろんな角度から稲生物怪録を楽しめる良書。 しかもなんと、『三次実録物語』にいたってはあの京極夏彦氏の現代語訳!逐語訳のようなつまらない訳ではなく、まるで現代の小説かのような柔軟な文章で、かなりおもしろい。 飛び回る生首だの、急に水浸しになる畳だの、体中を撫で回す天井から伸びる手だの、とんでもない物に毎日襲われる平太郎。 それなのに毎日「どうにもならないので寝た」「どうということもないので寝た」「不快だったが我慢して目を閉じているうちに寝た」と快眠すぎるのがおもしろい。 そのうえ、あちこちを掃きまわる箒に「親切だな」と喜んだり、勝手に動いてる杵と臼に未精米の米を突っ込んで妖怪を精米機扱いしようとしたりする始末。 とにかく平太郎、まったくびびらない。そして家を出ていかない。平太郎よすぎる。 ホラーと思わせつつ実はコメディなのか?と思うくらい笑った。 最終的に根負けした妖怪の親分(大魔王と名乗ってた)が平太郎に詫びて退散するのだが、平太郎は「法華経や仏神のお陰だなぁ」とか言って終わる。 いやいや仏神は絶対関係ないって。お前の肝っ玉がおかしいだけ。 最初の絵巻を眺めてるときに「なーんか怖がってる顔に見えないんだよなぁ」「いやぼんやり眺めとる場合か!逃げろや!」「この絵師は人の表情かくの苦手か!?」みたいな感想だったんだけど、絵師は正しかったみたいです。こいつ1ミリも怖がってないし逃げようとしない。 たぶん「平太郎は何も恐れぬ男!動じぬ男!大魔王すら下す強い男!」みたいな最強主人公系のラノベみたいなストーリーのつもりだと思うんだけど、なんかもうずっと笑けてきちゃうんだよな。 とにかく良いこれ。また読もう。
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『イノモケ』は、小学生の時、学校の図書室で小学生向けにリライトされたものを読んで以来、30年振りである(とは言え、本格的に通しで読んだのは今回が初めて)。改めて読んで、稲生家の怪異は怖いよりも気持ち悪い系の方が多い印象である。しかし、ベトベト、グチャクチャのお化けに付きまとわれて...
『イノモケ』は、小学生の時、学校の図書室で小学生向けにリライトされたものを読んで以来、30年振りである(とは言え、本格的に通しで読んだのは今回が初めて)。改めて読んで、稲生家の怪異は怖いよりも気持ち悪い系の方が多い印象である。しかし、ベトベト、グチャクチャのお化けに付きまとわれても、「仕方がないから寝た」とか書いている平太郎は、やはり只者ではない。
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見当たらなかったので、代わりにこちらで登録を。 1994年出版「稲生物怪録」定価3500円小学館出版の絵本を拝読(当時にしては高すぎやしませんかね…) 平太郎の動じなさというか、もはやどんな妖怪が来るのかワクワクしているあたり豪胆だなぁと 身体的な実害は少ない妖怪ではあるものの...
見当たらなかったので、代わりにこちらで登録を。 1994年出版「稲生物怪録」定価3500円小学館出版の絵本を拝読(当時にしては高すぎやしませんかね…) 平太郎の動じなさというか、もはやどんな妖怪が来るのかワクワクしているあたり豪胆だなぁと 身体的な実害は少ない妖怪ではあるものの、平太郎周りの人間関係は大いに崩れたのではないだろうか… あと平太郎のウィークポイントをちょくちょく付いてくるあたり、妖怪も学習しているのだな、と微笑ましくなった
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30日に渡り怪異体験をする平太郎が豪胆すぎて、驚かせにきた妖怪達の張り合いのなさに、惻隠の情まで湧かせてしまう。カラーの絵巻か見所。
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江戸時代中期、三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷で1ヶ月続いた怪異現象を元に描かれた「稲生物怪録絵巻」、平太郎本人が書き残したと伝わる「三次実録物語」、柏正甫の「稲生物怪録」を1冊にまとめたもの。多くの作品に取り上げられた有名な妖怪絵巻が文庫で簡単に読めるとは良い世の中になりました。...
