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オスマン帝国 の商品レビュー

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35件のお客様レビュー

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2026/01/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

オスマン帝国がどのように始まり、どのように発展し、どのように限界を迎えて滅亡に至ったかについて、各スルタンを中心に、著者が述べているように情報量が少ない古い時代を含めて各時代を均等に扱う形で書かれているため、満遍なく学ぶことができた。特に、残酷に思える王位継承のシステムが帝国の長い存続に寄与していたこと、モンゴル帝国と異なり王の権威として生母の貴賤が問われない(むしろ母親が奴隷である方が外戚が政治に介入しないため好まれた)という記述は大変勉強になった。また、ムスタファ・ケマルによるトルコ共和国建国以降は世俗化が進んだが、第二次世界大戦後にはイスラム的要素に回帰する傾向が生まれ現在に至るという話も興味深かった。

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2025/05/16

小笠原先生の本は三冊目だが、相変わらず分かりやすく面白い。オスマン帝国600年のダイナミックな歴史を堪能した。オスマン帝国の崩壊からトルコ建国の流れは多少駆け足なので、小笠原先生の「ケマル・アタテュルク」を先に読んでいて良かった。

Posted byブクログ

2025/01/12

存在はもちろん知っているが、実はオスマン帝国について何も理解していなかったことが改めて理解できる一冊。 オスマン・トルコ帝国と言えば、セルジューク朝に取って代わる形でトルコ系の盟主となったものの、ティムールに一度崩壊させられたが、メフメト2世が1453年にコンスタンチノープルを...

存在はもちろん知っているが、実はオスマン帝国について何も理解していなかったことが改めて理解できる一冊。 オスマン・トルコ帝国と言えば、セルジューク朝に取って代わる形でトルコ系の盟主となったものの、ティムールに一度崩壊させられたが、メフメト2世が1453年にコンスタンチノープルを陥落させて千年王国を滅亡させ、スレイマン一世の最盛期には地中海を支配してウィーンも脅かし、プレヴェザの海戦で欧州連合軍を撃破した。その立役者がヨーロッパから拐われた白人奴隷によるイェニチェリ軍団。しかし、1571年のレパントの海戦で負けてから退勢に入り、後はロシアを中心とした欧州勢にやられるがままで、領土を削られ、第一次世界大戦で選択を間違って滅亡した。というのが私の理解で、ほぼ世界史の授業に沿った理解と思う。 本書はまず冒頭で、オスマン・トルコなんてものは西洋の呼び方で、そんな自己規定はオスマンの人々はしていなかった。オスマンはトルコ人だけの国ではなく、多民族からなる帝国であり学術的にはそれが正しいとの議論が展開され、いきなり仰天。 また、拐われて奴隷にされ戦争に駆り出された可哀想な奴隷の印象があったイェニチェリは、さにあらず、拐われたり買われたりして、君主の所有物(生殺与奪権は君主)であったことは事実だが、イスラムにおける奴隷は比較的自由に生きていて、国の舵取りをする大宰相になる人も多く、イェニチェリ自体が近衛師団的、エリート軍団で実際にクーデターで皇帝を変えたこともしばしば。また、東アジアやヨーロッパと異なり、生母の格は関係なく、ほとんど全ての皇帝の母は奴隷出身。その方が、外戚の影響力が無くて良いと考えられたシステム。 そして、オスマンのイメージは16世紀で終わってしまいがち(あとは19世紀の弱すぎて力の真空→紛争を生み出す元のイメージ)だが、国の勃興期からスレイマン一世までの時代は本書の半分であり、それ以降の歴史も半分に亘って記述されている。それは、君主中心の帝国から分権して広大な帝国統治を可能にする官僚制、イェニチェリや常備騎兵、ウラマー、宮廷勢力などの分権化、欧州の技術、制度の導入を進めたほか、イスラム文化・学術の発展の時代でもあった。 しかし、時代の要請に応じて帝国支配体制を徐々に微修正していく歩みは、絶え間ないヨーロッパの諸帝国の技術革新、ナショナリズムによる独立運動のスピードについていけず瓦解することになる。 同時代である日本の江戸時代は旧弊を同様に微修正(オスマン帝国よりも更に遅いか)したが、時代の流れについていけずに明治維新という革命で一気に近代化を奔流のように進めた。オスマンの改革は、清国の洋務運動のように遅々として不徹底だったか。常に西洋の近くに存在し、少しずつしか変えられなかったことによる弊害なのかもしれない。 なお、オスマン帝国後、ケマル・アタチュルクが徹底した世俗化を進めたが、その後、オスマン帝国の遺産が見直されているといる。

