毛沢東の大飢饉 の商品レビュー
現実を直視することの重要性を教えてくれる本だ。本書は、1958年から1962年頃に中国で起きた大飢饉、その主要因ともいえる毛沢東について詳細に記述している。当時の7億人の人口のうちの4500万人が死ぬような世界とはいったいどんなものなのか、本書を読めばよくわかる。 当時の官僚たち...
現実を直視することの重要性を教えてくれる本だ。本書は、1958年から1962年頃に中国で起きた大飢饉、その主要因ともいえる毛沢東について詳細に記述している。当時の7億人の人口のうちの4500万人が死ぬような世界とはいったいどんなものなのか、本書を読めばよくわかる。 当時の官僚たちは、毛沢東から農産物や鉄鋼などの基幹産業について、現実とかけ離れた生産目標を掲げさせられていた。目標が達成できなかった場はおそろしい目にあいかねないので、さまざまな方法で数字のかさ増しか行われていた。たとえば、農産物の実際の生産量は、公表値の2割しかなかった。この生産量では全国民が飢えずに生きることは不可能だが、嘘の生産量か報告されているため、援助がなされることはない。したがって、大量の飢餓が発生する。この話をみて思ったのは、検証のなされない目標は、無意味であるどころか有害ですらあるということだ。理想を掲げることは悪いことではない。それにより、新たな世界が生まれうるからた。だが、理想と現実が一致しないとき、ひとは容易に現実から目を背けて、虚構の世界に逃げ込んでしまう。どんな状況でも、現実を直視しなければならない。
Posted by
1958年から1962年、大躍進の時代の大飢饉。公開されつつある党の資料を緻密に検証して、その死者が4500万人、そのほとんどが餓死だったことを明らかにする。一切の私有を認めない人民公社、農業も工業も商業も全部が破壊されていく。毛と毛に忖度した党員による蛮行。一党独裁、独裁者へ...
1958年から1962年、大躍進の時代の大飢饉。公開されつつある党の資料を緻密に検証して、その死者が4500万人、そのほとんどが餓死だったことを明らかにする。一切の私有を認めない人民公社、農業も工業も商業も全部が破壊されていく。毛と毛に忖度した党員による蛮行。一党独裁、独裁者への批判を許さない強権体制では、取り巻きは忖度し、出鱈目を働き、そして被支配者は殺される。 4500万人はどのようにして殺されたのか、その一部始終が明かされる。 そしてこの蛮行は、文化大革命へと繋がっていく。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アクセス可能となった中国共産党の文書に基づいている。 当時の政治情勢もよくわかる。 本書では少なくとも4500万人が本来避けられたはずの死を遂げた、少なくとも260万人が拷問死あるいはその場で処刑と推察。 大躍進の結果、毛への批判が高まり、それを回避するため、文化大革命をは発動。 大躍進は、ソ連への対抗から、15年以内、イギリス(鉄鋼生産)を抜くと1957年11月に公言してから。
Posted by
大躍進政策に対する共産党の公式見解は文書はあまり存在しないなか、著者が地方の共産党支部などに残る文書を丹念の読み解いて分析した大作。そこで明らかになったのは近代では考えられない不合理さと凄惨さに満ちた事実であった。当時ソ連に見栄をきるために自分たちが食べるものもない中、食料を海外...
