平成怪奇小説傑作集(1) の商品レビュー
怪奇小説の名の通り、今日私たちが想像する「ホラー」とはやや異なる趣の短編集。 個人的にはダイレクトな恐怖をあまり感じられず、幻想的な世界観で夢見心地のまま終わる作品が多い印象。 『角の家』『お供え』『正月女』『静かな黄昏の国』『布団部屋』が特に面白く読めた。
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1989年(平成元年)から1998(平成10年)までの全15作。少々難解なのもあったが、盛りだくさんで面白かった。リアル感が少しあって気持ち悪さがあったのは[正月女][家ー魔象]。近未来感でなんとも言えない気持ちになったが読み応えがあった[静かな黄昏の国]。リズムよく面白く読めた...
1989年(平成元年)から1998(平成10年)までの全15作。少々難解なのもあったが、盛りだくさんで面白かった。リアル感が少しあって気持ち悪さがあったのは[正月女][家ー魔象]。近未来感でなんとも言えない気持ちになったが読み応えがあった[静かな黄昏の国]。リズムよく面白く読めたのは[抱き合い心中]ほんわかしたのは[千日手]。
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わかりやすく怖かった、 『命日』 『正月女』 『抱き合い心中』 『布団部屋』 が良かった。
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H1〜10年ごろに発表された怪奇小説アンソロジー。発表順に並んでてその雰囲気の変遷を想像しながら読むのが楽しい。文体やテーマも様々で比較が面白く、短編と怪奇はアンソロジー向きなのかも。おすすめは「お供え」好きなのは「角の家」「墓碑銘〈新宿〉」
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こういうのが、読みたかったのですよねぇ 不思議と怪しさと怖さの中間地点を行ったり来たりするようなつかみどころのないアンソロジー。 画一的な内容のアンソロジーもそれはそれでいいですが、「怪奇小説」の前提のもとで、「つぎはどういうのが出てくるだろう?」というわくわく感がたまらないので...
こういうのが、読みたかったのですよねぇ 不思議と怪しさと怖さの中間地点を行ったり来たりするようなつかみどころのないアンソロジー。 画一的な内容のアンソロジーもそれはそれでいいですが、「怪奇小説」の前提のもとで、「つぎはどういうのが出てくるだろう?」というわくわく感がたまらないのです。 収録作品はどれも印象に残りましたが、赤江瀑や日影丈吉作品のすこし切ない余韻は忘れがたいものがあり、小池真理子・坂東眞砂子作品はひたすらに怖い…。北村薫の『百物語』は怖さと「先生、こういう作品も書いていたのですね」という喜びと。篠田節子のディストピアSFは、あの出来事より前に書かれていたのですね…。 いままで未読だった作家は掘ってみようと思い、さっそく日影丈吉の短編集を入手しました。読んでみるとこの作家のレンジの広さに(探偵から幻想小説、戦争、SFまで)驚きました。こういう発見を与えてくれるのもアンソロジーの醍醐味だと感じた次第です。
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平成で怪奇小説というと、自分は真っ先に90年代に「ホラージャパネスク」と言われた一連の小説が思い浮かぶ。 輸入モノの「モダンホラー」のエンタメ的ストーリーに日本的怪奇情緒が合わせた感じがあって、ミステリーともSFともつかない展開が新鮮で、すごく好きだった。 わかりやすい例を上げれば、「リング」の怖さよりも「らせん」の話の広がり、個人的にはそういうところこそが「ホラージャパネスク」という気がする。 確か、「ホラージャパネスク」という言葉はこの本の編者の東雅夫氏が言い出したような記憶があるが、この本はそれよりはちょっと古い感じのホラー小説(まさに「怪奇小説」)が多いような気がした。 「ある体験」は、まさに”あの時代”って雰囲気の話。 初出は89年7月ということだが、あの頃の夜だったらポカンとあってもおかしくないような話?w ていうか、吉本ばななって、あの頃流行ってたよなーと、ミョーに懐かしかった(^^ゞ それに対して、「墓碑銘(新宿)」、「光堂」、「角の家」はやけに昭和テイスト(^^ゞ ていうか、平成は昭和とつながってたわけで。 特に、最初の10年(つまり90年代)はバブルをずっと引きずってた。 「平成」って、その文字を書くたび、ものすごく違和感があった。 そんな、結局、なんとなくの違和感のまま終わっていた『平成」だけど。 考えてみれば、「昭和」っていうのも、今では現実感のない昔になっている。 かと言って、令和4年なんて言われても、一瞬、それがいつのことだかわからなかったりする(・_・;) 続く「お供え」、「命日」、「正月女」も、伝統的な怖さのある小説という意味で(平成よりは)昭和っぽいかなぁーw 「正月女」の坂東眞砂子はあの頃は「ホラージャパネスク」って感じがしたけど、今となってみるとむしろ昭和っぽい。 とはいえ、昭和に坂東眞砂子みたいなホラーを書く人いたかなぁー?とも思う。 「百物語」は展開が星新一でw やっぱり、平成というよりは昭和かなぁー。 