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2024/11/18

オスマン帝国(=オスマントルコ)は600年も続いた歴史上最も大きな帝国の一つであるが、世界史の教科書でオスマン帝国に割かれたページはわずかだったように思う。 しかしながら、ヨーロッパとイスラム圏は意外と近いのだ。 コロナ期に「デカメロン」を読んだのだが、やたらとアラブの国々や王様...

オスマン帝国(=オスマントルコ)は600年も続いた歴史上最も大きな帝国の一つであるが、世界史の教科書でオスマン帝国に割かれたページはわずかだったように思う。 しかしながら、ヨーロッパとイスラム圏は意外と近いのだ。 コロナ期に「デカメロン」を読んだのだが、やたらとアラブの国々や王様の話が出てくるので驚いた。イタリアやスペインにとって、イスラムは遠い異国の話ではない。敵対する国であり、商売の相手でもあるリアルな近隣国である。 本書は600年、36代におよぶオスマン帝国の通史である。特定の時代や君主に片寄ることなく、歴代のスルタン(君主)全員について漏れなく言及されている。 物語りにすると面白いのは始祖オスマンが活躍した黎明期や、ヨーロッパ諸国を圧倒した全盛期なのだろう。しかし本書では、近代化に苦しむ後期や共和制に移行する末期も興味深く読むことが出来る。急激な近代化を成し遂げた明治政府や敗戦後の日本に思いを馳せながら読むのも一興。読む際はいつでも確認出来るようにスルタンの系譜やアナトリアの地図のページに栞を挟んでおく事をお勧めします。

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2024/05/14

13世紀に生まれ、中世、近世、近代を乗り越えてわずか100年前に消滅したオスマン帝国。本書はその歴史を大まかに3つ、 ①集権的帝国の時代 ②分権的帝国の時代 ③近代化の時代 に分類してテンポよく記述し、600年以上続いた帝国の飛躍、安定、衰亡を新書一冊で上手く纏めてくれている。 ...

13世紀に生まれ、中世、近世、近代を乗り越えてわずか100年前に消滅したオスマン帝国。本書はその歴史を大まかに3つ、 ①集権的帝国の時代 ②分権的帝国の時代 ③近代化の時代 に分類してテンポよく記述し、600年以上続いた帝国の飛躍、安定、衰亡を新書一冊で上手く纏めてくれている。 通史なのでスレイマン1世の栄光もすぐに過ぎてしまうが、逆に無名のスルタンも飛ばさず、一人残らず紹介してくれる。(もちろん情報量に差はある) ①集権的帝国の時代 「壮麗なる時代」のはるか前の、帝国立ち上げ話や途中でティムールに敗れて国家崩壊する局面が一番面白かった。中世だけあって負けるとあっさり部族がバラバラになり、勝つと条約もなく領土が増える。少し歯車が狂えば、オスマンも数代で滅ぶ凡庸な王国で終わっていたかもしれない。 しかし実際には優れたスルタンが領土拡張する裏で、安定を実現するシステムが出来上がっていった。兄弟殺しもその一つ。現代から見ると恐ろしい話だが、王の兄弟が担ぎ上げられての反乱は枚挙にいとまがないため合理的であるのは確か。 ②分権的帝国の時代 スルタン集権から分権へ、内的均衡の取れたシステムの成熟、安定政権の完成がこの時代にあったという論調。スレイマン以降はオーストリアに負けて領土が減るので衰退の時代という認識だったがイメージが変わった。兄弟殺しの慣習が終わると、すぐに陰謀が出てくるところに歴史の悲しさを感じた。 ③近代化の時代 軍隊を近代化しようとしては既得権益に潰され、やっと改革が形になった頃には西洋列強と恐ろしい実力差がついてしまった、イメージ通りの斜陽の時代。軍隊の近代化は装備や編制だけでなく、国家システム自体を軍隊を支える「財政軍事国家」に作り変えねばならなかった。明治維新の凄まじさを、日本など歯牙にもかけなかった筈の大帝国の失敗から感じることができた。

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2024/04/08

トルコもオスマン帝国もほとんど知らないよ〜な完全初心者が読んでみた。 いやぁ、面白い! 同名の人物が出てくるのに最初は苦戦したけど、地図や家系図、索引も活用して読み進めていけば全体的に優しく解説してあるので、難しくはなかった。 はしがきに「時代ごとに違う国家があったよう」とある...

