戦場のアリス の商品レビュー
最高でした!国のためになんとか役に立とうとする女スパイたちの熱い物語です。イブが、スパイに勧誘される場面の冒頭からものすごくのめり込みました!進むにつれて、特にイブの過去の1915年パートの緊迫感がすごくて、先がどうなるのか気になって仕方ありません。一方のシャーリーの1947年パ...
最高でした!国のためになんとか役に立とうとする女スパイたちの熱い物語です。イブが、スパイに勧誘される場面の冒頭からものすごくのめり込みました!進むにつれて、特にイブの過去の1915年パートの緊迫感がすごくて、先がどうなるのか気になって仕方ありません。一方のシャーリーの1947年パートは、イブと共に、戦争の爪痕が残るフランスを幼馴染を探して回るパート。そして最後の怒涛の復讐へと息つく間もなかったです。イブもシャーリーもカッコいい!この人の作品をこれからも追いかけたいと思います
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ケイト・クインの本邦初訳、歴史ミステリ。現在まで本作を含め4作品出版されている(全てハーパーBOOKS)。 二人の女性が主人公。 第二次世界大戦後、ある目的のために母親とスイスに向かう途中、密かに行方不明のいとこを探す決意をするシャーリー。 第一次世界大戦中、アリスネットワークと呼ばれるスパイ組織に配属となったイヴ。 戦後と戦中の二人の人生が交わった時、意外な敵が見えてきて。。。 名作。600ページ以上で非常に分厚いが、苦にならないほど引き込まれる作品だった。 イブ視点の戦中の場面は重苦しくハラハラさせられる一方、中盤以降のシャーリーとイブ、イブに雇われているフィンのロードノベル感も良く。 文句なしのラストで、大満足の作品。 あえて言うなら、邦題の「戦場のアリス」はかっこいいんだが、作中に出てくる「アリス」にそこまでスポットライトが当たることはなく(凄く大事なポジションではあるが。。。)。アリスネットワークのスパイたちってことなんだろうけど、若干伝わり辛かったかなぁ。 なんとなく最近ご無沙汰のケイト・モートンの作風に近くて、大歓喜でした。
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第二次大戦中に消息不明になった従姉ローズを捜す米国の女子大生シャーリーはローズの情報を得るため、第一次大戦中にフランスの諜報機関でアリス・デュボア(リリー)が統括するネットワークに属し、現在ロンドンに住むイヴ・ガードナーを訪ねる。物語では実在したアリス・デュボアやヴァイオレット・...
第二次大戦中に消息不明になった従姉ローズを捜す米国の女子大生シャーリーはローズの情報を得るため、第一次大戦中にフランスの諜報機関でアリス・デュボア(リリー)が統括するネットワークに属し、現在ロンドンに住むイヴ・ガードナーを訪ねる。物語では実在したアリス・デュボアやヴァイオレット・ラメロン、キャメロン大尉の対独諜報活動が事実に基づきトレースされ、イヴの献身的な行動と、悲劇で刻まれた深いトラウマが描かれる。忘却の河を意味するル・レテというドイツ軍用のレストランを経営するフランス人売国奴ルネの残虐な人間性の設定が怒哀の情を煽る。シャーリーの役割は少なく、原題の「アリスネットワーク」のイヴとリリー、ヴァイオレットの物語にした方がより密度の濃いものになり読み応えのあるものになっていたのではと感じながら読了しました。 そう、垂れ込める悲嘆の雲を忘れることはできなくても、 その下で踊ることはできる。いまは足が重くても、いつか雲の下から抜け出して軽やかに踊れるかもしれない。Well, not forget my hovering cloud of grief, but at least dance under it. My feet might be heavy now, but maybe someday I could dance my way out from under the cloud. 「それ(花)が女の名前の場合は二種類あるのよ」イヴが言った。「きれいな花瓶に活けられて安閑としている花と、どんな状況でも生き延びる花・・・・悪に根を張ってでも。リリーは後者だった。あんたはどっち?」“There are two kinds of flowers when it comes to women,” Eve said. “The kind that sit safe in a beautiful vase, or the kind that survive in any conditions . . . even in evil. Lili was the latter. Which are you?”
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大学生のシャーリーは母親に連れられて墮胎手術を受ける旅行を抜け出し、戦時中に行方不明となったいとこのローズを探すたびに出た。彼女の働き口の報告書にあったイヴリンという名前を手がかりに彼女の家へと訪ねる。彼女は最初はシャーリーを追い払おうとしたがローズの働き口のレストランの名前を聞...