一方、「文月の使者」は90年代でもないし、かといっても昭和でもないし…!?って感じ。 いや。たんに自分がこういうタイプの話を読んでなくて、それでわからないだけなんだろーけど(^_^; 「千日手」も平成というよりは昭和かなぁー。 ただ、このパターンって、自分はまず「シック・スセンス」を思い出しちゃうんだけど、あれの影響ってことはないのかな? (あ、でも、「シックス・センス」って1999年の映画なんだ) 「家-魔象」は、「文藝百物語」にあった話ということもあって、平成っぽく感じる(というよりは90年代っぽい?)。 ただ、この話は加門七海の本でも読んだんだけど、出来事が夢で見たとか、感じたばかりで、個人的には好きじゃない。 ていうか、このバージョンは最後が落語のサゲみたいで、思わず吹き出してしまった(^^ゞ 「静かな黄昏の国」は読んだことがある。 ていうかー、確かに篠田節子は「ホラージャパネスク」の作家なんだけど、ここでは異質すぎるw (この前が霜島ケイで、その次の次が加門七海って、「文藝百物語」か!って笑ったw) 小説としての出来という意味でも、この本の中では異質すぎる気がする。 ただ、その異質さこそが「平成怪奇小説」なのかなぁーという気もした。 「抱きあい心中」はテイストで言えば「お供え」、「命日」、「正月女」に近いのかな? ただ、それらよりも怪談寄り。 そう、怪談ブームって、たぶん90年代の後半くらいからなんだよね。 「すみだ川」は幻想小説っぽくって、ストーリーを楽しみたい自分からするとイマイチ。 こういう文体って、個人的には90年代以降って気がするんだけど、それは自分が知らないだけなのかな? 最後は、宮部みゆきの「布団部屋」。 ちなみに、読んだことがあったのは、これと篠田節子の「静かな黄昏の国」だけ。 宮部みゆきの江戸怪談は大好きだし。また、平成になって宮部みゆきが確立したジャンルななんだとは思うけど、この本では現代を舞台にした話にしてほしかったような気がする。 ていうか。 最初の「ある体験」の雰囲気がまさにあの頃って感じだったので、話の内容よりはその時代という観点の感想になってしまった(^^ゞ
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様々な小説家の短編を集めたアンソロジーのようなものは、私はあまり好まないのだが、この本に収められている小池真理子さんの「命日」というのが素晴らしい名作ホラーだというので、買ってみた。 有名な作家が多く並んでおり、多彩だが、徳に出だしの辺りで妙に凝った言い回しを工夫しているものが多いなと思った。文章に凝るのが、本来は文学の「芸」そのものであるはずなので、当然のことではあるのだが、たいていはストーリーが走り始めると言語表現は控えめになっていく辺り、やはりエンターテイメントである。 清新・繊細を極める言語感覚を駆使する作家の系列として、川上未映子さんの先輩に当たる吉本ばななさんの文章が凄いということを再認識したのが、巻頭「ある体験」(1989年)。しかしこれはホラーとは言えないような・・・。 他の人の作品もホラー小説らしくないものがたくさんあって、「うーん」と感じたが、なるほどこのアンソロジーは「怪奇小説傑作集」なのだった。ホラーではなく怪奇。そう思うと納得出来るものがあった。 お目当ての小池真理子さんの「命日」(1994年)は、やはり優れたホラー小説であり、ぐいぐいと引き込まれるように読んだ。確かに良い作品だ。ただ、ラストの数行がちょっとイマイチなような。 巻末の宮部みゆきさん「布団部屋」(2000年)を読んで、改めてこの作家の語りは上手いなあ、と感心した。本当にしっかりとしたテクニシャンである。 このアンソロジー中、もっとも驚いたのは篠田節子さんの「静かな黄昏の国」(2002年)である。以下ネタバレ。 ホラー小説と言うより、近未来SFっぽいような、予言的な、まさに予言的な小説である。日本は衰退し、円は暴落、まともな穀類さえ輸入できていない貧国。世界中から核の廃棄物を引き取る代わりに金をもらうということをやっていて、その核廃棄施設の周辺の森を、医療的延命処置を望まず自然に衰えて死んでいきたい、という老人たちにそれと知らせず格安で提供している。 その森は放射能に犯されているため、ここに移住した老人たちは早期に亡くなっていくし、動物も植物も奇形のものばかりなのだ。 東日本大震災と福島原発事故のずっと前に書かれたこの作品は恐るべき予言の書となっているのだが、もしこれが原発事故後に書かれたならば、「風評被害を広げるな! 福島の人々の不安をあおるな!」などと総攻撃を食らったことだろう。 たぶんチェルノブイリについて資料を読み込んでこの短編は書かれたのだろうが、放射能に関してばかりか、経済的零落に関しても日本の未来を正確に予言しているようにも思われ、実に強烈な読後感を持った。この短編、現在の日本の読書家のあいだで、ひそかに広がって行ったら面白いなあ。
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平成に書かれた怪奇幻想小説の傑作短編を並べたアンソロジー。第一巻には「貞子」ブーム以前、まだひっそりと潜んでいた時代の怪奇小説が顔を連ねる。ただ単に怖い、畏ろしい、ホラー作品ばかりではなく、幻想味の強い作品や、SFチックな作品も含む、広義の幻想文学が愉しめる。個人的なベストスリー...
