1,800円以上の注文で送料無料

戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」 の商品レビュー

3.9

22件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    8

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/02/03

【優しさゆえに沈黙し、真実にいたる道をゆずってはいけないのである】(本文より引用) 世紀の大発見としてもてはやされながら、のちにその内容がウソであったことが判明した「東日流外三郡誌」。東北初の戦後最大の偽書はいかにして生まれ、いかにして人心を捉えるようになったのか......。...

【優しさゆえに沈黙し、真実にいたる道をゆずってはいけないのである】(本文より引用) 世紀の大発見としてもてはやされながら、のちにその内容がウソであったことが判明した「東日流外三郡誌」。東北初の戦後最大の偽書はいかにして生まれ、いかにして人心を捉えるようになったのか......。著者は、「東奥日報」の記者としてこの偽書事件に巻き込まれていった斉藤光政。 こんな事件があったのかという驚きと、人々が偽書やフェイクをどのようにして信じるに到るのかを現実の例として見せてくれる稀有な一冊。事件ミステリーものとしてもページを繰る手が止まりませんでした。 この本自体に民俗史的な側面もあり☆5つ

Posted byブクログ

2020/01/10

人はなぜトンデモにはまるのか。 どうやって騙されるのか。 材料が並べられ、キチンと分析されている。 ほんと、どうして信じてしまうのだろう。

Posted byブクログ

2019/08/25

安彦さんのカバーイラストと新章部分に惹かれて 集英社文庫版を購入。改めて一気読み。 何度読み返しても面白く、ある意味恐ろしい内容である。 あらためて単行本エピローグの最後の一節を 「優しさゆえに沈黙し、真実にいたる道をゆずってはいけないのである。」

Posted byブクログ

2019/08/17

「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」なる古文書の写本が発見され、その信ぴょう性を片っ端から論理破壊していくルポルタージュ。 今でこそほぼ偽書と確定しているが、当時は真剣に信じるものが市井の人だけでなく考古学者にもいてマスコミをも巻き込み大論争を巻き起こしていく。原本ではなく...

「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」なる古文書の写本が発見され、その信ぴょう性を片っ端から論理破壊していくルポルタージュ。 今でこそほぼ偽書と確定しているが、当時は真剣に信じるものが市井の人だけでなく考古学者にもいてマスコミをも巻き込み大論争を巻き起こしていく。原本ではなく写本であるところがキーにもなっている。東北地方という場所柄などを指摘しながら丹念に丁寧に論破していく。 まさに痛快、あっという間に読んでしまった。

Posted byブクログ

2019/07/11

青森県で発見された古書には正史とは異なる歴史が記載されとおり、それを元に数多くの書籍が刊行された。海外の大学からも所蔵の引き合いがあった歴史書。という話だが、こんなに話題になっていた偽書事件なのに、知らなかった。 内容は面白いが、次から次へと偽書の証拠が出てくるので後半は飛ばしよ...

青森県で発見された古書には正史とは異なる歴史が記載されとおり、それを元に数多くの書籍が刊行された。海外の大学からも所蔵の引き合いがあった歴史書。という話だが、こんなに話題になっていた偽書事件なのに、知らなかった。 内容は面白いが、次から次へと偽書の証拠が出てくるので後半は飛ばしよ読み。 本の内容としては、素晴らしいと思う。

Posted byブクログ

2019/07/04

久しぶりに一気に読んだ。 「東日流外三郡誌」については、その名は知っていても、偽書疑惑が語られていること、古田武彦氏が大きくかかわっていること等の認識しかなかった。今回、この本によって、その出自と偽書としての評価が定まった経緯とをはじめて知ることができた。地方新聞の一記者がたまた...

久しぶりに一気に読んだ。 「東日流外三郡誌」については、その名は知っていても、偽書疑惑が語られていること、古田武彦氏が大きくかかわっていること等の認識しかなかった。今回、この本によって、その出自と偽書としての評価が定まった経緯とをはじめて知ることができた。地方新聞の一記者がたまたまかかわったことを契機に取材を進め、やがて古田を中心とする擁護派(真書派?)の主張を次々と切り崩していく様は、一編の推理小説を読むような醍醐味がある。少なからぬ作家やノンフィクションライターが、この作品をルポルタージュの傑作として非常に高く評価していることも十分に頷ける。 かく言う私自身も、若いころ、古田の「邪馬台国はなかった」にすっかり騙され、その信奉者になりかけたくちである。安本美典の「虚妄の九州王朝―独断と歪曲の「古田武彦説」を撃つ」に出会わなければ、今頃は古田史学のカルト信者にさえなっていたかもしれない。 「東日流外三郡誌」のような偽書や古田の展開する疑似科学的学説には多くの人を惹きつける不思議な魅力があることは否めない。だからこそ、こうした偽りの歴史が真実として語られる危険性を回避するため、学者たちがしっかりと向き合うことが求められるのだと感じた。

