川っぺりムコリッタ の商品レビュー
しみじみいい話だと思った。 読み始めから勝手に映像が浮かんでしまう。 しかもキャストまで見えてきてしまうのは、映画監督さんの作品だからなのか。 小林聡美・三石研・もたいまさこ・加瀬亮 荻上さん好きなら、すぐに当てはまるでしょ? 片桐はいりは・・・塩辛作りのベテラン社員かな。 炊...
しみじみいい話だと思った。 読み始めから勝手に映像が浮かんでしまう。 しかもキャストまで見えてきてしまうのは、映画監督さんの作品だからなのか。 小林聡美・三石研・もたいまさこ・加瀬亮 荻上さん好きなら、すぐに当てはまるでしょ? 片桐はいりは・・・塩辛作りのベテラン社員かな。 炊き立てのご飯、そして味噌汁。絶品塩辛とシンプルな野菜の漬物。 思わず生唾ごっくんの映像も思い浮かぶ。 フードコーディネーターはもちろん飯島奈美さん。
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一人で良かったはずだった。 誰とも関わらず目立たず、ひっそりと暮らしていこうと決めていたはずだった。 そうやって人生を諦めていた彼はささやかなシアワセを実感していく内に、生きる喜びを見出だしていく。 川っぺりに佇む古びた木造アパート"ムコリッタ"で。 世間から脱落したような一風変わった住人達との出逢いが彼の考え方を変えた。 自分以外の誰かと一緒にご飯を食べる。 世間話をする。 笑う。 その一つ一つはささやかだけれど、何ものにも代え難いシアワセなのだ。 どうせ明日も今日と同じ、変わり映えのしない毎日だ。 けれどその変わらない日々の中にでも少しずつ変わっていくものもある。 そのことに気が付いた彼は、昨日よりももっとシアワセだ。 一人でも生きていけるけれど、誰かと一緒がずっといい。 いつも見ている夕焼けも、誰かと一緒なら、ずっと綺麗に思えるはずだ。
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悪いことしてしまったんだけど、本人のせいには出来ない。 家庭環境が違ったら、こんな人生にならなかっただろうし。 施設で育ったほうが幸せだったかもと思ってしまう気持ちとか、読んでいて辛かった。 それでも、彼は救われた。 実際には、こんなにうまいこといかないから、また塀の中に戻ってしまうのでしょう。 つらいなぁ。
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何とも素敵な本だった。全ての人が出所後にこういう環境を得られれば良いなと思うけど実際はそうじゃないんだろうということを思うと悲しくなるけど。 はからずも女性監督さんの本を2冊続けて読み,ジェンダー論的には怒られてしまうかもしれないけど女性監督さんが誕生してくれて良かったなと思う。
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辛い少年時代 どんどん転落する人生 主人公が、小さな喜びや幸せを持てるようになっていったそんなお話 最後はほっこりした気分になれる本
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高2の時母親に捨てられ、食べるために悪いことをし、気が付いたら刑務所にいた僕は出所後、更生施設から紹介された塩辛工場で働きながら、川べりにある築50年のぼろアパート「ハイツ ムコリッタ」で暮らし始める。 誰にも邪魔されず、自分だけでひっそりと生きていくつもりでいた僕を待ち受けてい...
高2の時母親に捨てられ、食べるために悪いことをし、気が付いたら刑務所にいた僕は出所後、更生施設から紹介された塩辛工場で働きながら、川べりにある築50年のぼろアパート「ハイツ ムコリッタ」で暮らし始める。 誰にも邪魔されず、自分だけでひっそりと生きていくつもりでいた僕を待ち受けていたのは、訳ありな大家と、世の中から落ちこぼれた隣人たちだった。 祖母の後を継いで大家になったシングルマザーの南さん母子、墓石の訪問販売を生業とする溝口父子、共同の庭で野菜を作り、それを持って僕のところに風呂とご飯をもらいに来る図々しい隣人・島田、島田の友人の強面の僧侶・ガンちゃん。一癖も二癖もありそうな面々と生きることの意味を見いだせない僕との平凡な日々。 そんな中、幼い頃に生き別れとうに忘れていた父親の孤独死を知らされる。遺骨を引き取りに来てくれという連絡に、一度は関係ないと突っぱねながら結局、引き取りに行った僕はそこで部屋いっぱいの無縁仏を見る。 こんなにも沢山の名もなき人の死。孤独死をした父の人生とは何だったのか。それは、友達もなくひっそりと暮らす自分の辿り着く先そのものではないのかと気づき愕然とする。 そんな僕がアパートの住人たちと関わり、静かに寄り添い、支え合って暮らしていく中で父の人生を受け入れ、生きることへの答えを見つけていく過程がユーモラスに描かれている。 荻上さんの文章はさらりと読みやすく語りすぎないのがいい。200頁足らずのこの物語は、幸せに生きるという深いテーマを扱っていながら決して重くならず、優しく心の柔らかい部分に触れる言葉に溢れている。読みながら何度もウルウルし、ムコリッタの意味するところが分かるラストは、どこか懐かしい川べりの夕景が目に浮かんで爽やかでした。 私の今年のベスト10入り確実の作品、是非、映画化してほしいわ~
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しみた。 "「シアワセなのよ。ね。ささやかなシアワセを細かく見つけていけばさ、なんとか持ちこたえられるのよ。こんなギリギリの生活でも」" 51ページ "「期待してたり、気にしてたりってゆうのが、もう愛だよね」" 137ページ ...
しみた。 "「シアワセなのよ。ね。ささやかなシアワセを細かく見つけていけばさ、なんとか持ちこたえられるのよ。こんなギリギリの生活でも」" 51ページ "「期待してたり、気にしてたりってゆうのが、もう愛だよね」" 137ページ 映画「かもめ食堂」「めがね」「レンタネコ」も好きだった。その監督ということで、もう少し違うものを想像して読んだが、思ってたより厳しい環境の主人公だった。 一人だけど一人じゃない。なんとか生きていきたい。
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「カモメ食堂」という映画が好きで、この作者はその映画の監督です。昭和の臭いがする安アパートに暮らす貧乏な奇人たちと元犯罪者の交流を通して、本当の幸せって何か?。生きるとはどういうことなのか?を問うような、まるで映画のような小説なのです。キャラが濃厚でここが映画的、大きな場面展開は...
「カモメ食堂」という映画が好きで、この作者はその映画の監督です。昭和の臭いがする安アパートに暮らす貧乏な奇人たちと元犯罪者の交流を通して、本当の幸せって何か?。生きるとはどういうことなのか?を問うような、まるで映画のような小説なのです。キャラが濃厚でここが映画的、大きな場面展開はないのは荻上監督らしく、登場人物の細部までこだわっています。陰気な話しと思いきや読後感はとても良い。とても面白い作品でした。
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