大躍進政策に対する共産党の公式見解は文書はあまり存在しないなか、著者が地方の共産党支部などに残る文書を丹念の読み解いて分析した大作。そこで明らかになったのは近代では考えられない不合理さと凄惨さに満ちた事実であった。当時ソ連に見栄をきるために自分たちが食べるものもない中、食料を海外に輸出するなどの愚策は、客観的な批判勢力が存在し得ない独裁主義国家の特徴であり、北朝鮮でも再現されている現実である。 数年の間に、少なくとも4500万人の死亡者が出たという事実は、日中戦争で中国側死亡者が1000万人以上とされているものと比較しても、あまりにも莫大な数である。また、被害者のほとんどが幼い子供、女性、高齢者であること、すべてが餓死や虐待といった悲惨な最後であることを考えると、この悲劇を単純な数字の比較で済ませることなどできないだろう。さらにこのうち250万人は拷問、処刑死であるという。共産党政府が認めている大飢饉の被害者は最大のものでも3000万までであり、それ以上の如何なる説も誇張であると主張しているが、ここまで大きな数字だとどちらも五十歩百歩としか言いようがない。 大躍進からから60年近くたった現代中国においても、日中戦争時の日本軍の仕業なんかよりも大躍進と後の文化革命による記憶の方が鮮明に記憶されているに違いないことを考えると、今に至る、日中戦争時の日本軍への執拗とも言えるバッシングは、中国共産党の正当性の主張、アイデンティティの維持という目的のみならず、これらの凄惨な結果に終わった中国共産党の失策に対する中国国内の不満の目を背けるための手段でもあるのだろう。
Posted by
三国志? 日本的空気? これだけのボリュームにも関わらず、飽かせられることなく、興味深く読了できました。レーニンなきあとの共産世界の覇権をめぐる、フルシチョフと毛沢東の対立から始まり、三国志なみの国内の権力闘争と元軍閥達の跋扈。権力の言葉に水を差せない日本的空気、そして中国的な原...
三国志? 日本的空気? これだけのボリュームにも関わらず、飽かせられることなく、興味深く読了できました。レーニンなきあとの共産世界の覇権をめぐる、フルシチョフと毛沢東の対立から始まり、三国志なみの国内の権力闘争と元軍閥達の跋扈。権力の言葉に水を差せない日本的空気、そして中国的な原理運動的極端行動。現代中国を形取る近代史として必読。
Posted by
やっと読了。成毛オススメ本から。文庫化されているのをふと書店で見つけて、オッ!と思って購入。正直、いまひとつピンとこない地名や数字の羅列が多くて、読み進めるのがしんどかった。確かに資料的価値としては、隠ぺい体質のかの国・かの時代に関して、とんでもないインパクトを持つものだとは思う...
やっと読了。成毛オススメ本から。文庫化されているのをふと書店で見つけて、オッ!と思って購入。正直、いまひとつピンとこない地名や数字の羅列が多くて、読み進めるのがしんどかった。確かに資料的価値としては、隠ぺい体質のかの国・かの時代に関して、とんでもないインパクトを持つものだとは思う。ただ、並の一般人が楽しむとすれば、最後の総括部分としての最終章と、あと訳者あとがき+解説で十分なんじゃないかと思っちった。ただまあ、それを言い出すと、本書系のノンフは大方不要、みたいな話になってしまいかねんけど。
Posted by
2010年代に読んだ中でもっとも衝撃を受けた本。学者が書いているため統計部分が多いのだが、そこは流し読んでもよい。事実の重さに慄然とする。理不尽な状況下で生き延びるために、一体何をすればいいのだろうか? →文庫化(ただし1600円する)
Posted by
なかなか表面化されない毛沢東時代の悲惨な中国国内状況が描かれており、大変興味深く読ませてもらいました。 文化大革命が始まる前の大躍進時代の話が主で、先進国に追いつくために多くの犠牲者を出したことが中国共産党が開示した公文書をもとに描かれています。 大規模工事、滅茶苦茶な農業政...
なかなか表面化されない毛沢東時代の悲惨な中国国内状況が描かれており、大変興味深く読ませてもらいました。 文化大革命が始まる前の大躍進時代の話が主で、先進国に追いつくために多くの犠牲者を出したことが中国共産党が開示した公文書をもとに描かれています。 大規模工事、滅茶苦茶な農業政策、果てはカニバリズムに至るまで、惨憺たる中国の1950年代、60年代は凄まじいものがあったようです。 多少の脚色やオーバーな表現はあるようにも思えますが、尋常じゃなかった当時の中国を知ることができます。
Posted by
- 1
