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日本社会のしくみ の商品レビュー

4.4

69件のお客様レビュー

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2026/03/01

維新期から現代まで通底する、雇用や働き方に関わる構造について論じており、きわめて興味深い。ただ、労使関係論や労働史の知識が十分でなく、議論が妥当かどうか判断できない。 新書としては大部であり、図表がたくさんあるので、図表の目次があるとよかった。また、索引もほしいところ。

Posted byブクログ

2025/10/10

日本の雇用慣行がどのように形成されてきたのかを、アメリカやドイツと比較しながら検討した結果、「はじめに人ありき」であることが分かった。アメリカは「はじめにジョブありき」。 明治の大学卒が少数だった時代〜戦中〜高度成長までは雇入を増やしても、人不足/組織拡大で経営が維持できた。しか...

日本の雇用慣行がどのように形成されてきたのかを、アメリカやドイツと比較しながら検討した結果、「はじめに人ありき」であることが分かった。アメリカは「はじめにジョブありき」。 明治の大学卒が少数だった時代〜戦中〜高度成長までは雇入を増やしても、人不足/組織拡大で経営が維持できた。しかし高度成長が頭打ちになってからは大企業の正社員数も頭打ちになり、パートタイム労働や女子社員ないし非正規雇用を雇用のクッションとして扱い、新たな雇用の二重性が形成されてきた。 日本の社会保障制度は、会社(正社員)or地域で囲われており、どちらにも当てはまらない残余型が約1/3存在する。厚生年金で比較的厚く保護される会社型、それと比較すると保障は薄いが地域のつながりでカバーする地域型、どちらにも属せず社会制度から溢れやすい残余型という構成になっている。 社会の仕組みは合意形成の積み重ねであるため、パッチを当てることはできるが、根本的な改革は大きな痛みを伴う。加えて完璧な仕組みは存在せず一長一短である。「日本社会のしくみ」を改善するなら、「透明性を高める」ことから始めるべきだと著者は述べている。人事評価の透明性を高めることは、既に日本社会で働いている人の満足度を上げることにもなり、これからアメリカ型やドイツ型のような国からやってくる外国人を雇用する上でも有利になる。 という日本の雇用慣行を概観した。 個人的には少なくない残余型の人たちがいかに幸福に生きられるかを、社会がどう担保するかについての議論に興味がある。

Posted byブクログ

2025/09/06

働き方や会社の所属について考える上で非常に面白かった一冊。自分自身、会社に所属しながら、サラリーマンの不自由さを感じるが、そもそも日本に於いて会社とは何か、なぜ今こういう制度のもとにいるのか…を考えるきっかけになった。

Posted byブクログ

2025/08/11

あとがきにあるように、『日本社会のしくみ』と言いつつ実質的には雇用慣行に限定した内容だが、逆にこのことは日本社会の構造がいかに会社というコミュニティに依存しているかの裏返しである。自分はかれこれ30年ほどこの主題を追っているが、そのきっかけは入社してすぐ導入された『目標管理制度(...

あとがきにあるように、『日本社会のしくみ』と言いつつ実質的には雇用慣行に限定した内容だが、逆にこのことは日本社会の構造がいかに会社というコミュニティに依存しているかの裏返しである。自分はかれこれ30年ほどこの主題を追っているが、そのきっかけは入社してすぐ導入された『目標管理制度(MBO)』に疑問を持ったからだった。こんなの絶対にうまく行く訳ないと思っていたら、案の定その後も目標管理の方法を無駄に精緻化したり、役職と報酬を一致させる役割給を導入したりして迷走を続けたものの、結局もとの職能等級制度から一歩も脱することはできなかった。 雇用政策一つを取っても、教育、福祉政策など日本社会の構造と深く連関しており、それらと整合しないポリシーは仮に私企業のローカルな仕組みであっても機能しないということだ。著者の言う『つまみ食い』は許されない。特に今は史上初めて労働力人口が減少して、相対的に労働者のパワーが増えている。日本は言語バリアが非常に高いから、他国のように外国から安い労働力を入れることも容易ではない。今までの『雇ってやる』感覚の経営者は痛い目を見るだろう。早く労働者(組合)もこの構造変化に気づいて声を上げて欲しいと思う。 長年この問題を追ってきて得られた知見と、自身の会社員経験から得られた感覚は本書の内容と完全に合致しており特に新しい発見はなかったが、こうして網羅的にまとまった資料は頭の整理になって有益だった。

Posted byブクログ

2025/06/19

イメージで捉えられる日本社会の「しくみ」の解明に、雇用と労働の側面から挑む。 西欧やアメリカとの比較で、「これだから日本は…それと比べて…」とよく言われますが、他社会を当て嵌めるのではなく、両者の背景や形作られる過程を分析し、両者の長短を踏まえた冷静な分析がなされます。慣習からな...

