この夏のこともどうせ忘れる の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
高校生の夏を描いたオムニバス。 内容にすごく関係ないけど、ポプラ社のこの本、いい紙つかってる? ページ一枚一枚しっかりしてるな~って思いながら読んだ。 「空と窒息」 毎年夏にないると意味があるのかないのか母が1度だけ首を絞めてくる。 そんな高校生が勉強合宿にいく。ここでもボッチ。 夜眠れなくて、つい同じ部屋の香乃に「首を絞めてくれないか?」と頼んでしまった。その夜はよく眠れた。 「昆虫標本」 美しいハーフの兄妹の家にお邪魔する話 妹が切手収集しているらしく、祖母の切手コレクションをもって家に訪ねる。 切手の話、そうでない話、ふたりはべったりした時間をすごす。 美しい兄のほうが昆虫を集めているという。弟が今年の夏の課題に昆虫標本を出すというと、「ぜひ連れてきて」と言われ、 姉弟でこの家に訪ねていく 「宵闇の山」 小学校の頃から花火大会は男子集まって親が行ってはいけないという、神社の裏山の奥にいく。そこからの花火は絶景。秘密基地だ。 毎年鳥居の前にあつまっていたが、中学、高校とあがるにつれ、 花火大会は彼女と・・や、他県に引っ越していったり・・とへっていき、 とうとう、この場所をおしえたサツキと、ミナミの二人になってしまった。 「生き残り」 大学生の彼氏と1か月前に分かれ、高校最後の「ちょうどいい彼氏」を探す。 大学は東京に行きたいから、あの数か月だけの相手。 夏休みの補習授業で一緒になった「生き残り」と呼ばれる男子にアタックすることに。 彼は無口でよくわからない。でも分からない方が付き合っていって知ることも話をすることも多いはず。 1年の頃に鬼のしごきのスパルタ野球部で部員が全員熱中症で倒れたのに、彼は平気で救急車を呼んだつわもの。だから「生き残り」と呼ばれていた。 彼がバイトをしているハンバーガー屋さんにも行ってみる。 「夏の直進」 失踪した小説家の父は、夏の間別荘にこもって執筆していることが多かった。 高校2年の夏、その別荘に1週間一人暮らしをしてみる。「受験勉強のため」といえばなんとかなった。そうでなくとも、母も姉もそんな関心がない。 あちこちに父の痕跡を探す。ひきだしに隠してあるようにはいっていたお酒。普段飲んでいない銘柄のたばこ。 初めて煙草を吸ってみる。父がやったであろう、ベランダで景色を眺めながら。 夜、海までいって、海水浴場ではないその砂浜ですごしてみる。 「おじさん!」少年に声をかけられた。どうやらこの地で父と交流があったようだ。 だが少年は「絶対顔を見ないで」という。 「どうせ忘れる」という題名だけど、絶対忘れないんだよな~。 BBAになると去年の夏なんて忘れるけど、高校なんていう、きらきらしたい時代の思い出なんて何回も反芻しまくるに決まってるやん!! でも、当時の自分は「わすれちゃうんだろうな」って思うんだよね。 それを含めて、青々しいよな~~~
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どの、物語においても 人間性、愛情が、テーマかなと。 その愛情が、正常かそうでないか…。 それは、誰が決めるものでもないんだろうけど 心で、みんな、揺れ動く、、。 親子、恋人、親友、、。
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きっかけは、地元の高校で高校生が選ぶ天竜文学賞という文化賞の存在を知ったから。 そこで賞をとった、この作品を知り読みたくなった。 高校生の夏をテーマにした短編集。 作者のあとがきにも書いてあったが、どの話も高校生二人が中心になり話が進む。 テーマはバラバラだが、どれも不思議な世...
きっかけは、地元の高校で高校生が選ぶ天竜文学賞という文化賞の存在を知ったから。 そこで賞をとった、この作品を知り読みたくなった。 高校生の夏をテーマにした短編集。 作者のあとがきにも書いてあったが、どの話も高校生二人が中心になり話が進む。 テーマはバラバラだが、どれも不思議な世界観で、切ないような温かいような、ノスタルジックな話ばかり。 主人公が男性なのが多かったからか、個人的には「生き残り」が好き。 この先バラバラにならず、ずっとこの二人の世界が続けばいいのに。。。って思う。
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夏の湿度を感じる短編集。 気温だけではなく、感情の湿度まで。 美しい兄妹の話「昆虫標本」が特に印象的。
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高校とか中学の夏って特別で あの頃嫌だってことも思い返してみれば良かったのかなって思う あんな忙しい毎日今じゃ考えつかないし色々制限されてるからこそ面白い毎日だった 社会人になった研修合宿をなぜか思い出した。 最初の話が好き。 食堂とか部屋で配属場所であーだこーだ言ってたな 夏...