大学生のシャーリーは母親に連れられて墮胎手術を受ける旅行を抜け出し、戦時中に行方不明となったいとこのローズを探すたびに出た。彼女の働き口の報告書にあったイヴリンという名前を手がかりに彼女の家へと訪ねる。彼女は最初はシャーリーを追い払おうとしたがローズの働き口のレストランの名前を聞くと一緒に旅に出ることにした。 終盤の抜粋を読むまで実際の人物をもとにしているとは知らずに読んでいた。物語はシャーリーと戦時中の若かりし頃のイヴリンを回顧を交互に進める。2時代をつなげるのがローズが働いていたレストランのオーナー、ルネだ。悪役だが魅力的な小物で最後のカタルシスをより強くしてくれる。そして何よりもアリスの存在だ。史実とは思えないほどフィクションじみている。タフでユーモラスだ。他の登場人物もみな魅力的で、彼らの旅の友情や恋愛も楽しめる読み応えのある一冊でした
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第一次大戦中のドイツ軍占領下のフランス北部。 連合軍の為に敵の念機密情報を探索し、統括したスパイ網(アリス・ネットワーク)で働いた女性たちを、史実に基づいて描かれた壮絶な長編小説の傑作。二つの世界大戦を挟んで、カイゼル皇帝の前線視察列車情報、ヴェルダン攻撃情報、ベルゼン強制収容所の解放、オラドゥ-ル=シュル=グラヌの虐殺など、1915年と1947年に交錯する登場人物の意表を突いた行動とスト-リ-展開に、650ページ大部の一気読みを厭ぬ、群を抜いた面白さに堪能の溜息があふれ出た!〝「・・・これは危険な仕事というだけではない。汚い仕事、嫌な仕事だ。盗み聞きしたり、人の手紙—敵の手紙をこっそり開封したり。いかに戦時であろうと、紳士がやるべきことだとは誰も思わない。淑女は言うに及ばず・・・」〟〝「頑固な女は始末に負えない」よく思ったものだ・・・彼女の魂にはロマンチシズムや高潔さのかけらもなかった・・・死ねなかったのは頑固さのせいでなく、運命だったのではないかと思えてきた・・・敵は今も生きていて、始末されるのを待っていると囁いていた。彼を始末しない限り、口に咥えた拳銃の引き金は引けない・・・〟
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史実から着想しているので内容がリアルに感じた。 死や拷問のリスクを抱えながら任務を遂行して行く末様は胸が熱くなります。 リリーがすてき。
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飛び出すのだ。周囲から、今の自分から。 1947年のシャーリーも、1915年のイヴも。 ローズはどこ。イヴには何があった。 大戦中に活躍したスパイたちの苛酷な生きざまを、エンターテイメント性をもった展開で、グイグイ引き込んでゆく。 楽しめた。 特にイヴ、魅力的が光る。
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熱く、強く、たくましく、ひたむきに生きた女性たち。平和な時代に生まれつき、自分のことさえ考えていれば生きていられることが、惨めにすら思える。生きる勇気が、強くなる勇気がわいてくる。素晴らしい作品。
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第一次世界大戦で女性をリーダーとしたスパイチームが実際にあったということに驚いた。戦場を含め、女性は看護婦など後方支援っぽい仕事しかしてないだろうとなんとなく思っていたから。
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第二次世界大戦中に行方知れずになったいとこを探す、19歳のアメリカ人大学生、シャーリー。 彼女が情報を求めて出会ったのは、ロンドンに住む、第一次世界大戦中に活躍した女スパイのイヴだった。 ストーリーは1947年のシャーリーと、1915年のイヴの物語が交互に語られます。 本の帯...
第二次世界大戦中に行方知れずになったいとこを探す、19歳のアメリカ人大学生、シャーリー。 彼女が情報を求めて出会ったのは、ロンドンに住む、第一次世界大戦中に活躍した女スパイのイヴだった。 ストーリーは1947年のシャーリーと、1915年のイヴの物語が交互に語られます。 本の帯に「実話に基づく傑作歴史ミステリー」とあります。 傑作かどうかは個人の判断によると思いますが、かなりの部分が実話に基づいているのは確かなようです。 著者あとがきを読むところによると、イヴのスパイの物語は、実話を使いすぎるくらい使っています。 でも、それと本のおもしろさは別物。 冒険譚であり、ラブストーリーであり、戦争でいろいろと壊れてしまった人たちの傷を癒す物語でもありますが、なぜか読後感はハリウッド映画でした。
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