1,800円以上の注文で送料無料

ヒッキーヒッキーシェイク の商品レビュー

3.6

62件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    26

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/10/19

コードネームはパセリ、セージ、ローズマリーにタイム。 ヒキコモリ支援センターの自称カウンセラー・竺原は、年齢も性別もばらばら、そうなった理由もさまざまな4人のヒキコモリ(ヒッキー)たちに「人間創り」プロジェクトを持ちかける。目指すのは、「不気味の谷」を越えること。言ってる本人がま...

コードネームはパセリ、セージ、ローズマリーにタイム。 ヒキコモリ支援センターの自称カウンセラー・竺原は、年齢も性別もばらばら、そうなった理由もさまざまな4人のヒキコモリ(ヒッキー)たちに「人間創り」プロジェクトを持ちかける。目指すのは、「不気味の谷」を越えること。言ってる本人がまず、よく意味をわかってないけれど。 亜麻布のシャツを作るよう彼女に伝えて。 継ぎ目も針での小細工もなしに。 そう出来てこそ僕の真の恋人。 実現不可能な課題を元恋人にふっかけるイギリスの伝統的バラッド『スカボロー・フェア』の歌詞そのままに、気軽に荒唐無稽なアイデアの実現を迫る竺原に振り回されるヒッキーたち。彼らはそれぞれに持てる特技をつぎ込んで、果たしてそれは完成する。しかし竺原の無茶振りは続き、UMA(未確認動物)を捏造するとそれは寂れた観光地を一気によみがえらせる。次々と起こるこのお祭り騒ぎ、いったいどこに着地するんだろう? 竺原、お前は何がやりたいんだ!?  パセリ、セージ、ローズマリーにタイム。彼らは気付けば部屋の外に出て、チャットで話していたのがいつのまにか電話になり、いろいろな人たちと出会い、交流を結び、世界は確実に広がっていた。けれど謎の人物・ジェリーフィッシュの登場で、彼らは一気に疑心暗鬼に陥る。さらに彼らのプロジェクトが世間を騒がす事件へと発展してしまい……。 竺原の真の目的、そしてジェリーフィッシュの正体とは。 『スカボロー・フェア』の歌詞と、登場人物たちが「引きこもり」になるに至ったエピソードを随所に織り交ぜた内面描写、二転三転するプロジェクトの展開。竺原に引っ掻き回されるのはヒッキーズたちだけじゃない。読者もそうなのだ。 お祭りの準備が楽しくて、こんな日がずっと続けばいいなと思わず願う、この感じは往年の押井守監督作品『ビューティフルドリーマー』に似ている。 そして折々の場面で登場する、生き難さを感じる人たちへ向けたような、竺原の数々の台詞が印象に残る。 「人は誰でも他人を苦しめ、不幸にする、たとえその気がなくともね。誰かの役に立たねばならない、周囲を幸福にせねばならないなんてさ、考えないことだ。もしそんなことが実現できていると感じたなら、それは思い上がりってもんだ」 この人は本当に何を考えているのか。騙したいのか、利用したいのか、それとも――。それは本当には最後まで分からないのだけれど。 それぞれが自分の人生を生きていく。与えられたものと本当に欲しかったものとの折り合いをつけながら。 「自分にはこの人生しかない!」 そう心に決めて生きてゆく人たちへの、裏返しの、伝わりにくい優しいメッセージ満載のエンターティメント小説、なのかも。

Posted byブクログ

2019/09/01

ずっと物語に入り込めないまま最後まで読み終えてしまった。各登場人物のキャラはあったのだが移り変わりや謎の部分が多く抑揚がうまくつけられず読んでしまった。今の自分と著書のメッセージには合致しなかった。

Posted byブクログ

2019/08/29

担当編集者が自身の進退を賭け世に送る一冊! 「この本が売れなかったら、私は編集者を辞めます」。 織田作之助賞最終候補の話題作、6/6刊行

Posted byブクログ

2019/08/22

久しぶりに津原泰水。更に言うなら、久しぶりに、津原泰水の『キャラクターが立った』長編を読んだような気がする。ややドタバタ風のところも含めて、ジュブナイル時代を知っていると懐かしい印象があった。

Posted byブクログ

2019/08/18

20190814 ヒキコモリ支援カウンセラーのJJが集めた四人の引きこもり、パセリ、セージ、ローズマリーにタイムは、JJの提案したプロジェクトのためそれぞれの仕事をすることになる。JJの目的は、そして、4人の引きこもりの未来は。 新書版の社長のツイッターが問題になり、出版社が変わ...

20190814 ヒキコモリ支援カウンセラーのJJが集めた四人の引きこもり、パセリ、セージ、ローズマリーにタイムは、JJの提案したプロジェクトのためそれぞれの仕事をすることになる。JJの目的は、そして、4人の引きこもりの未来は。 新書版の社長のツイッターが問題になり、出版社が変わって発刊された作品。出てよかった!あいかわらずのシャープなテンポと甘すぎない展開、でも希望のある未来。4人は結局JJに踊らされた部分はあるが、踊って見て良かったと思っているだろう。続きがあればいいのに、でも絶対ないんだよな、でもそれもいいんだよな、と思える作品。

Posted byブクログ

2019/08/17

ひきこもり専門のカウンセラーが、クライアントのひきこもりたちと協力して「不気味の谷」を越えるCGを作っちゃう、ていうお話。 作者と元々の出版社との間にゴタゴタがあっていろいろと話題になったんだけど、そういうの関係なく、純粋に読んでて楽しい本だと思う。 ていうか、夢中になって読んで...