イメージで捉えられる日本社会の「しくみ」の解明に、雇用と労働の側面から挑む。 西欧やアメリカとの比較で、「これだから日本は…それと比べて…」とよく言われますが、他社会を当て嵌めるのではなく、両者の背景や形作られる過程を分析し、両者の長短を踏まえた冷静な分析がなされます。慣習からなる「しくみ」の変革に対するおぐおぐの言葉も示唆的。 昨今は過激な主張をする/正義を振りかざす政治勢力が台頭し、「日本は…現状は…」という安易な言説が選挙に向けて高まっていますが、誰もが組み込まれている「しくみ」を頭ごなしに否定するのではなく、合意をはかって、我々の手で社会をつくることが必要です。

Posted byブクログ

2025/09/08

・仕事内容が違うのに、Aという部署とBという部署の給料が同じ。 ・大卒社員と高卒社員の初任給が同じ。 「それって変じゃない?」って、 なんとなく違和感があるのだが、これは「社員の平等」という話。これに異議を唱えても、「まぁでも、日本は『社員の平等』だからねぇ」という話。 「自...

・仕事内容が違うのに、Aという部署とBという部署の給料が同じ。 ・大卒社員と高卒社員の初任給が同じ。 「それって変じゃない?」って、 なんとなく違和感があるのだが、これは「社員の平等」という話。これに異議を唱えても、「まぁでも、日本は『社員の平等』だからねぇ」という話。 「自分の学歴と現在の仕事内容が、釣り合っていないと感じる」━━こういう人が増えているという。 つまり、「大学を出たのに、それに見合った仕事をしていない」「雑務をしている自分に納得がいっていない」と。 しかしそれは昔からそうだったわけではない。 「なぜそういう時代になったのか?」、本書を読めばその歴史がわかる。 *** 『日本社会のしくみ』というタイトルではあるが、主に、“雇用”の話が中心だと感じた。 「新卒一括採用」「定期異動」「定年」「学歴採用」……など、労働や雇用の仕組み、その歴史について学べる。 自営業の方よりも、いわゆる“大企業”というところに勤めている人のほうが、実感をもって理解ができるのではないかと思う。 分厚い本で、読み応えがあり。 「難しい」とか「読みにくい」とか、そういうのはない。 知らないことをたくさん知ることができて、読んでよかった。 「どのへんがよかったの?」と聞かれても、内容がたっぷりなので、抜粋するのが難しい。要約するにしても、同様。

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2025/06/06

数字とか出典が多くて読むのは容易ではなかった。しかし、歴史や背景について詳細な説明があり、なぜ今の日本社会の仕組み、特に仕事や企業において、いかに形成されたか書いてあり面白かった。

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2025/04/10

「働けば報われる」──かつての日本社会を支えた信念だ。企業は終身雇用を掲げ学校は均一な教育を行い福祉は家族の中でまかなわれてきた。誰がその恩恵を受け誰が取り残されたのか。高度経済成長の裏にあった排除と抑圧を見逃してはならない。時代は変わり非正規雇用や教育格差、孤立する高齢者が増え...

「働けば報われる」──かつての日本社会を支えた信念だ。企業は終身雇用を掲げ学校は均一な教育を行い福祉は家族の中でまかなわれてきた。誰がその恩恵を受け誰が取り残されたのか。高度経済成長の裏にあった排除と抑圧を見逃してはならない。時代は変わり非正規雇用や教育格差、孤立する高齢者が増えるいまモデルはすでに限界を迎えている。だがそれは嘆くための材料ではない。社会のしくみはつくられたものならばつくり直すこともできる。過去を見つめることはよりよい未来への第一歩となる。

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2025/04/11

図書館から借用してびっくり!新書なのに600ページ近くある。期間内には読み切れないと判断して楽天ブックスで購入。

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2025/02/22

よく海外サービスを日本に輸入して広がっている場面を見るが、採用や組織などいわゆる人事関連サービスは日本ならではの特殊な市場があると感じている。例えば、海外でよく使われる転職ツールはLinkedinだし、候補者も自ら応募して転職に踏み切るケースが多い。一方で日本はエージェントからの...

よく海外サービスを日本に輸入して広がっている場面を見るが、採用や組織などいわゆる人事関連サービスは日本ならではの特殊な市場があると感じている。例えば、海外でよく使われる転職ツールはLinkedinだし、候補者も自ら応募して転職に踏み切るケースが多い。一方で日本はエージェントからの紹介やスカウトからの応募などどちらかというと受け身的な転職活動が多く、直近は新卒市場でも同様の傾向が見られるまでになりつつある。 上記のような状況を事実として受け入れつつも内心「なんでそんなことになっているんだろう?」と理解しきれていなかったが、本書を読んだことでその疑問が多少なりともクリアになった感覚がある。人や組織の慣習というのはとても根深く、そう簡単に変えられるものではないのだな、というのを再認識した。

Posted byブクログ