高校とか中学の夏って特別で あの頃嫌だってことも思い返してみれば良かったのかなって思う あんな忙しい毎日今じゃ考えつかないし色々制限されてるからこそ面白い毎日だった 社会人になった研修合宿をなぜか思い出した。 最初の話が好き。 食堂とか部屋で配属場所であーだこーだ言ってたな 夏に読めて良かった
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5つの作品が入った短編集。 全ての作品が触れたら壊れてしまいそうな儚さを持っていて、忘れるのも仕方がないが忘れたくは無いなぁとしみじみ思うようなお話ばかりでした。 蝉の声が響いて茹で上がりそうな暑さの夏にぜひ読んで欲しい作品でした。
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読んだ後余韻が残る短編集。 切ないけどなんだかじわーと心の中があつくなる。 寝る前に読みたい作品です。 夏の日の暑い夜に読むのもおすすめ。学生さんも読みやすいと思います。 夏に読んで欲しい本
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タイトル通り「この夏のこともどうせ忘れる」という、どこか冷めた感のある夏の一場面を切り取った短編集。どことなく淫靡で、退廃的で、不思議な空気感を持った小説でした。 ただ、グサっと心に突き刺さるかな、と思ったけど、そこまで心に突き刺さらなかったのが残念でした。というより、タイトルと...
タイトル通り「この夏のこともどうせ忘れる」という、どこか冷めた感のある夏の一場面を切り取った短編集。どことなく淫靡で、退廃的で、不思議な空気感を持った小説でした。 ただ、グサっと心に突き刺さるかな、と思ったけど、そこまで心に突き刺さらなかったのが残念でした。というより、タイトルとあらすじを読んで“突き刺さって欲しい”と思いながら読み始めたので、逆にハードルが高くなったのかも。 全編面白く読めて、つまらなくはなかったです。
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日常と非日常のまじわるこの絶妙なかんじ…すごく好みだった。 読者にゆだねる終わり方も◎ 自分好みでない結末よりは妄想する方がいいし… 何回も読みたくなるし、読む返すと伏線もたくさん見つけられて感動した。 この春自分も高三になるからか、同じ高三の女の子が主人公の「生き残り」が一番印...
日常と非日常のまじわるこの絶妙なかんじ…すごく好みだった。 読者にゆだねる終わり方も◎ 自分好みでない結末よりは妄想する方がいいし… 何回も読みたくなるし、読む返すと伏線もたくさん見つけられて感動した。 この春自分も高三になるからか、同じ高三の女の子が主人公の「生き残り」が一番印象に残った。彼女のような恋への積極性は皆無だけど、似たような考え方に共感してしまったり、篠くんのような性格の子いるなぁ、そういう子が好きだった、と思ったり、最後は号泣してしまった。 「空と窒息」蒸し暑い空気感が伝わってきたのと、秘密を共有したことで変わっていく香乃との関係がとてもよかった。 「昆虫標本」兄にゲームで負けた、という藍莉のセリフでまさか?!となった。 とにかくこの時期に読めてよかった。 高三の夏を過ぎてからだともっと高校生活謳歌しておけばよかったって後悔しそうだし。 今同級生に全力でおすすめしたい一冊。 毎日を人生最後の日のように全力で生きよ、という発想は、わたしにはちょっとマッチョすぎるけど、毎日を高校生活最後の日のように全力で恋せよ、というのはいいな、と思った。きらきらしていて。「生き残り」
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全ての話において読者の想像力に委ねられている部分が多く、こういうことかな?と推測して読む必要がある。 そのため、ハマる話もあればよく分からなかった…となる話もあった。 「宵闇の山」と「生き残り」が特に印象に残った。 この夏のこともどうせ忘れる。忘れてしまうけれど、大人になってから...
全ての話において読者の想像力に委ねられている部分が多く、こういうことかな?と推測して読む必要がある。 そのため、ハマる話もあればよく分からなかった…となる話もあった。 「宵闇の山」と「生き残り」が特に印象に残った。 この夏のこともどうせ忘れる。忘れてしまうけれど、大人になってからふとした瞬間に思い出すような忘れられない夏の記憶。そんな感じ。
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