文化人類学の思考法 の商品レビュー
本書を通じて一貫して示されたのは、我々が「当たり前」だと思い込んでいることの多くが、実は確固たるものではないということである。自然と文化、科学と呪術、商品と贈り物、国家と社会——これらは相互に対立するものとして捉えられてきたが、実際には境界があいまいで、つながり合い、相互に影響を...
本書を通じて一貫して示されたのは、我々が「当たり前」だと思い込んでいることの多くが、実は確固たるものではないということである。自然と文化、科学と呪術、商品と贈り物、国家と社会——これらは相互に対立するものとして捉えられてきたが、実際には境界があいまいで、つながり合い、相互に影響を与え合っている。 著者たちが示すのは、世界が単純な二項対立で成り立っているのではなく、複数の「わからなさ」や「揺らぎ」を抱えながら構築されているということだ。しかも、その揺らぎの中にこそ、人と人、人と物、人と自然との関係の豊かさが存在している。 特に興味深いのは、この思考法が単なる学問的議論に留まらず、現代社会の課題——グローバリゼーション、少数民族問題、市民参加、暴力と平和——へのアプローチを提供している点である。我々が対立していると信じている事象も、フィールドワークという民族誌的な営みの中から見直すことで、新たな関連付けや理解が生まれてくる。 また、本書で繰り返し強調される「比較」という思考方法も有益だ。「芸術のようなモノ」という中間領域において、一見無関係に見えるものを繋ぎながら考えることで、固定的な概念による支配から自由になれる。この柔軟性こそが、混沌とした現代を生きるための知恵となるのではないだろうか。 本書は「文化人類学の思考法」というタイトルだが、実は現代を生きるすべての人にとって必要な思考法の教科書である。自分たちの社会も、相手の文化も、あるいは自分自身さえも、複雑で揺らぎに満ちたものとして捉え直すことで、より柔軟で創造的な関わり方が可能になるだろう。
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オムニバス形式で、各セクションで多様な視点を与えてくれる。テーマはそれぞれ異なるが、論点のフェーズが似ていたため内容が入ってきやすかった。この本を読むだけである程度まとまった知識を得られた感覚になる。難解すぎず簡潔にまとまっていたため、ボリュームは抑えめだが満足感があった。
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様々な分野について、私たちが違和感を覚えるような事例を出すことによって、現代社会の歪みを呈示する モノを分類したがること、特定の原理に頼ることへの警告が強いように思えた 「あたりまえ」を疑う文化人類学は、日に日に変化する現代にピッタリだろう 柄谷さんの「資本=ネーション=国家」...
様々な分野について、私たちが違和感を覚えるような事例を出すことによって、現代社会の歪みを呈示する モノを分類したがること、特定の原理に頼ることへの警告が強いように思えた 「あたりまえ」を疑う文化人類学は、日に日に変化する現代にピッタリだろう 柄谷さんの「資本=ネーション=国家」が現代社会を支配している、というのが、本書における現代社会の「あたりまえ」はこの世界観においてのみ…という考えと繋がる気がした この社会が強いのは、交換様式ABCという3つの原理で構成されてるからなのかな?
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「かもしれない」の領域についての話が面白かった。調査者が完全にフィールドの人々に同化はできないが、自分の更新前の考えとその差異に戸惑いながら「かもしれない」を生きていくという話が印象に残った。また、フィールドの人たちにとっても呪術は「かもしれない」の領域だというのが面白かった。 ...
「かもしれない」の領域についての話が面白かった。調査者が完全にフィールドの人々に同化はできないが、自分の更新前の考えとその差異に戸惑いながら「かもしれない」を生きていくという話が印象に残った。また、フィールドの人たちにとっても呪術は「かもしれない」の領域だというのが面白かった。 また、戦争と平和の章で関係が「深まりすぎてしまうから」戦わざるを得ないということがある、という話が面白かった。 またいつか読み直したい。
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文化人類学とはどういう学問か、初心者にもわかりやすい言葉で書いてくれていて読みやすかった。考えるということの概念?幅?が広がったので個人的には面白くまた読み返したいと思った。 白黒つけず、どうすればいいか、読書が考える余白を持たせながら話が終わるので各章読み終わった後も余韻ととも...
文化人類学とはどういう学問か、初心者にもわかりやすい言葉で書いてくれていて読みやすかった。考えるということの概念?幅?が広がったので個人的には面白くまた読み返したいと思った。 白黒つけず、どうすればいいか、読書が考える余白を持たせながら話が終わるので各章読み終わった後も余韻とともにいろいろ考えを巡らせたりもした。 しっかりと学んでみたいと思ったしまた、他の本も読んでみたいと思った。
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自分、不器用なんで どれを読んでいいか絞れずに、 人類学とタイトルに入っている本をあれこれ 手にとってます。 この本は、広いテーマを立てて 人類学的な捉え方を紹介してくれます。 自分の関心に近いテーマもあれば、そうでないのも ありますが、ガイドブックというか パンフレット的な作...
自分、不器用なんで どれを読んでいいか絞れずに、 人類学とタイトルに入っている本をあれこれ 手にとってます。 この本は、広いテーマを立てて 人類学的な捉え方を紹介してくれます。 自分の関心に近いテーマもあれば、そうでないのも ありますが、ガイドブックというか パンフレット的な作りと評価すればよいのかもしれません。 著者も多数いるのですが、「学問」世界の方々なので、 引用文献の明示など書き方の匂いがアカデミック というか、シロートの読者を引き込む力が弱いかな。
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あまり印象に残らなかった。広く浅くテーマによって著者が違う。母についての話は「不道徳お母さん講座」で読んだやつだ!と思った。深掘りされていてあっちは楽しく読めたなぁ。
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文化人類学を専攻してた人におすすめしてもらった。この書籍は良くも悪くも各パートで筆者とテーマが分散しており、この分野に明るくない自分からすると本の展開として発散的で部分部分しか印象に残らなかった
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
文化人類学の思考法とは、自文化と異文化を比較を通して「当たり前」を疑うこと。そのために、フィールドワークをして、実際に異文化に身を置き自分達の目で差異を確かめるということをしているのが文化人類学者たちです。 自分の当たり前を疑うという思考を身につけるために、言葉や道具・慣習などにおいて、他の人・外国・地方など自分とは違う使い方をされていないか、確認してみる癖をつけるといいかもしれないと思いました。
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文化人類学という学問をラジオで知り、詳しく知りたいと思い、手に取った一冊。文化人類学の考え方やアプローチ方法などはとても興味深いが、自分の理解力が乏しいためか、本書の内容は多々難解に感じてしまった。ただ、自分たちが「当たり前」だと思っていた多くの事柄は、別の地方や地域、国、民族、...
文化人類学という学問をラジオで知り、詳しく知りたいと思い、手に取った一冊。文化人類学の考え方やアプローチ方法などはとても興味深いが、自分の理解力が乏しいためか、本書の内容は多々難解に感じてしまった。ただ、自分たちが「当たり前」だと思っていた多くの事柄は、別の地方や地域、国、民族、時代が異なれば、全く「当たり前」ではなく、そう言ったことなる文化を経験するからこそ、その差異に気がつくことができる。こういう文化人類学の考え方の一部を学べたことだけでも収穫だと思う。
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