トルコもオスマン帝国もほとんど知らないよ〜な完全初心者が読んでみた。 いやぁ、面白い! 同名の人物が出てくるのに最初は苦戦したけど、地図や家系図、索引も活用して読み進めていけば全体的に優しく解説してあるので、難しくはなかった。 はしがきに「時代ごとに違う国家があったよう」とある通り、区分通りの4つの時代で王権や政治体制が異なっている。それに至る経緯や事件などを流れとしてみると、なるほどなるほど…。 様変わりしていく様子や過程も興味深い。 たとえば、近代化に近づく政策が進められていったと思ったら、その直後に「王位を継げる唯一の男子になれば廃位されない」と古来からの「兄弟殺し」と同じ継承者の殺害が起こる。 長く続いた王権だからこそ、こういうことも起こる。 日本史はわりと好きだけど、世界史はさっぱりだよーな初心者当方からすると、 「母親は奴隷出身(母親の出自が子供に影響しない)」「兄弟殺し」はビックリするものだったが、これが王位継承をスムーズにしているのは納得。 婚姻によって母親側が権力を持つから関白だの院政だので朝廷内の権力闘争が起こるのだし、継承権が複数人にあるからゴタゴタが続く。 後者は人道的にはよろしくないし、王位継承がスムーズにいかずに断絶する危険性もあるけど。 こういうシステムもあった!というのは興味深かった。

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2024/03/20

全編にわたり面白かった。第3章までは世界史の教科書では空白地帯になっていることも多く、毎日1ページごとに参照メモをとりながら読み進めた。

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2023/10/29

巨大なイスラム文明の象徴とも言えたオスマン帝国の繁栄と衰亡の600年を日本で初めて詳細にまとめあげた上で、一般の読者にも分かるよう配慮されている貴重な一冊。カリフとスルタンと近代的立憲民主制のせめぎ合いの中で、巨大な帝国が翻弄されて滅亡していく様は、ひとときの夢のようだったモンゴ...

巨大なイスラム文明の象徴とも言えたオスマン帝国の繁栄と衰亡の600年を日本で初めて詳細にまとめあげた上で、一般の読者にも分かるよう配慮されている貴重な一冊。カリフとスルタンと近代的立憲民主制のせめぎ合いの中で、巨大な帝国が翻弄されて滅亡していく様は、ひとときの夢のようだったモンゴル帝国のそれとは重みが違った。オスマン帝国はかつては負の遺産として封印されようとしていたが、今のエルドアン大統領の政権下で、イスラム的価値観の再評価とオスマン帝国の再評価が行われ、公的に称賛されている。カドゥザーデの時代、タンズィマートの時代を経て、エルドアン大統領により、イスラム主義のアブデュルハミト2世のような時代がまた来るのだろうか。

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2023/09/02

トルコドラマ「オスマン帝国外伝」「キョセム」を見て、オスマン帝国自体に興味を持ちこの本を読みました。 帝位につかなかった兄弟は皆殺しという制度に驚いた、なんて非情な。自分が后だったら男の子は産みたくない、産んでも一人だけ、後は女の子がいい。

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2023/07/02

600年にわたって一つの王朝が続いたオスマン帝国――その継続の理由が本書を読めばわかるだろう。また、多くの君侯国の中からオスマン朝が覇者となった理由も――オスマン帝国の政治史がわかりやすくまとめられている。各時代のオスマン帝国の体制の変遷や諸国との関係についての叙述、さらには現代...

600年にわたって一つの王朝が続いたオスマン帝国――その継続の理由が本書を読めばわかるだろう。また、多くの君侯国の中からオスマン朝が覇者となった理由も――オスマン帝国の政治史がわかりやすくまとめられている。各時代のオスマン帝国の体制の変遷や諸国との関係についての叙述、さらには現代史への言及もある。どんなに短期間の在位のスルタンにも何かしら述べられている。系図ページは何度も見返すことになるだろう。コンパクトなオスマン帝国入門書。

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