Posted byブクログ

2019/05/27

「つがるそとさんぐんし」。この偽書をずっと追い続けた東奥日報の記者の労作。斉藤記者は、盛岡市出身、八戸育ちとのこと。読み応えがあるし、なにより読みやすい。

Posted byブクログ

2019/05/24

みんななんで「嘘くせー」と思いながら振り回されるんだろう 嘘でもなんでも求めてた何かがあったんだろうな 私も書かれた東日流外三郡誌の内容におぃおぃおぃ…と驚きながらも一気に読んでしまった

Posted byブクログ

2019/05/24

青森のちょっと変わったおじさんが、自分が書いた紙を古文書だと言い張っている事件で、そんなの無視しておけばいいんじゃないかと思いながら読み始めたけど、その裏には、辺境で常に支配される側として描かれ続けてきた東北の人たちの思いや、自分たちの歴史が間違って広まってしまうのは許せないとい...

青森のちょっと変わったおじさんが、自分が書いた紙を古文書だと言い張っている事件で、そんなの無視しておけばいいんじゃないかと思いながら読み始めたけど、その裏には、辺境で常に支配される側として描かれ続けてきた東北の人たちの思いや、自分たちの歴史が間違って広まってしまうのは許せないという思いなどがあることがわかって、やっぱり間違っていることは間違っているときちんと主張しないといけないんだなと思いました。

Posted byブクログ

2019/03/31

久々の一気読み本。 青森に有ったとされる古代文明の存在が記されているとし、70年代から80年代に一部熱狂的なブームを起こしたとされる「東日流外三群誌」 青森県五所川原市にある一軒の農家屋根裏から天井板を破って落ちてきた事で発見された膨大な古文書は、その後偽書論争が巻き起こる。 ...

久々の一気読み本。 青森に有ったとされる古代文明の存在が記されているとし、70年代から80年代に一部熱狂的なブームを起こしたとされる「東日流外三群誌」 青森県五所川原市にある一軒の農家屋根裏から天井板を破って落ちてきた事で発見された膨大な古文書は、その後偽書論争が巻き起こる。 当初の段階から最後までを取材し見届けた、もと地元新聞社記者であり、今はルポルタージュ記者である斉藤光政氏が書き上げた一大ルポ。 内容の面白さはあえて書くまでもないので割愛。 個人的に気になったのは、 米粒写経が月一ライブのガラパゴスィッチ内で、 東日流外三群誌の擁護派の筆頭、この方が執拗に頑迷に固執していなければここまで偽書騒動も大掛かりにならなかったであろう、その立役者である、昭和薬科大学の古田武彦教授を取り上げた回の事。 追悼という事で、生前は「邪馬台国はなかった」など超古代史を扱った著書などにおいて、独自の視点で既存の歴史観を覆すなど精力的に活動されていたにも関わらず、中央の学会関係者からは最後まで認められる事なく無念に逝った氏を手厚く取り上げたのだった。 古田氏のファンだという米粒写経の居島一平氏が、虎ノ門ニュースのMCでは見せないような熱さで (虎ノ門ニュース以外ではこちらの方がスタンダードかも) 語っていたのを先に見たせいで、 古田先生とは世間からは認められない中、 コツコツと多数派が色眼鏡や思い込みで盲目的になっているところを真摯に歴史の真相を探るべく取り組んでこられた美しい方なのだなぁと、素直に感動したのだった。 が、今回の東日流外三群誌擁護派の筆頭として登場する古田氏はそんなイメージを覆す、まさに自分の思い込みで盲目的になっている張本人なのであった。 与えられる材料は同じにも関わらず、 解釈は真逆。 その可能性を常に意識して、謙虚に物事にあたっていきたいものだと自戒にもなった一冊であった。

Posted byブクログ