江戸時代中期、三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷で1ヶ月続いた怪異現象を元に描かれた「稲生物怪録絵巻」、平太郎本人が書き残したと伝わる「三次実録物語」、柏正甫の「稲生物怪録」を1冊にまとめたもの。多くの作品に取り上げられた有名な妖怪絵巻が文庫で簡単に読めるとは良い世の中になりました。同じ作品でありながら、記録、絵巻、小説と形態の違いによる差分を楽しめます。ユーモラスな物の怪がたくさん登場する絵巻も記録や小説を読んで背景を知ってると、より楽しめます。
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江戸時代中期、広島・三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷を一か月にわたって襲った怪異現象を記録した「稲生物怪録」。 なんだろうね。平太郎本人が豪胆すぎて夏休みの絵日記のような趣で書かれています。書かれてしまっています、かな。普通の精神で乗り越えられる現象ではない怪異の数々。対処はして...
江戸時代中期、広島・三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷を一か月にわたって襲った怪異現象を記録した「稲生物怪録」。 なんだろうね。平太郎本人が豪胆すぎて夏休みの絵日記のような趣で書かれています。書かれてしまっています、かな。普通の精神で乗り越えられる現象ではない怪異の数々。対処はしてみるけど、どうにもならないし、とり立てて被害もなさそうだから、寝てしまえ、という精神にあるのが信じられない。 豪胆というか、実は頭のネジがぶっ飛んでいたんではなかろうか、と邪推してしまいます。 どの怪異なら自分でも耐えられるか、と考えても見ましたが、うぅむ。どれも無理という結論です。一番怖気が走ったのは、十日目の怪異。化け物が変化した友人が訪れ、頭が膨れ上がり穴が空き、中から赤子がぞろぞろと這い出してくる、というやつです。これはしんどい無理です。 この十日目が一番で、それと比べたらと思いましたが、どれもこれも無理です。 平太郎の精神力は尋常なものではないです。 歴史上実在した人物が経験した怪異。本人の記録と本人からの聞き取りという二つの資料が残っていることが、最大の怪異だったりするのかもしれません。 岩が蟹になったり、葛籠がひきがえるになったり。絵で見ると可愛げがあるけども、実際目にしたらとんでもなく怖いと思うんだよなぁ。まず普段目にしているものよりも大きさが違うし。人の顔もそうだけど、意識外の大きさのものが突然現れたら、恐怖以外感じないと思います。 古典を読むつもりでしたが、想像以上に怪異に怯えてしまいました。いや、いい読み物でした。
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面白かった! 絵巻と、京極さんの訳と、東さんの訳の三編。 どんな怪異にも動じないとはきいていたけど、化け物がでてきても『どうしようもないから寝た』『意味がわからないから寝た』『我慢していたら寝ていた』など、基本的にすぐ寝る。 怪異自体は全部実際自分が遭遇したら怖いものばかりの...
面白かった! 絵巻と、京極さんの訳と、東さんの訳の三編。 どんな怪異にも動じないとはきいていたけど、化け物がでてきても『どうしようもないから寝た』『意味がわからないから寝た』『我慢していたら寝ていた』など、基本的にすぐ寝る。 怪異自体は全部実際自分が遭遇したら怖いものばかりのはずなのに、平太郎の態度のせいでもはやギャグのよう。
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数ある妖怪話の中でも稲生物怪録は実話だと昔から思っている。図書館でしか読んだことなかったが、全巻カラーの「稲生物怪録絵巻 堀田家本」、京極夏彦が訳した平太郎本人による「三次実録物語」、東雅夫訳・柏正甫の「稲生物怪録」の3つが一冊に収録された贅沢のうえに更に文庫化!そもそもが面白い...
数ある妖怪話の中でも稲生物怪録は実話だと昔から思っている。図書館でしか読んだことなかったが、全巻カラーの「稲生物怪録絵巻 堀田家本」、京極夏彦が訳した平太郎本人による「三次実録物語」、東雅夫訳・柏正甫の「稲生物怪録」の3つが一冊に収録された贅沢のうえに更に文庫化!そもそもが面白い話だが京極夏彦の訳が何より読みやすい。18世紀の広島三次藩の稲生家で起きた30日間にわたる怪奇現象。非常にリアルな話で、目撃者多数、腰を抜かす者、逃げ出す者実名入りで語られる。これ、実話でしょ。
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