沼の王の娘 の商品レビュー
序章で引き込まれる。 拉致監禁犯の父とその被害者である母。 両親と暮らした12年。 刑務所を脱走した父を追うと決めたわたしの、 覚悟と回想。 あらすじにはサバイバルゲームとあるけれど、 どちらかというと家族の物語りという印象。 残酷な描写もあるけど、淡々とした文章の中に 緊...
序章で引き込まれる。 拉致監禁犯の父とその被害者である母。 両親と暮らした12年。 刑務所を脱走した父を追うと決めたわたしの、 覚悟と回想。 あらすじにはサバイバルゲームとあるけれど、 どちらかというと家族の物語りという印象。 残酷な描写もあるけど、淡々とした文章の中に 緊迫感も臨場感もあって、一気読みだった。
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拉致監禁犯の男とその被害者の間にできた子供の話。男から逃げ、大人になり、結婚し子供ができた後、父が脱獄してきた。 ヘレナと父との心理戦。ヘレナが父を追い詰める様子、沼での暮らしが交互に描かれ、緊迫した状況を作り出す。沼での子供時代を通して、ヘレナがどうして今のヘレナになったかが、...
拉致監禁犯の男とその被害者の間にできた子供の話。男から逃げ、大人になり、結婚し子供ができた後、父が脱獄してきた。 ヘレナと父との心理戦。ヘレナが父を追い詰める様子、沼での暮らしが交互に描かれ、緊迫した状況を作り出す。沼での子供時代を通して、ヘレナがどうして今のヘレナになったかが、わかる。 父の行動を読む娘、娘の行動を読む父、追い詰めるところ、追い詰められるところはかなり白熱していて、ハラハラしっぱなしだった。
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ジャングルの中で異能親子がバトルを繰り広げるのかと思いましたが、沈み込むような心象風景を主に描いているので、思いのほか地味でしたが、その分読み応えありました。 母を誘拐して自分を産ませた父への愛憎と、沼地への憧憬と親しみ、家族への愛。普通とは何ぞや。
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独特の一冊だった。あまり没入できなかったが 個人的には、父親を主人公にした話を読んでみたかった。もっと深く知りたいと思ってしまった。 読み終わった後も、特に何か残ったとかもなかった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
被害者のその後を描いた作品(ルームとか、棺の女とか)が好きで結構読んでるのですが、少し毛色が違って、被害者の娘さんのお話。ややオオカミに育てられた子ども系の要素あり。 ヘレンがリアリティがあって、本当に存在するこんな背景を持つ人かと思うほど。両親に対する冷静な評価と、拭いきれないこもごもが丁寧に描かれていて、キリキリしながら読みました。 父親が母親を(逆も同じだけど)軽んじている家庭で子どもが育つことの怖さがさらっと描かれていてゾワっとしました。それでも幼いヘレンが良いと思うことをしようとする逃走の場面がとても良い。クライマックスよりも心に残る。 それにしてもこれは、もはや犬小説。。自然とかあまり関心ない私ですが動物は好きです。犬は好きです。犬小説としても読めます。
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挿入話のアンデルセン童話「沼の王の娘」は、アンデルセンらしく一癖も二癖も読みようによって変わる、およそ“童話”らしくない物語。 その物語を副旋律として作家は現代の問題点を「束縛という最強の暴力の中から生まれた娘」の話を創作した。 ネイティブアメリカンのような生活を描き、あたかもア...
挿入話のアンデルセン童話「沼の王の娘」は、アンデルセンらしく一癖も二癖も読みようによって変わる、およそ“童話”らしくない物語。 その物語を副旋律として作家は現代の問題点を「束縛という最強の暴力の中から生まれた娘」の話を創作した。 ネイティブアメリカンのような生活を描き、あたかもアイデンティティの相違を理由としているように見えても、実は一人の男のエゴから生まれた悲劇であることを描き忘れてはいない。 生まれた娘は、与えられた環境の中でしか判断できないことから当然に善悪の理解は世間と相違する。前半の「ふりかえり」は、そういった意味からとても重要な悲劇の描写。 物語の後半に入り、大切な家族を持ったことで新たな感情が生まれ、父に対して毅然として対峙するさまが、前半とのギャップを生み出して、読者に深い感情を覚えさせる。 自らの出生の境遇に対し、周囲の目と自らの感情を消化し、社会で自立していくことがいかに難しい事か。 人が人を束縛するという現代社会の問題が加わったことで、「ジャングルブック」など異質の世界で育った子供の社会への順応を描いた物語などとは、一線を隔すことになった。 これは、すぐれたテーマを持った作品だと、私は思う。
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内容のハードさとは裏腹に淡々と展開され、感情の動きも厳かで 命がけのサバイバルゲーム…とはかけ離れた空気感なのが不思議 恐らくそれほどに、”普通”からかけ離れてしまった父娘のやり取りだからなのだろうな… 父と”娘”ってのも珍しいよね
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
拉致監禁犯の男とその被害者の間にできた娘。 そんな父と子をめぐるスリラー。 複雑な感情と深刻で壮絶な過去。その語りが淡々としている分、響いてくる。 自分と向き合い清算していく姿を根気強く見守りながら、事実が明らかにされる度に息を飲んだ。 どこまでも父の子でありながら、私は私であるという強さを手に入れていく成長ぶりは読み応えがあった。
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刑務所から脱走した父を追う娘 母を含めた三人の過去の話が多く 父を追う現在の話が少なく薄く感じてしまいました
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最初に現代が触りとして描かれ、その説明として過去の出来事が書かれるスタイルにうんざりしてきた。かつて少女を誘拐したオジブワ族の父とその少女から産まれた主人公は、今では夫には過去を語らずなにくわぬ様子で娘二人と共に生活していた所に、自分の父が脱獄してきた。家族を避難させ、父を捕らえ...
最初に現代が触りとして描かれ、その説明として過去の出来事が書かれるスタイルにうんざりしてきた。かつて少女を誘拐したオジブワ族の父とその少女から産まれた主人公は、今では夫には過去を語らずなにくわぬ様子で娘二人と共に生活していた所に、自分の父が脱獄してきた。家族を避難させ、父を捕らえられるのは、父に育てられた自分しかいない。なんかなあー。ネイティブインディアンの生活様式を押し付けた父への恨みが強くて、もうちょっと引いて、人間の生き方にスポットを当ててくれ。文明とか法律を守るだけが人生ではないだろう。
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