飛族 の商品レビュー
もはや無人島に近い島で暮らしているのは、2人の老女だけ。 イオ92歳とソメ子88歳。 イオの娘であるウミ子が、年老いた母を心配し、引き取って暮らそうと思っているのだが、母には全くその気はない。 不便さも感じずに老女2人の生活にしばらく見守っていこうとするウミ子。 ゆっくりと...
もはや無人島に近い島で暮らしているのは、2人の老女だけ。 イオ92歳とソメ子88歳。 イオの娘であるウミ子が、年老いた母を心配し、引き取って暮らそうと思っているのだが、母には全くその気はない。 不便さも感じずに老女2人の生活にしばらく見守っていこうとするウミ子。 ゆっくりと流れていく島の生活。 このままの状態が続いていけばいいのだろうが、と案じる気持ちもあり…。 また、今現在でもこのような島がいくつかあるのだろうか…と思いながら、国境に近い島に人の姿がなくなると外国からの侵入者が増えてそのうちに乗っ取られてしまうのだろうかなどと現実的なことも考えてしまった。
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この小説には過疎(限界集落)・高齢化、国防など日本の現代社会の問題が層になって反映されているのだけれど、舞台が東シナ海に浮かぶ小島のせいか、神奈川県で生まれ育った私からすると、まるで別世界の話のようで、ファンタジーめいて感じられた。 視界に空と海と鳥しか入らない、人もほとんどいな...
この小説には過疎(限界集落)・高齢化、国防など日本の現代社会の問題が層になって反映されているのだけれど、舞台が東シナ海に浮かぶ小島のせいか、神奈川県で生まれ育った私からすると、まるで別世界の話のようで、ファンタジーめいて感じられた。 視界に空と海と鳥しか入らない、人もほとんどいない世界は、広過ぎて怖いようだ。自然と自分達だけしかない、ある意味閉じた小島の時間は、過酷なだけに、私のそれとは違う濃度で過ぎる気がする。一つ一つの生命の光が強く、自然世界との繋がりももっと太くて濃い。 まだ整理しきれないけど…すごく良いと思った。
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長崎の離島に住む母親と、その娘の物語。 島で二人きりの母親とその友人を見守る娘の視点で描かれる。 ほぼ無人島暮らしといえる老婆二人の生活は、独特のリズムが出来上がっていて、飛族と名付けられるくらいの世界があったのが面白かった。 島に暮らす人々を見守る自治体職員の話も面白かった。で...
長崎の離島に住む母親と、その娘の物語。 島で二人きりの母親とその友人を見守る娘の視点で描かれる。 ほぼ無人島暮らしといえる老婆二人の生活は、独特のリズムが出来上がっていて、飛族と名付けられるくらいの世界があったのが面白かった。 島に暮らす人々を見守る自治体職員の話も面白かった。できることは限られるけれど、知恵を絞って具体的な方法で行われる島を守る工夫。妙にリアルだった。
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初 村山早紀作品。 「鳥になりたや」。海女として海に潜り、子どもを育て、島に住んで九十年、今が一番悩みもなく、ほぼ自給自足で暮らす。そして、鳥になる練習を欠かさない。 五島列島のあたり、かつては日本の西の果て(唐への玄関口・極楽)とみなされていた。そして、隠れキリシタンの村・離島。今では、国境の島々。島に1人でも住民がいれば、日本の領地で、現代的なインフラが整えられる。電気、電話、港、定期船、ガス。携帯も繋がっているようだから、基地局?あるいは衛星電話?水は雨水を溜めるようだし、下水はないか。ゴミは船で回収することはないでしょうね。たぶん焼却?廃屋が壊れた場合などの処理はどうするのだろう。簡単に維持というけど、大変だ。 いつの間にか、若者は本土に移り、残るは年寄りのみ。特に産業もなく、静かにゆっくり、島に寄り添って生きてきた。そして、最期まで。 海で亡くなった人は鳥に生まれ変わったと信じている。海も空も、そこでは人間の命が還っていく場所。そしてその海鳥は、残された人間たちに会いに来る。何もないところだけど、鳥も、死んだ人の魂までも境界を越えて飛び交う聖地・離島。 いつかここから海鳥になって、空へ飛び立っていくことが、残された最後のひとつだと、思う。 今日も、祈り、踊る。「鳥になりたや」。
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長崎の国境離島をおもわせる島が舞台。住人は92歳のイオさんと88歳のソメ子さん二人きり。役所はじめ生活に必要な機関は全て波多江島にあり、船で行き来するしかない生活。漁業で生計をたててきた島の生活、海女として今も時々潜っているソメ子さん、シンプルな島の生活。海洋上のあってないよう...
