「帝国」ロシアの地政学 の商品レビュー
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ロシアの行動は「突発的」ではなく、独自の地政学的思考に基づいている── 『帝政ロシアの地政学』は、国家を生命体と捉え、民族的連続性を重視するロシアの国境観を丁寧に解説した一冊。ウクライナ侵攻を理解するための重要な視座を与えてくれる。ロシアと関わるビジネスマンにもおすすめ。
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・ロシアの国家像は大きく3つに分かれる。一つは西欧志向。これは初期エリツィン期の西側協調志向で、西側諸国の価値・制度への統合を目指しつつ、旧ソ連諸国を独立した主権国家として扱うもの。ロシアはワルシャワ条約機構の解体や在欧ロシア軍の撤退など西側との軍事的対決姿勢を放棄したが、NATOによるロシアの意向を無視した旧ユーゴを空爆などがあり、西欧志向は放棄された。 二つ目は帝国志向。ソ連崩壊後の結果に対して極めて否定的。国境線ではなくエスニックな集団を国家の範囲とみなす(大陸地政学的)。 最後は大国志向。ロシアが旧ソ連諸国を帝国的秩序のもとに直接統治することは想定しないが、旧ソ連圏で生起する事象については強い影響力を発揮できる地位をもつべきだとする(筆頭がプーチン)。 ・ロシアが目指す多極世界とは、少数の「主権国家」がそれぞれの勢力圏を従えて併存するという大国間強調である。 ・「主権国家」たるロシアの「歴史的主権」がおよぶ範囲(≓旧ソ連圏)においてロシアは保護する責任(R2P)を主張する一方、旧ソ連圏外においては(ウェストファリア的な)独立した主権国家観が適用される。 ・その上で、本書はグルジア/バルト三国/ウクライナ/中東(シリア、例外的)/北方領土/北極圏(環境問題による新たな境界)を扱う。
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ロシアの主権や勢力圏に対する考え方に触れられるいい本だった。 ロシアなりのロジックを理解する助けになった。 (無論、ロシアのロジックは国際的な標準とは程遠いものだが……)
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2019年7月発行。コロナ禍とウクライナ侵攻前というと隔世の感が出てきた今日この頃(2023年4月)ですが、ロシアという国がどういった思想によって政治を行っているのかがよく分かる良書だと思います。 バルト三国やウクライナとの関係についてはここ最近よく取り沙汰されているので馴染みがありましたが、中東とロシア、北方領土、北極についてはまだまだ不勉強、というか北極を巡る攻防は初めて知りました。北極を中心にした地図を見ると不安が募ります。 ***************************************** 本書とはあまり関係がありませんが、バルト三国というとチャペック『オランダ絵図』の「小さな民族」の冒頭、ラトヴィア人の若者の「どの言語で仕事をしていくべきなのか」という苦悩を思い出します。バルト三国は、今まさにロシアから離れていこうとしていますね。
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とても面白かった。 私にとっては馴染みのない分野の書籍だったが、読みやすかった。 大国ロシアの国家戦略を簡単には理解することはできないが、ひとりの日本人学者の視点を通して、ロシアの一端を理解させてくれる。 物事に対しての認識や、優先事項の異なる国家と国家との関係を良好に保つために...
とても面白かった。 私にとっては馴染みのない分野の書籍だったが、読みやすかった。 大国ロシアの国家戦略を簡単には理解することはできないが、ひとりの日本人学者の視点を通して、ロシアの一端を理解させてくれる。 物事に対しての認識や、優先事項の異なる国家と国家との関係を良好に保つためには、相手への想像力を大切にしながら、愚直にコミュニケーションをとりつづけなければならないと感じた。
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日本は日米安全保障条約体制にあるのでロシアから見たら「半主権国家」としか見做されていない。 旧ソ連構成国も同様に主権国家ではなくロシアが主権を持ってるものなんだと思っている。 シンプルに書いてしまいましたがそのような考えを持っているんだということがよく理解できました。
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2016年にプーチンとロシア軍について著した二冊によって新進気鋭の専門家として認知された筆者が今をときめくウクライナシリーズともいうべき論説を展開し始めた一冊。クリミア併呑、ドンパス侵攻に言及するのはもとより、そこまでに至るロシアにとっての「必然性」に関し幾つかの異なる角度から論...
2016年にプーチンとロシア軍について著した二冊によって新進気鋭の専門家として認知された筆者が今をときめくウクライナシリーズともいうべき論説を展開し始めた一冊。クリミア併呑、ドンパス侵攻に言及するのはもとより、そこまでに至るロシアにとっての「必然性」に関し幾つかの異なる角度から論考するお馴染みのパターンがもう確立している。本書では一見関連がなさそうな中東介入と北極戦略に関する二章が目を引く。
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ジョージアが「ロシアとの紛争を抱えている限り、集団防衛機構であるNATOはロシアとの戦争を避けるために加盟を認めることはできない」 ウクライナが「ロシアとの終わらない紛争を抱えているということは、当面はNATO加盟が不可能になる」 「戦争状況を継続させることそのものがロシアの目標...
ジョージアが「ロシアとの紛争を抱えている限り、集団防衛機構であるNATOはロシアとの戦争を避けるために加盟を認めることはできない」 ウクライナが「ロシアとの終わらない紛争を抱えているということは、当面はNATO加盟が不可能になる」 「戦争状況を継続させることそのものがロシアの目標であると考えられよう」 「ロシアにとって重要なのは、旧ソ連諸国に対して介入を行う際、西側がそこに横槍を入れてこないよう抑止しておくことである」
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「境界」の概念を軸として、ロシアの地政学的戦略を解説。現在のロシアによるウクライナ侵攻前に出版された本だが、今に至るロシア(プーチン政権)の国際秩序等についての考え方(浸透膜のような境界観、「勢力圏」の論理など)について理解が深まった。 安倍政権下の北方領土交渉における日本の考え...
「境界」の概念を軸として、ロシアの地政学的戦略を解説。現在のロシアによるウクライナ侵攻前に出版された本だが、今に至るロシア(プーチン政権)の国際秩序等についての考え方(浸透膜のような境界観、「勢力圏」の論理など)について理解が深まった。 安倍政権下の北方領土交渉における日本の考え方がいかに甘々だったかも再認識した。日本はロシアから「半主権国家」とみなされてるというのは納得感があった。
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わかりやすい言葉で、多くのことを知りました。温暖化による北極圏の氷が溶ける、といったことも勢力圏に関係してくるとは。
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