ひきこもり専門のカウンセラーが、クライアントのひきこもりたちと協力して「不気味の谷」を越えるCGを作っちゃう、ていうお話。 作者と元々の出版社との間にゴタゴタがあっていろいろと話題になったんだけど、そういうの関係なく、純粋に読んでて楽しい本だと思う。 ていうか、夢中になって読んでしまった(^^) 登場人物みんな魅力的なところがすごく好きで、特にひきこもりたちをサポートする伝説のハッカー、ロックスミスがお気に入り。 ロックスミスの正体は結局わからないままだから、勝手にコンビニ店員の白雲(はくうん)さんだと妄想して、セージとのラブストーリーを脳内で展開( ´ ▽ ` )♡

Posted byブクログ

2019/08/17

‪お墓参りの往復に文庫本を持って出て、面白くて一気読みしました。没頭していて気付いたら終点駅に到着していました。こんな事は滅多にありません。終点駅が最寄駅でよかったです。帰宅後も続きを読み、翌日には読み終えました。ものすごくおもしろかったです。 万人受けするタイプの、物語の構成に...

‪お墓参りの往復に文庫本を持って出て、面白くて一気読みしました。没頭していて気付いたら終点駅に到着していました。こんな事は滅多にありません。終点駅が最寄駅でよかったです。帰宅後も続きを読み、翌日には読み終えました。ものすごくおもしろかったです。 万人受けするタイプの、物語の構成に重きのある、メッセージが伝わりやすく共感しやすい、テンポの良い、小説です。 津原さんは初めて読んだのですが、伊坂幸太郎さんや恒川光太郎さんや佐藤正午さんと同じタイプの作家さんです。ページを捲る手が止められなくなります。 津原泰水さんにハマったので他の作品も読んでみようと思います。

Posted byブクログ

2019/07/31

カウンセラーがひきこもりたちの才能を活かして詐欺行為を働く話…でいいのかしら。作り上げる過程は面白かったが、終盤は方向性がよくわからなくなりすっきりせずに終わったのが残念。

Posted byブクログ

2019/07/23

個性豊かな「ヒッキーズ」が人間創り、UMAの捏造、果てはウイルスの作成などを通し、少しずつ外界に心を開いていく痛快ストーリー。なんで今までこの作品が話題にならなかったのか不思議。それくらい面白かったです。

Posted byブクログ

2019/07/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・幻冬舎とか百田尚樹とか見城徹とか早川書房の塩澤快浩とかいったゴシップについては特に意見なし。面倒だ。 ・まさにスウィンギング・ブルー・ジーンズ「ヒッピーヒッピーシェイク」のような大変軽快な音楽を聴いたあとのようなウキウキ、という読後感。(ビートルズネタ多数なのもニヤリ) このウキウキは、文体の切れ味のよさ、会話の巧みさ(津原泰水の真骨頂は実は会話だ)、に限らず、彼の創作作法にも依るのではないか。 作法1、無意味な説明的描写はしない、というより描写自体を抑制して読者の想像に任せる。 作法2、群像劇を作るときは別パートからの働きかけを信用して、パート間の空隙を敢えて説明せず、いわば「跳ばす」。 ・引き籠りの実態としては別の見方があるだろうが、本書では「ヒッキー」と、若干架空の存在へ摩り替えられている。 だからこそ、いわゆるキモオタはいない。みな育ちがそこそこいい。唯一無二の能力を持っている。 そんな都合いいことあるかい! とひねこびた読み方も可能ではあるが、そこは読者側からのカテゴリエラーだと見做して。 ・いいなーと思ったのは、断章ごとに視点人物を設定する際の、ゆるさ。 像に竺原とでも刻もうかと言われ「断る。もし可能だったらPSR&Tと」という気の利いた台詞があるが、新人作家やルールにからめとられる作家ならばP、S、R、Tしか視点人物にしないはず。 だが津原泰水はゆったり構えて、お亀や花梨や中山文太や葵といったモブ級の人物をも視点人物に採用する。 ちんけなアイドルユニットの一員がラジオで語るモノローグを採用したり。 果ては、なんとナウマン象の末裔とセイウチが成層圏の外で会話している「俺たち、もしかして人類の間で話題になってる?」という断章が許されたり、すらするのだ。 このゆるさが、本作の魅力だ。 ・竺原の目的ってなんなん? というのが一番訴求力のある読み手の興味だが、終盤に明かされるそれすらが拡散してしまうくらい、他の人物の魅力が、じわじわ溢れてきて、みなの今後の活躍を祈らざるを得ない。 ・以上好意的に書いてきたが、津原泰水にはもっともっと傑作や張り詰めた作品がある。 世間的には上質だが、氏の来歴の中では凡作程度ではないだろうか。好きだけどさ。

Posted byブクログ