私の消滅 の商品レビュー

中村文則(著者)

2022/04/24

いつにも増して暗い物語だった。視点移動が巧みで、こちらも(きっと小塚自身も)誰が誰だかわからず陥っていく感じがあったし、長くはないのに読後の疲労感がすごかった。
小塚のことも和久井のことも容認はもちろんできないし恐ろしいことをしているんだけれど、なぜか終わり方が美しく少し愛おしく思えて、中村文則作品は結末にいつも中毒性があるなと思った。

2022/03/16

これは復讐の物語で、復讐の手段として「洗脳」が使われる。
具体的には近代洗脳の手法をもとに、その人自身の記憶および人格を別人のものに書き換える。
「私」とは一体何か。どこまでが「私」でどこからが「彼」の記憶なのか。今ここで涙を流して悲しんでいる私の感情は、本当に私のものなのか。
まるで酩酊したようにアイデンティティがぐにゃぐにゃ揺らいでその揺らぎがとても面白かった。何が真実なのか最後までわからなくてページを繰る手が止まらなかった。

2022/01/23

たった170ページくらいしかないのに、人間の気持ち悪い部分をまるっと凝縮したような本で、読んでいて呼吸が止まりそうでした。生きてる心地がしなかったです。

個人的には、簡単に人を洗脳できてしまう技術の恐ろしさと同時に、脳の持つ可能性も感じられたと思います。ただ、当たり前だけど、倫理観だけは絶対無くしたらダメだよなと思いました。

2022/01/13

闇の部分がうまく書かれていると思った。
悪意とかではなく、産まれた環境などからくる、自然に湧き上がる歪んだ気持ち。
洗脳、恐ろしい。
拷問だと思う。
自分の中の気持ち悪い部分が、妹を崖から落としたり、母親に怪我をさせたりした。
施設に送られたが、治っていない。
医師に引き取られ精神科医になるが向いていなかった。
そこで、ゆかりさんに出会う。
しかし、ゆかりさんは自殺してしまう。
人間とは何か？
この世界とは何か？
電気治療でサイコパスが治るとは思わない。
壊れた人格に恐ろしさを感じた。

2021/12/13

出だしから凄まじい緊張感。
相変わらずのdepressive小説。
なんでこんなに暗い話ばかり書けるの？

2021/12/09

自分にとっては難しかったなぁと言う感じ
深層に入り込んで人を変えていくという恐ろしさが中村文則ワールド全開で面白かった。
主格が変わっていってるのか？難しい読書ではあったが解離性の病気によって中村文則の親切さがあってまだ最後まで読めた。けど分からずとも面白かった

2021/10/30

終始暗い感じ。濃い霧が覆う深い森の中にいるようだった。わかったようでわかっていないような、そんな感じ。

2021/10/08

なんかよくわからなかったけど

母親が男の暴力を回避する為の術を息子に無意識に向けてしまう表現
これは脳裏に焼き付きましたね

あと黎明卿のゾアホリックかな、と思いました(わかる人にはわかる？)

2021/08/16

初めてちゃんと小説を読みました。19歳です。
きっかけは今夜くらべてみましたで浜辺美波ちゃんが紹介していたからです。
読み終えた感想は、暗い気持ちになるけど、ちょっと明るい気持ちが混ざってる複雑な感情になります。
よくわからないところが多いので2回目も読もうと思います。
中盤から主観が誰かを考えるのが必死になります。でも、主人公の気持ちがなんとなくわかるような、わからないような、考えるのが楽しかったです。

今、自分の暮らしがいかに幸せで恵まれているのかの再確認もできました。こんな人(主人公)がこの世にいっぱいいたら怖いなあと思いましたが、ここまで不幸な目に遭う人も地球規模でも少ないのかなと思いました。

あと、復讐の仕方がすごいスッキリしました。

2021/08/14

初めて読んだ中村文則さんの本。
最初訳がわからないが引き込まれていく感じがあり、伏線の回収と後半の展開が素晴らしかった。
人が狂気に追い込まれていく様がすごい。
すべて忘れて幸せに生きてほしい。