長崎の国境離島をおもわせる島が舞台。住人は92歳のイオさんと88歳のソメ子さん二人きり。役所はじめ生活に必要な機関は全て波多江島にあり、船で行き来するしかない生活。漁業で生計をたててきた島の生活、海女として今も時々潜っているソメ子さん、シンプルな島の生活。海洋上のあってないような国境線、その危険性。島の生活風景が思い浮かぶ。ふく風と共に海を越えて飛ぶ鳥の風景も、お祭りごとと言いながら鳥のように舞う二人の姿は神秘的。読んでいて、人として自然と共に生きる姿を堪能した。
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綺麗な題名やなあ、っと思い手にとる。 飛族、なんやろ?っと思っていたら、なるほど、そーゆー感じかあ。 親子なんやけど、なんやからっとした感じで、普通もっと親の方が娘に色々期待しそうなもんだが、そーゆーのがなくてよかった。 無人島と二人でも人が住んでると、違う、という、 国境の問題。よく中国漁船の密漁のニュースは聞くけど、いわゆるニュース。けど、実際その現場に住んでる人の皮膚感覚としてはもっとヒリヒリした切迫感があるんやろうなあっと思う。 海の地獄にて空に逃げるシーンはすごかった。 印象深い。 なんだろ、村田さん読んだの初めてかな。 結構好きな読み心地、他のも読んでみたい。
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「確かなものは我が身のあるところじゃ。片隅でも、外れでもよか。そこが中心じゃ。わしはそれでよか。」私もそれでいい。それがいい。
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西の果ての離島に住む92歳のイオさんと海女仲間のソメ子さん88歳、二人の生活を心配してイオさんの娘ウミ子65歳が訪ねて来た。 老婆達の暮らしは、娘から見れば不便で厳しい。けれど、二人はなんと逞しく、おおらかに自由に生きていることだろう。 この世とあの世、人間と鳥、海と空、海と島、...
西の果ての離島に住む92歳のイオさんと海女仲間のソメ子さん88歳、二人の生活を心配してイオさんの娘ウミ子65歳が訪ねて来た。 老婆達の暮らしは、娘から見れば不便で厳しい。けれど、二人はなんと逞しく、おおらかに自由に生きていることだろう。 この世とあの世、人間と鳥、海と空、海と島、仏教とキリスト教、境界がありながらその線は曖昧な不思議な世界を感じる。 この島は日本の端にある。海の国境線を越えて異国からの不法侵入を防ぐため経費をかける。 広がる海に見えない国境線。そんなものどこにあるんだ? ラスト、アジサシ達と一緒に鳥躍りを舞う二人の老婆の姿は、鳥との境界がなくなり解け合っている。鳥に国境などない。アジサシは国境破りの鳥だという。 老婆とアジサシは、全てが国境を越えて融合しあうことの象徴なのか。まるで神話世界のような美しさを感じた。 島の人々は死んだあと、鳥に生まれ変わるのだという。 「そうや、おれたちは鳥じゃった。ああ長いこと忘れとった」 いいなぁ、しみじみ思う。
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離島の争奪戦は椅子取りゲームとは言い得て妙。タフネスな老婆がそこで日常を過ごしているだけで国境を守っていることになっているというのが興味深い。
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離島での元海女の年寄だけの生活。年寄の狂気じみた鳥踊りに象徴される島の文化風習は、ちょっと奇妙でノスタルジック。海と空と魚と鳥とがつながっていく生命の営みは、なんだか尊い。 私は、海が怖いし、磯の風も苦手。でも、こんな時だからか、離島の生活をしてみたくなった。
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