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〔少女庭国〕 の商品レビュー

3.7

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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    7

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2023/07/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

〈ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。時間は無制限とする〉という卒業試験に放り込まれた中3女子たちのお話。 〔少女庭国〕よりも〔少女庭国補遺〕からが本番でした。 大叙事詩…勃興と滅亡を繰り返す中3女子たち。 世界には部屋と扉と中3女子しかなくて、生きていくとしたらそれらでどうにかやっていくしかない。食べ物飲み物、生活の道具…部屋と扉と中3女子しかないので“それらでやっていくしかない”。 レポートのように書かれる子もいれば、しっかりストーリー仕立てで描かれる子もいました。 SF、デスゲーム系、百合、架空の歴史書…どれにも当て嵌まるし、でも初めて読む質のお話。終わらない小説でした。 過去方向へ進んでいった子たちが、一面に花々が咲き乱れる部屋に辿り着くのが良かったです。(何から生えてんだ…)と思ったので、その感慨もちょっとで終わりました。

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2023/04/26

 文句なしに面白い矢部嵩。才能が羨ましい。どうしてこんな奇妙な設定を思いつくのか、普段何を考えてる人なのか頭の中見てみたい。  この本SFで紹介されてるのか……。SF?か、ある空間に閉じ込められた女子中学生の奇妙(凄絶!)な話。  この本を読む前に「サピエンス全史」読んでたけ...

 文句なしに面白い矢部嵩。才能が羨ましい。どうしてこんな奇妙な設定を思いつくのか、普段何を考えてる人なのか頭の中見てみたい。  この本SFで紹介されてるのか……。SF?か、ある空間に閉じ込められた女子中学生の奇妙(凄絶!)な話。  この本を読む前に「サピエンス全史」読んでたけど、ちょうどアレと同じ読後感に包まれるよ、何故か(笑)おすすめ!

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2023/03/02

 卒業式へ向かう途中、目が覚めると暗い部屋に貼り紙がありました。 “ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ” ドアを開けるたびに卒業生が一人倒れています。無限に続くドアと無限に増え続ける少女達。残虐か繁栄か、少女たちの永遠なる建国史。 ...

 卒業式へ向かう途中、目が覚めると暗い部屋に貼り紙がありました。 “ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ” ドアを開けるたびに卒業生が一人倒れています。無限に続くドアと無限に増え続ける少女達。残虐か繁栄か、少女たちの永遠なる建国史。 SFです。しかもかなり特殊かつ斬新な物語。なぜ卒業試験を行うかは分かりません。数式を満たした先は分かりません。どのような仕組みで部屋が続いているかも分かりません。調べることに意味は無いのです、生きるためにはドアを開けて卒業生という名の物資を手にしなければならないのですから。これは理不尽かつ残虐なるルールな中で少女たちが一から作り出す組織、街、国への進化とその過程。

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2023/02/26

読む価値がある。印象に残る本で、よく出来ている。奇書の類で私好みではないが、それでも。ミステリーの舞台設定と、試行の繰り返しのなかでの世界観の拡がりかた、しかし最後の作品の閉じ方が異様に印象に残る。たしかに、少女「庭」国である。

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2022/11/08
  • ネタバレ

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「女子中学生といういきものの観察記録」 表題作はどこか感傷的で儚い小品。補遺からが世界観の本番だった。 残酷で不条理で、たくさんの死と生が積み重なっていく様子がドライな文体で綴られていく倒錯感。ちょっと他じゃ味わえない感覚ですね。 殺し合い、人肉食、奴隷制度……まーグロいしエグいし目を背けたくなるような場面が続くんだけど、文体がどこまでも客観的なので想像力を適度に下げながら読めて安心。安心かな? 観察日記みたいな距離感で進めといて最後のふたりのパートで急にエモくなる緩急の付け方もずるい。好き。

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2022/08/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

うーーーん、面白くない訳では無い。 グロ小説オススメで見つけた本なのだけど、この本をグロ系として勧めるのは、違うだろと…。 確かに殺し合ったり食人したりあるけども。全くグロくないです。 少女たちが映画「CUBE」的な閉鎖空間に閉じ込められて、殺し合わざるを得ない状況に陥るデスゲームもの。 そんなイメージと期待で読んだのが失敗だった。 実際は、SFかな。ホラーでもミステリーでもグロでもない。 後半(しかし実は大半)の「補遺」は、ディストピアものとも言えそう。 救いのない、閉鎖された場所でそこだけの「世界」「社会」を築く感じ。 少女だけが出てくる、残酷で閉鎖的なSF。 確かに、読み終えてモヤモヤすることはできたけど、私の求めていたモヤモヤとは違ったのでした。

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2022/05/04
  • ネタバレ

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 悪趣味と言える状況下に放り込まれた少女達が殺し合いをさせられる。端的に言い表せば、それだけの作品であるけれど、〝少女〟という年代の多様さが書き表されている様にも感じました。  怖いもの知らずで無鉄砲な行動に出る子、終わりの見えない現状に閉塞感を感じる子、誰かの為に頑張れる子、仕切りたがりでリーダー気質の子。特殊な環境下ながら、少女らしさを発揮して現状を何とかしようと悩んで行動している少女達。皆、一様に同じ行動を取るわけではなく、似ていながらも違う行動を取り、違う結末を迎えている。その多様さが少女の持つ個性を魅せられている気がしました。  少女庭国補遺では、単調に自殺し殺し殺されてゆき、時折開拓や入植がされ、話し合い殺し合いと繰り返しの様に似た展開が続きます。その殆どが悲劇的な結末を迎えるのですが、その希望の無い中に見えるからこそ、百合と言える展開が映えている気がします。  そして、そんな悲劇的な物語が続いたからこそ、最後の石田好子と本田加奈子の2人が一際平和に見え、2人きりの空間にずっと浸っていたくなる様に思えました。

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2022/05/04

登場人物の名前と話し方が独特で、ずっと不思議な気持ちで読んでた こういうシチュエーションに存在する全ての因子を掛け合せて有り得る全パターンを洗い出し、各パターンを骨子として物語の肉付けをした、というふうに見えた

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2021/06/27

矢部嵩『〔少女庭国〕』読了。デスゲーム的限界状況を背景とした百合小説なのかと思いきや、思考実験にSF的想像力を過剰なまでにぶち込んで淡々と煮詰めた怪作。

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2021/01/10

・ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。時間は無制限とする。その他条件も試験の範疇とする。合否に於いては脱出を以て発表に代える。 ・三九〔浮島茉莉子〕  「十五歳の母!?」  世界は救われたが数億年で滅んだ。 ・六十〔東南条桜薫子〕...

・ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。時間は無制限とする。その他条件も試験の範疇とする。合否に於いては脱出を以て発表に代える。 ・三九〔浮島茉莉子〕  「十五歳の母!?」  世界は救われたが数億年で滅んだ。 ・六十〔東南条桜薫子〕  「…きっとどこか高み的な外部から眺めてるんだろう。今この瞬間もね」  「…基本的にはやっぱ私らは二人に一人脱出するのが一番なわけじゃない。一番手早く一番利がいい、合理的な振る舞いを前提とするなら二三行で話は終わることになる。…」

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