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落花 の商品レビュー

3.8

25件のお客様レビュー

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2019/06/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

平将門の乱の下の楽を追求する僧侶とその下僕の歴史小説。 この時代を描く歴史小説は希少なので期待しました。 自分の平将門の原体験は大河ドラマの「風と雲と虹と」です。 この物語の将門像もそれに重なったので読みやすかったです。 主人公は「至誠の声」を求め関東に下った僧寛朝とその従僕で天下の名品の琵琶を求める千歳です。 千歳の畜生道への転落ぶりが凄まじく、最終的に寛朝がそれでも千歳を抱きすくめるのはいつもの澤田節っぽいです。 有明が無明となってあの名器につながって、千歳が百人一首のあの坊主になるとは、すごい想像力です。 寛朝が成田山新勝寺の開祖であることは物語から窺えないのと、生き残った将門の娘の「うそ」が史実のだれなのかがわかないのが少し残念でした。 それにしても、平将門の乱をこの視点で描けるのは澤田さんならではでした。

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2023/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

世は朱雀帝の御代。坂東で平将門が暴れていた時代。 主人公は敦実親王の長子で真言声明の第一人者、寛朝。 敦実親王って、源雅信の父親…くらいの認識しかなかったけど。こんなに癖の強い人だったのか?いつ都に戻るのかと思って読み進んでたら、とうとう坂東の地で終わってしまった(涙) 残念ながら、将門は美しく描かれ過ぎてて感情移入できません。まだ香取の傀儡女達の方がリアルだった。 更に、え、千歳が蝉丸??そりゃ確かに、盲目の琵琶法師で名器「無明」を手に入れるけど…でも「女のような容姿」ってあったよ、百人一首の絵札とか月岡芳年の『月百姿』とかの蝉丸はオッチャンだよ…!

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2019/05/27

将門の道理か、京の倫理か! 幻の師を追って、坂東を訪れた仁和寺の梵唄僧・寛朝。そこで彼は、荒ぶる地の化身のような男に出会う。

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2019/05/26

平安時代の東国が舞台。 後の大僧正 寛朝の目を通して、平将門の乱を描く。至誠の声を求めて都を出て東国まで出向いた寛朝の理解した将門の俠義心、楽を極めようとする中で生まれる葛藤、そして侍従 千歳の野心。 残酷で報われないシーンも多く目を背けたくなるが、ページをめくる手が止められな...

平安時代の東国が舞台。 後の大僧正 寛朝の目を通して、平将門の乱を描く。至誠の声を求めて都を出て東国まで出向いた寛朝の理解した将門の俠義心、楽を極めようとする中で生まれる葛藤、そして侍従 千歳の野心。 残酷で報われないシーンも多く目を背けたくなるが、ページをめくる手が止められない著者の筆力に導かれ、ほぼ一気読み。 どんな内容の話か全くの予備知識なし、題名に惹かれて手に取ったが、読んで良かった。

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2019/04/18
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※このレビューにはネタバレを含みます

平安の東国を舞台に、天皇家の血を引く僧侶を主人公に、平将門の乱の背景と東国の人間模様を作者独自の視点で描く作品。 若冲とこれの2作しか読んでいないが、若冲同様史実の中に作者の創作をうまく落とし込み、あたかも史実であったかのように描かれていて改めてこの作家のすごさに感銘を受ける。 寛朝、豊原是緒、蝉丸を違和感なく同時代に存在させてしまう物語がなんとも面白し、また伝説ばかりが一人歩きする将門についても、民に良く目をかけ、信念を貫き通し、妙に人を引き付ける人物としての描かれ方がとても清々しく武将の祖という感じさえ受ける。 それだけではなく、都にいる時の血生臭さと、東国においての血生臭さ、戸惑いながら寛朝なりにその違いを受け入れて自分の梵唄に落とし込んでいくことも、自分には何かを変える力があるわけではなく、そういう世を伝えていくという覚悟を描いたように感じとてもずっしりと印象に残ってしまった。 次回作はもちろん他の作品ももっと澤田さんの作品読んでみよう。

Posted byブクログ