平成に書かれた怪奇幻想小説の傑作短編を並べたアンソロジー。第一巻には「貞子」ブーム以前、まだひっそりと潜んでいた時代の怪奇小説が顔を連ねる。ただ単に怖い、畏ろしい、ホラー作品ばかりではなく、幻想味の強い作品や、SFチックな作品も含む、広義の幻想文学が愉しめる。個人的なベストスリーは「お供え」(吉田知子)、「文月の使者」(皆川博子)、「すみだ川」(加門七海)。また、実話怪談「家――魔性」(霜月ケイ)は『怪談徒然草』(加門七海 / アドレナライズ)も是非、併読してほしい。登場人物のS視点からの三角屋敷物語が堪能できる。
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平成三十年の間に発表されたホラー小説を、東雅夫氏が精選収録したアンソロジーの全三巻。第一巻の今巻は平成元年の吉本ばなな「ある体験」から平成十年の宮部みゆき「布団部屋」までの十五作。 吉本ばなな「ある体験」菊池秀行「墓碑銘〈新宿〉」赤江瀑「光堂」と最初の三作は、怪奇・怪異を物語の...
平成三十年の間に発表されたホラー小説を、東雅夫氏が精選収録したアンソロジーの全三巻。第一巻の今巻は平成元年の吉本ばなな「ある体験」から平成十年の宮部みゆき「布団部屋」までの十五作。 吉本ばなな「ある体験」菊池秀行「墓碑銘〈新宿〉」赤江瀑「光堂」と最初の三作は、怪奇・怪異を物語の中心に置くというよりも、その現象を通じて、登場人物の有り様を描き出す、といった趣に感じました。日影丈吉「角の家」吉田知子「お供え」と、現実が怪異に侵食される恐怖を描く二作品があって、小池真理子「命日」坂東眞砂子「正月女」で怪談を核に置いた物語になる。 そのような大まかな流れ。 吉田知子「お供え」は、違和感が侵食してくる様が嫌でした。じわじわと変質してゆくかと思わせて、実体化はあっという間。抗う隙がない速度。 坂東眞砂子「正月女」は、人の執念の怖さ。土地に伝わる習俗が、禁忌に触れてしまった恐ろしさを生んでいるのですが、そこに人の妬心が加わることで際立ちます。 「正月女」という伝承を生んだ根本が、妬心にあるのかもしれない。 篠田節子「静かな黄昏の国」が、東日本大震災を経験した今の日本人が読むと、発表当時とは違った感想になるのではないでしょうか。小説が現実の領分を犯してくる感覚。その度合いがより多くなってしまっているのでは。 夢枕獏「抱き合い心中」は、相変わらず語りがうまく引き込まれてしまいます。夢枕獏の語りは、実際に目の前で語られているような心持ちがして、ぐいぐい読まされてしまいます。怖さを感じるとともに、体験してしまった現象に触れるべきでなかったという後悔も感じます。 宮部みゆき「布団部屋」。三島屋百物語で語られそうな怪談。他にも怪談ものは手がけていたような気がするので、これもその一環かもしれない。姉妹の絆が、一筋の光となっている話。そういう心の隙間を埋める優しさのある怪談は、なんというかずるい。 記憶に残った五作品の感想をちらりと。
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【収録作品】「ある体験」吉本ばなな/「墓碑銘〈新宿〉」菊地秀行/「光堂」赤江瀑/「角の家」日影丈吉/「お供え」吉田知子/「命日」小池真理子/「正月女」坂東眞砂子/「百物語」北村薫/「文月の使者」皆川博子/「千日手」松浦寿輝/「家・魔象」霜島ケイ/「静かな黄昏の国」篠田節子/「抱き...
【収録作品】「ある体験」吉本ばなな/「墓碑銘〈新宿〉」菊地秀行/「光堂」赤江瀑/「角の家」日影丈吉/「お供え」吉田知子/「命日」小池真理子/「正月女」坂東眞砂子/「百物語」北村薫/「文月の使者」皆川博子/「千日手」松浦寿輝/「家・魔象」霜島ケイ/「静かな黄昏の国」篠田節子/「抱きあい心中」夢枕獏/「すみだ川」加門七海/「布団部屋」宮部みゆき
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